【書評】吉越式会議

吉越式会議
吉越式会議

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吉越 浩一郎
講談社
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トリンプの元社長、吉越氏の最新刊。期待して読んだけど、これは良い。会議術としては、本当実践的な内容が入っていて、すぐに試してみたくなる。集団で仕事をする人は、ぜひ読んで欲しい。会議が効率的でない人や、会議なんて不要だと思っている人は、読んでおいて損はないと思う。それぐらい、有益な内容だった。

読んで気になったことを書いておく。

 

組織全体まで「横展開」されるまでが重要

吉越式会議では、社長が出席している会議であるにも関わらず、結構細かいことまで取り扱っているのだそうだ。自分としても、会議で取り扱うことは、出席者によって段階というかレベルがあると思っていたので、結構衝撃的。でも、言われてみれば納得できる。

社長であろうと誰であろうと、問題と思ったことは指摘すれば良い。指摘する、ということは組織として「できていない」からだ。そして、対策を検討する。そして、重要なのは再発防止のために「横展開」するということだ。他の組織や、他の対象を考えた場合に、同じように対策を講じるべきところがないか、検証する。

人間の作業の正確性を信用してはいけない、マニュアルが更新されているかも重要なチェック項目だと言っていた。やはりマニュアルの充実は大事なんだな。

 

上司にアイデアを求めてはいけない

これは、全てに当てはまるわけではないと思うが、ブレインストーミングやアイデア会議、上司にアイデアの相談をするのはよくない、と本書では言っている。それは、現場の事情は現場の担当者が一番知っているはずであり、そこから生まれるアイデアが最も良いはずだ、という考えに基づく。

ただし、上司や経営者は、そのアイデアの結論に至るまでの検討経緯(ロジック)が妥当であるかは検証しなければいけない。

この、担当者のアイデアそのものではなく、その思考過程を上司は検証するのだ、という切り分けは、非常にわかりやすく、取り組みやすい説明だと思う。

 

サテライトオフィス・在宅勤務の実現方法

ちょっと面白かったのが、会議を充実させることで、サテライトオフィスや在宅勤務の実現が可能になるのでは、という示唆。

現在の日本社会では、やはり女性を戦力として有効活用できていない場合が多く、女性も結婚や妊娠を機会にキャリアが途絶えてしまうことがある。これは、個人にとっても企業にとってもロスであるので、できるだけ在宅勤務や短時間勤務などの柔軟な勤務形態を実現し選択肢を増やすことで、女性にもっと働いてもらう必要があると思っている。まあ、実際は女性だけでなく男性でも家庭の事情を抱えていたり、いろいろなケースがあると思うが。

さて、なんで会議を充実させることが、サテライトオフィスや在宅勤務を実現できるかというと、以下のような論理展開である。

  • 会議によって課題やデッドラインが明確になる
  • 上司がちゃんと仕事をコントロールし、部下に適切な仕事の範囲を与えられる
  • 部下は、仕事をこなす過程において、誰かと密に相談したり誰かの仕事を急に引き受けなきゃいけない状況がなくなる
  • テレビ会議などのちょっとした接点さえあれば、あとはサテライトオフィスや在宅勤務で仕事が可能になる

結構重要な示唆だと思う。本当にこの域に達するためには、組織を相当充実させる必要があると思うが、こういう結果が得られるのならば、会議を頑張る価値もありそうだ。

 

いろいろ考えさせられた。読んでいると、試してみたくなる。
あと、自分の業種的にはITシステムの内製化の取り組みも気になった。内製化した方が組織として変革スピードが上がるし、コストについても納得性が高くなる。ただし、内製かするための人材を確保するのが、実際は結構大変ということなんだけど。