サンフレッチェ広島の新スタジアム建設問題が発生している理由を説明するよ

サンフレッチェ広島が新スタジアム建設の問題を抱えているって知っていましたか?僕は今日SNSから、この動画が流れてきて知りました。

広島のスタジアム問題に総統閣下がお怒りです。シェアはご自由に!

嶋田 益視さんの投稿 2016年4月4日

 

これまでちゃんと知らなかったのですが、結構複雑な状況になっているようですね。なんで総統閣下がお怒りなのか、僕の理解で整理してみます。

 

赤字を生み出す不便な今のスタジアム

まず、サンフレッチェ広島といえば、2012年・2013年の2連覇を達成し、2ステージ制になった2015年には2ステージ目を制し、最終的には年間優勝を飾っています。それぐらい競合チームです。

そして、現在サンフレッチェがメインにしているスタジアムが「エディオンスタジアム広島(広島広域公園陸上競技場)」です。それはこんな状況だそうです。

広島広域公園陸上競技場は1992年アジア大会のメインスタジアムとして建設された陸上競技場であり、ピッチとの間に8レーンの陸上トラックがあるため臨場感に乏しい。公共交通機関はアストラムラインというモノレールが通っているが、広島駅から最寄り駅はゆうに1時間はかかる。市内・県内・県外からのアクセスは貧弱で、大半の(約6割強)はマイカーを利用するが、専用駐車場は存在しない。
さらに周囲には住宅用地として開発された臨時駐車場が用意されるものの、用地は年々スタジアムから遠ざかり、近年では臨時駐車場とスタジアムを結ぶためのシャトルバスが必須。その経費は1試合数百万円かかり、クラブの経営を圧迫している。こうした状況で、損益分岐点とされる1万5000人の集客を毎試合達成するのは至難の業だ。

広島にサッカースタジアムが建設されないのは、なぜなのか? 苦闘の歴史を詳細に振り返る | サッカーキング

確かに、財務状況をみると、J1に上がって高い順位をとるようになってから売上が伸びて利益が出るようになっていますが、2010年以前は赤字かギリギリの黒字をさまよってるような感じでした。

で、2003年の市長選の実質的な公約になってから、盛り上がっては絞りんだりを繰り返しきたようです。そして、2012年にリーグ制覇したのを契機に署名運動が行われ、最終的に県・市・財界(商工会議所)で「広島サッカースタジアム検討協議会」が結成され、新スタジアム建設に向けた検討が始まりました。

 

建設候補地が2つに絞りこまれたが・・・・

検討協議会が建設候補地を2つに絞り込みました。それが「旧広島市民球場跡地」と「広島みなと公園(宇品)」です。

それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく整理してる記事がありました・

●球場跡地
<メリット>
1)市の中心部で交通インフラに優れている
2)大きな既存商業エリアに近接し相乗効果を得られる
3)原爆ドームの正面に立地し、スポーツを通じて平和をアピールするというコンセプトが明確に打ち出せる

<デメリット>
1)面積範囲が限られている上に法令的な高さ制限もあるため、収容人員に制限がでる
2)都市公園法の適用範囲となり、店舗の併設など用途の汎用性に制限がでる
3)市の中心部の為、他の用途での活用の希望もあり調整が必要。特に跡地委員会の答申を受けて市が出した「緑地広場+文化施設」との比較で採否が判断されることになる。

●宇品みなと公園
<メリット>
1)面積的な余裕があり、様々な用途との複合化、大型化のポテンシャルがある
2)「港湾地区の活性化」の起爆剤という理由がつけやすい
3)土地は県の持ち物であり、県と市の負担の分散が事業としてやりやすくなる

<デメリット>
1)公共交通機関や道路状況としてのインフラが弱く、試合時の混乱が予想される
2)近隣の港湾業者が交通渋滞リスクなどに対し強い誘致反対の意思を示しており、調整の難航が予想される
3)国の指定する防災公園として補助金を受けて防災施設を整備しているため、スタジアムを誘致するには防災施設の移転か補助金の返還等が必要

目を疑うほど、お粗末な会議体。広島にサッカースタジアムが建設されないのはなぜなのか?【後編】 #sanfrecce #jleague(2ページ目) – スポーツマーケティング・ナレッジ

そして、今年の3月末までに県・市・財界が結論を出す予定になっていました。

その過程で、県・市・財界は「広島みなと公園(宇品)」が優位と公式に表明していました。一方、サンフレッチェ広島は「旧広島市民球場跡地」を推薦しており、独自案を提案するとともに、「宇品にスタジアムが作られる場合は、サンフレッチェ広島は利用しない」とまで明言しました。これは、宇品に作った方が建設にお金がかかり、サンフレッチェに必要な負債が大きく、赤字経営が間違いないからということのようです。

この対立が今の問題になっています。

広島新スタ問題、県・市が見解を表明。クラブの方針に反論で対立関係が鮮明に | フットボールチャンネル | サッカー情報満載!

サンフレッチェ広島の提案は、動画で公開されています。この動画をみると、状況がよくわかります。

また、宇品にスタジアムが建設された場合の使用料の試算もサンフレッチェの公式サイトで公表されています。

サンフレNEWS | サンフレッチェ広島 | SANFRECCE HIROSHIMA

 

サッカースタジアムのトレンド

サッカーとして盛り上がっているのがブンデスリーガで、非常に経営上も優秀になっています。そのひとつの要因として挙げられたのが「スタジアムの整備」です。観客を多く収容できるようにして収入を上げる、設備を充実したり見やすいようにして満足度を上げる、移動に必要な公共交通機関を無料にしたり近いところに建設することで多くの人が来やすいようにするというのが、スタジアムのポイントです。

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これがサッカースタジアムのトレンドであり、サンフレッチェもそれを念頭に「旧広島市民球場跡地」を望んでいるようです。こちらの方が収容人数は小さくなるようですが、それでも観客の満足度向上や稼働率の上昇を期待しているのだと思われます。

最近だと、ガンバのサッカー専用スタジアムが話題になりましたね。

 

最終的に今どうなっているのかというと、3/29に県・市・商工会議所が「建設候補地の決定延期」を発表し、一旦白紙扱いとなり、今後関係者で再度議論していくという流れのようです。

広島新スタ、建設地の選定を延期へ。自治体希望の候補地案は一時白紙に | フットボールチャンネル | サッカー情報満載!

 

こういう経緯を理解すると、冒頭の動画で総統閣下がお怒りな理由もわかってきましたね!