結果が先か、手段が先か

平野啓一郎公式ブログを読んで、 最近モヤモヤしていた気分がスッキリしたのでポスト。

金儲け本を見たりすると、何か素直に良いと思えない自分がいたりする。しかし、お金に魅力を感じている自分もいる。 お金がないとできないことが多いというのも事実だと思っている。何か、どちらとも割り切れない気持ちの間で揺れ動いていた。

難しいことを書きましたけど、極単純な例で言えば、あまり尊敬できない方法で金持ちになっている人を見る時に、社会が感じる反発の中身は、この人は、今の世の中を、確かに巧みには生きているけど、善く生きてはいない、といったものでしょう。あるいは、イジメを見て見ぬふりをしてやり過ごすというのも、巧みではあるけれど、善くはない生き方だと言えます。

これを読んで思ったが、やっぱり結論は「どちらも正解」なのだ。それだけ今の社会というのは複雑にできていて、生き抜く手段の学習だけでも難しい。結果としてこうなりたい、という気持ちがあるとき、その手段の良否を問わず選択しないと、その域まで達することはできないのだろうか。

全てはキレイごとだけでは済まない。要は自分の生き方なのだ。ただ、今生きている社会がこういう状態なんだと、 平野啓一郎公式ブログは気づかせてくれた。 善い生き方をしたいもんだ。

経営と会計の関係

京セラの会長・稲盛和夫の著書。
経営における会計の役割について述べたもの。
シンプルでいて、非常に明快。わかりやすい。
かつ、経営者がここまで会計に特化して述べる、という点でも珍しい内容。
以下、気になった点をいくつか。

減価償却

法的耐用年数というものがある。実務上の耐用年数が法的耐用年数よりも短い場合は、会計処理は実務上の耐用年数に合わせるべきである。
法的耐用年数を使うという慣行に流され、償却とはいったい何であり、それは経営的な判断としてどうあるべきか、という本質的な問題が忘れられてしまっているのである。

経営の常識

たとえば、ある業界で販売費・一般管理費が、売上の15%はかかるということが常識になっているとする。
そこで、新しく参入してくる企業が、売上に対して販売費・一般管理費が15%かかるという常識を前提にして経営すると、意図せず自然のうちに同業他社と横並びの経営になってしまう。これでは、「自社の製品をより効率的に販売するためには、一体どのような販売組織や販売方法をとるべきなのか」という重要な経営課題を根本的に考える機会を自ら放棄し、他社を模倣することになる。

値決め

顧客が喜んで買ってくれる最高の値段を見抜いて、その値段で売る。その値決めは経営と直結する重要な仕事であり、それを決定するのは経営者の仕事なのである。

一対一対応の原則

経営活動においては、必ずモノとお金が動く。そのときには、モノまたはお金と伝票が、必ず一対一の対応を保たなければならない。
いや、本質がわかる名著です。本当に。
稲盛和夫の実学―経営と会計
稲盛和夫の実学―経営と会計
稲盛 和夫

経営がみえる会計

わかりやすい。理解しやすい入門書。事例も含んで、やさしい内容になっている。

 

いくつか気になった点をメモ。

簿記の問題点 「数字のつくり方を学ぶ」域を出ないので、 日商簿記の最終的なゴールである一級の資格をとったとしても、経営分析できない。

会計からみた経営上の課題

  1. 利益を獲得すること
  2. 財務体質を強くすること
  3. キャッシュフローを管理すること

 一時的な資金運用を目的として「短期的投資」も、(持ち合い株など)売るつもりのない「長期的投資」も時価で評価されることになった。

短期的投資の場合は、経営状況を正確に映し出すようになるが、 長期的投資の場合は、経営者の意向と異なり、経営状況を正しく反映するわけではない。

粗利の高さは、付加価値に比例する。

会計の「収入・支出」は2段階に変換する。  キャッシュフロー「収入」「支出」(キャッシュフロー計算書)  利益      「収益」「費用」(損益計算書)  所得      「益金」「損金」(税務申告書) 第一次変換は公認会計士、第二次変換は税理士の専門領域。

