成功はすべてコンセプトから始まる

起業家や経営者に求められる資質というものを考えたときに、そのひとつにビジョンを構築できることが挙げられる。長期的な視野で将来像を具体的に描き、そこに至るまでの行動を示すことである。いろんな経営者がビジョンの重要性を挙げていることからもわかる通り、大きなことを成し遂げる、組織を率いていく場合にはビジョンが非常に重要になってくる。

さて、この本はコンセプトの立案力を述べたものであり、ビジョンにつながるものである。本書の中でもコンセプト立案力はこう説明されている。

コンセプト立案力の基本にある、「あるべき将来の姿を描き切り、それに向かって意思の力を集中させる」生き方、「境界を越えて発想する」クリエイティブな生き方は、日本人が得意とするところです。

自分のフィールドで、「実現したい将来像」を発見し、「かなり難しい」チャレンジをする。その能力が身につけば、一段高みに上ることができ、視界がパッと開けます。おそらく、いま抱えている悩みやストレスは吹き飛んでしまうはず。そして、ぞくぞくするような知的快感を覚えれば、ますますチャレンジが楽しいものとなります。それが「コンセプト立案力」を磨くことの醍醐味です。

ビジョンやコンセプトと呼ばれるもののどこが良いかといえば、わかりやすく将来像を描くことで、組織が方向性を持って動けること、周囲の協力を得やすいことにある。つまり、実現性が高まるのだ。

 

コンセプトの良い例と悪い例

コンセプトに関する例がたくさん登場するのだが、面白かった例を挙げておこう。

地に足の着いた方法、まずは現状の問題解決から始めるというと、「カイゼン」を思い浮かべる人は多いかと思います。カイゼンの典型として引き合いに出されるのが、トヨタの仕事の進め方です。しかし、トヨタのやり方は、一見、実現可能性ドリブンに思えるかもしれませんが、まったく違うものです。というのも、トヨタ生産方式の元祖、大野耐一氏が最初に掲げたのは、「在庫ゼロ」という、誰もが実現不可能と思っていたインパクトの大きなコンセプトだったからです。

トヨタ生産方式が、カイゼンというボトルアップ的な積み上げでできたイメージがあるが、そうではなく最初はコンセプトから始まった。つまり、最初に大きな目標を掲げること、その先に得られる結果を示すことで、組織的に良い状況を作り出していく。

もうひとつ。

役所の世界で言えば、「ふれあい広場」「ふれあいセンター」など、ありとあらゆるハコモノが「ふれあい」と称されています。予算が取りやすいのか、横並びで書類が通りやすいのかわかりませんが、いずれにせよ、確たる考えもなく名づけられたに違いありません。

確かにいろんなところに「ふれあい○○」ってあるなーと思ってしまった。実体がどうなっているのかは知らないけど、抽象的すぎて名前からはあまり伝わってくるものが少ないとは思うよね。これも、コンセプトがもっと先鋭化されていれば、こういう抽象的な名前は並ばないんじゃないか、ということだ。

 

ロジカルシンキングとは違う思考力

もうロジカルシンキングだけでビジネスが通用すると思っている人は少ないと思うが、コンセプトを立案する力というのは、ロジカルシンキングだけでは足らない部分を埋めるピースのひとつである。

このように、既存のMBA的手法は「細部を詰めていく」ためのものであり、ゼロからあるべき姿をイメージするためのものではないことを知っておく必要があります。そのせいか、最近ではハーバード・ビジネススクールでもカリキュラムが大幅に見直されつつあり、以前に比べて随分とイノベーションや創造性寄りに変わってきているようです。

以前からロジカルシンキングなどの知識やMBA的管理手法では限界があると言われていたが、それを本気で打開しようとしているのがビジネス教育のトレンドだろう。それは組織論でも同じで、指示命令をベースにする管理型ではなく、組織の創造的ビジョンを作り出し、人々のモチベーションや自発的な創造を生み出していくリーダーが求められているし、教育機関はそういうリーダーを育成する試みを始めている。

 

