女性が「専業主婦」を選ぶと今後の社会では損をする

社会人になる前は、今の世の中は男女平等だ、と漠然と思っていたのですが、実際社会に入ってみると、女性は結婚・出産をはじめ、様々な状況で男女は平等じゃないな、と感じました。

しかし、最近は働き方改革やダイバーシティをはじめ、働くことに対する考え方が見直されていますし、夫婦別姓なども注目され、人々の結婚観も変わってきています。

こんなにある改姓の不便 夫婦別姓を選べるよう、国を提訴

こういう状況の中で、これからの女性の働き方やキャリア形成、結婚などのライフスタイルはどういう考え方でのぞめば幸せになれるんでしょうか。

ということをぼんやり考えていたら、この本と出会いました。

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タイトルは女性向けの本ですが、女性に限らず男性もお勧めできる本です。なぜなら、結婚などのパートナーとの生活を考えた場合に、女性の働く環境は、必ず男性側にも重要な事項だからです。

 

人はどうすれば幸せになれるのか

この本では、女性の働き方をや結婚を軸に、人がどのように幸せな生活を築くかを考察しています。本書の中では、人が持つ資本は大きく3種類あると書かれています。それが「人的資本、金融資本、社会資本」です。

これらのうち、全てではなくてもせめて2つを持てるようにしていくのが、幸せの道だと述べています。

しかし、〝幸福の資本〟をひとつしかもっていないというのは、きわめてリスキーです。プア充が友だちを失ったり、ソロ充が仕事をクビになったり、「裕福な引きこもり」の親が死んでしまえば、たちまちすべての〝資本〟を失った貧困になってしまうのですから。  安定した人生を送りたいのなら、超充は無理としても、「〝幸福の資本〟を2つもつようにする」必要があります。

 

特に、多くの人が重要な位置を占めるのが人的資本です。

もうひとつ大切なのは、この3つの〝資本〟のなかで「人的資本がもっとも大切」ということです。

 

男性でも生涯年収が3億円、女性は2億円程度と平均では言われています。誰しもが若いうちから同じ額の金融資産を築けるわけではありませんので、労働してお金を稼ぎ出す人的資本は、それだけ価値があるということです。

また、社会資本についても十分に考える必要があります。ちょうど今「イノベーション・オブ・ライフ」というクリステンセンの本を読み返しているのですが、そこでは「測定しやすくてわかりやすい目標にばかり捉われてはいけない」と述べています。

例えば、企業での昇進や、収入全体を伸ばしていくことだけではなく、家族との時間や友人とのつながりなど、自分が重要だと思えるものに人生を投資すべきだと、クリステンセンは書いています。

社会資本と言うのは、分かりづらいけれども自分の幸福感を高める重要な、社会的な関係性、人とのつながりを示しているのです。

男性でも女性でも、これらのバランスや重要度を考えて選択していけば、自分の幸福度を高めていけるはずです。

 

結婚のコスパが悪くなっている理由

この本では、女性の働き方やキャリア形成が中心に描かれています。その中で、最近は結婚のコストパフォーマンスが悪いということが書かれていました。その理由はこうです。

独身女性は、結婚によって失うもの(自由、キャリア、友だちなど)が大きすぎるため、経済的な安定という代償がなければ割が合わないと考えています。独身男性は、家族を扶養する重い責任を負って、わずかなこづかいで暮らすようになるのなら、このまま独身生活をつづけたほうがいいと思っています。男と女の利害がこれほどまでに食いちがっているのですから、そもそも結婚する男女がいるほうが不思議なくらいです。時代とともに、結婚はますます「コスパ」が悪くなっているのです。

 

実際に、未婚率は年々上昇しています。

未婚化の進行 – 少子化対策 – 内閣府

別に結婚がすべてとは思いませんが、未婚率が上がっているということは、今の制度やその背景にある価値観が、時代に合っていないんだと思います。これまでの結婚観を見直して、時代にあった家族の形を作っていかないといけないのでしょう。

ちょうど最近夫婦別姓や婚外子等の議論が出てきていますが、そういう議論を深めて新しい家族形成がしやすい制度になって欲しいなと願うばかりです。

これからの働き方や家庭のあり方について考えるなら、この本は多くの気づきを得ると思います。オススメですよ。

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関連本

イノベーション・オブ・ライフ

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あとで後悔する人生を送らないためにはこの本を読もう

「ハードウェアのシリコンバレー深セン」に学ぶ−これからの製造のトレンドとエコシステム

最近友人と、「ここ最近の中華系の電子製品はバカにできない」という話になりました。ひと昔は「安かろう悪かろう」というイメージをもっていましたが、最近みる中国製の製品は、パソコンやスマホ、スマートウォッチなどいろんな製品のコストパフォーマンスは、実用レベルで高いなと感じています。

アクションカメラなんかは、様々な商品がアマゾンなどを席巻しており、マーケットリーダーだったはずのGoProは苦戦しています。

Amazon.co.jp: アクションカメラ

GoProにみるアクションカメラ市場の現在

先日ご紹介した「マッキンゼーが予測する未来」でも、中国をはじめ様々な新興都市が勃興してきているというのを読み、新興都市の動向に興味を持ったところでした。

そんな時にこの本を知り、深センがどのようにエコシステムを形成してきたのかを、理解したいと思ったのです。

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本書は、実際に深センにある中国企業と携わり、最後には中国で起業した著者が、実体験をベースに深センのこれまでの発展と現状について詳しく書いたものです。実体験をベースにしているだけあって、非常にリアリティかつ詳細で、実態を理解するのに適した内容でした。

 

本書を読んだ感想ポイント

深センの成長は、著者のビジネスの変化と合わせて、3つのステージで紹介されています。これが、「品質の低い下請け工場」から「イノベーションを生み出すシリコンバレー」に変化するまでの流れを理解できました。

 

激安で似たような製品が大量に出現する理由

前述のアクションカメラのように、「激安で似たような商品が、様々なブランドで大量に登場しているのはなんでだろう」と不思議に思っていました。

その理由も、本書を読むとよくわかります。

「白牌/貼牌」を使えば、一切開発、製造することなく、簡単にメーカーになれてしまう。 「白牌/貼牌」は、扇風機、冷蔵庫、洗濯機といった白物家電から、パソコン、MP3プレーヤー、デジタルカメラといった電子機器製品、そして携帯電話まで対象はさまざまだ。最近ではホバーボード(電動スケートボード)やアクションカメラなども人気を集めている。技術が一般化し、大企業以外でも製造できる状況になれば、無数のメーカーが白牌を怒濤の勢いで作り出す。

