サッカーのJ2クラブチーム(2012年時点)の、費用対効果などを検証してみました。クラブ運営はどこに向かっていくべきか、というのが今回の記事のテーマです。
投資(人件費)に対する効果(勝ち点)の関係について
サッカー雑誌でもたまに検証がありますが、サッカークラブの投資対効果として、人件費に対する勝ち点を見るのが挙げられます。クラブチームの投資は殆どが人件費(サッカー選手など)に充てられるから、というのが理由です。
というわけで、実際に2012年のJ2クラブの勝ち点対人件費の組み合わせを見てみました。それが以下のグラフです。
何となく右肩上がりにはなっていますが、非常にバラつきが大きくなっているのがわかります。高い人件費をかければ良いチームになるかといえばそうではない、というのが良くわかります。
勝ち点と利益の関係について
クラブ運営は、山形を除いて全て株式会社です。となると、勝ち点はクラブの最終目標ではなく、利益確保が重要になる、という見方もあります。利益がないとゴーイングコンサーンも難しいわけですから。
というわけで、2012年のJ2クラブの勝ち点対当期純利益(損失)の組み合わせを示したのが以下のグラフです。
勝ち点が多い方が何となく利益を出しているようにも見えますが、こちらもバラつきが非常に大きくなっています。あんまり関係ないと思った方が良いかもしれません。
勝つことが全てなのか
結局数字を見てわかるのは、勝ち点を多くとっても利益との因果関係は低い、ということです。少なくとも現状の数字を見る限りでは。とはいえ、プロモーションやブランド構築という意味では、勝っていく、昇格する、日本代表に優秀な選手を送り込む、というところももちろん重要だとは思います。
話は変わりますが、先週のFOOT×BRAINはブンデスリーガ特集でした。その中で、クラブチームは順位が低迷しても観客数が減らないクラブがあると言っていました。その理由は、明確にクラブの哲学があるから、という説明でした。
日本でも、野球でいえば阪神とか、サッカーでも浦和とか、ある種ブランドを構築しているチームが存在します。近年では、若手育成に力を入れて攻撃的なサッカーを展開しているセレッソなんかも面白いです。
実際、順位と観客動員数もやはり明確にはリンクしないわけでして。
2012年Jリーグ 観客動員データ ~J2
確かにスポーツで勝つことは素晴らしいですが、勝負事でもあるので、それと経営は微妙な関係にあるとも思います。長く続いていくこと、発展を維持していくことを考えると、クラブとしての哲学やブランドイメージを構築していくことの方が重要な気がします。
世界的にも、リーグ全体で黒字なのはブンデスリーガぐらいだと言われていますし、UEFAはファイナンシャル・フェアプレーという制度を導入するほど、クラブの財政健全化を高めることが重要課題になっています。Jリーグでもクラブライセンス制度が導入されていて、財政健全化も注目されています。
というわけで、何とか20周年まできてJリーグが今後も健全に発展するためには、財務的観点でも検証が必要ではないか、と。