自分や人の感情を揺さぶるコンセプトの力

過去読んだ本で、スポーツ観戦はなぜか泣けるほど感動する、ということがすごい記憶に残っていて、なぜ仕事ではスポーツ選手のように感動するほど泣く機会が少ないのだろう、と考えたことがある。それは、達成したいけど簡単には達成できない障壁があり、それに向かって努力をするからこそ、うまくいかなければ悔しいし、成功すれば泣くほど嬉しいのだと思う。そして、この本でも似たようなことが、別の表現で書いてある。

大組織の中で長年暮らすと、妙な「におい」が身についてしまいます。何かを徹底的にほめることをしない、リスクヘッジをする癖が抜け切れない、といった加齢臭のような独特のにおいです。そのままでは、本気でないと思われます。自覚症状のある人は、意識してそれを落とす努力が必要です。

つまり、コンセプトを作るということは、ハードルは高いが達成すべき将来を描くことであり、それを実現するためには「本気度合い」が必要になる、ということだ。本気になるということは、おのずと自分が仕事に真剣に取り組むことであり、その本気が周囲に伝染していく。そうやって感情を揺さぶる力がコンセプトにはある。

 

そして、この本ではコンセプトを立案する力というのを解明し、それを実現するための方法を描いている。確かに最初からできる天才もいるかもしれないが、訓練によって身につけられるスキルでもあると述べる。それが希望だ。

 

そういえば、このブログのコンセプトも曖昧だな。。。。単純にその時に興味があることを書き殴っているだけだからなあ。

小倉昌男 経営学

ずっと読まずにきたけれど、これが読み継がれている理由がよくわかった。本当に、経営を考える上では名著だと思う。重要なことがたくさん書いてある。

内容自体は、小倉昌男という人のヤマト運輸での半生なのだけれど、BtoBの運送会社からBtoCの宅急便開発については、コンセプトが生まれ、調査し、組織を説得しながら実行し、そして宅急便を立派なサービスとして築きあげていくまでの過程が細かく書いてある。本当に感心した。コンセプトを生み、緻密な計算によって磨き上げ、大胆に実行していく様子は、読んでいてとても気持ちが良かった。

また、メッセージが端的でわかりやすい。短くて的確な言葉を選んだり、比喩を多様している。これは、従業員や他者への説明にとても活きているんだろうと思う。宅急便サービスを始めるときに、各セールスドライバーに「サービスが先、利益は後」と伝えたところなんて、行動原理が理解しやすく、現場は動きやすくなったんだろうと思う。

今、日本は勢いのある新しい企業が起こっていない。それは、日本の時価総額ランキングを見てもわかる。上位20位で、ベンチャーから上がってきた新興企業はソフトバンクぐらい。
日本企業・時価総額ランキング | Marketgeek

一方で世界をみると、アップル、マイクロソフト、グーグルがトップ10に入っている。日本で1位のトヨタは世界で26位、日本で2位のNTTドコモは世界で78位だ。
世界の企業・時価総額ランキング | Marketgeek

こんなブログで憂いを書いても仕方ないし、本を読んでまたエネルギーをいただいたので、また頑張る。経営者には、総合的な人間力が必要であることがよくわかる一冊でした。

「売れない時代」の新・集客戦略

この本では、サービス業における販売マーケティングに関して大きく3つのフェーズに分けており、マスマーケティングを中心とした新規顧客獲得、CRMなどダイレクトマーケティングを中心としたリピート顧客獲得、そして顧客が減少する状況の中でどうやって経営していくのか、というテーマで書かれており、これまでのリピート顧客重視から発送を変える必要があることをうたっている。

具体的には、顧客のモチベーションを捉え、それに応じたサービス提供を行っていくことと、サービス業の問題である「業務量の平準化」を行うことで、売上が減ったとしてもコストを低下させ、利益を創出していくことを目指している。

 

