GoogleAppsScriptとLINE Botで自分用の「文字起こし君」を作ってみた

LINEで画像を送信すると、AIで解析してテキストを返してくれる「文字起こし君」というのが話題になっていました。

実際にやってみたくて、友達登録して画像送ってたら、全然リプライ返ってこない・・・。使う人殺到で、混みあってるらしい。

代わりに、自分で作れる方法が紹介されてました。

AIプログラミング】LINEに画像を送ったら自動で文字起こししてくれる機械学習アプリを作ろう|Dainote

こういうの読むと、自分で作ってみたくなりますよねー。Google Apps Scriptだと確かに手軽そうです。Google Vision APIを使ったAI体験もいいなーと思いました。

で、勉強がてらいろいろ調べているときに、ふと、「GoogleドライブにはOCR機能があるんじゃね?」と思い出しました。

Google Driveで画像を開いたと思ったら文字が全て書き起こされているという事態に衝撃の人々「マジかよ!」「あ!ホントだ」 – Togetter

Google Vision APIを使わない分、性能が落ちるかもしれませんが、自分がやりたいのはスクリーンショットなど読みやすい画像の文字起こしなので、GoogleドライブのOCRを利用する方法でLINE Botを作ろうかな、と。

で、その前提でまたいろいろ調べてみたら、同じことを考えた先駆者がいました。結果を先に言えば、この方の公開されているコードを真似ただけです。

GASLINE Messaging APIで「My『文字起こし君』」を作る!(AIじゃなくてOCRで!) – walkingmask’s development log

スクリプトはこちらをそのまま丸パクリさせていただければできるのですが、設定周りでいくつか躓きました。なにせ、Google Apps Scriptをまともに触ったのは初めてなので。

全体像

使うのは、LINE Messaging APIとGoogle Apps ScriptとGoogleドライブの3つです。

LINEから画像を渡したら、LINE Messaging APIを通じてGoogle Apps Scriptのウェブサーバーに送られます。

画像を受け取ったら、Googleドライブに画像を導入して、OCR機能で文字を読み取らせます。ここはDrive APIを使います。

読み取った文字をGoogle Apps Scriptで拾って、LINEに返します。処理が終わったら画像は削除します。

Google Appsスクリプトでウェブアプリケーション公開

では作り方です。最初は、Google Apps ScriptとLINE Botが連携できるようにします。

アプリケーションのURLがLINE Developersでボットを作成するために必要になりますので、最初にGoogle Apps Scriptでウェブアプリケーションを公開します。

スクリプトの内容は何でもいいので、新規からGoogle Apps Scriptを作成して、ウェブアプリケーションを公開します。「公開」→「ウェブアプリケーションとして導入」でOKです。

「アプリケーションにアクセスできるユーザー」には注意してください。これを「全員(匿名ユーザー含む)」を選んでください。これが設定されていないとうまくLINEからアクセスできません。

「導入」をクリックした後に表示されるURLが、LINE側で必要になります。

 

LINE Botを作成する

LINE Botを作るためにMessaging APIを使います。料金体系があるので、事前にチェックしましょう。当然Developer Trialを選びます。

プラン・料金 – LINE@でファン獲得!無料アプリで簡単に始めるビジネスLINE

LINE Botを作るためには、LINE Developersで登録していきます。

LINE Developers

作成したチャネルのWebhook URLで、Google Apps Scriptを公開した時のURLを登録します。

あと、Webhook送信で「利用する」をチェックしましょう。「自動応答メッセージ」も「利用しない」にしましょう。

アクセストークンは、Google Apps Scriptで必要になります。

 

Google Apps Scriptを完成させる

これでGoogle Apps ScriptとLINEを接続するための設定準備はできました。後はGoogle Apps Scriptを書いて終わりなのですが、1つ設定が残っています。

Google Apps ScriptからGoogleドライブを利用するためには、 Drive APIを有効にする必要があります。

「リソース」→「Googleの拡張サービス」からDrive APIを有効にしましょう。またGoogle APIコンソール上もDrive APIを有効にする必要がありますので、そちらも忘れずに有効にしましょう。

処理するスクリプトは、先ほど書いた記事に書いてありますので、それを真似ればできます。

GASLINE Messaging APIで「My『文字起こし君』」を作る!(AIじゃなくてOCRで!) – walkingmask’s development log

スクリプトを変えたら、もう一度ウェブアプリケーションを公開します。この時も細かいですがはまったんですけど、必ずプロジェクトバージョンは「新規作成」を選んでください。(「新規作成」以外のバージョンを指定すると、そのバージョンで公開した内容が反映されます。)

 

