就活生は活動する前に「就活」という社会構造を知った方が良い

就職活動が4月1日で解禁された。これまで説明会やエントリーシートを頑張ってきた人たちは、これから本格的に面接などを頑張ることになるだろう。そして、新しく大学3年生になった人は、それが1年後にやってくることを考えながら、これから徐々に就職活動の準備を進めていくことになる。

個人的な経験を振り返ってみると、就職活動というのは準備が必要で、どれだけ企業や職業など、一言でいえば「社会」のことを知っているかによって、自分の考え方が大きく変わるんじゃないかと思っている。

まずは自己分析、とか言うけれど、どういう業界や企業があるかも知らない中で、自分の最適な職業なんかわからないよね、というのが感想。

 

「新卒」という市場に参加するプレイヤー

新卒という市場には、複数のプレイヤーが存在する。もちろん「学生」と「企業」というのは、メインの売り手・買い手ではあるのだが、それに加えて「学校」と「就職情報会社」がいる。これらが複雑に絡み合うことで、新卒市場は今の形になっている。

この本では、それらの4つのプレイヤーそれぞれの視点から見た場合の事情や現状が整理されている。

まずはこういう構造を知り、自分がその中でどう立ち回ったら良いのかをそれぞれが考えるべきだ。特に学生は情報の非対称性が大きく、元々が不利な立場にある。それをできるだけ自分で解消する努力が必要だろう。

 

社会人と接する時間が短い

あんまり僕は学生に「あれが足らない、これが足りない」とは言いたくない。自分も未熟な部分は多分にあったし。それよりも、もっと賢く新卒市場を戦える人が増えると嬉しい。

そしてこの本を読んで思ったのは、学生はもっと社会人と接する機会が必要なのでは?ということだ。本の中では、慶応大学が就職に強い理由として、以下のように書かれていた。

学会や大会などで大学外へ出て行けば、慶応以外の学生とも交流するし、学生にかぎらず社会人とも交流することになる。

このような、卒業生や外部との接点が多いことが「無意識下の就活」である。

つまり、学生は社会と接することになり、単一の大学だけでは得られないコミュニケーション能力を身につけていくことになる。

学校の状況や、個人の意識によって変わるのかもしれない。確かに自分で振り返ってみても、もう少し社会というものを感じる機会がたくさんあったら、もっと考えが深まり、刺激を受けたのかもしれないと思う。

 

学生と話す機会があるけれど、学生にはできるだけいろんな社会人と接する機会を設けて欲しいと思うし、そう話すようにしている。時間と余力がある限りはいろんなアドバイスも試みている。そして、学生にはぜひこういう本を読んで、新卒市場の構造をぜひ理解して欲しい。答えはないけれど、自分がどう立ち振る舞ったら良いのかは少し感じるものがあるはずだ。

FixMyStreetに必要なのはサービス運営の設計

FixMyStreet Japan – 地域の問題を共有する
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FixMyStreetがちょっとした話題になっている。まず、FixMyStreetについての説明はこの記事に詳しい。
FixMyStreetを使ってみよう! | Open Knowledge Foundation Japan

道路の状況など、市民の生活に関する情報が可視化され、共有されることは良いと思う。新しい気づきや対応が生まれてくるんだろうと期待したい。

それと同時に、このサービスが有効に使われるためには、使う側のサービス運営の設計が重要だと感じた。

 

サービスプロセスをどう設計するか

上記の記事でも書いている通り、市民側からすると「このサイトにアップして報告すれば行政が対応してくれる」という過剰なエスカレートと、行政側では「苦情処理」が増えるというネガティブ情報の可視化につながり、全体最適に向かって運営するには結構高度なスキルが求められる。

情報を可視化するための簡易なプラットフォームが構築されることは良いとは思うけれど、こういう類のサービスを運営するのは結構高度な運用スキル(端的にいえば、どうやって苦情を裁くのかというプロセスの部分)が必要になり、それに失敗すると、住民側・行政側双方が不満・不信をため込む結果になるんじゃなかろうか、という余計な心配を考えてしまったりする。

 

