就活生におすすめ。これからの社会で求められる人材像がわかる「BQ」

社会人としての時間を過ごすうちに、論理的思考や知識だけでは簡単に通用しないことがたくさんあるってことに気づいてきました。この本で示されているフレーム「BQ」は、まさにそれ以外の部分を含めて総合的に考える必要があることに気づかせてくれます。

 

BQは以下で構成されている、と本書では述べられています。

BQ = IQ × EQ × SQ

ここで新しいのは、稼ぐ力BQが3つの能力から構成されている、という点と、SQ(感性)という要素を示したことでしょう。特に、時代とともに求められているもとが変わっているという点は、非常に頭に入ってきました。

戦後復興期は欧米など追いつくための見本があるので、技術等を高度化するIQが最も重要だった。その後、高度成長が終わって安定成長期になると、組織でいかにパフォーマンスを高めるかという点でEQが求められた。そして、今は成熟した社会の中でSQが求められている、という解釈です。

 

これからどういう社会になっていくのか

本書の中では、これからは知的で感性が求められる社会になると述べられています。単純な数値で表現できるような工業製品は付加価値が低下し、アジアなどの価格競争に巻き込まれていきます。実際、世界は「一物一価」に収斂しているのは、統計上でも明らかになっています。

そういう時代に入っている中で、どういう人材が求められるのでしょうか。

商品を大量生産する工業化社会なら、画一的で管理しやすい人材が活きる場面があるかもしれません。しかし、いまは価値観が多様化している知的感性時代。そういう時代に良いものを生み出すには個性が必要であり、何も特徴がない平均的な人は埋没していくだけです。

平均的であると埋没する、というのは確かにそうで、組織に対して立場が弱くなりがちで、自分の付加価値を作り出すのが難しい気がしてきています。企業を選ぶ立場の個人からみても、強く管理するタイプの企業ではなく、挑戦や自主性を重んじる企業の方が、これらの能力を鍛えやすい環境になる、という著者の主張はうなずけるものがあります。

 

最も面白かったのは、CA藤田社長との対談

個人的に最も面白かったのは、巻末にあったサイバーエージェント藤田社長との対談です。

人材の流動化について

経済学的には人材を効率よく移動しやすい社会にすることで、産業の移動や入れ替わりをスムーズにして、効率良い経済を継続していく、という考え方があります。実際、いろんな統計で人材が硬直化することの弊害は生まれていることがわかっています。

参考:日本の景気は賃金が決める | Synapse Diary

ただ藤田社長は、人材の流動化について疑問を呈されていました。

僕は雇用の流動化が進むという予測に関して懐疑的なんです。世界のインターネット業界は、グーグルやイーベイのように単一の事業で世界展開する会社が多いですよね。単一事業だから社員はスペャリストが多くて、転職も活発です。  一方、同じインターネット産業でも日本は特殊。最初は単一でも、成長すると総合商社化して幅広いサービスを提供するようになります。たとえば私たちもそうだし、GMOさんやヤフーさん、楽天さんもそうです。  総合商社化すると、即戦力の専門家を連れてくるより、新卒で採用して幅広くこなせる人材を一から育成する日本型雇用がフィットします。

ここは面白い考察で、確かに言われてみるとそうだな、という気がしました。この理由がいまいち自分の中で飲み込めていないんですが。安定雇用を求める日本人気質に合っているのか、ベンチャー投資資金が多く流れない日本では事業領域を広げることでリスクを分散させるのか、とか。ただ、確かに実態はあまり人材の流動化を促進させる気運は小さくなっている気がします。もう少し時間を要するのでしょうか。

クリエイティブを担うリーダーの重要性とリスクについて

起業家」を読めばわかるのですが、サイバーエージェントのアメーバ事業は、途中から藤田社長が現場介入して成功に導いていきます。で、クリエイティブな要素が強く求められる時代には、まさにトップの感性を現場に注入するというアプローチはひとつの正しさを証明したような気がします。

しかし、一方でそのリスクについても対談では触れられていました。

結局、知性の部分はある程度引き継げても、感性については後継者も引き継げないんですよ。だからBQが高くて感性の鋭いトップであるほど、辞めたときの反動も大きい。

これは、まさに感性の重要さを示しているとともに、その特性上引き継ぐことが難しいので、事業そのものが瓦解するほどのインパクトを生んでしまうんじゃないか、ということです。企業や投資家からすればたまったもんじゃないですが、個人からみるとそういう要素が備わって認められれば、代替がきかないので付加価値を高められる、と見ることもできます。

自分が活躍しようと思うフィールドが、こういう要素が含まれていると感性を鍛えられるかもしれません。

 

この本を読んだのは、最近の自分のモヤモヤがきっかけでした。冒頭で書いた通り、論理的思考や知識などの「頭の良さ」だけではビジネスで勝つことは難しい、というのを肌で感じ始めたからです。この本は、そういうモヤモヤをBQというフレームワークでスッキリ説明してくれます。

いずれにしても、どこかに遊びに行って「楽しかったね」だけで終わる人は見込みがない。楽しい思い出と一緒に何かしらのビジネスのタネを持ち帰ってくるかどうか。それがBQの高い人とそうでない人の違いです。

こういう感覚を持てるかどうかが、稼ぐ力を養う上で重要だなと思う今日このごろです。

BQ〜次代を生き抜く新しい能力〜

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