ぼくらの頭脳の鍛え方

ビジネスインサイトを読んでから、僕の中で教養に対して関心が高まっている。Wikipediaによると、教養の定義は以下の通り書いてある。

一般に、独立した人間が持っているべきと考えられる一定レベルの様々な分野にわたる知識や常識と、古典文学や芸術など質の高い文化に対する幅広い造詣が、品位や人格および、物事に対する理解力や創造力に結びついている状態を指す。

教養 – Wikipedia

要は、自分の専門分野だけでもだめで、幅広い知識と、そこから導かれる造詣が必要になる。もう少し教養というものの理解と関心を高めるために、この本を買った。

 

著者になっている二人が、それぞれ教養として読むべき本をそれぞれ200冊ずつあげているのだが、いろいろ読んでみたくなる。また、ブックリスト以外にも二人の対談も非常に示唆が多く、面白い。

教養は何の役に立つのか

教養が何の役に立つのかは、この本を読めばわかると思う。たくさん役に立つポイントはあると思うけど、自分に様々な観点を含ませることで、強烈なイデオロギーにとらわれず、冷静に物事を見つめられること、という点が非常に良かった。

メディアを見ても、正直何が正しいのかがわかりづらくて、判断が難しいと感じる。だけど、自分で考えて判断していかなきゃいけないこともたくさんある。だから、そういう「自分の中の確かさ」を確立するためには、教養として知識や洞察を蓄積する必要があるんだろう。宗教の話題から、教養の必要性を説かれていたのは、非常に印象的だった。

マルクス主義、キリスト教という毒薬を解毒する力というのが教養ではないでしょうか。P.214

 

教養は失われているのか

著者の二人が共通して述べているのは、最近全体として教養レベルが低下しているということ。学力が落ちているというのは近年ずっと言われているけれど。講演会の例として、以下のコメントが挙げられている。

復活させないといけないのは読書人階級ですね。本読む人っていうのは一つの階級ですから。最近、講演会で講演をしたときに感じることなんですが、十年前と比べて、質疑応答の時間に質問する人が減った。ところが、質疑応答の時間が終わった瞬間に、縁談の前に長蛇の列ができる。人々の間で、個別に聞きたい、情報をシェアしたくない、という意識が強くなっている。P.135

全体として、知識もすぐに役立つものが強く選ばれる傾向にある(自分もその傾向が強いと思うけど)ことから、知識の幅や深さが低下しているのかもしれない。

そして、何より教養が必要な理由は次の点にある。

古典には、知の共通基盤としてに役割があると思います。人と何かについて語り合うときに前提となる知識がないと中身が濃い議論ができないからです。P.220

知識基盤がある程度揃わないと、同じ深みで議論することが難しい、というのはその通りだと思う。そして、深く議論するためには、議論する人たちが皆同じ程度で知識を蓄えておくことが求められるのだ。それは、MBAで学習する経営学でも同じ。経営に関する知識や考え方が同じ程度でないと、議論のレベルが上がらない。

 

というわけで、もっと本を読みましょう。大好きなクーリエ・ジャポンまで教養特集で、ついつい買ってしまった。

 

経営の本質がわかるようでわからなくなる「ヤバい経営学」

Kindleセールが行われていたので軽い感じで手を出してみたが、予想以上に面白い内容だった。最近のモチベーション理論や行動経済学と同じように、人間心理と非常に関連がある示唆が含まれている。

 

因果関係と関係は異なる

本の中では、一般的にセオリーと思われている経営手法に対して、たくさん疑問が呈されている。リストラの是非であったり、組織変更の有効性だったり。そこによくあるパターンとして、関係性があることを「因果関係がある」と錯覚してしまうことにある。