深センが築き上げてきた、誰でも真似しやすくて、安く調達できるエコシステムが存在しており、誰でも簡単にハードウェアメーカーになれるのです。

 

中国は商取引としては未成熟だが、一方で日本はニッチな国になっている

本書の中では、著者が中国の商慣習や労働者の取り扱いについて苦戦する様が描かれています。これを読むと、日本と比べて契約等が十分に成立しない社会であることがわかります。

しかし中国企業はというと、契約書などなんの意味も持たず、仕様も守らない。納期に対する責任感もない。途中で価格を変えることもザラだ。しかもこちらが主張すると逆ギレしてすべてをひっくり返そうとしてくる……。付き合うには大変な相手だった。  支払いもそうだ。台湾や香港の相手には100%L/C(信用状)で取引していたが、中国相手では現金でなければ商売ができない。手付金を払わなければ発注できないし、途中で関係がこじれて協業がおじゃんになると、その手付金は返ってこない。もちろん返さない中国企業の違法行為なのだが、裁判をしても外国人が勝つことは困難と八方塞がりだった。

一方で、日本は独自の商慣習やルールが存在しており、ニッチな国という姿が浮かび上がります。それによって、世界の市場から相手にされなくなる可能性があるんではないかと感じました。

もう1つの悩みは、中国企業が日本市場向けの案件を嫌がるようになってきたことだった。日本向けは品質要求がべらぼうに高い上に、日本にしかないガラパゴス的な規制が多い。納期もうるさい。それでいて市場は小さいので数ははけない。面倒な割に儲からない日本向け案件はやらないという工場が増えつつあった

「新興国の工場は品質が低い」という目線で見ていたら、逆に日本は「面倒な市場」という捉え方をされているんだなと思うと、世界の大きな流れを見失わないようにしなければいけないと思いますね。

 

深センはイノベーションを創出する場所になっている

僕の意識は、「最近中国の製品も品質が良くなってきたな」という程度で止まっていましたが、最近はそういうステージすら抜け出して、イノベーションを起こす場所に進化しているということを学べました。

深センにある企業では、アリババと並んで中国トップ企業と言われるテンセントや、ドローンで7割程度のシェアを持つと言われるDJIなど、すでに世界的に地名どの高い企業が拠点を置いています。

Category:深センの企業 – Wikipedia

 

まとめ

マッキンゼーが予測する未来」を読んだ時も思いましたが、世界は確実に変化してきており、数年前の常識やイメージは、足かせになるかもと感じています。

深センの勢いはこれからも止まらないでしょう。一方で日本は成熟した都市として衰退をしていくのかもしれません。深セン、一度見て見たくなりましたね。

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関連本

マッキンゼーの予測する未来

新興都市の隆盛は、これから本格化するというのがよくわかる本です。

【書評】マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている

【書評】マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている

新年は、普段のことを忘れて、未来や世界のことに思いを巡らす良い機会です。そんな折に、ちょうどマッキンゼーが書いた未来に関する本があったので、ご紹介です。

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本書は、マッキンゼーの経営および世界経済の研究部門である、MGI(マッキンゼー・グローバル・インスティテュート)のディレクターであるコンサルタント3名による未来予測本です。

 

これからの日本の位置付けを再考するために読む本

経済的な数値をみれば、日本は経済的に成熟した国に該当します。欧米や日本などの先進国が経済的な成長を徐々に停滞させていく中で、これからは世界の経済は新興国へ中心がシフトしていきます。

2010年から2025年の間、世界のGDPの成長のほぼ半分が、新興国の440都市により生み出されると予測される。こうした都市の95%は中小規模の都市であり、西欧企業の経営者はその名前すら聞いたこともなければ、地図でどこにあるのか指し示すこともできない都市である。

そんな世界の状況でどうビジネスを考えるか、自分の働き方や生き方をどう捉えるかを考えるきっかけになることが、本書を読む大きなメリットです。

 

これからのビジネスを決める潮流を知る

今後世界を取り巻く破壊的なトレンドとして4つ紹介されていますが、この記事ではそのうち特に2つに注目します。

 

新興国の都市化が進む

まず一つ目は、「新興国の都市化」です。

これからは、新興国の都市化が急速に進んでいきます。この本を読んでいても、全然知らない都市の名前がたくさん登場していました。

ヨーロッパとアメリカの都市化が18世紀と19世紀に起こり、ラテンアメリカの都市化が20世紀後半であったのに対し、それぞれ10億人以上の人口を擁する中国とインドは、現在がまさに都市への人口移動の真っ最中なのである。 中国の李克強首相はこう語っている。「都市化は、単なる都市住民の増加や都市地域の拡大ではない。もっと重要なことは、産業構造、雇用、住環境それに社会保障といったものすべてを、地方型から都市型へと変えなければならないということなのです」

 

これによって、社会の様々な構成要素が変化していきます。また今までは有名でなかった新しい都市が、ビジネスを活況させることになるでしょう。それは間違いなく日本ではありません。

どの都市からどのようなイノベーションが生まれるか。どの都市を戦略的に重要な拠点と定めるか、どのような人材をその都市から獲得するか。考える事はたくさんあります。最近だと、中国の深センが「ハードウェアのシリコンバレー」と呼ばれていますが、そのように新しい勢いある都市が、今後もいろんな都市で発生するでしょう。

また、新興国の都市が発展することで、大量の人たちの所得が増えて、中間層になります。

2012年に世界人口が70億人を超えたときには、大きな論争が湧き起こった。だが、わずか35年の間に、世界の消費者層に30億人が加わったことのほうが、はるかに重要な進歩の道程である。(注12) このことは、1960年代半ば当時に地球上にいた全人類の人口と同じ数の人々が消費者層に加わった、ということなのだから。(注13) ドイツ銀行のグローバル・ストラテジスト、サンジーブ・サンヤルはこう指摘している。「次の20年間について真実を語ると、新興国が中流の地位を獲得することだ。もちろん他の新興地域も同じような移行を果たすだろうが、この変身の圧倒的主役はアジアだろう」(注14)

