【書評】企業参謀―戦略的思考とはなにか

誰かが、ビジネス書は処女作が面白いと言っていましたが、この本はまさにそう。著名な経営コンサルタント・大前研一氏の処女作を読みました。

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厳密には、新装版は「企業参謀」と「続・企業参謀」の合冊です。

出版当時、非常に話題になり、マッキンゼーへの仕事依頼が増えたとのことです。たしかに本書では経営コンサルタントのノウハウや思考が具体的に書いてあり、しかも小手先ではなく思考アプローチを軸にした内容なので、今もってしても通じるものです。時間が経っても陳腐化しないというのは、まさに名著と言えるでしょう。

企業戦略を考える場合もそうですが、それ以外でも戦略的に考えると言うアプローチはいろんな場面で活用できそうだなって思いながら読みました。

 

戦略的に考えるとはどういうことか

戦略的に考えるってどういうことなんでしょう。本書の中から3つの言葉を引用して、そのヒントを考えてみましょう。

「戦略的」と私が考えている思考の根底にあるのは、一見混然一体となっていたり、常識というパッケージに包まれてしまっていたりする事象を分析し、ものの本質に基づいてバラバラにしたうえでそれぞれの持つ意味あいを自分にとって最も有利となるように組み立てたうえで、攻勢に転じるやり方

 

物事を深く理解するためには、基本的にはこういう考え方になると思います。深く分析するためには、要素を分解せざるを得ません。しかし、それだけではバラバラな事象が並ぶだけなので、分析した事項をもう一度違うアプローチで整理し直す作業が求められます。

つまり、要素を分解し、原因やキーファクターを特定し、グルーピングする作業が必要だということです。

 

もう少し違う表現だと、こちらでしょうか。

このことを逆に見れば、われわれの成長過程で、二つの重要な能力の開発がおろそかにされる可能性の高いことを示唆している。「分析力」と「概念をつくり出す力」である。

 

これを読んで、唸りました。ここで書かれている二つはどちらも同じくらい重要だと思いますが、特に重要で説明が難しいのは後者ですね。これがみんなが納得しやすい戦略になれるかを決めるポイントになると思ってます。後述しますが、良い戦略というのは、みんなが理解し納得できて、迷いが生じないものです。そのときに、この「概念をつくり出す力」が重要になってくるのです。

 

また戦略的に考えるという点は、個人ではなく組織単位でももちろん言えます。このあたりの言葉もビシビシきますね。

こうした状況に対処するためには、 ① まず判断を従来よりも分析的・科学的に行うこと、 ② 分析を行う力を内部的につけること、 ③ 判断を個人または特定職制のもの、という認識から、会社全体のものであるという認識に変えること、 ④ さらに、こうすることによって一度下った決定でも、誰も当惑することなく、逆転できるようにしておく、ということが行われなくてはならない。 ①、② の分析的アプローチについては Ⅰ 部で詳述したので、ここでは特に ③、④ について強調しておきたい。

 

データアナリティクスが普及してきている今では、①②で書かれているような分析的アプローチの重要性は増していますし、やりやすい環境にあります。

また、組織としての判断プロセスも、属人的な企業もまだたくさんあるのではないでしょうか。ファクトに基づいて、組織全体で判断できるようにするのは、全員の納得感やモチベーションに大きく作用しますし、企業としても誰かに強く依存せず、長期的に強い文化を作ることにも寄与するでしょう。

 

良い戦略とは何か

では実際に戦略的に考えたとして、その結果出てきた内容がどうやったら良いものだと言えるんでしょうか。

これについても、はっきりと4つの内容を書いてくれています。

したがって、数々の成功した事業の例を見ると、確かに先見性に富んでおり、予言者の意思に基づいて進んできたかのような印象は受けるが、その背景には実に首尾一貫した「成功のパターン」が透視される。これを先見性の必要・十分条件と呼んでもよい。すなわち次の四つの要件が、成功した事業に必ずみられるのである。

(1)事業領域の定義が、明確になされている。
(2)(将来の予言ではなく)現状の分析から将来の方向を推察し因果関係について、きわめて簡潔な論旨の仮説が述べられている。
(3)自分のとるべき方向についていくつかの可能な選択肢のうち、比較的少数のもののみが採択されている。また選択された案の実行に当たってはかなり強引に人、物、金を総動員して、たとえ同じようなことを行っている競争相手がいても時間軸で差が出ている。
(4)基本仮定を覚え続けており、状況が全く変化した場合を除いて原則から外れない。

人はこれらの四つのプロセスを踏んできた事業家を「先見性があった」と評する

 

特に重要だと思うのは2と3ですね。たくさん分析をして、いろんなことがわかったとしてもそれは簡潔に構造的になっていないとは、人は動かないんだなと言うのは経験上からもよくわかります。

3については、同じように人が動いていくためには、選択肢は限定されている方が良いです。多くの選択肢が残されていると、方向性が定まりきらず、組織としての一体感やエネルギーが集中できなくなります。

ということで、上記の条件がそろうのが良い戦略なのですが、言うは易しで、これを考え実行するのはとても難しい。だから経営コンサルタントという職業もなくならないのだと思いますが・・・。

 

それ以外にも、コンサルティングの具体的なノウハウも満載です。

例えば、中期経営戦略をどのように作成していくのかは、8つのステップに分かれて説明されており、具体的かつ緻密な内容になっていました。また、事業分析をどういう観点で行うのか、キーファクターがどういう業種の場合にどこに存在するのかがちゃんと説明されています。

このようなエッセンスがたくさん出てくるのです。濃密すぎて、一回読んだだけでは消化できていない感じがしますね。

 

この本が出版された当時とても注目されたのがよくわかります。事例は確かに時代を感じますが、今でも充分通じる内容ばかりです。戦略的に物事を考えるのに関心がある方におすすめです。

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テスラモーターズはEV市場で今後成長していくのか?

