スターバックスが契約社員を正社員化した理由を考える

スターバックスが、契約社員を正社員化したというニュースがありました。

スターバックスコーヒージャパン(東京)は4月1日から約800人いる契約社員すべてを正社員として雇用することが27日、分かった。店舗で働く契約社員の待遇を改善し、サービスの質を高めたい考えだ。  契約社員は、労働時間が正社員並みになる場合もあるが、1年契約の時給制で通常のボーナスはない。正社員になると、月給制となりボーナスも出るため、給与総額は現在より増えるという。

スタバ、契約社員800人すべて正社員に – 経済ニュース : nikkansports.com

施策には必ず理由がある、と思いますので、その理由を考えてみたいと思います。

コストが上がるのになぜ正社員化するのか

スターバックスの正社員数は、H25年3月末時点の公表されている数字では1,821名です。

会社案内(会社概要) | スターバックスコーヒージャパン

これに800名の正社員を追加するわけですから、会社全体でみれば正社員が急に1.5倍ぐらいになるインパクトがあります。このコストに見合うだけの理由があるはずです。いくつか要因を考えてみました。

コンビニコーヒ-の台頭

最近話題で考えられるのが、コンビニコーヒーの台頭です。少し前の情報ですが、セブン-イレブンはコーヒーの販売目標を4.5億杯にしたそうです。

5月時点で、年間販売目標を3億杯から4.5億杯に引き上げた。1杯100円でも、年換算すれば450億円の売り上げとなる。8月には約1万5000のほぼ全店に導入した。

いれたてコーヒー、熱い戦い コンビニ業界、セブンカフェに負けるな : J-CASTニュース

ざっくり考えれば、コンビニ全体で1,000億円ぐらいは売り上げているかもしれません。そして、カフェ市場は1兆円規模と言われており、スタバのCEOは脅威ではないと13年6月時点でコメントしています。

スタバの関根純CEO(最高経営責任者)は13年6月2日付日本経済新聞朝刊の取材に対して、コンビニ大手の店内カフェは「脅威に感じていない。1兆円規模のカフェ市場に比べコンビニの販売額は小さい」と余裕を示し、異業種カフェやフルサービス喫茶との差別化についても「これからは軽食にも注力する。

スタバ、急成長に曲がり角か外食、コンビニ、コメダら競合台頭で過熱する喫茶市場(1/2 | ビジネスジャーナル

市場の10%ぐらいを勢いよく喰っていくコンビニコーヒーは、本当に影響を与えていないんでしょうか。そこで2014年1月までの既存店売上高をみてみると、1月は100%を下回っています。(10月も下回っていますが。)

starbucks_2014
(引用:スターバックス月次IRレポートより)

この数字をどう捉えるかですが、スタバなどで買っていた人が一部流れた可能性があります。その場合、スタバの差別化要因である接客などのサービスレベルの高さを維持し強化するために、契約社員を正社員化したと考えることもできます。

ただ、現時点ではこれが直接の要因では無い気がしますね。

出店数の伸び悩みによる成熟フェーズの突入

もうひとつ注目するのは、スターバックスの日本国内における出店攻勢は今後頭打ちになっていき、成熟フェーズに入るということです。

starbucks_tempo
(引用:スターバックス平成26年3月期決算説明会付属資料)

カフェ業界で出店数が多いのはドトールで1400店を超えているので、そこまで到達するかもという可能性はありますが、カフェ市場全体が縮小傾向にあり、かつ今の出店ペースから考えても、出店を加速させるというよりは、単価を上げたり新しい差別化の方向性を強化していくのだと思います。

実際、軽食にフォーカスするという方針が述べられていたり、ハイグレードなエスプレッソを提供する実験店舗を展開するなど、新しい取組みが出てきています。

フォームドピオエスプレッソ | スターバックスコーヒージャパン
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そういうビジネス環境で重要なのは、人の囲い込みによる競争性の確保です。スターバックスに行くと感じますが、接客レベルが高いんですよね。それは一朝一夕で実現できるものではないので、そうやって育成した人材を確保しつづけ、強固な組織にしていくフェーズになったんじゃないかと思います。

契約社員の長期化

スターバックスが日本に銀座1号店を出店したのが1996年で、17年ぐらい経つのですね。そう考えると、契約社員も長く務める人がいたりして、スキルも高度化し、正社員とのギャップが小さいと感じるケースが増えていたのかもしれません。

そうなると、契約社員のモチベーションが低下してしまったり、せっかくの戦力がどんどん抜けてしまうというリスクが高まります。

というわけでいろいろ考えてみましたが、スターバックスのビジネス環境が新しいフェーズに入っており、組織を変えないといけない状況であるのは間違いないでしょう。

過去には、ロフトが正社員と契約社員の垣根をなくして、離職率低下を実現しています。その代わりに、人件費が10%アップしたそうですが。

先進企業に学べ!短時間正社員制度成功例3「ロフト社員」化がもたらした離職率低下:IT&ウェブ業界のスキルアップをサポートする「CAREERzine

人材を活用するときに、人のコストを引き受けるというのは経営上勇気がいるものです。一度引き上げた条件を下げるのは、とてもエネルギーがいるものですし。

今後のスタバはいろんな意味で面白くなりそうです。