心理学者の大家ダニエル・カーネマンの著作「ファスト&スロー」でも、人は因果関係を見出したがる傾向があると書かれている。

なので、経営の名著とされているビジョナリーカンパニーで書かれている内容も、本当に全て当てはまるのかと本書には書かれている。経営理念を設けることも、良い企業をピックアップした結果として経営理念を持っている企業が多かったからといって、その因果関係が証明されているかは別の問題だ、というわけだ。

ここで言いたいのは、「関係があることと、因果関係があることは異なる」ということだ。成功企業がコアビジネスに集中し、強固な企業文化を持っているからといって、成功の原因だということにはならない。むしろ重要なのは、そういう成功企業の特徴をただ真似ることは、逆に会社を成功から遠ざけてしまう可能性がある、ということだ。

イノベーションを遂行するためには非常に高い経営リスクが内包されている、組織の定期的な変換には効果がある、企業が上場するメリットは本当に大きいのだろうか、人員削減は本当に企業にとって効果があるのか、といういろんな問題提起が行われている。

また、コンサルタントの活用方法や、コンサルタントを含めた組織内の知識活用についても書かれていて、これらの内容は個人的にとても面白かった。コンサルティング会社は知識を集約し再利用することが意味があると思っていたが、それで必ずしもコンサルタントの価値が高くなるわけではないんだってことは、新しい発見だった。

 

人は見たくないと思ってしまうことは見ない場合が大いにあるし、思い込みによって経営を実践する場合がたくさんあるということだ。むしろ、定量化できず目に見えない部分が経営に影響を与えている部分が大きいとも述べている。この本は、明確な経営手法などの答えを与えるのではなく、どのような点がとらわれやすいのか、どこを気にするべきかを教えてくれるという点で、非常に異質で面白い本だ。

最近読んだ、これらの本と関連性をいろいろ感じた。

商品を売るには「評価軸」を提案した方が良いと思う

最近の生茶のCMを見て、ふと思った。

これ、何を伝えたいメッセージなんだろう。自分の感覚を信じろ、ということか。

このCMを見て、「綾鷹」のCMやマーケティング戦略が優れているな、と思ったことを思い出した。

データが正しいとか、そういうことが重要なのではなくて、「急須に入れたものに近い」という印象を与えることが重要なわけ。「おいしい」という抽象的な尺度ではなくて、「急須に入れたもの」という評価軸を持ちだした点がうまいと思う。

個人的には、生茶のような打ち出し方より、綾鷹のように評価軸を提供する方がマーケティング戦略的には勝ちな気がするな。だって、人って結局何で商品を買うのか、わかっているようでわかっていないから。特にこういう商品に関しては。

この記事で、綾鷹がどういうマーケティング戦略にしたのかがわかる。
Business Media 誠:仕事をしたら“緑茶”が売れた:なぜ「綾鷹」が売れているのか? ヒットの秘密を探る (1/5)

どの商品がどの程度売れているのか、データがわからなかったのが残念。

 

それにしても、お茶の市場って激戦区だよね。おーいお茶、生茶、伊右衛門と続き、いろんなお茶が市場に投入されている。個人的には、お茶じゃなくて水の方が安くて好みです。

経営フレームワークの限界を突破するためにはどうするか

新しいビジネスモデルを生み出すためには何が必要なんだろうか。本書では、実証研究や知識の習得だけでない要素として、「ビジネス・インサイト」が必要だと述べている。

 

経営フレームワークの限界

ビジネススクールに行くと、経営フレームワークをたくさん習う。まあ、本当にたくさん。だけど、それを使いこなしても、結局「で?」ということに対して答えられない場合が多い。「使いこなす」という点ではとても難しい。

でも、そもそもフレームワークに限界があるんだと思う。経営なんて不確定要素がたくさんあるし、ひとつの事象をフレームワークで説明できたとしても、自分にあてはめてうまく説明できるとは限らない。それよりも、考えを整理したり、新しい気付きを得たり、複数人で共通認識を持つために使うと便利だ、というぐらいに捉えるのが賢明だ。

 