リピート顧客の獲得は、理論的には正しいが実践するのは難しい

確かに、リピート顧客を獲得して新規獲得コストを下げ、利益率を向上させていくことは理論的に正しいのだけれど、実際にやろうとすると2つの問題がある。 ひとつは、顧客情報を取得するのが大変、ということ。小売りだとふらっと店に入って来た人の情報は捕捉することはできないし、取得しようと思うとポイントカード発行して割引する代わりに取得する、というのは今の大手企業がやっていること。

もうひとつは、必ずしも顧客が段階的に満足し、リピート客になるわけではない、ということ。それは、個人の事情によってサービスを利用する目的は異なるので、顧客の動機次第で変わる。

 

では、どうやって売っていけば良いのかといえば、「顧客の目的を明確化して、それに合致したサービスを提供する」という、ある意味マーケティング論でいうところの至極まっとうな回答になる。

 

事業を「サービス化」する

商品を売るのだとしても、商品そのものの価値は下がり続けている。なので、中小企業がこれで勝負しようとすると勝つのが難しい。なので、商品の周辺にある「不満」を解消するようなサービスを提供することで、高付加価値化を行うことが、「サービス化」のヒントになる。

本書の中で出てくるし、それなりに有名な「でんかのヤマグチ」もそう。家電量販店に押された地域の電気屋さんだけど、価格競争は行わずに、ターゲットを地元の優良顧客に絞り直して、配送から電球1個の交換まで行うようにした。これで付加価値分高い価格を維持できるので、顧客数は減ったものの、利益率は向上した。こうして、商品の周辺にあるニーズを掘り起こして、商品に付随する形で「サービス化」している。

どんな業態であっても、商品そのものだけで勝負していると、価格勝負で負けてしまう。その周辺にあるニーズをどうサービスとして取り込んでいくかが重要だ。

そういう意味では、家電量販店がAmazonなどのネットに押されてしまっているのも、ほとんど価格勝負になっているからだろう。感情面で「実店舗をショーケース代わりにしやがって」とかあるかもしれないけど、顧客側からすると「そういう事情じゃなくて、同じ商品でサービスも変わらなければ、安い方から買うよね」ということだからなあ。

 

サービス化した後に必要なのは平準化

サービスというのは、要は商品在庫のようにストックできないので、供給コントロールが難しい。そこで必要になるのが平準化だ。言葉で言うのは簡単だけど、とりあえずアプローチとしては需要側をコントロールする。平日半額とか夜間割引とか、そういう価格調整によって顧客の流れをコントロールする必要がある。

 

そして、この本では顧客のモチベーションに注目して、目的を多様化することで顧客ニーズを分散させる考えを示している。正直、実例の部分ではインパクトに欠ける印象だが、考えとしては賛同する。

 

この本に書かれていることが、今後の集客戦略のスタンダードになるのかはさておき、リピート顧客を狙えっていう端的なメッセージから脱却する上では、重要なひとつの観点を提示していると思う。特に、顧客管理を十分にする余力がない中小企業には有益だろうと思う。

記事を音声で読み上げるiPhoneアプリ「Lisgo」が感動した

Lisgo – Listen later app for Pocket
[scshot url=”http://lisgo.org/”]

後で読むアプリ「Pocket」に登録された記事を、音声で読み上げる「Lisgo」というのがあって、使ってみたらとても実用的で感動した。

Lisgoを使ってみた感想

Lisgoをインストールすると、Pocketに登録された記事が表示されて、再生ボタンを押すと音声が始まる。要はこれだけ。非常に簡単。そして、何より無料。

当然ながら、イントネーションはちょっとおかしい。けど、十分聞ける。例えば「IT企業」は「イットきぎょう」と言ったりするので、聞きながら多少の推測は必要。自動で次の記事にもいけるので、流し聞きもしやすい。

サービス設計も良い

どういう仕組みになっているのかは専門外なので全くわからないけど、インストール時に合わせて60MB弱のファイルを最初にダウンロードする。必要なのはそれだけっぽい。再生するだけならオフラインでも可能。提供する側としても使う側としても簡素な仕組みになっている。