これで、LINE Botから画像を送るとテキスト化することができました。こんなかんじです。

複数の画像を一気に投稿しても、問題なくテキストが返ってきました。

Google Apps Scriptでこんなに簡単にLINE Botが作れると思ってませんでした。RPAなど生産性を上げる機運が社会的に高まっていますが、こうやってテクノロジーの力で、自分の生産性を高めていきたいですね。

 

その他参考:

LINE API x Google App Script bot を作成した話 – How to make datas our friends
GoogleAppsScript スクリプトのプロパティの超簡単な使い方 – Qiita

ログミーファイナンスをPocketで読み上げたら決算発表をたくさん読めるようになった

決算発表って、いろんな企業の実態や戦略を知ることができるので、時間があれば読んでいます。

会社のウェブサイトからIR資料を読むことが多いですが、ログミーファイナンスで書き起こされた記事を読むのも便利です。

ログミーファイナンス投資・IR情報の書き起こしメディア

ただ、なかなか読む時間もなくてどうしようかなーと思っていたのですが、ふとPocketから読み上げたらいいんじゃないかと思って、試してみました。

Pocketにはテキスト読み上げ機能がある

ポケットにはテキストを読み上げてくれる機能があります。記事を開いたら、右下のメニューからTTSを押すだけです。

非常にナチュラルに読み上げてくれます。また速度の調整も可能です。

さらにPocketを使うメリットとしては、複数に分割された記事をまとめてくれることです、ログミーファイナンスぐらい長い記事だと、分割されています。しかし1ページ目を保存すれば、後はPocketが勝手に分割された他のページもまとめて保存してくれます。

なので、ログミーファイナンスの記事をPocketに保存して、読み上げ機能を使えば、記事を移動中などに聞くことができるということです。

IFTTTでPocket自動で記事を保存する

次は、自動でPocketに記事が保存されるようにしましょう。IFTTTを使います。IFTTTは様々なサービスと連携して自動アクションしてくれるサービスです。僕もいろんな用途で使っています。

自分へのリマインドや家族との情報連携には、LINE Notifyを使うといいよ

これで英語ニュースを毎日読める。英語を習慣化するための環境をつくる方法

ログミーファイナンスはどうやらRSSがなさそうなので、Twitterの公式アカウントを使うことにしました。

Tweets by ログミーファイナンス (@logmi_finance) – Twitter

公式アカウントのつぶやきに含まれるURLを読み取ってそれをPocketに保存させます。

簡単にレシピを書いておくと、ツイッターで公式アカウントの中で「決算全文」というワードが含んでいるつぶやきを検索して、つぶやき内の最初のURLの記事をPocketに保存させます。

これで自動的にポケットにログミーファイナンスの記事が溜まっていく仕組みができました。

後は、すきま時間に記事を読み上げさせるだけです。

最近数日試していて、結構調子が良かったのでご紹介しました。

もともと書き起こしだからテキスト読み上げでも聴きやすいです。あと、ログミーファイナンスはたくさん記事が更新されますね。消化しきれるか不安な位です。

でもたくさんの記事企業が知ることができるので、好きな時間で聴く楽しみが1つ増えました。

ぐるなびの営業利益が減少していたので、グルメサイトも新しい時代に入ってるのかもしれない

ぐるなびと、食べログを運営する価格コムが決算発表を行っていました。特に、ぐるなびの業績悪化が目立ち、ネットで話題になっていました。

以前分析してみましたが、最近の状況をアップデートしておこうと思います。

グルメサイトの二強「食べログ」「ぐるなび」のビジネス戦略を比較する

ぐるなびの事業モデル

ぐるなびの業績悪化は、結構衝撃的な感じでした。

年次の業績推移をグラフ化したのがこちら。売上高は微減ではありますが、営業利益が大きく落ち込んでいるのがわかりますね。

四半期ごとの2年間の業績をみても、営業利益率の低下傾向がはっきり出ています。

売上がそれほど落ち込んでいないにも関わらず利益が減ったということは、コストが減っていないということです。

投資を増加させていたということは、売上が伸びていく想定だったはずなんですよね。それが想定外だったのは、既存顧客の契約解除が続いているからと思われます。

ストック型のビジネスモデルであるだけに、ここが崩れていくのは、相当嫌な感じがします。

ここで、食べログと比較してみましょう。

途中で食べログが大きく逆転して、そこからはその差は埋まらずにいます。最近がずっと低下しているのは、アプリ利用が増えているからでしょう。

グルメサイトとしては、いかに送客できるかがポイントになるはずなのですが、それが難しくなっているということでしょうか。

食べログの業績はどうなってる?