「対象に棲み込む」ことで「暗黙の知識」にたどり着く

本の中でよく登場するのは、「対象に棲み込む」と「暗黙の知識」だ。まず、「暗黙の知識」というのは、形式知ではなく、かつ「自分が知っているはず」の知識を再発見する行為にあたる。いやー言葉で書いてみるとさっぱりわからない気がするけど。笑

ただ、形式知だけではない部分というのがたくさんあり、そこにビジネスの本質があるとすると、そういう「暗黙の知識」にどうたどり着くのか。そのアプローチとして「対象に棲み込む」ということを挙げている。簡単に言ってしまえば、当事者意識を持てということなんだけど、細かいことは本を読んで欲しい。(著者は、その一つの方法としてケース教育を挙げている。)

逆に、そこまでしないと知っていることの取り込みだけになり、「コピー・キャット」ではないけど、中途半端な模倣になったりする。本書の例にあるように、ヤマト運輸やセブン-イレブンなど新しいビジネスを創造する人たちはビジネスの本質を捉え、単純な真似ではなく、新しいエッセンスを取り入れてビジネスモデルを構築している。

 

ビジネスというのは、知識や経験だけに拠るものではないし、洞察し実践していく力も同じぐらい重要で、かつそれは身に付けるのが難しいものだけれど、不可能ではない。関心がある人は、ぜひ読んで欲しい。

ビジネス・インサイト―創造の知とは何か (岩波新書)

MBAに関心ある人向け。ケース教育の利点を理解しよう

ビジネススクールといえばケース・スタディ。学校によっていろいろ比重ややり方は微妙に違うようだけれど、企業のある状況をケースとして取り扱い、その背景や理論などを疑似体験して学習することが目的だ。

そして、今回ビジネスインサイトという本を読んで、MBAにおけるケース教育の利点が非常にわかりやすく紹介されていて、「ああ、なるほどな」と思った。ビジネススクールに行こうかどうかと思っている人や、今行っている人は読むのをおすすめしたいぐらい。

 

 

改めて体系的に学習することのメリット

最初のあたりで、以下の記述が登場する。

神戸大学の同僚であった加護野忠男から、「松下幸之助と本田宗一郎と中内功の共通点は何か」と、問われたことがある。言うまでもなく、松下幸之助はパナソニック(旧・松下電器)を、本田宗一郎はホンダを、そして中内功はダイエーを、それぞれ創業して大企業に育てた人たちであり、わが国では歴史に残る企業家である。彼らの共通点は、加護野に言わせると、「実業に就いてから、学校に通った」という点だと言うのだ。P.4

確かにビジネススクールに行くメリットというのは、ビジネスを少しでも経験してから学習することにあると思うし、昔学生から「学校を卒業したら直接経営大学院に行くのはどう思うか」と相談を受けたときにも、似たような答えを述べた。

つまり、体験をしたからこそ、知識を学習することで気づくこと、身につくことが多いと思うし、ビジネススクールは内容やメソッドとして、そういう点が重視されている。

 

ケーススタディで何を学習するか

ビジネススクールとは、経営判断力を養う場だという主張を過去に見かけたことがあった(具体的な記事を忘れてしまった)が、それ以外にもたくさん学ぶものが含まれている。そのひとつは、こういう点だろうと思う。

自分の考えを暗黙のうちに縛っているのが視点である。自分はある視点でしか見ていないことに気づくと同時に、それ以外にももう一つの視点があるはずだということをつねに信じる柔らかい頭が必要だ。こうしたことは、日常生活の中ではなかなか気づきにくい。そうした気づきにくさを知ることを含めて、視点の多様性を学ぶことが、ケース教育の狙いの一つだ。P.156

学習に対していろんな視点を持つことで、はじめて相対的に比較することができる。そして、自分が凝り固まっていることや、自分が重視していることに気づくことになる。そうやって気づきをたくさん増やし、実際の現場に持ち帰ることができるようになる。

僕も講義で言われたのは、ケーススタディは所詮過去の結果でしかない。そこからどういうエッセンスを見出し、未来を作り出すかが重要だ、ということだ。まさにこの本でも同じことが書かれている。

 

こういう学習に対する考え方を理解しているのとしていないのでは、自分が吸収できる量も大きく変わると思う。

アベノミクスで日本はどこへ行く?