利用するための目的とプロセスを誰が決めるのか

そういうプロセス設計を行えれば良いのだけれど、じゃあそのプロセスを誰が決めることができるのか、というとサービス主体は札幌のダッピスタジオという会社が運営しているので、簡単に修正することができないし、行政側と住民側の誰と誰が交渉すれば納得のいくプロセスづくりができるのか、というのは難しい気がするわけですよ。

また、まったく関係ない画像や文章がアップされた場合やプライバシーに抵触する可能性がある場合に、それを誰が排除するのか、アップされた情報はどういう取扱いが合法的なのか(著作権はどこにあるのか)など主体がはっきりしないことで宙に浮いてしまう問題は多々あると思われる。

そういう点を考慮すると、千葉市が試しに使ったみたいに、イベントの際に、人数を限定的にした状態で利用することは、目的が明確であり、コントロールしやすいので良い使い方だと思う。

 

これらはオープンガバメント共通の課題

プロセス設計が重要になることや、ステークホルダー間の調整によって主体を決めておくことは、オープンガバメント共通の課題ともいえる。そのサービスを提供することで何が生まれるのか、誰が調整・コントロールしていくのか、というのは自然に任せていて勝手に決まるものではないし、誰かが実施していくことになる。それを行政が担うのであれば、それは人件費やサービス運営費としてコスト増にもつながる可能性がある。

もうひとつは、ITリテラシーやインセンティブという面で、登録件数がどこまで伸びるんだろう、ということも気になる。これはプロセス設計と強い関係がある。サービス利用に必然性があれば、ITリテラシーやインセンティブの面は解消できる可能性が高い。しかし、それが弱いと「わざわざIT使わなくても役所に電話すればいいか」ということになる。

 

すでに長く運用されている英国では、週間で2500件ぐらいの報告があり、月間で5500件ぐらいの対応があったとなっている。これだけみると、比較的使われているのだろう。そういう可能性を秘めたサービスではあるので、今後こういうサービスがどう発展していくのかは興味深い。

社会に入る前に読むのがおすすめ。「企業が『帝国化』する」

企業がグローバル化していくことで、国家から離れて新しい社会構造を築いている。その様子がよくわかる。どの企業にも多様な側面があると思うが、この本ではあまり表面からは見えづらい実態が丁寧に描かれている。

これから社会に出ようとする人には、読んでおいて欲しい。特に、グローバル社会がどういう構造で動いているのか、どのような人材が希少価値があるとして評価されるのかは知ることができると思う。

巨大な「仕組み」を構築する

帝国と呼ばれるにふさわしい企業はどこも、依存症を引き起こしたり、それまでの生活の在り方を根本から変えてしまうほど強力な「餌付けの仕組み」を有しています。

こう表現されているけれど、結局依存症を引き起こすほどのサービスを提供しているということは、資本主義の中では少なからず人に支持されていると考えることができる。ただ、ここで問題になるのは、あまりに巨大であるが故の副作用も少なからずある、ということだろう。その例がいくつか登場している。

アップルの製品が大量に生産されることで、フォックスコンに代表されるEMSは生産量が大量のためアップルから離れることができず、安いコストを実現するために労働環境が決してすごい良いとはいえない。経済発展する過程であるからこそ低コストなのであって、相対的にみれば「恵まれた労働環境」と見ることもできる。要はどういう視点でみるか、だとも思うからジレンマというか倫理的な問題が複雑に絡むのだろう。

というわけで、万能な方法はないとはいえ、これほど巨大な仕組みが構築されると、いろんな部分で「副作用」が生じるのは間違いないのだろう。

 

希少価値が高いのは「仕組みを作る」側の人材

アップルの例では、ベンチャー気質の会社からいかにして巨大企業に変化していったかが描かれている。iPodが大きく売れ始めてから、会社の空気や構造が変わったという。それは、動かすものが大きくなっていくことで、その「仕組み」を構築できる人材が相対的に希少になっていった。iPhoneでの例は以下。

iPhoneには350~400点ほどの部品が使われていますから、3864万台を製造するためには150億個ほどの部品が滞りなく工場に搬入されなければなりません。このレベルの製造を成し遂げるには部品調達のスケージュル管理、部品メーカーとの折衝や管理、製造工程、世界中の販売店への完成品の滞りない配送といったすべてのレベルにおいて、いままでのやり方とは次元の異なる手法を創り出さなければなりません。また、これだけの需要を喚起するマーケティング戦略や世界中のサービスセンターでの円滑な対応なども含め、創造性なしでは成立しないのです。

