「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける 石黒圭

「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける (光文社新書)
石黒 圭
光文社
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このブログで書評を書いているけれど、書評というのは難しいもんだなと思うポイントが2つある。ひとつは本を読み解き、要点を抽出すること。もうひとつは、読み解いた内容を文章に書き表すことだ。この本は、前者を助けるための本だ。漫然と本を読んでいる自分に、新しい「読み方」を提案してくれる。

書いたものに現れる個性は「文体」と呼ばれ、よく知られていますが、読みときにも「読体」というそれぞれの人の個性があります。(中略)本書は、自分なりの読み方、「読体」を対象化し改善する目的を持っています。

この本では様々な読み方に関する技術が書かれていて「●●ストラテジー」みたいな大相な名前がつけられているけれど、内容は全く複雑ではない。ただ、日頃自分では意識していない事象を体系だって整理されると、新しい気づきが多く、ありがたい。

速読で自分の中で前提となる「スキーマ」を利用して文章を予測し、要点を素早く特定していくことと、精読で書かれていることを疑ったり想像を広げたり掘り下げて考えてみることは、正反対である。その相反することが、読む上では重要なのだ。速読で知識を増やせば良いだけではない。本に書かれている内容を、本当に自分の血肉にするためには精読が欠かせない。

ビジネスパーソンとしては、限られた時間で効果的に知識を吸収し続ける必要がある。つまりは、速読と精読のバランスが重要になる。この本のテクニックを意識すれば、読み方の幅を広げられるだろう。

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