内容は、先日読んだ「アメリカの世界戦略に乗って、日本経済は大復活する!」と重なる部分が結構ある。最近経済をちゃんと勉強しようと思っているんだけど、この本も今起こっている事象を理論と合わせて説明してくれる点で、非常に理解が深まって良い感じ。これで200円とか。

アベノミクスはマーケティングの勝利

今株が上がっているのも、円安が進んでいるのも、アベノミクスのおかげとは言いづらい。

株高の原因は、去年秋からの急激な円安です。これは安倍さんのおかげじゃなくて、去年8月にECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が、南欧諸国の国債を無制限に買って支援すると表明したのがきっかけで、9月ごろからユーロが上がり始め、続いてドルが上がり始めた。リスクを避けて円に逃避していたリスクオフの資金が、欧米に戻り始めたのが円安のきっかけです。

ただ、タイミングは非常に良かったし、マーケティング的勝利なんだろうな。「景気のキは気分のキ」といわれる通り、新しい情報が入るとそれが織り込んでマーケットは動く。それが実質的なものではなくても。

 

インフレは嬉しいことなんだろうか?

今、日本はインフレを目指していろいろ政策が行われている。本当にこれは嬉しい結果につながるんだろうか。

まず、「デフレが景気を悪くしている」というのは確かに疑問だ。デフレは結果に過ぎないし、日本は輸出大国ではなくなっているし、確実に世界は一物一価の方向に進んでいる。デフレが起こるのは必然的な流れとも言える。

興味深いのは、インフレが実質的な賃下げであること。

だから日本の労働者の賃金は高すぎるわけです。中国と差が縮まらないと競争力の差は縮まらない。だからそれをやるためには賃下げをすることが望ましいんだけど、賃下げというのは非常に難しいですから、インフレによって実質的に賃下げをする。そういうことによって雇用を増やすというのが、本当のインフレの狙いなんですね。

確かに世界中で物価が下がる一方で、名目賃金を下げるのは難しい面が伴う。そうであれば、インフレを起こすことで実質的な賃金を下げ、これにより国際競争力を強化する。理論的には確かに成り立つが、テレビのニュースなんかではこういう説明を見た覚えがないな。

本当の原因はどこにあるのか?

本の中で話はどんどん進んでいき、最後は労働市場に焦点が当てられる。これが非常に面白かった。

欧米では、産業別労組が賃上げ要求するのに対して、企業がそのコストを転嫁してインフレにし、高コストの労働者をレイオフする。その労働者が賃金の安い成長企業に転職する、という形で新興国との賃金格差が是正されてきました。

それに対して日本では、企業別労組が経営側と痛みを分かち合って賃下げする代わりに雇用を守るという形で単位労働コストを下げてきました。どっちが社会的コストが大きいかというと、欧米のほうが失業率も高くなる。日本は、少なくとも企業の中にいる社員は守られる。

つまり、日本は賃上げやベアを諦める代わりに、失業率を下げていた。ただ、マクロな目線でみれば、雇用を硬直化して、若年層や非正規雇用に転換されていたり、成長産業に人材が移動しないというデメリットも抱えている。

 

世界のトレンドは物価下落だ。そして、途上国の低賃金競争に勝っていくためには、付加価値の高い成長産業に人を配置していくための労働市場改革が必要になる。ああ、自分の頭がつながった感じ。

アベノミクスで日本はどこへ行く? (アゴラオリジナル)