実学入門 経営がみえる会計―目指せ!キャッシュフロー経営

実学入門 経営がみえる会計―目指せ!キャッシュフロー経営 田中 靖浩

ヤバい経済学

あーこれは確かにヤバい。
ベストセラーになるのもうなずける。
常識だと思っていることなんて、本当あやしいというのがわかる。
そしてデータさえあれば、経済学が真実を映し出す手段になることも。
面白い。細かいことは書かない。とにかく読め。
ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する
ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する
スティーヴン・レヴィット,スティーヴン・ダブナー

金持ち父さんの起業する前に読む本

「金持ち父さん貧乏父さん」に続き、シリーズ最新作を読んだ。

起業するにあたっての心構え、事業を構成する重要な要素、事業を始めてから広げるまでの過程など、 事業を作り出し広げるまでの一連の流れが、体験談をもとに語られている。良い刺激になった。

起業する前に、まず自分の思考パターンや精神構造を見直さなきゃいけない。 特に、恐怖への克服の記述が多かった。

「人間は誰でも、どんなふうにも訓練できる。従業員になるようにも、企業家になるようにも訓練できるんだ。世の中に起業家より従業員の数が多いのは、単に、学校が従業員になる訓練を生徒に与えているという、それだけの理由だ。・・・」

望み通りの成功を達成できない人が大勢いる理由の1つは恐怖、多くの場合、間違いを犯すことや失敗することに対する恐怖だ。

事業を作り上げるために必要なことは、「B-Iトライアングル」をもとに述べられている。 これは覚えておいて損はないかも。 他にも示唆に富む事柄が多い。おすすめ。 金持ち父さんの日本語公式サイトがある。それも参考に。

 

ウェブが変える「人間」

「ウェブ人間論」を読んで。

「ウェブ進化論」が衝撃だっただけに、期待して読んだ。対談形式で、これからウェブが進化してゆくにあたって、人の生活とか思考とか、人間というそのものがどう変わっていくかをまとめた一冊。

いろいろなことが語られているけど、 まさに今現在って技術革新から人の生活が 大きく変わっている過渡期なのではないか、と。本でも書いてあったけど、 もうネットがなかった頃の生活を想像するのが難しくなってきてる。それぐらい人の生活、思考、価値観が めまぐるしく変わってるんだってことを再認識できた。

一番印象的だったのは、最後のへん。申し訳ないけど、そのまま本文抜粋。

個人にとって、ネットはとんでもない能力を持った道具です。それが全員にあまねく広がったからよいうという考えもあるけど、能力の増幅器でもあるから、個人の能力の差異が限りなく増幅されるという側面ももう一方である。

個人の能力の差異とか、結果的に得られる収入の多寡とか、 どういう要因でそういうものが生まれるんだろう、と考える機会が最近多い。 ウェブのおかげ(せい)で、これから差異は広がっていくんだろうか。

「コンピュータとかネットに抵抗なく溶け込める世代でよかった」と思う反面、 「ネットの進化するスピードを考えると、油断するとおいていかれるな」と思ったりした。 これからのウェブと人間の関係を知れる、良い一冊です。

 

メディアの嘘を見抜く「ダメな議論」

本当は、ミーティングなどの議論の場で 迷走するときの一助になればと思って買ったんだけど、 内容は主にメディア等で形成される「常識」の真相を見抜くことが主眼であり、 ちょっと自分の目的とは外れるものだった。

でも総じて、本質を見抜くことに関してはよい視点を与えてくれると思う。 最近、「何となく正しい」という空気がいつの間にかつくられて、 それを自覚できないでいるときがある、ということがすごい気になっていた。

自覚できていないってことは、それだけその「何となく正しい」と思い込んでいることの 誤りに自分で気づくことは、非常に難しいということだ。 この本は、「何となく正しい」と思われている言説を、 どういう観点で見抜いたらいいかを明確にしてくれている。 以下、チェック方法と、分析するときの基本姿勢。

言説のチェック方法 ①定義の誤解・失敗はないか ②無内容または反証不可能な言説 ③難解な理論の不安定な結論 ④単純なデータ観察で否定されてないか ⑤比喩と例え話に支えられた主張

