「ビジネス日本では社会が成熟してきており、日本社会は成熟してきていて、新しを生み出さないと成長・存続が難しくなってきています。しかし、いきなり「新しいビジネスを生み出せるアイデアを出せ」と言われてもが確立されておらず、「新しいビジネスを生み出せるアイデアを出せ」と言われても、一部の天才に頼ってるどうアイデアを作り出し、育ててよいかわからなくなります。
そんな漠然としたことを思っていたら、「構想力の方法論」という本を見つけました。
構想力という抽象的な概念がちゃんと言語化され、さらに構想を生み出し、具体化していくまでのプロセスを丁寧に説明している一冊です。
なぜ構想力は求められるのか
前述したように、今の日本は低成長時代になっており、まだ世界ではGDP第3位にいますが、国際的なプレゼンスはどんどん下がっていると言われています。
また本書の中では、大企業で不祥事が多く見つかったりして、社会に対する目的や想像力が欠けてしまっているのではないか、という危惧が提示されています。
日本では、社会の変革や新しいビジョンを生み出す力が低下してしまっていて、ビジネスを作り出すのが苦手になってしまっているということです。
そして、それを打破するのが構想力、というわけです。
構想を生み出すプロセスを理解する
本書では構想力を次のように定義しています。
構想力とは、個人、組織が発揮するケイパビリティ(能力)であり、想像力、主観力、実践力を合わせた「存在しないものを存在させる力」です。それは新たな現実を紡ぎ出す総合する力、物語り的(ナラティブ)な知です。
「ビジョン」という言葉も近い表現だと思います。
そして、構想力を生み出すためのプロセスは次の3つで定義されています。
こうやってプロセスが整理されると、自社はどこが足らないのか、どこに注力すべきかが見えてきます。
会社の目的は何でしょう?
それぞれのプロセスの具体的な内容は、本書を読んでいただきたいのですが、個人的に一番注目するのはやはり2番目のプロセス「目的の創造」です。
大きな声では言えませんが、僕が関わる企業では、会社の目的を表現するための経営理念や経営方針がぼんやりしている、というケースがあります。
本書でもこのように述べられています。
実際のところ、目的が明確でない、あるいは目的が単なる手段でしかないという構想が、世の中にはたくさんあります。企業の経営戦略であれば、「長期的な成長のためのグループ戦略」というメッセージは自社が発展するための手段ではあっても、それによって社会や顧客が本当に価値を享受できるのかどうかわかりません。あるいは最近では多くの企業が、「わが社は人工知能に積極的に取り組む」とさまざまな構想を打ち立てていますが、これも戦略でなく手段にしか過ぎません。また後述するように目的と目標は異なるものであるということも忘れてはなりません。いずれにせよ、善い構想は善い目的を持つものなのです。
ビジネスである以上、お金を稼ぐためというのは目の前の目的としてはあるとしても、それだけではやはり人は共感することが難しくなっています。なので、この目的をしっかり考えることが、人を惹きつけ、新しいアイデアを生み出す土壌を作り出すのでしょう。
ソニーの井深さんの言葉が本書の中で紹介されていましたが、まさに要点は同じことを言ってました。
「組織でモノができるんじゃなしに、こんなモノこさえようと。『これに関 心のある奴、集まれ』ということでやったほうが非常に能率も上がりますしね。やっぱり人間がやる気になって『おもしろいな、命を賭けよう』ということでないとおもしろくないですよね。何かそこに一つの目的をピシャっと決めちゃうわけですよね。トリニトロンカラーテレビというもの、こういう ものをこさえようと。そのためには、いまの技術で足りないものはどう開発 していかなきゃなんないのか、それを成り立たせるための基礎研究は何が不足しているんだ、という必要度が出てきて、そこで初めて技術開発や研究が 起こるのが、一つの基本的な生き方だっていうのが、私の考え方なんですけ どね」(NHK映像ファイル「あの人に会いたい 井深大」より)。
最近だと、メルカリは経営理念を非常にわかりやすく定義しています。
会社の目的をしっかり定義することが、新しい構想を生み出すことにつながる良い例だと思います。
ちなみに人材育成の分野でも、コンセプチュアルスキルという用語があり、「概念化能力」と訳されます。構想力と考え方は近いように思いますね。
コンセプチュアルスキルとは?向上によるメリットやコツ、参考書籍もご紹介 | BizHint(ビズヒント)– 事業の課題にヒントを届けるビジネスメディア
こういう能力の重要性が高まっている、というのは日々仕事をしながら感じています。構想力は、これからの時代に求めらる能力だと思います。