この結果として形成されるのは、トップダウン型の組織が強化されるとともに、グローバルから優秀な人材を引き上げるようになる。そのためには、異文化でコミュニケーションできることと、周りの優秀な人材と競争しながら成長できる努力が必要になってくる。

 

政府の対応スピードと国家という枠組みの意味

Amazonなどのグローバル企業から購入するのではなく、国産のサービスを購入することで税金など国を支援する、という主張も時々あるけれど、確かに実態としてグローバル企業は租税回避を行っている。

なぜこうしたことがまかり通るのか、ということについての回答は実にシンプルで、各国の法律や条約が、進化の早いIT系の会社のビジネス形態にまったく付いていっていないからです。ほとんどの国の法律や条約は物品を売ることを前提とした形態のまま進歩が止まっているため、こうした抜け穴を防ぐ手だてがほとんどありません。

こうなると、政府はスピードを上げて現状に合った制度を構築していく必要があり、それが実現しないうちは「ひずみ」が生じることになる。オープンガバメントなど行政と民間の距離を近くしようという取り組みも加速しているように見えるが、まさにそういう流れによって、透明性とスピードが上がることを願いたい。

またこの本では、グローバル企業が納税を最小限にするために工夫する中で、国家とグローバル企業の関係は、地方自治体の大規模企業誘致と同じ構図であると指摘されていた。つまり、企業から国家が「選ばれる」存在になる。地理的制約から自由になったグローバル企業は、自分が選択できる範囲から最大限利益を創出できるよう国を選ぶようになる。

少し前、大阪都構想が話題になる中でも、今は国際的には都市間競争が激しくなっており、産業を発展させるためには都市として強くなる必要があると言われていた。国家や都市がどう機能して、地理的制約から自由になった企業の「受け皿」になれるかは、行政の取り組みに問われている。

 

アップルやマクドナルドを称賛する本は多いけど、あまり知られていない実態が描かれている点では読み応えあるな、と思う。

「社長復活」を読んで、経営者という職業を感じる

起業家というのは、感情の起伏が激しい人生を送ることができる、とMBAで習った。これは、起伏が激しい人という意味ではない。それだけ、楽しいときはすごい楽しいし、苦しいときはそれと同じぐらい苦しい、という経験によって得られる感情の幅が大きくなる、という意味だ。

そしてこの本は、まさに起業家・経営者としての生き様がみえる。

経営者というのは、つねに不安と隣り合わせで生きている。お金の問題、人の問題、市場の問題、毎日そればかり考えていて、気が安まることがない。が、いったん慣れてしまえば、むしろ、それがないと生きていけない。何も問題がないと、かえって不安になったりするのだ。

こういう心理状態ですよ。

 

成功→失敗→成功→失敗のジェットコースター

ハイパーネットで一躍起業家として踊りでて、その後倒産。しばらくすると、株式投資や企業価値などのセミナーで一稼ぎ。株式投資ブームが去ると、仕事も少なくなりうつ病で引きこもりに。そして、今回書かれているように、再度起業。

本当、ジェットコースターのように浮き沈みを経験している。こういう経験ができることが、まさに起業家・経営者の醍醐味なのだ。起業家を志す人は、こういうことをポジティブに捉えられないといけないのかもしれない。安定がないと不安、という人は厳しいだろうし。一方で、起業して社長を経験した人に聞くと、「絶対にサラリーマンに戻りたくない」という人が多い。それほど、魅力的な仕事でもあると思う。

 

コンスタントに結果を出すには

面白いのは、健康に対して配慮するようになったことが多く語られている点。

暇というのはとても重要だ。ジムに行って身体を鍛えるとか、気分転換に旅行に行くというのは、ある種の予定であって、本当の暇は「予定のない予定」のことを指す。何かをするための時間ではなく、何もしないための時間。そういう時間があれば、人間はモノを考える。しかも、長いスパンで考えられるようになる。