イーロン・マスクのテスラが、いろいろ話題になっていますね。大衆向けの「モデル3」の生産が発表されたものの、生産が遅れていて不安感が漂っています。

投資家がテスラの今後を危ぶむ4つの理由

さらにリコールも発表されました。

テスラが同社として最大のリコールを行い、約12万3,000台の電気自動車(EV)セダン「モデルS」の部品を交換する。しかし、リコール自体は深刻な問題ではない。テスラが直面する真の課題は、「モデル3」の量産が遅れていること、その品質の低さに対する指摘、「モデルX」が起こした衝突死亡事故の調査といった問題への対応にある。
テスラ史上最大のリコールの陰にある「本当の難関」|WIRED.jpから引用

EV社はこれから増えていくと言われていますし、テスラはその筆頭だというイメージがありますが、そのテスラも苦戦しているようです。

そこで、もう少しEV業界を理解するため、テスラを中心に動向を整理したいと思います。

EV車のトレンド

今後の車は、ガソリン車やハイブリッド車からEVに移っていくと予想されています。


経済産業省「自動車産業を巡る構造変化とその対応について」(PDF

このグラフをみる限り、2016年時点でEVとPHVを合わせて全体の0.2%程度の販売台数と、割合は決して多くないです。しかし、今後ガソリン車は少しずつ減っていき、伸びている部分はPHV、EVの領域です。

さらに、イギリス・フランスや中国では、ガソリン・ディーゼル車の販売を禁止するなど、各国もEV車を後押しする政策が注目されています。

「EVシフト」へ大きくハンドルを切ったのは英仏である。2040年までに、ガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する方針を打ち出した。これはガソリン・ディーゼル車の市場を席巻する日米独の自動車産業に挑戦する狙いも込められている。  この英仏の戦略に中国など新興国も連動する。中国は英仏の新方針を受けて、40年までにガソリン車などの販売・製造を禁じることを検討し始めた。インドは30年までに新車販売をEV車に限定する目標を掲げる。
車は「EVシフト」、世界は「EUシフト」:日経ビジネスオンラインから引用

つまり、政治の後押しもあり、自動車業界全体でEV車は増えていくと予想できます。

テスラのビジネスモデル

さて、そのような追い風の中、EV車のメーカーとしてテスラモーターズは注目されています。

テスラは電気自動車メーカーであり、これまでに複数車種を市場に投入してきました。今は大衆車であるモデル3が注目されており、今後はピックアップトラックなどの車種も発表されています。

テスラはEV関係の特許をたくさん持っており、EV車を製造・販売するのがメインのビジネスモデルです。

テスラ、15分未満で済むEV用バッテリ交換技術バッテリステーションの公開特許 – CNET Japan

EVの重要なコンポーネントである蓄電池については、リチウムイオン電池のトップシェアを誇るパナソニックと提携して、ギガファクトリーという蓄電池製造工事を建設しています。2020年に稼働予定です。

さらにテスラモーターズは、EV車だけではなく蓄電装置メーカーでもあります。このように、家庭用蓄電池も販売しています。

Powerwall | テスラホームバッテリー

テスラはエネルギー企業になる、というイーロンマスクの発言もあるように、自動車メーカーだけではない側面があります。

テスラの業績

テスラの業績も見てみましょう。売上はずっと伸びています。

テスラモーターズ業績

が、ずっと赤字です。売上が伸びているとはいえ、まだ設備投資を回収できるほどスケールしていないということでしょう。

テスラの生産状況

テスラは初めて一般消費者向けのモデル3を市場に投入しようとしています。非常に期待度が高いですが、生産ラインに問題を抱えており、遅延が生じています。

自動車生産の手作業部分に問題が生じているとのことですが、自動車メーカーは製造ラインの精度を何十年もかけて向上させてきており、まだ新参のテスラには難しいのでは、という観測もあります。

【電子版】マスク氏は工場で寝泊まり テスラ「モデル3」の生産「地獄」続く | 自動車・輸送機ニュース | 日刊工業新聞電子版

テスラのEV車には需要があるものの、生産が追いついておらず、赤字を垂れ流している状態です。ここの生産量を増やして、利益を上げていけるかがポイントです。

テスラのシェア

テスラは電気自動車のリーダーとして、早い段階から本格的なモデルを投与してきました。それによって、アメリカで圧倒的なシェアを獲得しています。

EV市場のシェア1位はテスラ、日産「リーフ」が4 | Forbes JAPAN(フォーブスジャパン)

一方で、EUや中国では出遅れているんですよね。

世界のEV販売台数、トップはルノー・日産 テスラは欧州・中国で出遅れ | Forbes JAPAN(フォーブスジャパン)

