自分の住む自治体の財務を3つの指標でチェックしてみよう

小宮一慶さんの「未来経済学入門」で、地方行政の財務力について書いてあったので、それを踏まえて実際に、自治体の財務力について、どういう指標が用いられていて、どういう風に見ればよいかをまとめてみた。主に、以下3つで大体は把握できると思われる。
 
 
財政力指数(財政の体力はどの程度か)
 
地方交付税の規定により、人口や面積などに応じて算定した、標準的に必要となるお金(基準財政収入額)を、自治体自ら得るお金(基準財政需要額)で除した値。過去3年間の平均値を用いる。この指数が1に近づく、又は1を超えるほど良い団体と評価される。逆に、1未満の場合は、国から交付金が交付される。
 
ちなみに、岐阜県は47都道府県中19番目で、0.51(2007年のデータ)。全体から見れば悪い数値ではないが、優良というわけでもない。
 
参考:財政統計研究所 <財政力指数別・都道府県インデックス2009>
 
 
経常収支比率(どれぐらい自由に使えるか)
 
毎年度経常的に確保できる財源のうち、経常的に発生する費用(人件費、公債費等)を示した指標。高ければ高いほど、財政に余裕はなく、自由に使える財源は少ないことを示す。余裕がある、ということは、戦略転換した場合や、新しい社会情勢が発生したときに、財源を投入する柔軟な姿勢をとることが可能である、ということだ。
 
岐阜県は88.6%で、47都道府県中44番目に低い(2008年時点)。かなり良い状態であるかがわかる。
 
参考:経常収支比率 – ランキングでチェック!【となりの芝生】
 
 
実質公債費比率(収入に対してどれくらい借金あるか)
 
地方自治体の借金である公債費が、自治体の収入に対してどれくらいあるかを示した指標。前3年度の平均値を用いる。18%以上になると地方債の発行の際に許可が必要になる。他にも25%以上超えるとまた制限が加えられるので、18%以上で高ければ高くなるほど、借金をする力=資金を集める力がなくなる、ということになる。
 
岐阜県は、指標が高い順からみて5位(2008年時点)。2006年が32位だったことを考えると、結構余裕なくなってきてる。
 
参考:総務省|平成20年度決算に基づく健全化判断比率・資金不足比率の概要(速報)
 
 
これらを見てみた結果
 
これら3つの指標を見ると、自分が住む岐阜県においては、財務体力は著しく悪くはないと思われる。財務力指数は中間よりやや上であるし、経常収支比率においても、自由度はある程度あるようだ。しかし、実質公債比率が高まっており、今後もこれが一層高まってくると、資金を集める力が弱まり、柔軟に時局に合わせて行政をコントロールできなくなる懸念はある。
 
今回は本当にざっくりした結果を書いているが、これらの指標は、企業の財務分析と同様、他の都道府県の状況を比較したり、経年変化を見る必要がある。そして、できるならば、都道府県と同じように、市町村の指標も見た方が良い。自分が一番身近に受ける行政サービスは市町村だからだ。
 
あの夕張市も、破綻の10年ぐらい前から、経常収支比率などから、財務が硬直してしまっていることは議論されていたらしい。それでも早めの舵きりができなかったと思われる。そういう意味でも、たまにはこういう指標をチェックしてみるのは、安心して住む上で重要なんじゃないだろうか。
 
 
他にも下記を参考:
経常収支比率でみる自治体財政
実質公債費比率

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