 

これだけ大量の人たちが消費する社会になると言う事は、ビジネスのトレンドも大きく変わるでしょう。そしてその中心地はアジアなのですね。

 

世界的に高齢化が進む

高齢化は日本の専売特許だと思っていましたが、今後の人口動態の予測では、世界中の人口が高齢化に向かうようです。

世界を変える第3の力は、人口動態の変化である。簡単に言ってしまえば、人類の平均年齢が上昇してきているのだ。出生率は低下し、世界人口は劇的に老化してきている。先進工業国では、人口の老齢化がもう数年前から顕著となってきている。日本とロシアでは、何年か前から人口が減少に転じている。この人口減少という現象は、いまや中国にまで拡大し、もうすぐラテンアメリカ全体に広がるだろう。

 

ここから言える事は、社員と顧客が高齢化していくということです。

顧客サービスは、高齢者に合わせたものに変化していくことが重要になると書かれています。イオンモールや富士通のらくらくフォンなど、日本の事例が多く登場していました。

また、社員の高齢化についても考える必要があります。

高齢になり、必ずしもフルタイムで働くことが魅力的だとは考えない社員が、社内から次第に減少していくことに対処し、彼らを企業内に取り込むためには、企業のほうがグレーゾーンの働き方に慣れていかなくてはならない。明確な線引きではなく一定の幅のある働き方を許容すれば、社員と会社を互いにつなぎ止めておくことができるだろう。だが、その条件は、年配社員のほうに魅力的なものにする必要がある。

 

今は日本で働き方改革が叫ばれ、人材確保や高齢者の活用が叫ばれていますが、この流れは今後、様々な国でも発生していきます。

これらを考えると、「日本は課題先進国」とはうまく言ったもんだなと再認識します。

 

自分のビジネスやキャリアの在り方を考えよう

それ以外にも、技術革新やグローバル化の進展など、とても多い事実とヒントが本書では取り上げられていました。

個人的にはやはり、これからは新興国の都市がビジネスの中心になることと、世界でも高齢化が進み、日本は課題先進国としていろいろなネタを持っているという事が印象に残りました。

後は、これらを自分のビジネスやキャリアにどう活かすかは自分次第です。最後にキャリア形成についても、少し触れておきます。

労働市場は、企業ほどには柔軟性が高くないことが証明されてしまった。労働市場が機能しなくなる一連の麻痺が生じたのを私たちは観察してきている。繰り返し行われる事務作業や、工場の作業プロセスは自動化されてきた。一方では低賃金の手作業による職種の需要があり、もう一方では高賃金・高スキルの職種の人材が求められるという二極分化が、労働市場で着実に進行してきたからである。そして、この二極分化の中間にいた労働者の職が、技術革新の進行と新興国との競争とにより蝕まれてきたのだ。

 

LIFE SHIFT」でも述べられていましたが、これから長い労働人生の中で、同じ職業や同じスキルで生き残っていくことが難しくなっていくでしょう。そのような状況で、技術革新やそれに応じて変化していく社会でも楽しく働けるように、日ごろから自分のスキルや戦う場所を考えておく必要があるのです。

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関連本

SALES GROWTH

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同じくマッキンゼーが出している、最近のトレンドを踏まえたセールス活動のあり方を書いています。今読んでいますが、セールスの重要な変化や具体的な取り組みが豊富に書かれていて、セールスを考える人には多くのヒントが含まれています。「デジタルマーケティングの教科書」と合わせて読むと良いと思います。

最近聞くデジタルマーケティングって何?

LIFE SHIFT

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キャリア形成を考える上では、この本は大きな刺激をくれるはずです。これからの働き方や企業の求められる対応人事制度など、本書と共通する部分が多いです。

2017年に向けて読む一冊:100年ライフを読んで人生プランを考えよう

 

「銀行はこれからどうなるのか」を読んで自分のお金の預け先を考えよう

FinTechが盛り上がっていますし、様々なサービスが登場している中で、以前からある銀行業態がどうなっていくのかは興味がありました。

それで、Kindleセールだったこの本を読んでみました。

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地銀の衰退が叫ばれて随分経っている気がしますが、お金を取り巻く状況はどんどん変化しています。

 

個人が現金を預ける先はどこか

これまでの銀行(特に地銀)は、単純に示すと個人から預金としてお金を取得して、法人に貸し出すことで事業を回してきました。

しかし、個人のお金に関しては、新しい事態から競争が激化しています。

マネーフォワードのようにお金の動きは可視化され、ロボット投資で自動でいろんな所に投資できるようになり、財布はキャッシュレスになっています。

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個人がなんとなく預けていた地元の銀行への預金は、様々なサービスに移動しています。SuicaやLINE Payなどの新しい決済手段に現金を一時的に預けるケースも増えています。そうなると、これまでの銀行の事業モデル自体が、成立しなくなる危険があるのです。

そうなると、預金をメインの資金源としていた銀行は、別に競合と預金の奪い合いをする必要が出てくるわけですね。

本書では、今後の銀行を考えるポイントは次であると書いています。

銀行の今後の姿やFinTechを理解する上でカギとなりうるのは次の2点だということに行き着いた。ひとつは個人預金の行方。もうひとつは「デジタル・ウォレット」を誰が担うのかということである。

個人は、利便性に応じてお金を移動させて行きます。利率が良い投資ができるサービスにお金を預ける、決済手段が便利な口座に現金を移す、ということでFinTechを中心に激しい競争になっているのです。

この便利さを実現したところが、個人のお金を獲得すると言えるのではないでしょうか。

 

ICT投資がカギ

お金がどんどん現金から離れていくと、お金はデータになります。そして、そうなると重要なのがICT投資です。

生き残れるのはICTに競争優位を持つ企業か、ICT投資に資金を回すことのできる銀行だけだ。その点で、地方銀行はICTに優位性があるだろうか。また、その投資に耐えられるのだろうか。

このようなパラダイムシフトに追従できるところが生き残ることができるのでしょう。

最近だとMUFGは仮想通貨であるRippleに出資したり、独自のビットコイン開発を発表したりと、新しい金融サービスに対して積極的に乗り出しています。

三菱東京UFJ銀行は、みずほフィナンシャルグループや横浜銀行などで構成する新送金システムの検討グループに参加する。仮想通貨の中核技術である「ブロックチェーン」を活用し、低コストで送金する仕組みの構築に共同で取り組む。