EVの主戦場は、環境規制が強いEUですが、そこにはテスラは出遅れている状況のようです。

世界各国の道路を走る電気自動車(EV)のおよそ半数は、ルノー・日産アライアンスのモデルであることが分かった。テスラに違いないと思っていた多くの人たちにとっては、驚きといえるかもしれない。
世界のEV販売台数、トップはルノー・日産 テスラは欧州・中国で出遅れ | Forbes JAPAN(フォーブスジャパン)から引用

テスラモーターズはアメリカでは強いですが、欧州では出遅れています。また、市場が大きい中国でも厳しい競争が始まっています。

テスラと中国のバッテリー戦争” – NPO法人国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute

テスラがアメリカ市場で苦戦している中、世界市場では他社がポジションをどんどん拡大しています。これからテスラは世界でどういうポジションで攻めていくんでしょうか。

パワートレインとして電気自動車は今後増えていくのだと思いますが、テスラはそれほど前途洋々というわけでもないようです。

実際、テスラの株価は最近急落しています。以下はテスラの5年間の推移をみると、何度か大きく下がっていますが、直近でも大きく落ち込みました。


TSLA:NASDAQ GS 株価テスラ – Bloomberg Markets

今後の成長にはやや疑問を持たれているということでしょう。財務的にもやばそう。

テスラのキャッシュフロー計算書を眺めると、17年12月期にフリーキャッシュフローが約41億ドル流出していることがわかります。これはテスラの現金および現金同等物が34億ドルしかないことを踏まえると、このペースで資金が流出すればテスラは倒産することを意味します。 そのため、近いうちに大規模な増資を実施する必要があるわけですが、増資すれば一株当たりの価値が薄まるので、株価にマイナスの影響を与えます。
TSLA】テスラが倒産するかもしれない理由 : バフェット太郎の秘密のポートフォリオ(米国株配当再投資戦略)から引用

どこかの自動車メーカーに買収されるんじゃないか、という話も出てきたりしていて、今後も話題は尽きなそうです。

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超簡単に時系列予測するデータ分析方法は知っておいて損はない

いろいろデータ分析していると、売上予測などしたくなりますよね。で、とても簡単にできる方法があるので、データ分析クラスターは知っておいて損はないんじゃないかと。

Facebookが、比較的簡単に時系列分析ができるオープンソースを公開していて、名前は「Prophet」といいます。

Prophet | Prophet is a forecasting procedure implemented in R and Python. It is fast and provides completely automated forecasts that can be tuned by hand by data scientists and analysts.

PythonとR言語でパッケージが公開されており、誰でも使うことができます。

 

使い方は先程の公式サイトにコマンドが載っていますが、英語ではとっつきにくいという方はこちらのSlideShareのプレゼンテーションが分かりやすいと思います。ここではR用を貼っておきますが、Pythonバージョンもあります。

 

時系列分析の難しさは、いろいろ試して思いました。最初に試したのは、こちらの本を読んでから。

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ただ、いろんな時系列モデルを知って、誤差を評価したり云々など、専門知識が求めらるし、モデルを構築するまでちょっと大変で、頑張って計算してみたけど思ったような数字が得られなかったということもありました。

奥が深いだけあって、簡単に予測の数字を作るのが難しいんですよね。

 

でも、Prophetはほんの数行でそれっぽく精度が良い時系列予測をしてくれます。デフォルトで使いながら、オプションで予測モデルをチューニングすることもできます。

専門的な知識をそれほど必要せず、PythonかRをちょっとかじったことがある人なら、時系列予測でそれっぽい数字が出ます。それがこのパッケージの特徴です。

 

ビジネスの現場で思うのは、そりゃ精度が高い予測モデルがあれば越したことはありませんが、ベンチマークとなる「それっぽい」数字があるだけでも、組織の取り組み意識が変わったり、新しい改善策が思い浮かんだりします。

実際これを使って、季節性をグラフでちゃんと捉えたり、翌月の売上金額がどの程度かを議論することができた事例もあります。

Prophetで導き出される数字は、ある程度の時系列データがあれば、それなりに出る印象はあります。これを数字として持っておくと、今後の予測を組織内で議論するきっかけとして使うことができるでしょう。

そして何より大きいのは、ほんの数行で予測データを得られることです。

 

要はこういうツールは使い方次第ですし、Prophetはさくっと「それっぽい」予測をしてみる分には非常に使えるんじゃないかと思います。

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リクルートの手法から学ぶ新規事業の作り方・育て方

リクルートといえば、新しい事業を次々と生み出すイメージがありますね。ホットペッパーやゼクシィ、カーセンサー、SUUMOをはじめ、最近ではAirレジやスタディサプリがあります。こう数えてみると、すごいもんだ。

時代の変化が速くなり、これまでの既存ビジネスだけでは先細りになっている状況の中で、様々な企業が、新しい事業を作り出すことに苦しんでいます。新しいビジネスを作り出すにはどうすればよいか、という観点で、リクルートが新規事業を作り上げるノウハウは参考になるはずです。

ということで、今回読んだのは「リクルートのすごい構“創”力」。

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リクルートのアドバイザーを務めるボストンコンサルティンググループの代表が書いた、リクルートの新規事業創造に関するノウハウです。「新しいビジネスってどう考えて成長させれば良いのかな」と思って読んだのですが、理論的にまとめられていて、わかりやすかったです。

 