風間フロンターレにみる、組織における自由と規律の問題

今Jリーグでは風間監督率いる川崎フロンターレが注目されている。昨年4月から就任して2年目になるが、これといった結果が数字上は出ていない。

 

風間フロンターレに対する評価

そして、これに対する評価というのが人それぞれ分かれているのが面白い。

昨年の4月に風間八宏監督が就任したとき、「川崎はなにかやるのでは」という期待感を持ったものだが、残念ながら今シーズンはなにも伝わってこない。ただ感じられるのは選手たちの戸惑いだ。確かに僕自身、川崎の試合のすべてを見ているわけではない。生で見たのは、今シーズン3試合目だったのだが、それでも選手たちが自信を失っていくのが伝わってくる。

低迷川崎に見る「自由」の難しさ 監督の戦術に戸惑う選手 – 47NEWS(よんななニュース)

そりゃ、結果が出ていないプロの世界では、こういう評価になると監督更迭という話も出てくるだろう。その一方で、更迭にならないのではという見方もある。それは、長期的に勝てるチームを作っている、という見方からだ。

思うように結果が出ない川崎は立て直せるのだろうか。この問いに対し「簡単ではない」と答えたい。ただし、この言葉からは悲観的な意味は排除してある。風間監督ははぐらかすが、いくつかの状況証拠から、チーム作りをする上で監督が選手たちを大人として扱い、自律して戦えるチームを作っているのは確実だ。自律して戦えるチームとは、試合で目の前の状況に能動的に対処し、プロとして生活を律することができる集団のことである。

誤算続きでも風間監督更迭の可能性は低い|コラム|サッカー|スポーツナビ

 

つまり、結果が出ていないのは新しい組織を作っているからであり、これまでとは大きく違う組織を作り上げるのには時間がかかるものだ、という見方だ。

こういう話はサッカーの現場ではいろいろあるようで、日本代表でもトルシエの規律主義とジーコの自由主義が対比として語られることもある。昔読んだ岡田監督の講演でも、も横浜Fマリノスを率いていたときのコメントに同じようなことがあった。

ど真ん中が空いていたら、ど真ん中に行くのが一番いいんですよ。ところが、「監督の言う通りやったら勝つ」とみんな思ったら、何も考えずにサイドに出すようになった。そういう選手たちを見ていて、「俺は本当の指導者なのかな。こういう指導でいいのかな」と勝っても勝ってもずっとどこかに引っかかっていました。

横浜F・マリノスの1年目(2003年)は年間王者になりました。それで2年目(2004年)は「もういいや、こういうやり方は。お前らちょっと自由にやってみろ」と言ったところ、開幕から1分2敗でクビになりそうになりました。「これはマズイな」と思って、選手に「悪かった。もう1回やり方をもとに戻す。今からでも間に合うかどうかは分からないけど」と言ったら間に合っちゃったんですよ。2年目も優勝したんです。

Business Media 誠:岡田武史氏が語る、日本代表監督の仕事とは (1/7)

 

自由と規律のバランスは難しい

僕はサッカーは専門ではないけれど、組織論で捉えると、これはいわゆる権限移譲の問題だ。現場に自由と責任を与えることで、仕事の創造性やスピード、本人のモチベーションアップを得ることが主な目的になる。

風間フロンターレでも、前述の記事を読むと、現場である各選手に自由と責任を与えることで大きな組織変革を行っていると読むことができる。ただ、これは本当正解があるわけではなくて、完全に自由にしすぎると規律が失われてコントロールできなくなるし、規律を強めると個人の創造性が失われてその先の広がりが、個人にとっても組織のとってもなくなってしまうかもしれない。

これをうまくバランスとっていくためには、各個人がどの程度まで自由を受け入れられるかを見極めないといけない。人を育てるために投資が必要であれば、それがどこまで許されるのかを見極めて実施しなければいけない。その点で、管理者に求められる能力とプレッシャーは大きい。

 