新送金システム国内連合、三菱東京UFJも参加  :日本経済新聞

三菱東京UFJ銀行は5月1日、独自の仮想通貨「MUFGコイン」の実証実験を始める。年内に国内の全行員約2万7千人が使えるようにして、来春には一般向けに発行する計画だ。ビットコインと同様の技術で、決済や送金が低コストでできる。メガバンクによる世界初の仮想通貨プロジェクトが本格化する。

独自の仮想通貨、三菱UFJ銀が実験へ まず行員から:朝日新聞デジタル

ICTを中心に、どういう競争が繰り広げられていくんでしょうか。まだ銀行の数は多く、今後の再編が行われると言われていますが、その中では業態を変えたりするところも出てくるでしょう。

 

ということで、この領域はこれからの激動が続きそうです。自分のお金についてもどこに預けるか、考えてみましょう。

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【書評】生涯投資家

村上世彰さんが初めて本を書いたということで、非常に話題になっていましたので、読んでみました。

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かつで世間で話題になった「村上ファンド」の頃の話がたくさん書かれており、その当時ニュースを見ていたものとしては、とても懐かしく、そして当事者の思いや行動が語られているので、それだけでも読み価値があるというものです。

東京スタイル事件 – Wikipedia
ニッポン放送の経営権問題 – Wikipedia
阪急・阪神経営統合 – Wikipedia
村上ファンド事件 – Wikipedia

しかし、本書はそれだけじゃなくて、著者からみた経済社会全体が語られており、今の日本をはじめとする経済社会をどう捉えれば良いのかを理解する上で、とても参考になりました。

 

資金循環が経済を活性化させる

村上さんの主張は一貫しており、それは「資金は循環させてこそ経済が活性化する」というものです。

資金を循環させるということは、様々な形でお金を投資させる必要があります。しかし、過剰な安全のためにお金を貯めこみ、投資を控えると、経済の循環を阻害する要因になってしまいます。そのため、「村上ファンド」時代には、お金をたくさん持っているにも関わらず、具体的な投資計画を持っていない企業の株を買い、キャッシュの取り扱いを企業に確認していたのでした。

お金が循環していないことの弊害は、アメリカと日本で具体的な数値にはっきり表れています。

だから日本企業のPBRは平均で一なのに、アメリカ企業のPBRは平均三なのだ。日本の株式市場は五百兆円しかないのに、アメリカには二〇〇〇兆円ある。アメリカの年金の収入源は株式市場への投資で、きちんとリターンを得ている。

 

PBR(株価純資産倍率)は、株価の割安度合を示しており、低いほど割安ということです。逆に、日本企業は収益性が高くないため、アメリカ企業と比べて平均で大きく差がついているのです。

各国のPBR等の指標は、以下サイトで確認できます。

世界各国のPER・PBR・時価総額(毎月更新) |ETF・インデックスファンドなら!『わたしのインデックス』

 

これは企業数がそれほど変わらないですし、大雑把には純資産もほぼ同程度だそうですが、それだけ投資家からの期待がアメリカは高く日本は相対的に低いということを示しているのです。

 

企業は余った金を滞留させずに投資する必要がある

資金を循環させるとはどういうことを指しているのでしょうか。

本社の中ではアップルやMicrosoft等の、バランスシートの変化が示されていますが、当初は多くの投資を受けて純資産が多い状態になっていましたが、企業の成長とともに豊富な純資産は株主に還元していきました。その結果、借り入れを増やすことで純資産が減少し、ROEは非常に高くなっています。

一方の日本の株式市場は、なかなかそのような動きになっていないと著者は言っています。

しかし日本の多くの企業のバランスシートは、そのようになっていない。したがって、ROEも低いまま推移している。業績が急激に悪化した時にどう備えるのか、企業が倒産してしまったら社員はどうなるのか、などの議論もあるから、資本は小さければ小さいほどいいと一概には言えない。しかし純粋に投資の視点から見えると、資本効率を上げるには資本は小さいほうがいい。

確かに安全に経営するためには、自己比率が高い方が良いという見方が、日本では根強いような気がします。この辺のマインドを変える必要があるというのが、日本企業が置かれている状況なのでしょう。

そして、ROEを高めるためには、企業が投資に回す、あるいは株主に資金を還元するように動くことを促す必要があります。それこそが、株主から経営者に対するコーポレートガバナンスです。

 

伊藤レポートの重要性を理解する

2014年に、企業に対するコーポレートガバナンスを高めるためのコーポレートガバナンスコード、いわゆる伊藤レポートが発表されました。

伊藤レポート「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクト「最終報告書」を公表します(METI/経済産業省)

僕は発表された当時、伊藤レポートの存在は知っていましたが、恥ずかしながらその本質がどういう点にあるのかがよくわかっていませんでした。ただ、非常に画期的でこれから株式市場は変わると騒がれていたのを記憶しています。

そして、この伊藤レポートがなぜ重要な内容であるのかは、本書を読めばよくわかります。

企業にとってのステークホルダーである株主、従業員、取引先について、それぞれのリスク内容を考えてみると、従業員の給料や地位は労働法によって保障されている。取引先は契約によって担保されている。ところが株主は、会社が倒産の危機に陥った時すべてのリスクを負わなければならず、場合によっては投資した資金の全てが戻ってこない。そういった意味で、企業が生む利益のみならずリスクも全部背負う株主が、投資した資産をいかに守るかということがコーポレート・ガバナンスの根源だ。

つまり投資家に対して、事業の内容や投資の方向性などを透明性ある形で説明するのが、コーポレートガバナンスコードです。

最終的には日本証券取引所でコーポレートガバナンス・コードが示されており、様々な企業でそれらが発表されるようになっています。

もっと詳細な内容や、歴史的な背景が本書の中に書いてあります。コーポレートガバナンスの考え方や歴史を学ぶためにも非常に良い本だと言えるでしょう。

 

本書の中で、著者の主張は一貫しており、投資家の面から見たときの市場の捉え方が非常にわかりやすい内容になっています。

さらに、非営利団体への投資や様々な取り組みも行っていることがわかり、昔の村上ファンドという名前に関連して、あまりよろしくないイメージを持ってる人は、この本を読めば、その印象はガラッと変わるのではないでしょうか。

