MBAではマーケティングが必ず講義に含まれています。それだけ売る、という行為とマーケティングの関係は重要なものだということです。MBAに通って初めて、「マーケター」という職種があることを知りました。そういった職種に対してもう少し理解を深め、今後のマーケターというかマーケティングにはどういう要素が求められるのか、というところを考えてみたいと思います。
というわけで、「マーケターを笑うな!」を読みました。
マーケターがよく行うアプローチが書かれていたり、マーケターの「これまで」と「これから」が纏まって書かれていました。
マーケターの要素は経営と近づいている
まず企業側の目線で、変化しているポイントを挙げます。
マーケティング自体が、ICT技術の登場・進化によってチャネルが増えたり、広告効果が可視化されることで、より科学的に語られるようになっています。昔からマーケティングとは経営の中核に据えられるものである、ということは言われていましたが、社会が成熟し複雑化する中で、マーケットインのアプローチが重要視されてきており、マーケティングが経営と近づいています。
ただ、現実はまだマーケティングと経営の距離はあるようです。本書でもこう述べられています。
大切なことは、日本の多くの企業経営においては、まだ「マーケティング・コンセプト」が実行されていないということだ。そんなことはない、という反論もあるだろうが、では役員の誰が「マーケティング責任者」なのかというと、あいまいな企業が多い。
一方で、自治体であっても、マーケティング・コンセプトを明確にすることから始まり、施策を統一的に実行することで、新しい方向を打ち出せるようになるわけです。流山市は、まさにそういう良い事例だと思います。
30代人口急増! 流山市、”異端”の街づくり (東洋経済オンライン) – Yahoo!ニュース
情報の非対称性は解消されつつある
次は、顧客側の変化です。こちらもICTの進展によって、かつては存在していた販売と顧客の情報の非対称性は小さくなっています。そして、モノが溢れてきている中で、価格競争が激しくなっています。本書では、価格競争が完全な悪ではないですが、あまり良くないものであると述べています。
たしかに価格戦術には一時的な効果があるので中毒化しやすい。しかし、長い目で見ると企業を蝕んでいく。
人々の生活が多様化する中で、求められるのは「インサイト」であり、それは昔から変わらないものだと言われています。買う人たちの生活パターンを洞察し、「買う理由」を明確に打ち出していく。そういう行為がこれからも必要になります。
また、情報の非対称性が小さくなったことで、小手先の売り方は通用しなくなりつつある、と思われます。純粋に、買い手にとって役に立つものを売る、という長期的に信用を得ていく売り方が求められるのでしょう。
というわけで、マーケターはこれまで以上に社会に必要な存在になるんだと思います。ただ、それが活かされる形や場所は、少しずつ変化しているので、それに合わせて対応していく必要があるでしょう。
関連書籍
神様コトラーによるこれからのマーケティングに関する解説。企業は長期的思考を重視するようになる、と主張しています。