カフカ指数

フランス政府が今秋から、役所の仕事を数値化して公表する。 それがカフカ指数(gooニュースより引用)。

仏政府は今秋から「お役所仕事」を数値化して公表する。 非能率さを示す指標は、不条理小説で知られるチェコの作家カフカにあやかって「カフカ指数」と命名される。 企業や個人の政府への手当、許認可の申請時に要した時間などを部署ごとに100段階で示す。「仕事が遅い」「手続きが煩雑」という汚名を返上するのが狙い。 カフカが描いた官僚組織の無駄や責任不在は東西を問わない。 旗振り役のコペ予算・国家改革担当相は「この指数で国際標準規格を目指す」。

具体的にどのような評価方法を行うのか、 細かい内容は探してみたけど、よくわからなかった。 ただ、申請から要した時間をもとに評価するらしい。面白い。 さらに自国の役所の効率化だけでなく、 この指数を国際標準規格にすることを目指す、とのこと。 ISOみたい。やはりこういう数値化する試みは重要な気がする。

チェンジメーカー

社会起業家。ソーシャル・アントレプレナー。
「社会における公益」と「企業としての利益」の両方を目的として事業体の、
世界におけるいろんな事例を取り上げた本。
読んでいて思うのは、慈善の心で寄付をするだけでは、
根本的解決にはならないんだということ。
そこには持続性はなく、焼け石の水。
また、社会における公益を追求する姿勢は世界で求められており、
それが企業のイメージアップや事業の優位性を生むこともある。
以下、内容抜き出し。
メキシコでは、1日の収入が2ドルに満たない人が約1億人いて人口の40パーセントに相当する。
彼らはお金を貯めて少しずつセメントを買い、自分たちで家を建てていく。
もちろんお金がないので「4年で1部屋ができるくらい」のペースだそうだ。
そこでセメント会社は3割引でその極貧層に提供することにした。
そして新たに1億人の消費マーケットを開拓することができた。
「医療と薬品を、貧困層にも行きわたらせる」という
社会的使命を掲げるソーシャル・ベンチャー。
目の不自由な人の9割近くが途上国に住んでおり、
失明の原因の3分の2前後が白内障であることに注目。
治療法は濁った水晶体レンズを人工のレンズに取り換えること。
ただ途上国の人には高くて買えない。
そこでこのベンチャーは生産方法を見直し、
1個300ドルだったコストを約10ドルまで下げた。
さらに面白いのは料金体系。患者の収入に応じて手術費用を
「無償」「実費の3分の2」「実費を上回る値段」の3段階に分ける。
いわゆる応能負担。
他にも教育や人権、メディアや建築などいろんな分野の事例がある。
かなり面白かった。
チェンジメーカー~社会起業家が世の中を変える
チェンジメーカー~社会起業家が世の中を変える

起業ってこうなんだ!どっとこむ

対談形式であっさり読めた。 ネット事業とかサイバーエージェントの事業内容の理解も深まったが、 何より面白かったのは、 起業から少しずつ組織が大きくなっていく過程にはいくつかの段階があって、 そのときにどのような能力や心構えが必要で、 どのように組織や人材をマネジメントしていくか、という点を 経験を元に語られていること。

起業したからには上場すべきかどうか、 M&Aに向いている会社とはどんな会社か、 従業員への報酬はどんなかたちであるべきか、などなど。 細かい点でも面白かった。

 

なぜか「仕事がうまくいく人」の習慣

ちょっと古い本だけど、内容としてはGTDやLifehackのよう。毎日の仕事を効率良く行うための心構えとちょっとした工夫が書かれている。

印象に残った点を。

  • 物事の優先順位は大事だが、時にそれは実行しないことの良い言い訳になる。目の前にあることは「すぐやる」ようにする。
  • 常に身の回りの整理・整頓を行い清潔に保つことで、毎日の生活を充実させる「システム」を作る。
  • 「システム」を改善する時間を定期的に確保し、変化に対応してゆく。
  • 自分の満足だけでなく、相手の期待に応えることを考える。

簡単に言えば、惰性で生活するなよってことです。

 

ザ・キャッシュマシーン

「ザ・ゴール」シリーズ。「ザ・ゴール」同様、小説風ビジネス書。

「ザ・ゴール」は主に製造業に向けたTOCの説明だった。機械化が進み、工程を把握しやすい製造業などの仕事と比べ、人的ソースに頼ることが多い営業や販売などの業務において、いかにTOCを活用するか、っていうのがこの本のメインテーマ。