忙しくしていると、どうしても余裕を持って考えることができなくなり、広い視野が失われてしまう。村上春樹は朝早く起きて、ジョギングしたりしながら規則正しく小説を書いていると聞いたことがある。無理して忙殺されるのでは、一時は良いのかもしれないけどそれが続くと自分で自分を見失っていくんだろうな、と最近は自分も思う。

 

ちゃんと稼ごうという意識

金がすべてではないが、稼げる能力があるなら稼ぐべきだ。稼いで、税金を払って、寄付したい人は寄付する。稼ぐということは、社会に何らかの価値を提供した見返りだ。自分はそこから逃げていた。

ビジネスに役立つ『商売の日本史』講義」でも書かれていたが、日本にはお金を稼ぐ行為が卑しく捉えられる側面がある。しかし、お金は良くも悪くもなく中立なものだし、稼ぐという行為そのものは社会からの投票の結果とも考えられる。

実際、こうやってお金を稼ぐことを意識しているから、一度倒産しても講演とか企業価値セミナーでまたお金を獲得していく。それは根底に、「どうやって稼ぐか」という意識があるからだと思うし、サラリーマンとの違いはそういうところにあるな、と思った。

 

素晴らしい経営者が「何か起こすんじゃないか」と思うと、本当にわくわくする。こういう気持ちをまた体験できて嬉しい。

RSS好きな人向け。キーワードから情報を取得できるおすすめのRSS3つ

愛用しているGoogleリーダーの終了予告が行われて、RSSはもう終わったと言われていますが、全然使えると思うし、RSSでこんな情報の取り方があるんだよってのを書いておこうと思います。

昔、キーワードを指定してRSSを取得することで、特定の話題に関する記事を効率的に集める方法を書いたことがあります。そして、その後TwitterがRSS提供やめることになりました。

各種サービスのRSSでの取得方法いろいろ

TwitterのRSSサポート終了で情報収集手段がひとつなくなった

というわけで、今よく使っているRSSを3つご紹介します。それぞれの特徴で、少しずつ使い分けています。

Googleアラート

いつ終わるかわからないという恐怖もあるのですが、一番広く記事を取得できるんじゃなかろうかと思うのがGoogleアラートです。Googleだからやはり広く情報を拾ってくれるし、Googleアラートのサイトからキーワードを登録して、配信方法で「フィード」を選ぶだけでGoogleリーダーに登録できるから、設定も簡単。

はてなブックマーク

はてブの記事に登録されているタグに、RSSがあることを知ってから使っています。特定のキーワードタグを見つけて、RSSのアドレスを取得するだけです。

はてなブックマークは、やはり良質な情報をフィルタリングする、という意味では優れたサービスだと思います。

Yahoo知恵袋

最近のおすすめはこれ。Yahoo知恵袋でキーワード検索したものはRSS取得できます。Yahoo知恵袋に投稿された情報が取得できるので、どういうことを気にする人が多いのか、とかGoogleアラートやはてブでは拾いにくい情報が取れます。

登録の仕方は、ここがわかりやすくて良いです。
Yahoo!知恵袋もRSS登録することができるだっていうのを最近知った | bl6.jp

なんだかんだで、RSSは広く普及しているフォーマットではあるし、積極的に情報を取ろうという人にとっては有益なツールであり続けると思うんですよね。

ソーシャルだけでいいじゃん、というのはなんか違うと思うなーと感じる今日このごろです。

「新人」を卒業して、自分に自信を持って仕事をする方法

「自分に自信がないんです。」

そう思っている後輩に、たまに遭遇する。およそ誰でも通る道なのだろうと思う。仕事を覚えても、自分のやっていること、考えていること、判断などに自信が持てない。意見を出しても誰かに否定されてしまう。

人は誰しも不安になる。本当にこれで良いのだろうかと思ってしまう。しかし、それでは自分の仕事の幅を広げていくことは難しい。

それを乗り越えるためにはどうすれば良いか。それは、「自分が何に不安を抱いているか」を、具体的に考えることだ。

 

悪いサイクルにはまってしまう例

例えば、何かを調べて、資料を作成する仕事があるとする。いろいろ調べて資料を一通り作ったものの、やっぱり自信が持てない。上司に「とりあえず見て下さい」と資料を託す。そして、たくさん指摘が返ってきて、「ああ、やっぱり自分はできなかったな」と思う。

