鹿児島県にある、複合型スーパーマーケットAZの話。サーバントリーダーシップ的な考えだったり、本著のタイトルにもあるとおり、利益の追求ではなく、顧客満足を追求する姿勢は、考え方として刺激になる。チラシは発行しない、とか商品管理しない、とか小売業界で常識と思われていることを否定されていることに対しても、示唆は多い。
個人的に気になったことをメモ。
神は細部に宿る
良い経営とは、細部を気にすることにあると感じる。低価格を実現するために、建設業者と相談して、安い工法を検討し実現する。顧客からの要望に基づき、自動車販売や車検、ガソリンスタンドまで拡張していくが、そのときも業界の常識に捉われないように気をつけながら、独自の調達方法や業務手順を開発していく。
物事を実現していくためには、緻密に考えなければならないところがある、とよくいわれる。神は細部に宿るのだ。経営者は管理したり、金銭感覚に優れていたり、というだけではだめで、細部を詰めていく場所の見定めと、追求する力が必要なのだと思う。
企業のアイデンティティに係ること、長期的な基盤インフラなどに係ること、など企業として重要なところでは、従業員よりも細部を考えなければならない。
何を指標として考えるか
販売計画や利益計画もなければ、POSなどの商品管理も行わない、ということには驚いた(POSについては、正確には導入してはいるが活用していないそうだ)。
利益や売上を見るのではない。となると、何を基に経営しているのかよくわからなかったのだが、読み進めてわかった。AZが気にしているのはリピート率と客単価。過疎化地域で経営していくためには、回数と1回の売上を上げることに注目している、というわけだ。
ここから得られる示唆は、企業として重要な指標は何か、ということを今一度考えてみる価値がある、ということだ。一般的には、売上がどれぐらい、利益は何%ぐらい、みたいな管理会計的な話がよく言われる。それも確かに重要なんだろうが、KPIとして他の指標の方が重要なことだって考えられるんじゃないだろうか。
利益や売上はあくまで継続的に事業を行うための手段でしかない。顧客のために欠かせない存在になることが、商売の根源であるのかもしれない。そう思える一冊。
ダイヤモンド社
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利益第二主義
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