しかし、その一方で食べログは順調に業績を伸ばしています。

単純な業界トレンドというよりは、食べログ一強になってるのではないでしょうか。

ネットに強い食べログらしく、トラフィックが安定しているのと、ネット予約件数が増加しています。ネット予約便利ですよね。

ぐるなびはどれぐらいトラフィックを獲得しているのかはわかりませんが、送客力が低下しているのが要因のひとつと書いています。

ぐるなびと食べログはビジネスモデルが違っていて、売上はぐるなびの方が大きいのですが、利益率は食べログの方が高いのです。

マンパワーを中心にコストをかけてスケールさせるぐるなびと、ネット中心に高い利益率を実現する食べログは、今後どうなっていくんでしょう。この領域も新しいフェーズに入ってきている気がしました。

iPhoneに新しいブラウザ導入したらブログ書けるようになった。するぷろーらX、ありがとう

最近、限られた時間の中で自分のアウトプットをどう増やすかを考えています。

自分の考えを整理するのに便利でブログを続けてきてますが、なかなか書けない日々が続いてたりしました。

どうにかしないとなーと思ってましたが、最近iPhoneのブラウザをchromeからするぷろーら Xに変更したところ、ブログを書く時間を増やすことができました。

より速く!より使いやすく!より検索しやすく!ブロガー向け iPhone / iPad ブラウザ「するぷろーら X」を開発しました。

するぷろーら Xはブロガー用として開発されており、使いやすさは玄人向けっぽいですが、個人的には非常に快適です。

これを使うと、ネットで調べてアウトプットするのが非常に早くなります。

まずリンクタグを作るのが便利

もうほとんどこのために購入したようなものです。調べ物をして、ページのリンクを記事に貼るためにはリンクタグを作らないといかないのですが、これがあれば簡単にリンクタグを生成できます。

blockquoteタグもあります。自分でカスタムタグを作ることもできるので、タグ作りはこれで圧倒的に早くなりますね。

複数検索の切り替えが便利

購入してみて、予想以上に便利だったのが検索エンジンの切り替え。

とりあえず、以下のものを登録しました。

  • Wikipedia
  • Amazon
  • 自分のブログ
  • Twitter
  • Googleトレンド

アプリを切り替えたり、Googleで検索してからたどるのに比べて、すごい調べ物が早くなりました。

ついでにモブログ環境見直した

これまでどうしてもスマホは画面小さいし、文字入力も効率悪いからと思って、メモ書きぐらいしか書いてませんでした。

でも、アウトプット増やすならiPhoneでもっと書けるようにしたいな、と。

するぷろーら Xを導入したのを機に、それ以外も環境を見直し始めました。

ブログのメモにはSimplenoteを使っているので、

https://synapse-diary.com/?p=4827

だいたい仕上げたら、Markdownでそのままアップできるようにしたり、アイキャッチの画像編集もiPhoneでやったり。

720円はアプリにしては高い部類かもしれませんが、生産性とモチベーションが上がったことを考えれば、全然価値はありましたね僕は。

もっと早く使っておけばよかった感じです。スマホは身近なミニパソコンなので、生産性を上げる余地はまだまだありそうな気がしました。

これからの組織に求められるものがわかる「ティール組織」

年に何冊か骨太で価値観揺さぶられる本に出会うわけですが、今年もそんな本に出会うことができました。

住宅リフォーム市場とDIYの盛り上がりについて調べた

最近テレビでリフォームをDIYで行うシーンを見かけるようになったと思いませんか。

人口減少に伴って、新規住宅は減り、空き家が問題になっています。その中で、リフォームやリノベーションが市場としては盛り上がりを見せており、気になったのでどのような動向になっているか、チェックしてみました。

住宅リフォーム市場の規模と推移

住宅リフォーム市場は7兆円という大きな市場を形成しており、2020年ごろまで増加し、そこからは横ばいから減少へ進んでいくようです。

住宅リフォーム市場に関する調査を実施(2017年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所

こちらのNRIの予測もだいたい近い数値になっています。

野村総合研究所つ<2017年版>2030年の住宅市場(PDF)

経済産業省の分析レポートをみると、リフォームビジネスのプレイヤーは多岐に渡っていますが、今は水回りが多くなっていて、市場の多くは地場工務店が占める状態です。

住宅・リフォーム業界を巡る現状と社会環境の変化(経済産業省)

今後は新しいプラットフォームが台頭するか

新しい動きとして、プラットフォーマーの出現があります。

米リフォーム業界に旋風を巻き起こす「Houzz」と「Porch | JBpress(日本ビジネスプレス)

2018年リフォームブームはさらに追い風

具体的なサービスとしては、次のものが見つかりました。

リフォームの費用相談、見積り依頼なら【O-uccino(オウチーノ)】

完全成果報酬型のリフォームマッチングプラットフォーム「HUNDY(ハンディー)」のα版をリリースしました | BRANU INC.