Pocketで登録された記事にしているのは、Pocketであれば、それなりに長い記事が登録されるのと、文章以外の無駄な情報が削られているので、余分な情報を読み上げてしまうリスクを下げられるという点で、Lisgoと相性が良いのだろうと思う。少し探したら開発者ブログがあった。最初はブラウザベースだったみたい。
Lisgoのターゲットを絞って作り直すといい感じになってきた | 拷問iPhoneアプリ開発
Lisgoフリーミアム版が出たので、野望を語る | 拷問iPhoneアプリ開発

アプリ自体は無料だけど、再生時間は一日20分に限定されている。これはTwitterやFacebookにシェアすると無料時間が増える。有料になると、再生時間の制約はなく、オフラインでも再生できるようになる。という、フリーミアムモデル。

iPhoneのSiriといい、音声周りの技術は、どんどん実用的になっている。iPhoneでも音声入力を使っているが、フリック入力より早いし、音声の認識も優れている。電話と音声はそもそも相性が良いし、今後も音声系のアプリは増えていくのかもしれない。そうやって生活がまたひとつ便利になるといいなあ。

Pocketの記事読み上げ – LisgoはPocketのWeb記事を自動音声で朗読します 1.43(無料)
カテゴリ: ニュース, 教育
販売元: Umemoto Non – Umemoto Non(サイズ: 9.7 MB)
全てのバージョンの評価: (45件の評価)
iPhone/iPadの両方に対応

LINEの流行を知り、今後のSNSを考える

LINEがここまで流行しているので、使ってないけど一応把握しておこうと思ってこの本を読んだ。最初LINEは電話帳を全部サーバに送ると聞いていたので、「そんな危険なことする人たちの気がしれない」と思っていたのだが、ここまで流行すると、その内容などは知っておく必要があるかな、と思った次第です。

 

LINEはSNSというよりコミュニケーションツール

タイムライン機能はあるものの、最初は無料通話とメール機能から始まっており、今もそれが主要な位置を占めている。これは、外部環境の変化およびそれに伴うユーザーのニーズがうまく合致した結果と言えるだろう。

まず、今日本ではガラケーからスマートフォンへの移行がすごいスピードで発生している。そこで戸惑うのがメールで、ガラケーと使い勝手がちょっと違う。だから、ショートメールみたいなメール機能にすることで、顧客のニーズをうまく掬った。

 

アーリーアダプターを越えてアーリー・マジョリティへ

LINEが特徴的なのはこれだろう。プロダクト・ライフサイクルの概念をやや無視していて、いきなり大衆受けしている。特に学生に。マーケティング上のターゲットが学生で、それがIT系サービスのプロダクト・ライフサイクルではマジョリティに属す、という結果論だとは思うけど。

というわけで、この本を読むと、LINEはスマフォへの乗り換えというタイミングの良さと、電話帳で登録する手軽さというサービス設計、スタンプによる収益モデルの構築が優れているのがわかる。

 

 

今後LINEはどういう存在になるのか

この本でも書いてある通り、スマフォへの移行予備軍がもう少しいるので、日本国内で数千万までは伸びると思う。それを踏まえてどんな存在になるんだろう。個人的には、コミュニケーションツールの色合いが強く、SNSのような情報の伝播効果はそれほど高くないんじゃないかと勝手に推測している。そもそもLINEはそれを目指していないのかもしれないけど。

そして、そもそもSNS自体には企業がマーケティングに使うも、未だ劇的に顧客を引き寄せるようなものではなく、あくまで顧客とのゆるやかなダイレクトコミュニケーションや、ブランドイメージを形成するための一助、ぐらいだと思っているので、LINEはそれ以上の存在になるのは難しいんじゃなかろうか。あるいは、クーポンによるダイレクト・マーケティング。それ以上の画期的なO2Oの導線を開発できれば、すごいなあ。

 

コミュニケーションツールは必然性が高いようで低い

LINEでも他のSNSでも同じだけど、コミュニケーションツールとして考えると、必然性はそんなに高くないと思っている。もちろん、人々はコミュニケーションを必要とするし、そのためのツールは必要だけど、世の中にはたくさんの代替手段がある。

なので、様々なSNSが登場しているし、各社特徴のあるコミュニケーションデザインを行っているけど、あまり寿命が長くない気がする。SNSの移り変わりは早い。Facebookも状況がどんどん変わっているし、「飽き」と戦ってずっと変化し続けるか、目的を絞って必然性を強化するかが必要だと思う。

Facebookの動向変化は、このあたりの記事が参考になるかと。
それ見ろ、やっぱ日本のFacebookはオワコン期に突入 | More Access,More Fun!
日本のFacebookユーザー、たった1ヶ月で330万人も大激減!! | More Access,More Fun!