事業モデルの基本は共通化されている

本書ではリクルートの新規事業を生み出すためのノウハウが体系的に整理されているのですが、全ては同じ事業モデルを前提にしています。

リクルートの場合、消費者と事業者のマッチングを効率化して、プラットフォーマーとして収益を得る、というモデルです。

共通化されていることで、会社の方向性がブレずに、新しいアイデアを作り出していけるんだなーと感心してしまいました。

新規事業、というと何か白紙のところからスタートするイメージを持っていましたが、こうやって事業モデルの根幹を定義しておくことが大事なんだと思ったんですよね。

どの企業にもベースになる事業パターンがあるはずです。それを抽象化しモデリングすることで、自社に合った事業を考えやすくなるなって思いました。自分の会社についても考えながら読むと良いです。

 

組織を強くするなら「仕組み化」が肝心

新規事業にはとびきりのアイデアや、スーパーマン的な人の存在がフォーカスされますが、実際はそれだけで成功するわけではありませんし、スーパーマンがいなくても成功する場合もあります。

リクルートでは、優秀な人が多いという前提はあると思いますが、それでもコンスタントに事業を作り育てていけるわけではありません。

新規事業を構築して育てるためのプロセスがしっかりと社内で仕組み化されていて、その仕組みの上で人が活動することで成果を出しているんですね。その仕組みやプロセスを具体的に明かした点が、本書の特筆すべきところです。

確かに、これだけ新しい事業を次々と作り出せているということは、ノウハウ化されて、仕組みとしてちゃんと確立していないとおかしいですよね。

この仕組みでは、プロセスがちゃんと定義されていて、社内での判断基準を設け、投資や撤退の判断を明確になってます。市場がどれぐらいの希望があるのか、顧客の財布はどこから引っ張り出さのか、考え方は山ほど参考になりました。

さらに、負を解消する、ぐるぐる図など独特のワードも登場します。そういうコンセプトや考え方が社内で浸透していれば、アイデアが生み出されやすくやむたり、議論するためのコミュニケーションも推進されるでしょう。

リクルートは社内の情報共有も熱心のようで、少し古いですがこんな本もあります。

リクルートのナレッジマネジメント

やはり強い組織はいろんなところでノウハウがされており、その積み重ねで組織全体が強くなっています。逆にエリート社員に強く依存するような企業では、急にその社員がやめた時に組織全体に力が落ちてしまいます。

リクルートの場合も、一朝一夕でこのノウハウができたわけではないでしょう。それこそ差別化の要因になってるのだと思います。

 

ということで、新規事業をどう作るかという点で、非常に参考になりますので、新しいビジネスの作り方に興味がある方にはお勧めです。

今日はこのへんで。

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「お金の流れで見る戦国時代」で経済学のエッセンスと信長のすごさを知る

経済学という形で発達したのは近代以降だったので、あまりイメージがありませんでしたが、戦国時代を経済で捉える主旨の本があり、興味を持ちました。

この記事を読んで面白そうだったので読んでみたのです。

『お金の流れで見る戦国時代』って本が面白すぎたよ。|三輪のアウトプット用ブログ(目標1記事30分)|note

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戦国時代というと、合戦や権謀術数がイメージされますが、この本を読むと戦国武将はやはり国を統治するのが重要であり、その統治能力によって戦力も大きく変わったことがよくわかります。

その統治能力というのは権力闘争だけでなく、経済的なセンスが求められるんですね。

 

経済センスあふれる信長

天下統一を果たした織田信長は、経済センスあふれていたことが本書を読んでよくわかりました。

戦国時代に他の領土へ攻め込むためには、領域内の経済を活性化し税収を多く取れるようにしなければいけません。

織田信長は、経済を活性化させるために「楽市楽座」を推進したことで有名です(織田信長が初めて楽市楽座をやったわけではないようです)。これによって、経済活性化と領域の安定を果たします。楽市楽座以外にも、貿易が盛んな境を抑えることで、税収を確保します。

また当時はまだ珍しかった「常備兵」の制度を確立し、強い軍によって領土を拡大させていきました。それまでは農民が「副業として戦争」を行っていたのです。これも、経済振興によって安定的な税収があればこそ、です。

つまり信長の戦略はこういうサイクルが描けます。

見事にいろんな施策が全体に整合しています。

あと、寺社仏閣など既得権への切り込み、主要都市の押さえ込みなどなど、経済利権を確立していく様はセンスがすごいなーと改めて関心します。

貨幣問題への取り組みも、大名によって異なったようです。明との貿易、明の貨幣の減少から悪貨の流通、石高制への移行まで、まさに経済学だなって思います。詳しくはぜひ読んでみてください。

 

経済学というのは、時折直感と異なることが正しい、ということがあります。

本書の中でも武田信玄と織田信長の経済施策の対比が前半にあるのですが、関所に関する対応をみると、武田信玄は関所をたくさん立てて税収を増やそうとしてます。一方の織田信長は、関所を廃止して物流を促進して経済を活性化させることで、自分たちの領内を豊かにしていきます。

安直に考えれば関所を増やすことで短期的には収入が増えるんですが、経済全体の促進を阻害して、長期的には衰退していきます。このあたりにセンスというか理解があるかどうかでも、統治のあり方は変わったんですね。

 