これだと、自分がいつまでたっても上司の判断を超えることは難しい。

 

自信がないときは、その原因を考える

一通り資料を作り、自信が持てないと感じたら、「なぜ自信を持てないのか」を具体的に、詳細に考えていく。それは、根拠となる資料集めが不十分なのかもしれないし、自分の自信のなさを表現するように文章が曖昧だからなのかもしれない。あるいは、単なる杞憂で、とりあえず今は心配する必要がないのかもしれない。ひとつ言えるのは、自信を持てない理由はちゃんとあると思うのだ。それを具体的にすることで、自分の自信がない部分と、それをどう乗り越えれば良いのかが、もう少ししっかりと自分の中で見えてくるはずだ。

情報が不足しているのであれば、もっと集める方法を考えれば良いし、アイデアが欲しければ上司に「アイデアを出して欲しい」と相談してみてもいいかもしれない。

 

やってはいけないこと

やってはいけないのは、「何となく不安だから、とにかく全部見て下さい」とやってしまうことだ。これをやると、自分が何に対して不安があり、どれは自信があるかをはっきり自覚できない。加えて、上司からみてもどこまで理解しているかを判断する材料が乏しくなってしまう。

 

自信を持って仕事ができれば、いろいろ仕事の幅が広がる。仕事の幅が広がることは、自分が社会に対するインパクトを大きくできることだ。いろんな人に自信と持って頑張って欲しいと思うし、僕も頑張ろうと思う。

自治体関係者は見るべき。オープンデータ系動画5本

オープンデータの機運は、日本でもだんだん高まっている。具体的な取組事例も生まれているし、国や自治体が積極的に政策に盛り込む動きも出ている。というわけで、オープンデータを効率よく理解するための動画をここで纏めておこう。

 

ティム・バーナーズ=リーが示す次のウェブ

World Wide Webの創設者が語る、開かれたWebの世界。改めてみてもプレゼンが秀逸。オープンデータがなぜ必要かがよくわかる。Row Data Now!

 

オープンデータが拓く未来

国際大学GLOCOMが開催した公開シンポジウム。2012年5月のもので、欧米でのこれまでの流れや、オープンデータにまつわる用語が整理されていて、入門編として良い。
公開シンポジウム「オープンデータが拓く未来 〜動き出した日本の公共データ活用〜」: GLOCOM


Video streaming by Ustream

 

オープンデータ活用事例の紹介

オープンデータ流通推進コンソーシアムが開催したシンポジウム「オープンデータは社会を変えるか私たちが今取り組むべきこと」での講演内容。実際の活用事例や、公開時の問題点、注意すべきポイントなどが纏められていて、オープンデータとしての取り組みに何が必要か具体的に理解できる。

第二部のパネルディスカッションも結構面白い示唆が含まれてる。

 

オープンデータ流通推進コンソーシアム第4回利活用・普及委員会

こちらもオープンデータ流通推進コンソーシアムが3月13日に開催したシンポジウム。総務省の実証実験など、どちらかというと国からのアプローチが内容としては多いかな。


Video streaming by Ustream

 

個人的には、まだ市民など一個人や企業からすると、魅力的なキラーコンテンツは登場していないと思っていて、いわゆる「キャズム」はまだ超えていないと思っている。ただ、データを公開する流れは間違いなく強くなっているし、今のところ逆行する気配もない。仕組み作りやどういうコンテンツができるか、など課題は多いが、今後もこの流れは止まらないだろう。

広報担当者はUstream、ニコ動、YouTubeの収益モデルの違いを知っておこう

Broadmark / Pixabay

先日Ustreamのダウンロードツールについてメモ書き程度に残しておいたけど、個人的にはUstreamの話題を目にする機会が減っているせいで、「最近流行っているのか?」と思っていた。しかし、TechCrunchの記事によると順調に成長しているようだ。

広報ツールとして動画サービスが利用される機会もどんどん増えているが、それぞれどういう収益モデルで動いているのか。そして、そこからサービスが今後どう展開されるかを広報担当者は把握しておく必要があるんじゃないだろうか。