今、風間フロンターレが注目されているのは、「勝負の厳しい世界でどこまで負けが許されるのか」という点と、「我慢した先に素晴らしいチームが待っているのか」ということだろう。それは誰もわからないが、その葛藤の中で戦う精神力だけを見ても、非常にタフな仕事に違いない。

現状は厳しいと思うけれど、これがどこまで続くのか、どこかで劇的に変化するのか。今後風間フロンターレがどうなるのか、僕はひっそり注目している。

 

Pocketなど「後で読む」系サービスはマーケティング的にどの程度有効なのか

Pocketのデータが取得できるということで、話題になっている。早速ボタン設置してみたり、パブリッシャーに登録してみたけど、確かに興味深いし面白い。

そこで今日は、「後で読む」系サービスがマーケティング的にどの程度有効なのかを考えてみる。

 

「後で読む」系サービスのインパクト

「後で読む」系の記事というのは、PocketとInstapaperが二大巨頭だと思うのだけれど、それぞれどの程度ユーザーがいるんだろうか。

まずPocket。この記事によると、全世界で740万人。
Pocket、2012年における利用者数740万で保存アイテム数は2億4000万件 | TechCrunch Japan

次にInstapaper。こちらは、全世界で200万人。
“後で読む”のInstapaperをDiggの親会社Betaworksが買収 – ITmedia ニュース

ちなみに、Facebookのユーザー数は「日本で」1382万人。予想通りだけど、比較するとスケールが違うのがわかる。まあ、「後で読む」系のサービスを使っている人は、比較的ITを使いこなせる人が多いと思うので、全体のパイとしては小さいだろう。

 

ただ、面白い特徴が2つがある。ひとつは、サービスの成長率が高いこと。前述の記事にある通り、2012年のPocketはユーザー数の成長率が85%で、非常に大きい。今後も増えていくんだろうと思われる。

もうひとつは、利用頻度が高いこと。一度使いはじめると、うまく生活パターンに組み込まれて、よく利用されるようになるんだろう。あくまで「後で読む」という機能なので、SNSのように途中で飽きるという懸念も小さいのかもしれない。

 

「後で読まれる」ためのマーケティング

というわけで、今後もこういうサービスは勢力を拡大していくんだろうとは思う。ネットで記事が読まれることが当たり前になっているし、やはりネットサーフィン中に長い記事を読むのは少しストレスというか、集中して読める時間に片付けたいと思うもの。

で、特に長い記事を書く傾向にある人は、どういう点を意識すべきかを考える。

タイトルは内容がよくわかるものを

まあ、これは当然でしょう。タイトルが曖昧だと内容を推測することができないので、後で読もうという動機にすらならない。

小見出しを作る

これも結構重要。個人的には後で読もうと思う場合は、タイトルと小見出しをさらっと読んで、全体のおおよそのストーリーを把握して、後で読む価値があるかどうかを考えている。というわけで、小見出しを作っておくと理解してもらいやすい。

ページ分割しない

「後で読む」って、あまりページ分割に向いていないと思うんだよね。後で読もうと思ったときに、ページ分割してあると途中で切れちゃうから、結局元のページにリンクで飛ばないと続き読めないとか、ちょっとストレス。適切なサイズというものがあるんじゃないか。

 

というわけで、ビジネス系のやや長めのブログを書いたりする人には、後で読む系サービスに対するマーケティングも必要になってくるだろうと思う。

気になるページを保存してあとで別のスマホなどからオフライン時にも読めるようにできる「Pocket」の使い方 – GIGAZINE

検索順位はなぜサービスによって違うか。検索順位の捉え方を考える

ホームページのSEOでよくひとつの効果指標でみるのは検索順位。想定されるキーワードで検索に全くひっかからないと、ホームページの役割のひとつであるメディア媒体の役割と果たせなくなってしまう。

だけど、検索ランキングを測定するツールや実際の検索結果、Google Analyticsの結果がどれもバラバラで、どれを信じたら良いのやらという感じになってしまう。というわけで、検索エンジンや順位に実態を知らないと、無駄骨になるんじゃないかと思う。