少し前からのトレンドとして、PathやPairなど対象を限定したSNSがアメリカでたくさん登場してきているのも、そういう背景があるのだろう。

 

 

というわけで、LINEの今の勢いがどう続いていくのか、スタンプに続き、これまでにないサービスモデルや収益モデルを構築していくのか、というのは注目してます。時代の移り変わりが激しいので、キャッチアップが大変。

自分を定期的にメタ認知して、自分を修正する

昔、コミュニケーションコストを考えて仕事しろ、と偉そうなことを書いたけど、今日は逆のことを思った。
見えない「調整コスト」を考える | Synapse Diary

あえて円滑にコミュニケーションしすぎることなく、適切な距離を確保することで、緊張感を双方に持ち、お互いが理論武装をしっかりやったり、品質を保とうとする。つまり、仲良くなることは良いこと、多様なコミュニケーションをとることは良いこと、と思う。だけど、それが「馴れ合い」になり、自分たちに自覚がないまま、緊張感がなくなって刺激が低くなっていき、仕事の品質が落ちていく。

人は誰しも憎まれたくないし、嫌われたくないから摩擦を減らそうとするけど、その反面で、摩擦が良い結果、新しい発見を生むことが多い。そして、これも昔似たようなことを書いてるんだよね。
組織における「衝突」の意味 | Synapse Diary

 

で、最終的に何を思ったかと言うと、常に自分を自覚しているというのは難しいこと。だから、繰り返し気づくきっかけを作り、修正していくことが必要になる。これを日頃から実現するためには、メタ認知ができるような仕組みを持っておくことが重要になるんじゃないかと思う。

もっと細かく書けば、「トリガー」と「アンテナ」が必要になると思うわけです。

「トリガー」というのは、メタ認知を刺激するきっかけのこと。それは誰かと話す機会を設けることでも良いし、テレビやネットで情報収集することでも良い。自分がメタ認知を行うきっかけを、意図的に自分の生活パターンに組み込んでおくこと。

「アンテナ」は、トリガーが発信した情報を、ちゃんと受け取り、解釈し、自分の中に取り込んでいくこと。これは、どちらかというと思考を整理しておくことだと思う。仕事の切り口、考え方、視点などを整理しておくことで、ある情報に触れたとき、自分がどう解釈して取り込めば良いかを考えられるようになる。これは、ブログなどで思考を整理しても良いし、人と話すことも整理になる。

 

人という生き物は、自分を戒めることが難しい。経営者なんかは、定期的に経営セミナーに参加して、自分を戒めることをしている人もいるんだと聞いたことがある。特に経営者はあまり周囲から指摘されないので、裸の王様になりやすいし、自分を客観視する必要がある。

佐藤可士和の超整理術

最近はあまり落ち着いて読書する時間がなく、Kindleストアで電子書籍を買って、隙間の空いてる時間でスマートフォンで読書しているので、Kindle本ばっかりになってる。これも、Kindleストアでランキング上位にあったので、気になって読んでみた。

この本に書かれているのは、デザインとかアートディレクターとか関係なく、普遍的な思考テクニックです。業種とか仕事の内容に関係なく、同感できることがたくさんありました。物事を解決するのは、事象を抽象化し、本質を特定した上で具体的な解決策を編み出していく過程が必要と考えているけど、書かれているのはまさにそういう工程の話。

 

