ITシステムは、よく開発が注目されるが、保守・運用も実は重要なポイントである。
なじみがない人にとっては、ITシステムの運用といわれてもイメージわかないかもしれないが、
地味ながら、世間的には結構な金額が投資されている世界である。
(ITコスト全体の7~8割を占める、ともいわれているし、あの社会保険庁のシステムの運用・保守費は800億円/年ぐらいらしいです。民主党参議院議員 ふじすえ健三: 社会保険業務センターの視察)
保守・運用で何をやるかといえば、ざっくり次のようなことである。
・障害対応(作ったシステムにバグがあった場合に)
・作業依頼(ユーザがアプリ上から操作できないが、実施する必要があるものを行う。データ登録等)
・仕様変更(法律や社会情勢が変わったり、使用しながら改善箇所が生じた場合に、プログラムを修正)
他にもユーザに対する研修のサポートも行ったりする。
さて、本題。
運用・保守において陥りがちな罠として、大きく4つ挙げてみる。
・慣例主義になる
「過去同じ手順でやったから大丈夫」みたいな、慣例主義的な状況に陥り、より効率的・効果的な見直しに対する動きが著しく小さくなる。
・ITコスト減少圧力を受けやすい
契約する年数にもよるが、契約更改時には必ず、「作業に慣れてきてるんだから、次の契約では10%以上は削れるだろう」みたいなコスト減少に対する圧縮が必ず生じる。これ自体悪いことではないし、一般的な理論としては間違っていないが、総合的な状況を踏まえて、本当に削減して運用・保守できるかは注意が必要である。
・作業メンバの確保
運用・保守は、ある程度長期(2~3年以上)の要員確保が望ましい。なぜなら、システム技術に加えて、必ず顧客の業務理解も求められるし、大抵は業種に限らずどこでも業務は1年間のリズムでできあがっているので、2年以内で辞められてしまうと、費用対効果が低くなるからである。一方で、IT業界は人のサイクルは早い。
・作業メンバのモチベーション低下
運用・保守は、全てではないにせよ、ルーチンワークが多い。そうなると、やはりモチベーションは低くなりがちである。システム開発は、仕様を調整して、開発して、テストして、テストさせて、というフェーズの切れ目があり、流れと勢いがあるが、運用・保守ではそれがほとんどない。
ざっと思いつくのはこれぐらいだろうか。
これらについて、効果的に手を打てているところは、実はあまりないのではないだろうか。
ユーザから見えないところで、結構綱渡りで作業を実施したり、人のやりくりをしてしまっているプロジェクトも多いと思われる。
まずは、こういう問題が存在することを、情報システム部門や運用・保守を担うITベンダの作業メンバは、認識することから、安定的な運用体制の構築が始まる。
今後は、もうちょっと具体的な解決策なんぞも含めて考えてみたい。
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