世界の構造を捉える力

それ以外にも、上杉謙信がなぜ有力大名だったのに天下を取らず自分の領土から出なかったのかが、理由として面白かったです。これは経済とはちょっと違うがしれませんが。

上杉謙信は信長よりも早く京都に入っていますが、天下人にはなりませんでした。なぜでしょうか。

謙信はあくまで、室町幕府の秩序の中での出世を望んでいた。逆にいえば、「室町幕府の秩序や社会システムはすでに崩壊し、強力なパワーによる新しい秩序の建設が必要だ」ということを認識していなかった。自分が天下を押さえ、新しい国家をつくろうということには思いも及んでいないのだ。

 

これは面白い考察です。秩序が乱れ、これまでの社会システムが崩れようとしているのに、それを見誤ったのが謙信、というのです。このように、時代のなあれや構造を俯瞰してとらえることで、行動も変わってくるという示唆ですね。

また、土地に対する考え方の著者の仮説も興味深いものがあります。そこから明智光秀の謀反まで結びつけるのも、妄想を掻き立てるものがありますね。こちらも詳細は本書を読んでください。

 

信長が制覇できた理由は単純ではないですが、それにしても経済センスが見事だなーと感心しながら読みました。歴史好きには新しい角度の面白い本だと思います。

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関連本

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こちらも本能寺の変を起こした明智光秀の動機や、当時の状況を考察したものです。歴史はいろんな読み解き方があるので、そういう発見を知るのが楽しいですよね。

 

アイウェア業界の雄であるJINSとOWNDAYSはどう違うのか

JINSは低価格商品や、JINS PCなどの機能性商品によって瞬く間にメガネ業界で躍進しました。しかし、最近は他の企業も低価格路線であったり、逆に高付加価値な製品が支持されたりして、また風向きが変わっている気がします。

2016年に書いたJINSの記事がありましたが、ここで書いた内容から市場環境もまた変わっているでしょう。

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ご相談

就活生からご相談いただきました。

来年就活を考えています。
そこで、アイウェア業界について質問です。

先に言うと、私の質問は
『JINSとOWNDAYS、将来性と海外発展が進んでいるのはどちらなのか』
です。

JINSとOWNDAYSとzoff、
この三社は価格帯やサービスなどすごく似ていると思います。
特に、JINSとOWNDAYSは薄型追加料金なしや会計後30分ほどでお渡し可能な点、働く年齢層、使用している機械など非常に近いです。

2社とも海外発展にも力入れており、
海外(特にアジア)で将来活躍したい私からしたら、この2社が気になります。

海外発展が著しいのはOWNDAYSではありますが、
安定感や業績はJINSの方が高い印象です。

海外へ行きたいからOWNDAYS。
だけでは将来性が不安であり、安定感の出てきたJINS。となっても働いた未来にシンガポールやタイなど中華圏以外のアジアには進出をしていないJINSだと…。

長くなりましたが、私の気になる点は、
『JINSとOWNDAYS、将来性と海外発展が進んでいるのはどちらなのか』
です。

OWNDAYSとは

メガネ通販のオンデーズオンラインストア (眼鏡・めがね)

OWNDAYSというメガネショップは、私も見たことがあります。Wikipediaによると、

株式会社オンデーズ(英文表記:OWNDAYS CO.,LTD.)とは東京都品川区に本社を置くメガネ、サングラスなどの販売を行う全国チェーン店の会社である。 日本、シンガポール・台湾・タイ・フィリピン・マレーシア・カンボジア・オーストラリア・ベトナム・オランダで店舗展開しており、2017年10月末現在、10ヶ国200店舗以上を展開している。 【従業員数1,900名 / 150億円(2016年)】
オンデーズ – Wikipediaから引用

ということで、200店舗以上展開している企業です。

2002年にビックカメラに買収されていますが、2008年に債務超過に陥り、今の経営者が第三者割当増資によって株式を取得し、経営再建して今に至ります。

JINSとOWNDAYSの比較

JINSは上場企業なので数値が取りやすいのですが、OWNDAYSは非上場なので、あまり実態がわかりません。ただ、売上などの数字はWikipediaを信じるのであれば、このような比較になります。

JINSOWNDAYS
従業員数37491900
売上高(億円)504160
店舗数470200

いつ時点の数字かが少しあいまいな感じなのと、JINSは最新の数字をとってきているので、正確性は怪しいです。目安としてみるぐらいの数値です。

非常にざっくりした言い方をすれば、規模としてはJINSはOWNDAYSの2~2.5倍ぐらいという感じです。

意外なのは、海外展開の部分です。それぞれの海外店舗の数はこちらです。それぞれIR資料やホームページから取得しました。

JINSOWNDAYS
中国103
アメリカ4
シンガポール26
台湾36
オーストラリア2
オランダ1
タイ11
フィリピン22
マレーシア3
ベトナム2
カンボジア2

まず海外店舗数が、ほぼ同じです。店舗数全体ではJINSの方が倍ぐらいあるので、その中で海外店舗数が同じということは、OWNDAYSの方が海外比率は高いと言えそうです。

もうひとつ目をひくのは、展開する国の種類と数です。JINSは中国がほとんどでそこに集中しているように見えます。OWNDAYSは東南アジアを中心に多くの国に出店しており、これから伸びる国が多く含まれているように感じます。

シンガポールではシェア1位になっているようです。

OWNDAYS(オンデーズ)がシンガポールでメガネ販売シェア1位にメガネ店最新情報 | GLAFAS(グラファス)メガネ・サングラス総合情報サイト~メガネのことなら!グラファス