思考や情報を整理することに価値がある

メッセージを相手に伝えるというのは、本当に難しいことです。伝わっているはず、と自分では思っていても、実際には伝わっていないことのほうがはるかに多いもの。全体の半分くらい伝わればいいほうで、一〇〇%わかってもらうのは至難の業といっていいでしょう。  これはやはり、伝えたいことを整理するのが大変だからだと思うのです。

混乱した状況の中から情報を整理し、本質的な部分を特定することは、ひとつの付加価値だし、それを信じて仕事をしている。全く進まなかった物事が、スライド一枚で整理されたものを見るだけで、動き出したりする。それぐらい、思考が整理されることは重要なのだ。それによって、メッセージが明確になり、人が納得して動くようになる。

これは、余計なことをできるだけ排除する「Think Simple」にも通じる。

 

問題解決には抽象化と具体化の両方が必要

最近思うのは、問題解決するためには物事を抽象化して、その後に具体的な解決策を編み出していく、という両方が必要で、自分はそのどこが得意で苦手かを考える。抽象化して本質に迫れれば、その後に出てくる解決策も良いものになる。ただ、解決策も「神は細部に宿る」とは良く言ったもので、ディテールまで積み上げておかないと、解決策そのものが瓦解することもよくある。

この本で書いてあるのは、そのうちの「抽象化」の部分。どうやって本質に迫るか、というところです。改めて、もっと本質に迫るようにたくさん考えないとな、というモチベーションと、どうやって日頃から情報や思考を整理していこうか、という改善の意欲が湧いてきた。

 

ひとつ残念なのは、この記事を書く「意味」がちゃんと整理されておらず、まとまりや目的のない稚拙な文章になっていることぐらい。まあ、日記的なものなのだし、こういうのを書き続けていくためには勢いが必要だから、自分としてはこれで構わないと思っているけれど。

統計学が最強の学問である

これは大当たり。統計学が最強の学問であるかはさておき、統計学がなぜ必要なのか、今注目されているのかがよくわかる。ビッグデータがバズワード化している気がしているけど、ビッグデータと関連している統計学がこれほどわかりやすく説明されているなんて。

統計学の基本的な知識が書かれているのではなく、統計学がどう利用されるものなのか、ということが主眼に置かれている。また、歴史的経緯がいろんな事例を元に説明されているので、それはそれで読んでいて楽しい。

正直、大学のときに統計のあれこれを講義で習ったんだけど、どう使うかもよくわからず、知識はそのまま忘れられていったんだよね。覚えているのは、回帰分析とか最小二乗法とか断片的な程度で。。。。

 

ビッグデータが注目される昨今、データアナリストが不足していると言われているが、それは膨大なデータに対する統計リテラシーを持った人が少ないからだと言われている。統計学では、確率や誤差が混入するため、「確からしい」結果を得ようとすると必要なサンプル数が決まってくる。

つまり、データ取得についても、必要な項目設定(何の値を取得するのか、定性的なデータはダミー変数にするのか)、計測方法の検討(必要なサンプル数、計測期間、ランダムアクセスなど)、分析(回帰分析、ロジスティック回帰分析などなど)と、決めなければならないことはたくさんある。

IT技術の進歩によって、データが取得しやすくなり、膨大なデータ処理が速くなって、これまでと分析の仕方が変わってきてはいる。中小企業にだってビッグデータの波は訪れようとしているのだから。

今年は中小企業もビッグデータとSaaSを有効利用できる

今年は中小企業もビッグデータとSaaSを有効利用できる

だからこそ重要なのは「何の目的で、どう分析するか」になるわけだ。

 

この本では、それが良くわかる。もっと勉強してみたくなる。統計学。

ローマ法王に米を食べさせた男

なんというか、これはすごい勢いの本だな。面白くて一気読みした。 石川県羽咋市の市役所職員の話なんだけど、スピード感、スケールが想像以上で爽快だった。

人口減少と高齢化が進み、限界集落も出始めている地域で、地域活性化を行うためにいろんな施策を打っていく。そのアグレッシブさ、アイデアの豊富さにまず驚く。そして、それが実を結び、地域が変わっていく様子は素晴らしいの一言だ。