この本を書こうと思ったきっかけがあとがきに書いてありますが、その内容を読んだ時も非常に胸が痛くなりました。さらに、個人的には以下の内容が非常に著者の人間性を表しているような気がしていて、印象に残りました。

かつて投資していた東京スタイルが、別会社と経営統合し、TSIホールディングスとして、経営改革行うために経営者と話していたときの一節です。

翌月、三宅会長と会食する機会があった。リストラで工場を閉鎖することについて考えを聞かれたので、私は答えた。 「人を切ることは、なるたけやってはいけない、特に地方では、その人や家族の生活を奪うことになるので、安易に検討しないでください。それよりも、もっといいブランドを作って、本業で利益を上げるように頑張ってほしい」

この部分だけ読んでも、著者が単にお金を儲けることだけを考えて、企業に投資を行っていたわけではないといえるんじゃないでしょうか。

今の市場に何が足らないのか、経営者はどういう姿勢で市場と向き合うべきなのか、様々考えさせられる良い本でした。

参考:
村上世彰×堀江貴文 初対談 #1「あの一言で僕は堀江を好きになったんだ」 | 文春オンライン
異色対談!「村上世彰氏vs伊藤邦雄教授」 | 最新の週刊東洋経済 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 

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この週末で、「オデッセイ」を観ました。

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宇宙ものの映画が基本的に好きなのですが、ストーリーもマッドデイモンの演技もよかったです。時々挿入される音楽が微妙にミスマッチで印象的だったなってことと、GoProが頻繁に登場してきて、アクションカムがここにも!って思いました。

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マジでおすすめ。「サピエンス全史」は人間の本質や今の社会の仕組みを新しい視点で理解できる

最近話題になってるビジネス書、「サピエンス全史」を読みました。面白すぎて、最後まで退屈せずに読み切ることができました。

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長い本で、様々な示唆に富んでいたので、いろいろ感想はあるのですが、この本を表す端的な表現があとがきにあったので、まずはそこを引用したいと思います。

読書の醍醐味の一つは、自分の先入観や固定観念、常識を覆され、視野が拡がり、新しい目で物事を眺められるようになること、いわゆる「目から鱗が落ちる」体験をすることだろう。読んでいる本が、難しい言葉で書かれた抽象論だらけではなく、一般人でも隔たりを感じずに、すっと入っていける内容がわかりやすい言葉で綴られているものだと、なおありがたい。まさにそのような醍醐味を満喫させてくれるのが本書『サピエンス全史』だ。

銃・病原菌・鉄」を読んだ時も同じような感想を抱きましたが、普段捉えることのない時間軸で物事を捉えると言うのは、全く新しい示唆を与えてくれるものだなと思います。

文明の発達の違いはなぜ起こるのか

 

人は想像を共有することによって強くなる

本を読む前に、著者のTEDにあるスピーチをみると、概要がつかめると思います。

著者の素朴な疑問のスタートは、なぜホモ・サピエンスという種別がこれほど地球上で繁栄をし、様々な生き物の頂点に立ったのかところにあります。

そして繁栄の要因として挙げられるのが、人間が大多数で集まって共通の行動を取れることにあると述べています。またその集団行動には、柔軟性があることも重要なポイントです。つまり、とても大きな集団で、かつ柔軟性のある複雑な行動を規律を持って行えるのが人間だけだということです。

そのような大多数で柔軟性かつ規律ある行動取れるのは、実態がない虚構なものを「概念」として捉える想像力だと著者は説きます。

だが虚構のおかげで、私たちはたんに物事を想像するだけではなく、集団でそうできるようになった。聖書の天地創造の物語や、オーストラリア先住民の「夢の時代(天地創造の時代)」の神話、近代国家の国民主義の神話のような、共通の神話を私たちは紡ぎ出すことができる。そのような神話は、大勢で柔軟に協力するという空前の能力をサピエンスに与える。アリやミツバチも大勢でいっしょに働けるが、彼らのやり方は融通が利かず、近親者としかうまくいかない。オオカミやチンパンジーはアリよりもはるかに柔軟な形で力を合わせるが、少数のごく親密な個体とでなければ駄目だ。ところがサピエンスは、無数の赤の他人と著しく柔軟な形で協力できる。

 

こういう視点で物事を捉えたことがありませんでしたが、実際に考えてみるとたしかにそうで、人間の強さの本質を表しています。

 

社会の仕組みは信用の上で成り立っている

虚構を作り出すことで、人間同士が協力できるようになっています。そして、さらにある虚構を世界に広がることで、遠い他人も信用し、同一のルールで様々な交流や取引ができるようになっていきます。

その代表的なものが宗教やイデオロギーで、これらの言うなれば「虚構」として著者はとらえています。さらに、現在僕らが信じている「個人の平等や権利」なども、同じ「虚構」ということになります。

そして、最も強固な「虚構」が貨幣制度です。

したがって、貨幣は相互信頼の制度であり、しかも、ただの相互信頼の制度ではない。これまで考案されたもののうちで、貨幣は最も普遍的で、最も効率的な相互信頼の制度なのだ。  この信頼を生み出したのは、非常に複雑で、非常に長期的な、政治的、社会的、経済的関係のネットワークだった。なぜ私はタカラガイの貝殻や金貨やドル紙幣を信頼するのか? なぜなら、隣人たちがみな、それを信頼しているから。そして、隣人たちが信頼しているのは、私がそれを信頼しているからだ。

 

昔、竹中平蔵さんが小泉政権に時にテレビでに出演していて、そのときに「貨幣というのは信用である」と語っていたのを今でも覚えてます。そのときにはあまりピンときませんでしたが、この本を読むとまさに「貨幣は信用でできている」と納得できます。

こういう、全体が信用できる仕組みができたので、世界各地で貨幣経済を行うことができるわけですね。つまり、いろんな人が相互に信用し、協力関係を築ける概念や考え方を生み出すと、強力な組織を作り出せるんだな、と思います。

 

文化はひとつに収れんされていく

本書の衝撃的なことは、ホモ・サピエンスを神聖視するのとは逆で、人間がいかに残虐なことをしてきたか、生物をどのように絶滅させてきたか、家畜をどのように制御してきたかという、ネガティブな側面にも光を当てていることです。

