【書評】経営の教科書

経営の教科書―社長が押さえておくべき30の基礎科目
新 将命
ダイヤモンド社
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元ジョンソン・エンド・ジョンソン社長の本。「経営の教科書」と言うだけあって、シンプルだけど重要な原理原則を、わかりやすく書かれている。こういう経営の原則的な本って、出尽くしてる感もあるけど、淡々と書かれており、かつ数字による統計データなども挟まれており、意外にも面白く読めた。
 

経営者がコントロールできる範囲はどれぐらいか

面白い数値が紹介されていた。経営者が、自分の会社の業績に対して何がどれぐらい影響を与えているか、というアンケート結果だ。それが以下。
 
事業領域    16%
自社の強み  38%
環境     46%
 
これが何を示すか。上2つは自分でコントロールできるが、一番下の「環境」はコントロールが難しい。それぐらい、経営自体が難しい仕事であることがわかる。優秀な経営者として評価されている人も、本当に優秀なのかもしれないけど、偶然の要素もあるんだよな、きっと。
 

経営理念の強みを再認識

経営理念のない企業の経常利益額は20年間で3.6倍にしかならなかったのに対し、理念のある企業は7.8倍になっていたのである。また経常利益率も、理念のない企業の2.16%に対して理念のある企業は8.07%と実に約4倍の差を生んでいるのだ。

この数字は、説得力がある。こういう形で説明されると、本当に経営理念は会社の業績に良い効果をもたらすことがわかる。
経営理念の重要性やそのメリットに、この本は多くのページを割いている。それぐらい、経営にとって理念とは重要なものなのだと再認識する。経営のブレを少なくする「軸」の役目だったり、社員や新規採用など、人材に対するアピールにもなる。
 
ちなみに本の中では、さらに理念が形骸化されていたり、うまく使われていない場合の対処方法についても書かれている。
 

PDCサイクルの「C」がちゃんとできているか

本の中では、PDCサイクル(PDCAともいう)のうち、どれも大事なんだが組織として特に重要で、かつ忘れられがちなのが「C」だと言っている。これは、自分もそうだと思う。改善のサイクルを回すためには、定期的な振り返りが必ず必要になる。
 
そういう意味では、本書の中で書かれている方法は参考になる。この中では、4半期に1回半日ずつ、1年の終わりには1日かけて、評価と学習と反省を行うと書いている。しかも、その予定は最初から固定してしまうのだ。
 
こういうタイミングで、チームなり組織が振り返りを行うことは、ぜひ導入してみたい。あとは、その中でどういう内容を取り扱うか、ということを考えなきゃな。
 
 
それ以外にも、結構参考になることは多い。顧客を感動させる会社になるための5原則とか、経営者がどういう風にリスクテイクしていくべきかとか、人事評価に対してどう考え取り組むべきか、などなど。今後もたまにこの本を振り返り、参考にしそうだ。

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