問題を解決するときの基本姿勢(分析的思考) ①問題を適切に分割 ②個々のターム(用語)の定義を明確にする ③パートごとにデータによる検証を行う

ダメな議論―論理思考で見抜く ダメな議論―論理思考で見抜く 飯田 泰之

1週間は金曜日から始めなさい

有名社長の時間管理術。

実際に実施してきたものばかりを集めたらしく、 確かに実用的なものが多い。 以下、気になった点。

  • 「時間がないからできない」のではなく、「いくつも欲張ってやることで、時間を増やす」
  • 最初から質を追求するべきでなく、量をこなすうちに質もついてくる。
  • 人に会う時間をけちらない。人に投資するのが最もリターンが大きい。
  • 決断が早くなるコツ。
    1.クローズドクエスチョンで、YESかNOかを即座に出す。
    2.15分をリミットに、自分にオープンクエスチョンを出し続ける。
  • 自分の時間価値を知れば、無駄遣いをしなくなる。
  • やる気は、待つのではなく、たたき起こす。
  • 金曜日から1週間を始める。1週間の仕事は月曜から水曜の3日間で考える。木曜はその3日間の検証を行う。金曜は長期プランを考え、行動する日。
  • 午前は、前頭連合野の機能が高まる。思考したり計画する部分が活発になる。午後は、副交感神経が活発になる。外界からの刺激に反応する神経。
  • 寝る前に翌日のシミュレーションをする。
  • 作業を誰かに中断されると、中断された時間と、作業を再開してから集中力が戻るまでの時間を奪われる。
  • 正しい食生活で頭の回転は速くなる。

金持ち父さん貧乏父さん

はるか前から友人に薦められいたが、何となく読む気がしなくて避けてきた。
けど、「お前の生活は、この本と全く逆だ」と言われ、気になって読んでみた。
えー。すみません。読まなかった僕があほでした。
要点はただひとつ。それだけで十分。
  資産は私のポケットにお金を入れてくれる
  負債は私のポケットからお金をとっていく

この考えはシンプルでいい。わかりやすい。目が覚めた。
確かに自分には資産がない。全く。
他にも気になった点をいくつか。
ファイナンシャル・インテリジェンス
1.会計力
2.投資力
3.市場の理解力
投資に必要な技術
1.他の人が見過ごすチャンスを見つける技術
2.資金を集める技術
3.頭のいい人間を集めて組織する技術
「ラットレース」から抜け出したくはないかい?
金持ち父さん貧乏父さん
金持ち父さん貧乏父さん
ロバート キヨサキ

感性のマーケティング

気になった点をメモ。

  • 消費者は、心理的な快で行動を起こす
    「心理的な快」の対になるのは「生理的な快」。 「生理的な快」を求める行動もするのだが、人は「心理的な快」を優先する。 本ではその例に、中世のヨーロッパのコルセットの流行を挙げているが、 確かにそう言われれば納得。ダイエットとかもそうか。
  • データによる思い込み POSというものがある。小売で一般的なPOSデータ。 これは、今売れている・売れていないという判断によく使われていたりする。 確かに参考にはなるだろうが、あくまで「結果は結果」だ。原因ではない。 単純に人気がないからなのか?だとしたらなぜ人気がないのか? 何か違う原因があって売れていないのではないか? 結果と原因を取り違えてはいけない。
  • 「買う」までの行動を分解する
    例えばコンビニで飲み物を買うとき、どんな行動をするだろうか。 まず店に入る。これが大前提。入らなければ始まらない。 次に飲料水の売り場に行く。商品の前で立ち止まる。手に取る。 それをレジにもっていく。お金を払い、店を出て行く。 ここまでの一連の流れが成立して、初めて「売れる」。 もし何か売れないのだとしたら、フローの中のどこでつまづいているかを考える。 「人が行動しなければ売り上げはない。消費行動の設計、 そして実際にそうなるための具体的な働きかけの設計がマーケティングの本質。」
  • お客さんに新しく提示し、教育する 個人的なことだけど、最近よくコーヒーを飲む。 コーヒーの味なんてろくにわからない人だったが、専門店で飲んでみると、やはりおいしい。 なんとなく、だがおいしいと感じる。 そうすると今度は自宅でも飲もうと豆を買う。 買うときに店員さんが説明してくれる。豆の種類によって違う味の特徴などを。
    さらには、いろんな道具を使ってよりおいしく淹れる方法を。 気づいたらコーヒーの知識が自分についてることに気づく。教育されてる。 全く知らない世界を提示され、気づいたらどんどん引き込まれている。 多様化し、わかりやすいニーズがなくなってきて、 新しいものを提示し、お客さんを育てていくことが求められている。 自分たちが提供しているものが、いかに素晴らしいかをわかってもらう必要があるのだ。