人間はアフリカを出て、世界中に広がり、そこで生物や原住民を絶滅に追い込んできました。そのようにして、どんどん人間がとらえる世界が広がっていき、結果として文化がどんどん収れんしています。

グローバル社会、フラットな世界などの表現はありますが、長期的な人間の歴史でとらえれば、それは間違いないことのようです。であれば、それを前提に、個人単位でも世界を意識する必要があるのかもしれません。そして、グローバルスタンダードと呼ばれるような世界基準に合わせて、制度を理解していかないといけないんだな、とやや漠然とではありますが考えました。

 

上記以外にも、宗教の重要性、なぜ投資が世界を発展させたか、今の平和な時代はどういうロジックで形作られていて、これからの未来はどういう方向に向かっていくのか。興味深い分析が満載です。すごいおすすめ。

同じ著者が、今後の未来にフォーカスした作品も話題のようですね。日本語訳も出るようです。

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ビットコインなど仮想通貨の価格が急騰。仮想通貨は今後どうなる

最近、ビットコインなどの仮想通貨が話題になっています。簡単に言えば非常に価格が急騰しており、様々な点で注目を浴びるようになっています。最近のビットコインの価格は、以下のように推移しています。

BTC chart

Bitcoin (BTC) | CryptoCurrency Market Capitalizations

今年に入ってからの上昇ぶりは目を見張るものがあります。

 

この状況をうけて、Techrunchは「バブルが発生しているのではないか」と観測する記事を書いています。

仮想通貨市場で今何が起きているのか?――時価総額1000億ドルはバブルを意味するのか | TechCrunch Japan

 

Googleトレンドで見ると、ビットコインの検索ボリュームもどんどん増えています。

(ちなみに、上記グラフでは2015年頃から表示していますが、2014年の方が「ビットコイン」の検索ボリュームが多くなっています。それは、マウントゴックス事件のためです。紛らわしいので上記グラフでは含めないようにしました。)

というわけで、ビットコインは価格が急騰し、認知度も高まっている状況です。今の状況が、仮想通貨やその1つであるビットコインのバブルかどうかは、僕も知りません。ただ、今の状況がどういう背景をベースに起こっていて、これからどういう変化を起こしそうなのかということを、ここに書いておきたいと思います。

この記事を読むことで、ビットコインを始めとする仮想通貨の取り巻く環境が理解できるとともに、明日から、どういうことを考えたら良いのかヒントになると幸いです。

 

仮想通貨はビットコインだけじゃない

もう知ってる人も多いと思いますが、いわゆる「仮想通貨」というのはビットコインが有名ではありますが、種類としてはそれだけじゃありません。

CryptoCurrency Market Capitalizations」を見ると、仮想通貨の種類は800近く存在するようです。そして、ビットコインの価格が上がっているのですが、他の仮想通貨も軒並み上昇しており、相対的に仮想通貨におけるビットコインのシェアは低下しています。

これまで仮想通貨の市場規模の大半を占めていたのはビットコインです。2016年末までは全体の8割~9割をビットコインが占める状況でした。しかし、2017年に入ってからビットコインの存在感は低下しています。5月17日時点では、シェアが48.5%まで低下しているのです。冷静に考えれば、特定の業界で半分のシェアを握っていることは凄いことですが、仮想通貨=ビットコインとは必ずしも言えない状況になってきています。

引用:仮想通貨の市場規模。2017年から急拡大。

 

実際、ビットコインの次に取引額が多くなっている仮想通貨として、イーサリアムとリップルが挙げられます。

なんでこんなにたくさん通貨の種類が存在しているかといえば、それぞれ「ブロックチェーン」という技術を使っているという点では共通していますが、各通貨ごとに違う特徴を備えているのです。

例えば、イーサリアムは、

イーサリアムもビットコイン同様ブロックチェーンの暗号技術を利用していますが、ビットコインよりもさらに機能を拡張させているのが特徴です。ビットコインとイーサリアムの違いはいくつかありますが、大きな違いとして「スマートコントラクト」という技術を利用している点が挙げられます。

引用:イーサリアムの特徴とは?ビットコインにはない優れた機能 | イーサリアムのことなら仮想通貨の取引所「ビットポイント」へ

 

と、ビットコインの機能を拡張させています。別の本で「ブロックチェーン・レボリューション」からも引用してみます。

ビットコインと違うのは、通貨の取引だけでなく、どんな取引でも実行できる点だ。イーサリアムには、ブロックチェーンを使ってアプリケーションを開発するための便利な道具が組み込まれている。これを使えば分散型のゲームアプリから証券取引所まで、実に幅広いサービスが実現できる。

 

つまり、通貨以外の契約に関する情報を取り込んで取引できる点に特徴があります。

 

一方で、またGoogleトレンドをみてみると、また別の視界が見えてきます。関連するキーワードを世界全体を対象に見た場合が以下です。

ビットコイン、イーサリアム、リップルの順になっており、取引規模と同じような傾向になっているといえそうです(それでも、ビットコインが突出していますが)。

しかし、日本に限定するとまた違った傾向になっています。

知名度という点ではビットコインが圧倒的で、「仮想通貨」よりも多くなっています。「仮想通貨=ビットコイン」と思っている人も多そうです。また、イーサリアムとリップルでは、取引規模ではイーサリアムの方が多いのですが、知名度という点ではリップルが上回っています。これは、別の要因が絡んでいると思われます(後述)。

ここで言いたいのは、時価総額と知名度は、日本においては必ずしもリンクしていないということです。

 

仮想通貨が注目される理由

日本で仮想通貨が注目されてきているのは、改正資金決裁法が平成29年4月から施行され、消費者保護を含めて法整備が整ってきたことがひとつ挙げられるでしょう。

また、ビットコイン決裁に対応する店舗がどんどん増えており、2017年内には2万店舗に達するという観測もあります。

ビットコイン対応店舗、国内2万カ所へ急拡大 17年中にも  :日本経済新聞

さらに、リップルは国際的な送金サービスに利用されようとしています。

三菱UFJ、送金効率化へ世界連合 米欧豪6行と18年  :日本経済新聞

リップルは通貨交換機能を備えており、そのネットワークを送金に利用することで効率化するというのが、狙いのようです。この発表によって、リップルの価格は高騰しました。前述のGoogleトレンドでリップルの検索ボリュームが多くなっているのも、この報道とリンクしています。