仕事のジャンルに関わらず、業務には一連のプロセスがあり、その流れの先に生まれるアウトプットをいかに最大化するか。いかに大きくお金を儲けるシステムを作り上げるか。その点についてはブルーカラーもホワイトカラーも変わらない。ボトルネックを見つけ、その解消に力を注ぎ、 再びボトルネックを見つけ・・の繰り返しを行う、などは「ザ・ゴール」と同じ。

 

 

面白かった点を。

それぞれのプロセスには所用時間があり、さらに不測の事態に備え、予備の時間を設ける。しかし、最初から予備の時間があると、人間はその予備の時間まで計算して、心理的に「まだいいか」と思いギリギリまでやらず、結局は毎回予備の時間まで全て使い切り仕事を消化するようになる。

さらには四半期ごとの成績を上げるために、ついつい期末に忙しさが集中する。その点は顧客にも読まれており、ディスカウントを迫られる。

結果として利益の減少、サービスの悪化などの悪循環が生まれる。

 

こういった人間の心理的特性にも対応したシステムを、 どのようにして構築するかが面白かった。 「経営はアートではなく、サイエンスである。」

ザ・キャッシュマシーン ザ・キャッシュマシーン

スティーブ・ジョブズの半生を描いた「iCon」

アップルの創業者スティーブ・ジョブズの半生。

分厚いわりに早く読めた。まるで引き込まれるように。

スティーブ・ジョブズは一度アップルを追い出され、 新しく作った会社で成功を収めた後、またアップルに返り咲きする。 そしてiPodなど現在のアップルの勢いを作るまでを描いている。

成功者、カリスマと呼ばれるスティーブ・ジョブズも完璧な人じゃない。 それどころか、これを読む限りはかなり欠点だらけに思えてくる。 子供というか自己中心的。 理不尽な理由で人を解雇したり、勝手な振る舞いをする。 そんな風だから至るところで衝突を繰り返す。 それでも初期のアップルで、ピクサーで、また復帰したアップルで、 成功へと導いている。

その要因はどこにあるのか。 いくつもの偶然もあるけども、それでも個人的に思うのは、 やはり「こだわり」だと思う。 根拠が薄くても(無いに等しくても)、自分のカンを信じて進む。 それぐらいの勢いが必要なときがあるように思える。

もうひとつ。「スタイリッシュ」であること。 デザインには初期のアップルからかなりこだわっていたらしい。 結果を見ていくと、それが顧客の満足感を高め、 ブランド向上にもつながるんだろう。 デザインとは見た目だけじゃない、ってことも書いてあった。

読んでおいて損はない。

スティーブ・ジョブズ-偶像復活 スティーブ・ジョブズ-偶像復活

さて、これを読んで、スティーブ・ジョブズのスピーチを思い出した。 スタンフォード大学での卒業祝賀スピーチ。 改めて読むと、やはり奥深いものがある。 良いスピーチだと思う。

あと、この本には書いてないけど、 関連したネタを覚書。 マッキントッシュの生みの親、アラン・ケイの言葉。 「未来を予測する最良の方法は、自分で作ることだ。」 良い言葉。

【書評】考える技術・書く技術

今までも論理的思考関連の本を何冊か読みましたが、この本が一番内容にボリュームがありました。

1999年に書かれたこの本は、マッキンゼーなどでライティングを教えている著者が、そのエッセンスをまとめた一冊です。結構重厚ですね。

MECEやロジックツリーなど、論理的思考でよく登場するおなじみの言葉も出てきましたが、その他にも覚えきれないほど分析手法がたくさん出てきました。

一番印象に残ったのは、何か方向を決めて進むとき、その最初の仮説や設定、適した分析手法など、はっきりと道筋を考えておくことが重要である、という点。簡単に言えば、最初の計画が肝心だということですね。

他にも、ちゃんと文章全体が論理的にバランスが良いか、とか理解しやすい構成などが書いてあり、読んでいて大学で論文を書いていた時期のことを思い出しました。書く内容を一度イラストや図にしてから文章にすると、読み手にイメージしやすい文章を書くことができる、という点も勉強になりました。

この本の内容を消化して、ちゃんと自分のモノにするには多少の訓練が必要だと思わされる一冊でした。論理的思考に興味を持った人には、ぜひ一度基礎を学ぶ気持ちでこの本を手にとって見て欲しいです。

ワークブックもあります。