 

検索エンジンによって順位は違う

検索エンジンとしては大きく3つで、Google、Yahoo、Bingだと思えば良いと思う。

検索エンジンのシェアは、いろいろ数値はあるけれど、日本はGoogleが約90%を占めている。それは、YahooとGoogleの二大巨頭だったものが、Yahooが自社の検索エンジンからGoogleの検索エンジンに代えたから。
各国の検索エンジンシェア|海外進出のグローバルマーケティング支援

ちなみにYahooはGoogleと全く同じ順位を示すわけではない。不思議だ。恐らく、アルゴリズムを同じにしているだけで、インプットとなる利用情報は独立しているんだろう。

だから、重要なのは「Googleで何位」というものだけじゃなくて、検索エンジンからの流入がそもそもどの程度の割合で存在するのかとか、そのときに使われているキーワードの傾向などを把握しないと、どれだけ検索順位を上げてもビジネスとしての効果は少ない結果になる。

 

パーソナライズが存在する

Googleはパーソナライズを強化していて、個人の履歴などをベースにしてより検索結果がマッチしやすいように各個人でカスタマイズしている。(Googleアカウントでログインしている場合。)

なので、より正しいと思われる検索エンジンの順位を知りたければ、パーソナライズしていない状態で行う必要がある。

ただ、よくよく考えてみれば、パーソナライズされている場合とされていない場合があるということは、検索エンジンの順位というのは厳密にはひとつじゃないということになるんだけどね。だから検索結果の順位だけを気にするというよりは、どれぐらいクリックされたかという流入の数と、そこから最終的な目的(資料請求とか問合せとか)に結びついたかの方がよほど重要だと思う。

 

地域に紐づくキーワードの場合、検索エンジンは順位を入れ替える

よく地名なんかがキーワードに含まれていると、地図と合わせて周辺の関連のお店とかを表示する。あれは、通常の検索とは違い、ローカル情報を重視して表示しているようだ。

なので、マスではなくある程度地域性のあるビジネスを行っている場合は、こういうローカル検索も視野に入れる必要がある。
【Googleプレイス検索対応】ローカルSEOのTIPS×7 | 海外SEO情報ブログ

 

日々順位は変動している

アルゴリズムが変わったり、相対的に決まるものなので他のホームページが改善されたり新しいホームページが登場すると、当然ランキングは変動する。だから、継続して状況を見続けることが重要になる。

パンダアップデートとかペンギンアップデートなんてよく言われるけど、まあよほどのプロフェッショナルでない限り、そこまで細かく気にする必要はないと思うけど。

 

というわけで、単純に今の検索順位を知りたいというのであれば、こういうのでシンプルに計測しておけばとりあえず良いんじゃないでしょうか。
検索エンジン一括順位チェックツール ランキングチェッカー

 

アメリカの世界戦略に乗って、日本経済は大復活する!

経済というのは、因果関係が複雑で、実証例もそんなに多いわけではないことから、未だに多くの論争を生む学問だ。そういう学問の中では、理論も重要かもしれないが、ストーリーの理解も同じぐらい必要になる。本書はストーリーとして今や今後の経済をどう読み解くかを教えてくれる。

 

インフレだから景気が良くなるわけではない

この本にある主張は、デフレが不況の要因ではないし、インフレにすれば景気が良くなるわけではない、ということだ。

グローバル経済下では、「所得の上昇→消費の拡大→物価の上昇」というプロセスは成り立ちますが、安倍政権が想定する「物価の上昇→所得の上昇→消費の拡大」という従来のカビ臭い経済理論は成り立ちません。そのことは、この本を読み進めるうちに明らかになっていくでしょう。

統計の世界でよく言われるのは、相関関係と因果関係は違う、ということだが、まさにそういうことだ。むしろ、所得が上がる前にインフレがきてしまうことで、経済にダメージを与えてしまう可能性の方が高くなってしまう。