 

Ustreamは配信サービス提供で配信者から収益を得る

以前は広告、有料コンテンツ課金がメインだったが、最近は配信サービスをSaaSとして提供して利用料を取るモデルに変化しているんだそうだ。企業のイベント配信なんかにニーズがありそうだ。

ユーザ数1500万、月間視聴者数8000万。
Ustreamが6%の人員削減+2名のVP増で有料サービスProシリーズへの注力を強化 | TechCrunch Japan

過去の動画を見るのは目的としては低く、やはりメインはリアルタイムストリーミング。検索されるのは弱いので、自分でプロモーションする必要性がとても高い。

 

niconicoは良質なコンテンツでユーザーから収益を得る

ニコ動はコンテンツを軸にした有料会員で収益が伸びている。広告収入もあるが、プレミタム会員の売上が半分以上を占めている。良質なコンテンツを生み出すための様々な取組を行っていて、平均的な視聴時間が長いのが特徴。

1日平均PV数は約10000PV。1日平均訪問者数は約800万人。1訪問の平均滞在時間104分。
ニコニコ動画の収益がどうなってるかについてまとめたお – NAVER まとめ
ニコニコ動画とは (ニコニコドウガとは) [単語記事] – ニコニコ大百科

ユーザーの囲い込みが大きく、コンテンツ重視であるから、提供するコンテンツがニコ動のカルチャーに合致していることが重要な気がする。逆に、有料会員は金を払ってでもニコ動を見るので、コンテンツ勝負であれば良いんじゃないか。

 

YouTubeは圧倒的アクセス数によって収益を得る

YouTubeは広告メイン。これは、圧倒的なPV数によって成立している。しかも、Googleなので検索やリコメンドによって動画にたどり着きやすいサービス設計にもなっているので、短いコンテンツを次々見ていく感じになっている。

2009年と少し古い数字だけど、1日平均PV数は40億PV。
提案などに使える!動画配信サービスの数字感まとめ ~Ust・ニコ動・YouTube~ | ACTZERO – 株式会社アクトゼロ

最近だと、月間ユニークユーザーが10億人突破。
YouTubeの月間ユニークユーザー数が10億人を突破 – ITmedia ニュース

圧倒的にアクセス数が多いのはYouTube。一本当たりの動画の時間が短いのが特徴だけど、回遊率や類似動画のリコメンドなどのアクセスアップが充実。

 

いろいろサービスによって収益モデルが違うのは面白い。企業によって注力している方向性が違うというか、どこから収益を出そうとするかの発想が、全く違うわけです。なので、動画サービスと一言で言っても、広報したい内容やどういうユーザーをターゲットにするかによって、これらをどう組み合わせて利用していくかも変わってくる。

 

外出先で動画を見る。URLを入力してUstream動画をダウンロードする「Ust DL」

Ustreamの動画を見ようとするけど、外出先でも安定して見ようとするにはネット接続じゃなくてダウンロードしておきたいと思うもの。過去にも、Ustreamの動画をダウンロードする方法を書いたこともあった。

Ustreamをダウンロードして音声だけ抽出する方法(Mac編)Synapse Diary | Synapse Diary

 

だけど、これまで使っていたツールじゃうまくいかなくなったので、これに切替。非常に便利。

Creazy!(クリエイジー!)
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URLを入力して、変換ボタンを押すだけ。あとは、リンクを右クリックして保存すれば完了。ちなみに、利用するには、Facebookページで「いいね!」をする必要有りです。すごい便利だから、全然「いいね!」するよ。

それにしても、相変わらずUstreamは動画やストリーミングの検索が不便だな。。。。どちらかというと、Ustreamはやはり配信サービスなので、動画をストックして次々見ていくような使われ方が少ないからだろうと思うけど。

ビジネスに役立つ「商売の日本史」講義

ひふみ投信のファンドマネージャーが、経済の観点から歴史を書いた一冊。とても貴重な観点で経済のエッセンスがえぐり出されており、とても興味深くページをめくった。

 

