計画の重要性とは何か-【書評】社長さん!税理士の言うとおりにしていたら、会社つぶれますよ!

ランチェスター戦略に従い、極力費用を抑えながら、自分が有利な立場にたつ方法を書いている。
衝撃だったのは、次の数字。中小企業の経営状況を思い知った。
 
経営計画書をつくっている社長は、3~5%くらい。
過去に経営計画書をつくったことがあるのは、60~70%。
 
これがどういう意味か。それは、計画の重要性を理論ではわかるものの、実際の活用できる計画をつくれていない、ということ。中小企業は、余りコンサルタントにお金を払う余裕はない。となると、身近な税理士に経営相談を行うことが多いのは周知の事実。この本は、それでは会社が危うくなることがある、という主張。
 

目次

第1章なぜ、税理士の経営指導が危ないのか?
第2章「弱者」が勝つためのビジネスモデル
第3章経営を見える化する「5つの数字」と「10の指標」
第4章確実に儲かる「経営計画」のつくり方
第5章「強い会社」をつくる社長の条件

 
改めて考える、計画の重要性とは
 
コンサルタントをしていると、理念や計画というのをまずは考えよう、といういわゆるトップダウンアプローチが多い。だから、頭でっかちで失敗するのだ、という揶揄も多い。
しかし、それでも計画を立てることの重要性を唱えたい。
 
①状況を客観的に見つられる
 今後の会社の方向性や予定を考えるには、現状がどうであるかを確認することから始める必要がある。すると、自社がどういう状況に置かれているのかに気づく。組織や事業の中で、強みも弱みもみえてくるだろう。毎日その中で自分は接しているはずなのに、意外にもみえていない。自分も計画を立てるときにいつも不思議に思う。でも、それが現実はにある。
 
②先のことを考えるようになる
 計画の中には、必ず時間の要素が入る。すると、締切りが設定される。となると、逆算が働く。もっと早く決めて動かないといけない、こういう手も打っておかなければいけない、など。マネジメントは、常に先のことを考えるのだ、と昔先輩に教わった。
 
③組織の満足度が上がる
 民主主義とは多数決主義ではなく、「説得と相談」である。可視化されることで、みんながそれを読む。考える。そして、意見があれば議論になる。その過程が重要なのだ。自分の意見が反映される、違っている場合は議論の上で納得する。それこそが民主主義であり、リーダーの頭の中にあるだけで突然降りてくる命令は、説得力が乏しい。公開し、議論する。そのためにも計画というのはツールとして重要な役割を果たす。
 
 
計画を立てた後に必要な重要なこと
 
計画を立てた後で、実効性を感じずにやめてしまうのはもったいない。
計画は作ったら、いろんな人に公開してみる。現場の実情と合っていなければ、意見を取り入れる。すると、意見を言いたい人は組織には大抵いる。
 
そして、定期的に見直す。うまくいってもいかなくても、計画と乖離がある場合は、その理由を考える。そして、計画をまた見直す。その繰り返しをしつこく行う仕組みを内部に設ける。「経営の教科書」に書いてある通り、見直す時間を予め確保しておくほど、経営者としては見直すことは重要なのだ。
 
 
いろいろ細かいテクニックや考え方があるけれど、まずはリーダーが計画の重要性と、それを常に見直すサイクルを構築することの重要性を捉えることから始まる。一人や二人で考えた計画で、最初からうまくいくはずもなく、必ず欠点がある。改善を重ねて、いろんな人の意見を取り入れることで、良い戦略、良い戦術になる。そして、その過程を経ることで、各自が主体性を持った良い組織になる。

自分が所属する組織でも、自分の顧客となる組織でも、同じ気持ちで改善を試みたいと思うのだ。

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