現在、お金の移動に様々な業者が介在していて、時間と手数料が多く必要になっています。それを、仮想通貨で効率化しようというのが狙いです。

というわけで、知名度が上がり、店舗でも決済機能として使いやすくなってきています。また、金融機関などでも、既存の課題を解消する新しい解決法としてのブロックチェーンが、真剣に導入されようとしている、というのが現状です。

 

仮想通貨が抱える技術的な問題

仮想通貨は、認知度が上がり、法整備を含め利用しやすい状況が作られてきており、店舗や金融システムなどの実世界で利用される場面が増えてきています。

しかし、仮想通貨自体には全く問題がないわけではありません。例えばビットコインでは「スケーラビリティ問題」が有名です。

簡単にいうと、技術的な仕様の制約によって、膨大な取引量をさばくことが難しくなると言われています(取引を完結するために非常に時間がかかるようになる)。VISAなどの決済インフラと比べると、可能な処理量は100分の1以下と言われており、現在のビットコインの処理量はそろそろ限界とも言われています。なので、これ以上ビットコインの取引が増えていくのは懸念がある、という問題です。

仮想通貨ビットコインの最大取引量の問題|ブロックサイズ、スケーラビリティ問題“初心者さん向け”  | 仮想通貨まとめ

ややこしいのは、解決法を関係者で議論しているのですが、政治的な対立も引き起こしており、現在のビットコインからフォーク(=枝分かれ)して、別の通貨を作ろうという動きもあるようです。

ビットコイン分裂阻止へ、「Bitcoin Unlimitedは新通貨」と取引所18社 | TechCrunch Japan

仮想通貨の存在が大きくなってきたからこそ、様々なステークホルダーが絡み合っており、また当初は想定していなかった問題も浮上しています。

今後も、違う問題が浮上してくる可能性はないとも言えないでしょう。

 

まとめ

ビットコインをはじめとする仮想通貨は、現在の経済構造の問題を解決する要素を含んでいるので、今後も世界で使われていく流れは進んでいくと思います。

ただ、それはビットコインではないのかもしれません。技術的な制約であったり、仮想通貨が備える機能のどこに着目されるかによって、他の仮想通貨がスタンダードになるかもしれないのです。

というわけで、投資としての仮想通貨に興味があるなら、少額で始められるので投資してみると面白いんじゃないかと思います。そのときに、ビットコイン以外の仮想通貨もあるので、どれに投資するかはいろいろ調べてみると良いでしょう。

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今後のビジネスにどういうインパクトを及ぼしそうかを知りたければ、こちらの本がおすすです。仮想通貨に限らず、「ブロックチェーン」という技術がどういう革新的なインパクトを与えるかが語られていて、非常に刺激的です。

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映画「マネー・ショート」を見るとサブプライムローン危機の恐ろしさを再確認できる

休日にどうも。良い映画を見ると人に話したくなりますよね。久々に良い映画をみたなーと思ったので、「マネー・ショート」について書きたいと思います。

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マネーショートという映画は、「世紀の空売り」という原作を映画化したもので、サブプライムローン危機で逆張りをして、大儲けしたトレーダーの実話をベースにしています。

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映画自体は、コメディタッチでリズムが良く、専門用語も登場しますが、わかりやすい解説も工夫した形で入れられており、飽きずに観ることができます。2時間、あっという間でした。

 

サブプライムローン危機というのは、本当に乱暴に言ってしまえば、住宅ローンバブルということです。住宅ローンの価値が上昇し続けることが前提となっており、次第に金融システム全体が無理な状態になっていき、破たんしたということです。

バブルというのは本当に恐ろしいもので、上昇しているときはみんなウハウハなのですが、はじけた後が悲惨です。ずっと昔からバブルというのは世界で発生していて、その内容はこのサイトを読むと非常にわかりやすいんじゃないでしょうか。

ペペラのバブル物語〜経済&金融バブルをわかり易く解説〜

 

この映画を見ると、金融システムが発展してきたといっても、もちろん完璧ではないし、いろんな過ちを犯す可能性があるものだ、ということがよくわかります。さらに、この映画に登場してくる人は大儲けするのですが、その難しさも描かれています。

まず、ヒントをつかんだら徹底的に調べる。ある人は膨大な資料を読み、数値的に解析する。ある人は、実際に現地に行き、いろんな人から話を聞く。そうやって、自分の中で確信に変えていくのです。それでも、いろんな人が信じていることと完全に逆張りをすると、様々な反対が登場します。そして、今回のケースだと経済が崩壊するまで忍耐強く待たなければいけません。そういった精神的な強さも必要になります。

このような、運やスキル、マインドセットがそろわないと難しいので、限られた人しか達成できなかったともいえるんじゃないでしょうか。

 

ちなみに、この映画はブラッドピッド製作です。映画にも登場しているのですが、ブラッドピッドが出てると知らなかったので、最初誰だかわかりませんでしたが・・・。

経済系のコメディ映画という意味では、ウルフ・オブ・ウォールストリートも面白かったですが、経済の面白さという点では、マネーショートの方が醍醐味を感じますね。

あなたの欲望を刺激する「ウルフ・オブ・ウォールストリート」をぜひ見て欲しい

 

【書評】〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則

未来を少し予測するものと言うのは、とても刺激的で面白いものです。

インターネットは劇的にいろんな人々の生活を変えていますが、これから新しく変わっていくもの、変わっていく形というものを描いたのがこの「<インターネット>の次に来るもの」です。

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副題にある通り、12の切り口からこれからの未来を描いています。これからのビジネスや生活のあり方が具体的に描かれていて、ほんとかなと思う部分もありながら、過去10年位の変化を見るとそういう未来が訪れてもおかしくないなと改めて認識します。

 

今後も絶え間なく変化していく未来

例えば12の変化の最初に描かれているのが、「BECOMING」です。これは常に変化が今後も絶え間なく変わっていくことを指しています。

未来のテクノロジー生活は、終わることのないアップグレードの連続となる。そしてその頻度はどんどん高まっていく。性能は変化し、デフォルトというものはなくなり、メニューが姿を変えていく。いつもは使わないソフトを開いてある機能を使おうとしたら、メニューそのものがすべて消えていたということも起こるだろう。