OWNDAYSの海外戦略

いろいろ調べていたら、面白い記事を見つけました。オンデーズ社長のインタビューです。ここに海外展開の状況や戦略について示されていました。

世界10ヵ国に進出した「株式会社オンデーズ」が掲げる海外300店舗体制 | 企業インタビュー | Digima〜出島〜

ポイントを列挙しておきますね。

  • メガネのSPAモデルでは、オンデーズは後発
  • 「ある競合」は中国に進出していて、ファーストペンギンになれないと断念
  • メガネのSPAモデルは東南アジアには存在しない
  • 競合に勝つためにも、競合が進出していない海外に積極的に展開

すごい戦略がはっきりしています。海外展開を積極的に進めたのは、競合とのポジショニングとスピードによる優位性確保があるようですね。

JINSの業績

一方で、JINSの業績もみておきましょう。売上高と営業利益率をみると、ここ数年でも成長しており、好調です。

他の上場企業と比較してみると、三城ホールディングスの売上をついに抜いています。

利益率も相変わらず高いですね。

海外展開として中国の店舗は増加しており、こちらも積極的と言えるでしょう。

まとめ

いろいろ調べてきましたが、質問者様も同じようなことを調べられたのでしょう。前置きが長くなってしまいましたが、このメガネ市場や企業戦略をどう捉えれば良いかと考えてみたいと思います。

SPAというモデルで、日本のメガネ市場はまだ伸びています。

国内アイウエア小売市場に関する調査を実施(2017年)市場調査とマーケティングの矢野経済研究所

その中でJINSは強力なポジションを築いており、中国にも進出しています。後発のオンデーズは店舗数を伸ばすと同時に、東南アジアを中心に積極的に海外展開を進めています。

現時点で規模が大きいのはJINSですし、国内や中国では優位性があると言えるでしょう。しかしだからといって、JINSの方が安定性がある、かというのはわかりません。

今の国内メガネ市場は、高付加価値にシフトしていますし、JINS MEMEのような新しい画期的商品が市場を変える可能性もあります。JINSの躍進の裏で、これまでの強者が衰退してきたように、数年でプレイヤーが交代する可能性は十分あります。

つまり重要なのは、今後の国内や海外のメガネに対するニーズがどう変化するか、そしてそれに応じて企業がどういう戦略を取ろうとしているか、です。実際、ここ数年でみてもこの市場の動向は大きく変化しています。数年間の安定性は、どこかで消し飛んでしまうかもしれません。

私であれば、企業がどういう戦略をもっているか、それが有望そうか、そしてその中に自分がやりたい仕事があるか、で考えてみると思います。あるいは、数年働いた後、自分にどういうスキルや経験が残るのかも、長いキャリアの中で重要になると思いますね。

それ以外にも企業を選ぶ判断材料はたくさんあると思いますが、この分析か考えを深めるキッカケになれば嬉しいです。

他にも何か企業や業績を分析して欲しい、就職の参考にしたいという方がいれば、問い合わせフォームやTwitterでご連絡くださいませ。

今日はこのへんで。

今後日本の業界再編がいろんなところで起こる中で、自分はどう生きていくべきか

ブログを書くのが久々になってしまいました。少し更新が途切れると、ついつい期間が開いてしまうんですよね。でも、ブログを書くと自分の考えもまとまっていくので、続けたいなと。

さて、今日は少し前に読んだ本のご紹介です。M&Aコンサルティングの著者が書いた、今後の10年間で日本の市場で起こる様々な業界再編を描いた一冊です。

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これからの将来は、人口減少で日本の経済衰退は避けられない状況です。パイが限られていく中で、企業の競争は激化し、いくつかの企業が淘汰されていくでしょう。そうやって事業再編が今後どんどん増えていく、というのが本書の趣旨です。

面白かったのは、その事業再編が起こるための、飽和点となる具体的な店舗数やシェアが書かれている点で、これらの法則を自分が関心ある業界に当てはめてみれば、今後どうなりそうかを見極めやすくなるので、それらの情報がとても参考になりました。

国内において6万拠点というのは、拠点ビジネスの臨界点だ。これは、国内におけるあらゆる業種業態に当てはまる法則である。日本の総人口に照らして考えると、およそ2200人に1拠点となる。そして、その後に業界再編が起きて、自然淘汰されていく。  具体的には、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア、歯科医院、そして現在再編が活発化している運送会社、調剤薬局も当てはまる。

ということで、興味がある業界があれば、ぜひ読んで今後の展望を考えるきっかけにしてはどうでしょう。

もうひとつ読んでいて印象に残ったのは、今後の日本市場縮退による事業再編に、企業はどう向かっていくのかという点が述べられている箇所があり、その中で従来の情報産業という観点ではなく、リアルな業種業界によるデジタル化が加速し、再編をリードしていくようになると述べられていたことです。

要は、あらゆる業種業界でIT化・デジタル化が重要だということです。最近読んだ本ではことごとくこの辺でデジタル化が気になると言われています。具体的には、このあたりですね。

最近聞くデジタルマーケティングって何?

