テスラモーターズはEV市場で今後成長していくのか?

イーロン・マスクのテスラが、いろいろ話題になっていますね。大衆向けの「モデル3」の生産が発表されたものの、生産が遅れていて不安感が漂っています。

投資家がテスラの今後を危ぶむ4つの理由

さらにリコールも発表されました。

テスラが同社として最大のリコールを行い、約12万3,000台の電気自動車(EV)セダン「モデルS」の部品を交換する。しかし、リコール自体は深刻な問題ではない。テスラが直面する真の課題は、「モデル3」の量産が遅れていること、その品質の低さに対する指摘、「モデルX」が起こした衝突死亡事故の調査といった問題への対応にある。
テスラ史上最大のリコールの陰にある「本当の難関」|WIRED.jpから引用

 

EV社はこれから増えていくと言われていますし、テスラはその筆頭だというイメージがありますが、そのテスラも苦戦しているようです。

そこで、もう少しEV業界を理解するため、テスラを中心に動向を整理したいと思います。

 

EV車のトレンド

今後の車は、ガソリン車やハイブリッド車からEVに移っていくと予想されています。


経済産業省「自動車産業を巡る構造変化とその対応について」(PDF)

このグラフをみる限り、2016年時点でEVとPHVを合わせて全体の0.2%程度の販売台数と、割合は決して多くないです。しかし、今後ガソリン車は少しずつ減っていき、伸びている部分はPHV、EVの領域です。

さらに、イギリス・フランスや中国では、ガソリン・ディーゼル車の販売を禁止するなど、各国もEV車を後押しする政策が注目されています。

「EVシフト」へ大きくハンドルを切ったのは英仏である。2040年までに、ガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する方針を打ち出した。これはガソリン・ディーゼル車の市場を席巻する日米独の自動車産業に挑戦する狙いも込められている。  この英仏の戦略に中国など新興国も連動する。中国は英仏の新方針を受けて、40年までにガソリン車などの販売・製造を禁じることを検討し始めた。インドは30年までに新車販売をEV車に限定する目標を掲げる。
車は「EVシフト」、世界は「EUシフト」:日経ビジネスオンラインから引用

 

つまり、政治の後押しもあり、自動車業界全体でEV車は増えていくと予想できます。

 

テスラのビジネスモデル

さて、そのような追い風の中、EV車のメーカーとしてテスラモーターズは注目されています。

テスラは電気自動車メーカーであり、これまでに複数車種を市場に投入してきました。今は大衆車であるモデル3が注目されており、今後はピックアップトラックなどの車種も発表されています。

テスラはEV関係の特許をたくさん持っており、EV車を製造・販売するのがメインのビジネスモデルです。

テスラ、15分未満で済むEV用バッテリ交換技術–バッテリステーションの公開特許 – CNET Japan

EVの重要なコンポーネントである蓄電池については、リチウムイオン電池のトップシェアを誇るパナソニックと提携して、ギガファクトリーという蓄電池製造工事を建設しています。2020年に稼働予定です。

 

さらにテスラモーターズは、EV車だけではなく蓄電装置メーカーでもあります。このように、家庭用蓄電池も販売しています。

Powerwall | テスラ ホームバッテリー

テスラはエネルギー企業になる、というイーロンマスクの発言もあるように、自動車メーカーだけではない側面があります。

 

テスラの業績

テスラの業績も見てみましょう。売上はずっと伸びています。

テスラモーターズ業績

が、ずっと赤字です。売上が伸びているとはいえ、まだ設備投資を回収できるほどスケールしていないということでしょう。

 

テスラの生産状況

テスラは初めて一般消費者向けのモデル3を市場に投入しようとしています。非常に期待度が高いですが、生産ラインに問題を抱えており、遅延が生じています。

自動車生産の手作業部分に問題が生じているとのことですが、自動車メーカーは製造ラインの精度を何十年もかけて向上させてきており、まだ新参のテスラには難しいのでは、という観測もあります。

【電子版】マスク氏は工場で寝泊まり テスラ「モデル3」の生産「地獄」続く | 自動車・輸送機 ニュース | 日刊工業新聞 電子版

テスラのEV車には需要があるものの、生産が追いついておらず、赤字を垂れ流している状態です。ここの生産量を増やして、利益を上げていけるかがポイントです。

 

テスラのシェア

テスラは電気自動車のリーダーとして、早い段階から本格的なモデルを投与してきました。それによって、アメリカで圧倒的なシェアを獲得しています。

米EV市場のシェア1位はテスラ、日産「リーフ」が4位 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

一方で、EUや中国では出遅れているんですよね。

世界のEV販売台数、トップはルノー・日産 テスラは欧州・中国で出遅れ | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

EVの主戦場は、環境規制が強いEUですが、そこにはテスラは出遅れている状況のようです。

世界各国の道路を走る電気自動車(EV)のおよそ半数は、ルノー・日産アライアンスのモデルであることが分かった。テスラに違いないと思っていた多くの人たちにとっては、驚きといえるかもしれない。
世界のEV販売台数、トップはルノー・日産 テスラは欧州・中国で出遅れ | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)から引用

 

テスラモーターズはアメリカでは強いですが、欧州では出遅れています。また、市場が大きい中国でも厳しい競争が始まっています。

テスラと中国の“バッテリー戦争” – NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute

テスラがアメリカ市場で苦戦している中、世界市場では他社がポジションをどんどん拡大しています。これからテスラは世界でどういうポジションで攻めていくんでしょうか。

 

パワートレインとして電気自動車は今後増えていくのだと思いますが、テスラはそれほど前途洋々というわけでもないようです。

実際、テスラの株価は最近急落しています。以下はテスラの5年間の推移をみると、何度か大きく下がっていますが、直近でも大きく落ち込みました。


TSLA:NASDAQ GS 株価 – テスラ – Bloomberg Markets

今後の成長にはやや疑問を持たれているということでしょう。財務的にもやばそう。

テスラのキャッシュフロー計算書を眺めると、17年12月期にフリーキャッシュフローが約41億ドル流出していることがわかります。これはテスラの現金および現金同等物が34億ドルしかないことを踏まえると、このペースで資金が流出すればテスラは倒産することを意味します。 そのため、近いうちに大規模な増資を実施する必要があるわけですが、増資すれば一株当たりの価値が薄まるので、株価にマイナスの影響を与えます。
【TSLA】テスラが倒産するかもしれない理由 : バフェット太郎の秘密のポートフォリオ(米国株配当再投資戦略)から引用

 

どこかの自動車メーカーに買収されるんじゃないか、という話も出てきたりしていて、今後も話題は尽きなそうです。

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