確かに製品やサービスの開発速度、あるいはアップデートの速度はどんどん早くなっています。メジャーなところで見れば、Windows OSは1つのメジャーバージョンが使われる期間はどんどん短くなってきており、ついにWindows 10ではバージョンの考え方が大きく変わってしまいました。もはやメジャーバージョンを固定して使い続けると言う考え方を取りづらくなっています。

WindowsやMacなどOSのバージョンアップサイクルが早くなっている

このような結果を見ると、製品やサービスに対する考え方も改めなければいけません。自分が今使っている製品やサービスも、今後どんどん変化していくのです。その変化を受け入れなければいけません。例えば、スマートウォッチなどソフトウェアと組み合わさった製品は変化のスピードが早く、あっという間に陳腐化してしまいます。そのため、せっかく高級なものを買ったとしても、翌年には搭載されている技術やソフトウェア自体が古くなってしまう可能性があるのです。

その場合、製品価格を安くしたり、ハードウェアとソフトウェアの依存性を切り離して、ソフトウェアアップデートで対応できるようにしておくなどの考え方が必要になってきます。

 

「所有」ではなく「利用」に突き進む

このブログでも時々書いてきましたが、年々物欲がなくなってきており、サービスを利用する形態にシフトしてきています。例えば、もう少し具体的に世の中で起こっている事象が知りたければ「物欲なき世界」を読むと良いでしょう。

【書評】物欲なき世界

 

特に所有からサービスへの転換によって変わるのは、サービス提供者と顧客との関係です。

「所有権の購入」から「アクセス権の定額利用」への転換は、これまでのやり方をひっくり返す。所有することは手軽で気紛れだ。もし何かもっと良いものが出てきたら買い換えればいい。一方でサブスクリプションでは、アップデートや問題解決やバージョン管理といった終わりのない流れに沿って、作り手と消費者の間で常にインタラクションし続けなければならなくなる。それは1回限りの出来事ではなく、継続的な関係になる。あるサービスにアクセスすることは、その顧客にとって物を買ったとき以上に深く関わりを持つことになる。乗り換えをするのが難しく(携帯電話のキャリアやケーブルサービスを考えてみよう)、往々にしてそのサービスからそのまま離れられなくなる。

 

このような「継続的な関係」を構築していくことが、非常に重要になってくるのです。アマゾンがAmazon Primeを推し進めているのは、継続的にアマゾンにお金を落とすユーザーを囲い込むためです。

Amazonプライムの凄さを説明します

これからもこのような「サービス化」の流れは止まらないでしょう。

 

それ以外も、シェアリングエコノミーの位置付けや、台頭するロボットと人間との関係、コミュニケーションのあり方など、様々な示唆がたんまり書いてあります。

最後に。個人的には、このメッセージが好きでした。

2050年の年寄りたちはあなたにこう語りかけるだろう。2016年当時にもしイノベーターでいられたなら、どんなにすごかったか想像できるかね、と。そこは広く開かれたフロンティアだったんだ! どんな分野のものも自由に選んで、ちょっとAI機能を付けて、クラウドに置いておくだけでよかったんだよ! 当時の装置のほとんどには、センサーがいまのように何百じゃなくて、一つか二つしか入っていなかった。期待値や障壁は低かった。一番になるのは簡単だった。そして彼らは「当時は何もかもが可能だった。そのことに気づいてさえいれば!」と嘆くのだ。  つまりこういうことだ。いまここですぐに、2016年から始めるのがベストだということだ。歴史上、何かを発明するのにこんなに良いときはない。いままでこれほどのチャンスや、いろいろな始まりや、低い障壁や、リスクと利得の格差や、収益の高さや成長が見込めるタイミングはなかった。いまこの瞬間に始めるべきだ。いまこそが、未来の人々が振り返って、「あの頃に生きて戻れれば!」と言うときなのだ。

 

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未来を知るためには、これらの本も参考になります。

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飲食業でITが活用されると日本が元気になる理由

飲食業はITをもっと活用しなければいけない、という記事がありました。

飲食業界がブラック化するのはITの恩恵を受けていないから|飲食店を救う「ITサービス」ガイド|ダイヤモンド・オンライン

僕は飲食サービス業の生産性がITによって効率化されれば、日本社会はとてもよくなると思ってます。統計から、その理由を書いておこうと思います。

 

飲食サービス業は、他の業種に比べてIT活用率がとても低い

中小企業白書に、業種別のIT投資の比率が統計として掲載されています。2013年でちょっと古いですが、現在も傾向はそれほど変わっていないでしょう。

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(出所:中小企業庁:中小企業白書(2013年版)全文 P.208)

わかりますでしょうか?「宿泊業、飲食サービス業」の項目だけが、全体としてどの業界よりもIT導入の割合が低くなっています(全ての項目で最下位ではありませんが、ほとんどそれに近いものがあります)。

 

飲食サービス業は、日本の事業所数で2番めに多い

「宿泊業、飲食サービス業」というのは、企業数でみると日本で小売業に次ぐ多さで、中小事業所は70万もあります。

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(出所:中小企業白書 2014年 付属資料

ということは、飲食業はIT活用という意味ですごい伸びる余地がありますし、数が多い分、そのインパクトは大きいと思っています。

なにより、レストランやホテルでの生産性は、アメリカの4分の1しかないという現状は、解決すべきなんじゃないかと思います。

ブルームバーグの主張はこうだ。「おもてなし」には時間も努力も必要ながら、日本ではその高いサービスに対して、客が対価を支払うことも、サービス従事者がそれを受け取ることもよしとしない文化がある。つまり高いサービスに対して経済的な還元性が低い、ということであり、実際、レストランやホテルでの生産性がアメリカの26.5%とかなり低い数字として出ている。

「おもてなし」が原因?日本の飲食・宿泊業の生産性、米国の4分の1 客の要求水準高く | ニュースフィア

 

最近、タブレットを使ったレジを見かけることも出てきましたし、いろんな場面で浸透している気がします。安くて利用しやすいサービスも増えているので、どんどん普及して欲しい!

 

さて、Kindleで2冊読み終わりました。

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知識を幅広く持つってのは、本当に重要だなーと感じますね。両方とも新しい視点をもらえると思うので、オススメです。