営業にもITテクノロジーは必須なんだと確認する一冊「SALES GROWTH」

ITに関するビジネスはどんどん変化していますが、むしろいろんな領域でITが活用されるのはまさにこれから、と言われています。企業もそれに気づき、これから取り組みを加速させていきそうです。

過半数の企業が「ビジネスのデジタル化」に取り組む、JUAS調査 | 日経 xTECH(クロステック)

ということで、これからもいろんな業界で激変が起こるでしょうし、その中で勝っていくためには、ITをはじめ様々な努力が必要になるでしょう。そういう激変していく中で、自分がどう身の振り方をするべきか。今後の日本の市場や業界再編の動きをと言う広い視点を捉えながら、考えていきましょう。

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BtoBのためのマーケティングオートメーション 正しい選び方・使い方

B to Bのマーケティングを勉強しているのですが、「マーケティングオートメーション」をもっと知りたくなりました。Googleトレンドでみても、マーケティングオートメーションはこの5年で右肩上がりで増えています。

マーケティングオートメーションという単語は知っていたのですが、「メール配信とか顧客に合わせて自動配信してくれるやつでしょ?」ぐらいの認識でした。結論からすれば、そんな甘っちょろい理解ではだめで、とても奥が深かったのですが、それを理解させてくれたのがこちらの本でした。

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とても良書です。2015年だけど、原理は色褪せないなって思いますね。

 

BtoBのマーケティングには何が必要か

この本をおすすめする理由は、マーケティングオートメーションの機能を説明するのではなく、「なぜマーケティングオートメーションという製品が登場してきたのか」「日本企業がこれを使うメリットは何か」「マーケティングオートメーションを使いこなすためには何が重要か」を教えてくれることです。いや、もちろん機能の説明もあるのですが。

マーケティングオートメーションが生まれた背景を理解すると、BtoBのマーケティング活動にはどういう行動や組織が必要かがよく理解できます。

その前に、マーケティングオートメーション、SFA、CRMの違いを整理しておきましょう。

 

マーケティングオートメーションとSFAとCRMの違い

これらの違いはよく混乱しますよね。それぞれ目的が違い、発展してきた形も違うのですが、こちらのフェレットの記事が非常によくわかりやすく整理されています。

マーケティングのプロセスで考える「CRM」「SFA」「MA」の役割とは|ferret [フェレット]

簡単にマーケティングオートメーションを説明すると、潜在的な顧客を獲得し、自社の製品やサービスに興味を持ってくれるよう顧客を育てることを目的とし、それらの活動を可能な限り自動化したり省力化してくれます。

BtoBにおいて、潜在顧客を獲得するのはとても重要なことです。それを自社の仕組みの中から生み出すことができれば、これまでにない新しい顧客層を獲得できるでしょう。

 

日本企業のマーケティング活動の何が問題か

上述の通り、本書はマーケティング活動を俯瞰的に捉えているので、自社のマーケティング活動を再考する良いきっかけになるでしょう。

日本企業は、営業担当の引き合いに強く依存しがち、という言葉はハッとしました。引き合いは業績に繋がりやすくて良いものですが、それに依存しすぎるといくつか弊害が出てきます。

要は、顧客を獲得するチャネルは複数持った方が良く、その実現を助けるのがマーケティングオートメーションだということです。

 

最近は様々なマーケティングオートメーションサービスが登場してるので、どう活用できるか想像しながら読めて、面白かったです。ちなみに製品や事例が本書でも登場しますが、そのあたりはやや古いです。

ただ、繰り返しになりますが、btobのマーケティング活動を理解し、マーケティングオートメーションの役割を知りたい人にはとても良い本だと思います。

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関連本

デジタルマーケティングの教科書

マーケティングもデジタル化が進んでいて、今回紹介したマーケティングオートメーションも、ウェブサイトやメールなどのデジタルツールから顧客を獲得するのがメインになります。デジタルマーケティングは、今や欠かせないアプローチですね。

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オイシックスと大地を守る会とらでぃっしゅぼーやが経営統合することで、今後食事宅配市場はどうなる?

先日、オイシックスでミールキットを頼んでみたら、すごい簡単に調理できた上に、野菜の味がやはりおいしくて感心してしまいました。

Kit Oisix(ミールキット)の通販・宅配サービス|オイシックス公式

あーオイシックスいいなあって思っていろいろ調べていたら、「オイシックス」という会社は、大地を守る会と経営統合して「オイシックスドット大地」という名前になっていました。

さらに、らでぃっしゅぼーやと経営統合するという話じゃありませんか。今、どういう動向になっているんだろう?と思って、簡単に整理してみることに。

業績確認

売上高

オイシックスの2017年3月期決算をみると、売上高は230億円になっており、これまで右肩上がりで成長してきています。営業利益も多少の凸凹はあるものの、堅調な推移です。

会員数

会員数も順調に増加しています。

ミールキット事業を拡充したことで、順調に数が増加したようですね。

事業構成

オイシックスは、Oisix.comによる宅配事業と、コンサルティング、地方での食品配送業務などを手がけています。

流通総額や売上高でみると、Oisix.com宅配事業が一番比率が多くなっています。

大地を守る会との経営統合

冒頭でも触れたように、オイシックスは大地を守る会と経営統合し、オイシックスドット大地となりました。

大地を守る会は、40年前に生産者と消費者を直接結ぶことを目的に始まった事業で、今は「有機食材などの配送サービス」「レストラン・デリカショップ」「スーパー・飲食店への食材販売」の3つの事業で構成されています。

サービス紹介・店舗情報|大地を守る会企業情報[ソーシャルビジネス(社会的企業)]

