Yahooがテレワークをやめることについて

Yahooがテレワークを廃止するらしい。顔を合わせて、コミュニケーションを増やすことで、新しいアイデアや緊密な連携を生み出すことが目的だそうだ。一方で、テレワークは働き方の多様性を認める面から個人の満足度を上げ、妨害が少ないことから生産性が上がるという研究がある。

Yahoo!が在宅勤務者に出社勤務にするかもしくは退職するよう通達 | IRORIO(イロリオ) – 海外ニュース・国内ニュースで井戸端会議

Yahoo!が在宅勤務者に出社勤務にするかもしくは退職するよう通達 | IRORIO(イロリオ) – 海外ニュース・国内ニュースで井戸端会議

さらに、それを批判する人も現れたりして、このYahooの決定は、それなりに議論を生んでいる。

【続報】Yahoo!の在宅勤務者への通達に対し英実業家がTwitterで反撃 | IRORIO(イロリオ) – 海外ニュース・国内ニュースで井戸端会議

【続報】Yahoo!の在宅勤務者への通達に対し英実業家がTwitterで反撃 | IRORIO(イロリオ) – 海外ニュース・国内ニュースで井戸端会議

 

HBR.orgのブログ記事でも、賛否両方登場している。

New Research: What Yahoo Should Know About Good Managers and Remote Workers – E. Glenn Dutcher – Harvard Business Review
Marissa Mayer Is No Fool – Michael Schrage – Harvard Business Review

 

テレワーカーの生産性は高いのだし、良いマネージャーがそれらを指揮・管理すれば良いのだという考えと、やはり対面のコミュニケーションは効果的だろう、という両面から語られている。CEOの前職であるGoogleのバックグラウンドが影響しているのでは、とか。

日本でもヤフーニュースになったりしているし、それなりに興味深いネタだ。ちなみに、この記事によると、Yahooの社員は11,500人いて、テレワークはそのうち数百人程度らしい。組織の1〜5%程度がテレワークという感じだろうか。
Why Won’t Yahoo! Let Employees Work From Home? – Businessweek

 

さて、テレワークに対してどう向き合うべきなのだろうか。

雇用する側から考える

まず、企業側からみた場合のスピードとコラボレーションの問題を書こうと思う。 テレワークは個人作業の範囲でみれば、生産性は高い可能性があると思う。それは、僕は確認していないが研究結果があるのだろうし、自分を律して集中することで生産性は高まる気がする。しかし、これには前提が必要になる。具体的には、「協業」の部分が少ないことと、テレワーク分のタスクをきっちり割り当てることだ。

協業を前提とした進め方の場合、テレワークだとコミュニケーションのやり方や頻度によって双方非効率であったりストレスを感じる可能性がある。IT技術によっていろいろ効率的なコミュニケーション方法が採れるようにはなっているが、やはり対面でのコミュニケーションと比べてしまうと、非効率な面を感じる人が多いのかもしれない。すると、スピードの点でデメリットを感じると判断するのかもしれない。

もう一つは、テレワークを実現するためには、分業するためにタスクを明確に分解して与える、という作業が必要になること。そのためには、管理者が予め計画的に分配したり、はじめから定型作業が多い場合が考えられる。不確定要素が多い業務、クリエティビティを重視する業務、スピードを求められる業務などの特徴があると、テレワークという存在は邪魔な存在と思われるのかもしれない。

 

テレワークに対する過剰な期待

テレワークが注目されてきたのは、マクロ的には雇用問題を解消できるかもしれない、企業的には結婚や引越しなどのイベントで去っていく従業員を引き止められることとテレワークの生産性が高いこと、従業員は柔軟に働く手段を持てること、という三方が良いことであり、IT技術の進歩によってテクニカルな問題も解消されつつある、ということだった。

重要なのは、賛成するのも反対するのもどういう立場から見ているのか、ということで、いくつか記事を読んだ感じだと、批判するのはマクロ的というか社会的な観点から見てる論調が多そうだ。社会的には雇用問題や従業員の自由獲得などテレワークは良い方法なのに、それを否定するなんて、という感じ。あとは、テレワークを現実的にしてきたのがIT技術であっただけに、テクノロジー企業であるYahooがそれを排除するのがどうなのか、という感情というか観点もあるようだ。

 

 

僕が思うのは、テレワークは確かに企業・従業員双方にとってメリットがある手段ではあるものの、それも働き方の一形態であるにすぎないし、ビジネスモデルや経営環境によって適・不適はあるのではないかということだ。そして、時代に逆行しているみたいな批判はあるけど、企業として決断することはあくまで営利でありゴーイング・コンサーンなわけだから、テレワークを否定することが企業の否定にはつながらないと考える。Yahooが今後どう変わっていくのかは注目だろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です