前作の「サピエンス全史」を読んで衝撃を受け、その続編である「ホモ・デウス」が早く邦訳されるのを待っていました。
前作は人類の歴史を俯瞰的に整理し、なぜこれほど人類が地球上で繁栄できたのかが解き明かされていましたが、今回は未来の話です。
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これから人類は、どういう方向に進んでいくのかという内容になっており、またしても刺激的でした。
今後の人類は何を目指すのか
最初に結論を書いてしまいますが、本書の中で述べられているのは、「不死と幸福と神性」です。これからの人類は、これらに向かって進んでいくそうです。
成功は野心を生む。だから、人類は昨今の素晴らしい業績に背中を押されて、今やさらに大胆な目標を立てようとしている。前例のない水準の繁栄と健康と平和を確保した人類は、過去の記録や現在の価値観を考えると、次に不死と幸福と神性を標的とする可能性がある。
確かに、人はどんどん長生きになっているし、それを望むようになっている。平和な世界で、経済的な裕福も大事だけれど、精神的な豊かさを強く求めるようになっている。そして、「神性」というのが個人的にはピンときづらい表現ではあるものの、科学やテクノロジーの力によって、人間自身が「世界の神」になろうとしている、ということで良いのかな、と思います。
そのような方向性に進むのだとして、重要なのはその過程で人類社会に何が起こるのか、ということです。
人間は労働力ではなくなり、二分化する世界
いろいろな変化が提示されているのですが、印象に残っていることをひとつ取り上げておきます。
産業革命から始まった世界は、人間が労働力となり、経済を発展させてきました。それに伴って、労働者の人権や健康状態も徐々に改善されていき、いろんな人が裕福になっていきました。
世界全体の共通認識として、多くの人が健康的に生活・労働・納税できることが、全体の幸福につながっていったわけです。
しかし、これからは違うかもしれません。
人の労働力が経済のドライバーではなく、知的資本が経済のドライバーになってきたからです。
貧しい人々が軍事的にも経済的にも不可欠なので、彼らの問題を解決することがエリート層の関心事だった二〇世紀と違い、二一世紀には無用の三等車を置き去りにして、一等車だけで突き進むのが(冷酷ではあるものの)最も効率的な戦略となりうる。日本と競争するためには、ブラジルにとっては何百万もの平凡で健康な労働者よりも、一握りのアップグレードされた超人のほうが、はるかに必要性が高いかもしれない。
そうなると、一部のエリートを確保・育成することの方が優先的になってきます。教育や健康に多くが投資され、そのエリートが世界をアップグレードさせていく。そういう流れが今後は強まっていくのかもしれません。どうなんでしょう。
ただ、これを読むとベーシックインカムとかますます重要な気がしてきますね。
それ以外にも、宗教の役割や自意識とアルゴリズムの関係に関するエピソードが僕は好きでした。本当、いろいろ考えさせられ過ぎて、咀嚼できないほどの知的圧倒さがありますが、超おすすめです。
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