オイシックスのIR資料によると、大地を守る会の売上高は年間で100億円程度と予想されており、オイシックスの半分より少し低い感じです。宅配事業などの固定費削減によって利益改善を図るとなっています。

ラディッシュぼーやとの経営統合

そしてさらに、ドコモとオイシックスドット大地が業務資本提携を行い、それに伴ってらでぃっしゅぼーやの全株式をオイシックスドット大地が買い取ると発表されました。

報道発表資料 : オイシックスドット大地株式会社との業務資本提携について | お知らせ | NTTドコモ

ドコモは、携帯電話を起点にする会員ビジネスとして、今後のコンテンツを拡充するためにらでぃっしゅぼーやを買収したはずです。しかし、らでぃっしゅぼーやは最近業績が低迷しており、営業赤字でした。ドコモは今後の扱いを模索していたのかも。

「らでぃっしゅぼーや」の2018年2月期第3四半期の売上高は141億円、営業損失は5億3300万円だった。一方、2017年2月期の売上高は197億8600万円、営業利益1500万円。
オイシックスドット大地、らでぃっしゅぼーやを子会社化 ドコモとも提携 | 財経新聞から引用

 拡大するミールキット市場

これらの動きの背景には、拡大するミールキット市場があります。ミールキットとは、料理しやすくするために食材とレシピがセットになったものです。ここの市場が拡大しており、いろんな企業が参入しています。

「ミールキット」市場が活発/シャープ、スタフェスが新規参入 | EC | 日本ネット経済新聞 | 日流ウェブ

アメリカでは、Amazonも参入を検討しているようです。

【アマゾン】、ミールキット商標登録!ホールフーズではアレクサ調理デモにエコー販売?(後藤文俊) – BLOGOS(ブロゴス)から引用

ドコモはこれらのミールキットをECコンテンツとして取り込みたい、オイシックスをはじめとする食材宅配企業は、レシピなどを開発してミールキット市場を拡大させたい、ということですね。

これで、オイシックス・大地を守る会・らでぃっしゅぼーやが、それぞれのブランドは維持されつつも、同じ企業に統一されます。リーダー企業として、今後この市場を引っ張っていくことでしょう。

ということで、ここ最近で激変が生じていたようでした。ミールキットは非常に手軽ですし、魅力的なコンテンツであることもわかります。今後、この市場が広がっていくことを期待しましょう。

【書評】幸せとお金の経済学

経済学というのは、今の経済社会をどう捉えたら良いか、様々なヒントをくれます。さらに、最近は心理経済学や行動経済学と言われるような、GDPなどの経済指標だけではない、幅広い研究が進んでいます。

最近読んだ「幸せとお金の経済学」も、まさに「経済発展だけでは人は幸せにならないのではないか」という問いからアプローチした一冊です。

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中間層の崩壊による幸福感の欠如

戦後の世界の経済発展は目まぐるしく、多くの先進国では経済発展とともに人々の幸福が増していきました。しかし、1980年代ごろから経済発展と幸福感にはリンクしなくなってきています。

その1つの要因が、中間層の崩壊です。それによって経済格差が大きくなり、多くの人々が相対的な幸福感を感じづらくなっていると言われています。日本でも、相対的な貧困率は上昇しており、格差拡大傾向にあります。

相対的貧困率等に関する調査分析結果について |厚生労働省

その幸福感を感じづらい要因として、裕福な層への妬みではなく、経済格差が引き起こす消費活動への影響が要因だと書かれており、それが地位財・非地位財という捉え方で整理されています。これが本書のキーになるところです。

 

地位財と非地位財

人には、絶対的な指標によって幸福感を感じる部分と、相対的な指標によって幸福感を感じる部分の両方があるようです。

それを、この本では経済学上の観点として、地位財と非地位財という観点で捉えています。

●地位財=他人との比較優位によってはじめて価値の生まれるもの。(例:所得、社会的地位、車、家など)
●非地位財=他人が何を持っているかどうかとは関係なく、それ自体に価値があり喜びを得ることができるもの、(例:休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、良質な環境など)

これが非常に目から鱗をでして、このような観点を知っておけば、自分がどこにお金を投じれば幸福感を感じやすく、かつそれが長く持続するのかを考えることができるでしょう。

簡単に言えば、相対的な幸福を感じるための「地位財」ではなく、できるだけ非地位財に投資するよう心がけることが、幸福感が長く持続する秘訣になります。

本書では、広い家で長時間通勤と、狭い家で短時間通勤の比較が出てきます。家の広さというのは地位財で、通勤時間(=ストレス・健康)は非地位財なのですが、これも通勤時間を重視するのが良いわけです。

そういえば林先生も、テレビで長時間通勤の弊害を語っていましたね。

林修先生が長時間通勤がもたらす弊害を指摘 「ストレスで失うもの大きい」 – ライブドアニュース

 

とはいえ、個人の力だけで地位財・非地位財を区別して、うまく投資できるわけではありません。経済格差は、否が応でも中間層に必要な消費を増大させて、貧困を招きます。

本書の後半では、どのように経済格差を小さくする社会にするかが書かれています。これも、経済学の観点から興味深いものがあります。

 

自分の消費行動を見つめ直してみると、できるだけ非地位財につながるものを選択するようにしてみたいですね。特に非地位財は他人から見えづらい価値観で形成されており、周りからは理解されない可能性が高いです。しかし、自分の価値観に従って選べるようにしたいものですね。

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