 

論理的に考えて、感性で動く

なんでもそうですが、何かをやろうとする時は、情報収集が非常に大事になってきます。よく調べないと何も出来ないのは、テレビの構成作家時代に身にしみて覚えたことです。それで全国の2万人から5万人までの市町村で、町おこしに成功したところと失敗したところを114ヵ所調べました。

こんな感じで、下調べを入念に行うスタンスがある一方で、

私たちに何が足りないのか? 行動する力がまったくないんです。知識や情報を持っていても行動理念がない。手をこまぬいて何もしなければ、村は「自然消滅」します。過疎高齢化すると百年間嘆き続けても、会議ばかり何度も開いても、多額のコンサルタント費用を払い、きれいに印刷した計画書を千冊積み上げても、村は何一つ変化しないんです。

行動の重要性を挙げる。要は両方必要だってことです。当たり前なんだけど。

 

マーケティング能力

商品を発掘して、どうやって売るかという、いわゆる「売る仕組み」を作るのが素晴らしい。

内輪の人間でなくてよそ者に語ってもらうことで、初めて気がつくんですよ。組織でもそうです。だから外からものを見る見方、外からの援護射撃を取り入れていったんですよね。

っていって、大学の教授や東京のメディアを引っ張りだしたり、意図的に地元メディアには情報を流さなかったり、海外のメディアにアプローチしたり。

誰にどうやって見せるか、ということをすごい考えているんだろうな、という事例が山ほど出てくる。良い商品を作ることも重要だけど、その見せ方、売り方を工夫して創造することで、状況が変わるのもまた真実。

 

本質を考える

何か行動や結果に結びつけていくためには、物事の本質を捉えておく必要がある。そうでないと、何を目標にして、どうアプローチするかは全然変わってしまうからだ。そういう点では、例えば「村」とはどういう仕組みで動いているか、「地域活性化」とは何を目的にするのか、など本質的な部分を捉え、思考した内容が書かれているのはとても面白い。

例えば、青年団活動は、このように考えている。

人間には3種類いると言われているんですね。いてはいけない人、いてもいなくてもいい人、いなくてはならない人。それを考えた時に、青年団活動をしている4つのグループは、羽咋という1軒の家にとってなくてはならない存在なのか問いただしてみたんです。町の人たちから、おまえたちはなくてはならないんだと言われているだろうか。あるいは、そういった認識を持たれているだろうか…

こういう視点で考えたときに、どこまで有意義か、あるいは有意義になるかを考えることにつながっていくわけで。

 

最後に。やる気になる一言を貼っておしまい。

そこから始まった信条・モットーが、前にも書いた、 「可能性の無視は、最大の悪策である」  です。とにかく1%でも可能性があるなら、徹底的にやってみようよ。最大の悪策は、やりもしないうちから、絶対出来ないと思いこむことなんです。人間というのは、非常に狭い経験と知識で物事を判断してしまう。長く生きていても経験が狭い人もいるんです。むちゃくちゃ若くても、ものすごく豊富な経験をしている人もいます。1%でも可能性があるのなら、とにかく突き進んでその1%にかけてみようという考え方です。

たくさんエネルギーをもらいました。

カッコ悪く起業した人が成功する

起業、経営、廃業に関して、豊富な経験に基づいて細かいことまで教えてくれる。この内容で100円は安いよ。まあ、結構レイアウトが崩れて読みづらかったりするけど、その点は値段と内容を考えればご愛嬌。

 

ずっと考えていることではあるけど、結局自分一人で稼ぐ力がどの程度あるかといえば、多くの人たちはないと思うわけです。公務員の天下りがなくならないのは、民間で役立つスキルがつかないからだと書かれている記事があったけど、それは民間でも同じ。ただ、民間の場合はその受け皿となるパイが公的機関より広いだけなんだと思う。

天下りがなくならない本当の理由って単純 〜官僚辞めてみて|旧うさみのりやのブログGT ~移転しました~

 

というわけで、自分でもっと経営に関することをやってみたい、という人にはおすすめです。