外向きと内向きのスイング

本の軸にあるのは、神話になぞらえた「ウミヒコ」と「ヤマヒコ」という、海系の開放的な考え方か、山系の閉鎖的な考え方のどちらが日本を支配するかによって、日本という国はスイングしてきた、というものだ。つまり、「ウミヒコ」の場合は貿易など外貨を稼ぐことに注力し、「ヤマヒコ」は国内に投資して内需を拡大することに注力する、という。どちらが良い・悪いではなく、そういう時代が交互にやってきていることを指摘している。

そして、今がまさに開かれる時代にまた振れている。それは、戦後の日本にとっては比較的安定した国際情勢の中で、道路などの国内インフラ投資によって内需を拡大してきたが、それも一巡した感がある。と同時に、中国などアジアの影響力が強くなり、日本もそれに影響された動きになるからだ。特に中国の影響はとても大きい。

さて、海と山の話に戻しますが、日本史は中国という隣人の影響を常に強く受けています。中国が経済的に強くなってくると国を開いて積極的に交流をし、中国が弱くなってきたら国を閉じて内国中心的になり、自国の独特の文化が花を開くという軸の移動を繰り返しています。

そういう流れを読めるかどうか、そしてそれが経済や政策にどう影響するのかを、僕らは考えないといけない。

 

ポピュリズムは政権衰退の証

歴史をみると、ポピュリズムというのは政権が衰退した証なわけで。それを経済的な観点でも同じことが繰り返し起こっているわけです。

インフラは、維持が大変です。政権の経済力がなくなると、それが放置され建造物の崩壊が始まります。鎌倉時代、江戸時代、そして昭和はヤマヒコの時代に分類できるでしょうが、いずれも国内の整備、特に道路整備に熱心であることが共通します。そしてその末期には、財政難からそうしたインフラが維持できなくなり、批判を集めます。

本当、歴史は繰り返すんだな。そして、内需が伸びなくなって、外に目が向く。こうやって人々の行動が内向きになったり外向きになったりする。

同じように、衰退した政権はこれまでたくさん徳政令を発行してきて、その度に結果として国を疲弊させてきたんだそうな。

八〇〇年前の鎌倉幕府が行った徳政令を、愚かしい政策と多くの人は笑うかもしれません。しかし、このように大衆迎合的な人気取り政策は、政権の力が弱り衰退期になると、日本の歴史に頻繁に登場します。そして大半が失敗して、政策目的を達成できません。さらに自滅行為というべき愚かしい政策が人々を巻き込む可能性があるのです。

これも、現代でもどこかで聞いたような話。

 

金儲けは汚いという日本の価値観

金儲けをすることはどこか「卑しい」という感覚が、社会の中にはある。本の中で出てきたのは、社会企業家の例だった。

「普通の企業家と社会企業家を分けるのは意味がないのではないかな。企業家はその活動を通じて社会に役立つことをしているよ」。すると学生は「企業家は金儲けを求めるのでなりたくありません。社会企業家になりたいのです」と言うのです。「金儲けは悪い」「会社が良くない存在」と、学生が思い込んでいます。

確かに、社会企業家が注目されていたのは、これまで公共サービスとして事業化が難しいと思われていたことを、新しいアプローチで問題解決しつつ事業を成立させる点にあった。だからといって、社会企業家が一般的な企業家より高邁であるという考え方は違うと思う。

こういう価値観があるから、新しいお金を生み出せるエネルギーが小さくなって、貧しくなっているんじゃないか。お金に関する教育が日本には欠けていると言われているが、こういう価値観が根底にあるからかもしれない。

 

 

歴史とは、いろんな見方によって学ぶべきところはたくさんあるんだな。平安時代における貨幣の広がりと荘園制度の崩壊とか、当時の政権が経済をどうやって掌握するのかとか、たくさん面白い洞察があって、面白くって仕方なかった。最後に、希望の言葉で締めくくろう。

一方で厳しい下げ相場のときにも同じようなことが起こります。下落が永遠に続くように思い、投げやりになり、動揺します。しかし相場はいずれ反転します。今ある現実を嘆くよりも、次の「スイング」を考えながら、手を打つほうが賢明なのです。どんな状況でも絶望する必要はありません。

 

ビジネスに役立つ「商売の日本史」講義 (PHPビジネス新書)