ルンバのiRobot社が軍事部門を売却するというので、軍事部門の経営状況を調べて見た

お掃除ロボのルンバはもう有名で、「お掃除ロボといえばルンバ」というぐらい知名度が高いものです。僕もルンバは持っていませんが、お掃除ロボットは持っています。

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この市場を開拓したマーケットリーダーとして、ルンバを製造したiRobot社はすごいですね。そんなiRobotのロボット事業は、軍事部門から始まったことは有名な話です。軍事技術を民間に転用し、新しいマーケットを開拓したわけですね。

そして、そのiRobotが軍事部門を売却するというニュースが流れてきました。

「ルンバ」のiRobotが軍事部門を売却、家庭用ロボットに注力 – MONOist(モノイスト)

今日は、なぜiRobot社が軍事部門を売却するのか?ということを、数字と共に確認しておこうと思います。

iRobot社の3年間の業績を見てみましょう。このグラフを見る限り、業績は非常に好調で、増収増益を続けています。

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そして、iRobot社の有価証券報告書のセグメント別の業績を見てみましょう。これを見ることで、今回の軍事部門売却の意図を理解できるようになるはずです。

以下は、2014年の有価証券報告書における、セグメント別業績の抜粋です。

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(出所:iRobot: Financial Reports)

数字をグラフに起こしてみましょう。売上高を見てみると、次のようになります。

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家庭用ロボットである「Home Robots」は売り上げが堅調に伸びていますが、軍事部門である「Defense & Security Robots」は徐々に売り上げが減少しています。そもそも、売り上げの比率で見ても家庭用ロボットの方が9割を占めており、軍事部門は(相対的に)大して稼げていないということが言えます。

この状況から考えると、軍事部門の売上は少なく、伸び悩んでいることので、民間部門よりリソースの投入に対するリターンが低いことが言えると思います。

冒頭のニュース記事に戻ると、

同社CEO Colin Angle氏は「売却によって、家庭用事業により注力できる環境を作り出せる」とコメントしている。

「ルンバ」のiRobotが軍事部門を売却、家庭用ロボットに注力 – MONOist(モノイスト)

と言っています。売り上げが一時的に1割程度減りますが、民間部門がそれを上回る伸びを示しているので、資源も集中できて効率の向上が期待できるでしょう。

良い経営判断なのではないでしょうか。