僕は君たちに武器を配りたい

この本が長く評判になっているのもわかる。端的かつ冷徹に、どうやって社会を生きていくかが述べられている。キーワードは「コモディティ化」だ。

 

どうやって自分をコモディティ化させないか

つまり「個性がないものはすべてコモディティ」なのである。どんなに優れた商品でも、スペックが明確に定義できて、同じ商品を売る複数の供給者がいれば、それはコモディティになる。P.31

僕は、自分の職業を初めて会う人に、うまく説明できないことが多い。同じ業界とか近い職業の人以外は、想像が難しいだろうと思う。自分の親でさえ、未だによくわかっていないに違いない。これは悪いことなんだろうか。

最初この「自分の職業をうまく説明できない」事象は、世の中は複雑化・多様化していて職種も増えているし、ITなど昔からある産業ではない分野に自分の身を置いたせいだと思っていた。そして、それを少し異常なことなんじゃないかとも思っていた。しかし、うまく説明できない、成果を定義できない仕事というのは、コモディティ化を抜け出すポイントなんじゃないかとふと思った。わかりやすいものほど、模倣され、競争が増え、コモディティ化されるからだ。セブンイレブンが暗黙知を組織内に貯めこみ、差別化を図っているのと同じだ。

 

自分の競争力の源泉がブラックボックス化されていることは、今後の競争では一層重要性が増すかもしれない。しかも、それは情報を隠蔽するのではなく、「形式知化されにくい」ものが対象になるのだと思われる。それは論理的思考もそうだろうし、組織的に有機的に知識を結びつける仕組みかもしれない。

そして、僕も自分が働いている上での競争力の源泉を、他人にうまく説明することが難しい。厳密には、いくつか要素はあると思っているが、要因がたくさんありすぎて、しかもそれが相互関係があるために、簡単に説明して、再現することが難しいと思うのだ。

 

自分の人生のリスクをコントロールする

サラリーマンとは知らないうちにリスクを他人に丸投げするハイリスクな生き方。リスクは自分自身でコントロールせよ!P.236

社会の波はとても速いスピードで動いている。数年前の常識は通用しなくなっているところも多い。そして、集団というのはえてして間違いを犯しやすいし、他人は自分の人生に責任をとってくれない。だから、自分でリスクをコントロールすることが求められる。サラリーマンというのは、集団が組織構造を形成して、スケールメリットを活かすことで生産性を向上させるものであり、全体でみれば有効な手段だ。だけど、個人の単位で見た場合は、全体のパーツでしかなくなってしまう場合も少なくない。これは大きなリスクだ。特に、市場が大きく変動する場合は。

つまり投資家として生きるのならば、人生のあらゆる局面において、「ローリスク・ローリターン」の選択肢を選んで安全策をとるより、「ハイリスク・ハイリターン」の投資機会をなるべくたくさん持つことが重要となる。P.226

最近は安定志向が流行っているらしい。そして、それはある種合理的ではあると思うけれど、公務員だって大企業だって、今後40年間ずっと安泰である保証はない。つまりリスクゼロな職業なんてないのだから、自分でリスクテイクしていくことが求められるはずだ。会社で働くことを否定しないし、僕もそうやって今は生活しているけれど、いつかはどこかで違う場所に行くだろう。そのときに慌てないように、リスク発生に向けた準備をしておきたいと思う。

 

この本は、社会人になる前に読んでおくべきだろうと思う。むしろ、ぜひ読んで欲しい。

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