一方で、株高やドル安になっても、中小企業や一般国民にはその恩恵がほとんどもたらされませんでした。むしろ、金利低下や物価高による副作用のほうが大きかったと言えます。金利低下が銀行の貸し渋りを招き、苦境に陥る中小企業を増加させましたし、ガソリン価格の高騰に代表される物価高は生活コストを上昇させ、一般国民の生活をいっそう苦しくしました。

いわゆる、企業が富むことや、株式を保有する人たちが富めば、労働者も富んでくるという「トリクルダウン理論」が言われているが、それがどこまで効果があるのか、リーマンショック後のアメリカはどこまで効果があったのかは意見が分かれている。

 

シェールガス革命のインパクト

本書のストーリーの根幹になっているのは、シェールガス革命だ。そのインパクトが、自分が思っているよりもとても大きかった。シェールガスが今後普及してくると、アメリカは天然ガス・原油ともに世界一の生産量になると見込まれている。

国際エネルギー機関(IEA)によれば、アメリカは2015年までに天然ガスでロシアを抜き、2017年までには原油でサウジアラビアを抜き、両方の資源の生産量で世界一になる見通しです。その流れに乗り、アメリカの企業や家計では、割高な石油の代わりに安価なシェールガスを使う動きが広がってきており、海外に依存するエネルギー消費量が減少傾向の途上にあります。

これによって、エネルギーコストが安くなることで、価格勝負ができるようになる。それによって、生産量が増え、雇用が増えるという好循環が発生し、アメリカが景気を浮上させる。その波に日本が乗っていけば、日本も再度景気を浮上させることができるのではないか、ということだ。

この本を読むと、経済というのは外交戦略と切っても切り離せないことがよくわかる。

そして、日本にとってもエネルギーコストの影響は国家レベルでみても大きくて、貿易収支が赤字になるどころか経常収支が赤字になることも予想される。その場合の影響は以下の通りだ。

つまり、日本が経常赤字国に転落すれば、国内の貯蓄や資金が不足し、国債発行による資金調達を海外からの資金に頼らざるをえなくなります。仮に日本の経常収支が赤字に陥れば、最悪の場合、日本国債の利回りが急騰し、日本が財政危機に見舞われるという事態も想定しなければなりません。

アメリカのシェールガス革命によってエネルギーコストが低下すると、経済的にはデフレになると言っている。つまり、コストが下がるので全体として物価が下がるからだ。ただ、重要なのはインフレかデフレかではなくて、実質賃金と物価の関係であり、物価より実質賃金が上回っていれば、人は生活豊かに感じるだろう、ということだ。

世界経済の歴史を遡れば、インフレの時代よりもむしろデフレの時代のほうが長かったことが明らかになっています。インフレになるのは戦争か財政難といった一時的な現象であり、それ以外の平和の時代や技術革新による生産性が向上する時代には、デフレが通常の経済状態なのです。とりわけ、18世紀後半から19世紀にかけてのイギリスの産業革命の隆盛期や、19世紀後半の大デフレ期(グレートデプレッション)においては、技術革新による供給能力の飛躍的な進展が世界的なデフレをもたらしました。

 

最後に本書の中では、興味深い記載がある。

たしかに、地方の生活インフラが向上した現在の日本では、都会よりも地方のほうが暮らしやすく生活の豊かさを感じる部分は少なくありません。とりわけ、子育て世代にとっては、地方のほうが豊かさを実感できることと思います。米欧の有力企業の多くが本社を地方に置いている事実を見ても、日本企業はもう一度、地方に目を向けた経営、雇用を考えてみるべきではないでしょうか。

個人的にも、地方の方が生活しやすい面を感じることがある。今後は日本でも地方が活況になるのかもしれない。

アメリカの世界戦略に乗って、日本経済は大復活する!