HOUSALL | 住生活サービスプラットフォーム

Lifestyle magazine about living – HowScope (house corp) | We will deliver renovation / renovation information!

ざっと調べただけでも複数見つかったので、これから盛り上がりを見せるかもしれません。たしかに家を修理しようと思うと、一から探すのは結構面倒なので、ニーズはあるんじゃないかと。

EC化はモノだけでなくサービスにも拡大しています。住宅リフォーム市場でも、プラットフォームを通じたサービス提供が広がるんじゃないでしょうか。

DIYの盛り上がり

DIYの動向についても見ておきましょう。まずGoogleトレンドでみると、右肩上がりになってます。

しかし、ホームセンターは過当競争で頭打ちなんですよね。

年間総売上高とホームセンター数の推移(推計値)日本DIY協会

DIYも以前のような本格的なものではなく、ライトなものが流行しているようです。それによって、間口が広がっているんでしょうね。

ホームセンター事業者各社は、これまでの本格派・正統派のDIYではなく、一般消費者が気軽に楽しめるDIYを提案し、軽量化を図った商品やカラフルな商品など、女性向け・ファミリー向けの商品ラインナップを拡充している。

引用元:ホームセンター小売市場/2017年度は3兆9980億円規模に(2017.07.31)|流通ニュースただ、ライトになるほどインターネットとの親和性も高いと考えられるので、そちらでの販売も増えてる気がします。

まとめ

  • リフォーム市場は7兆円ぐらいの巨大市場で、2020年ごろまで拡大する見込み
  • リフォーム業者をマッチングするプラットフォームが登場してきており、今後EC化が加速するか
  • DIYは流行しているがライトなものが主流

以上です。やはり建設系は市場が大きいな、というのが率直な感想です。今後どれぐらいEC化が進み、どういうプレーヤーが台頭するでしょうか。

中小企業の粉飾決算方法を学んで経営実態を把握できるようになれる本

東芝が、粉飾決算で大幅な赤字になったのは記憶に新しいところですね。

2015年(平成27年)7月20日、第三者委員会の報告書により、経営トップの関与による2009年3月期から2014年4 – 12月期で計1518億円の利益を水増しする粉飾決算を行っていたことが報告された[114][115]。同報告書では過去7年間で1500億円を超える利益の水増しの事実に加え、「ストレッチ」と称して拡張した「チャレンジ」と呼ばれる目標予算に「コミット」させて、報告してくる数値に「それは受け入れられない」というプレッシャーをかけ、経営トップが関与して「不正会計」が行われたと分析している[116]。

引用元:東芝 – Wikipedia

これほどの大企業でも粉飾決算できてしまうぐらい、会計制度というのは万全のものではないということです。

では、決算書のどこに不正を潜ませるポイントがあるのか、また企業がどのような動機から不正会計を行うのでしょうか。

それを解説したのが本書「粉飾決算企業で学ぶ実践「財務三表」の見方」でした。

本書は債権者目線であること、中小企業のケースをカバーしていることが特徴です。特に中小企業は上場企業とはまた別の事情を抱えており、特有の決算調整を行う動機や方法が存在するので、教科書的な決算分析では知ることができない様々な粉飾の方法を知ることができます。

銀行員などはこういう手法を知り、実態を見抜くノウハウを身につけているのだと思いますが、それ以外の人で通常の財務分析しか知らない人には、目から鱗の内容です。

会計は調整できる点がたくさんある

会計とは曖昧な部分があります。複雑な制度であるが故に、企業が操作できる余地がいろんなところにあります。

例えば減価償却費だけ見ても、定率法と定額法の2つがありますし、実際の耐用年数との食い違いもあります。

それ以外にも在庫評価や、借入の長期短期の区分など、企業の考え方で左右される要素がたくさんあります。

それを防ぐために監査法人のチェック制度やキャッシュフロー計算書ができたり、いろんな仕組みが講じられてきているわけですが、それも万全ではないので、不正会計が行われる余地があるのが現状です。

本書の中で、この言葉が象徴的です。

利益は主観的なものであり、経営者がその額を決める余地が多分にあります。

企業が不正会計する方法と動機を知る

なぜ企業は不正会計、粉飾してしまうのでしょうか。

簡単に言えば、信用を得るために黒字にするか、節税するために赤字にするか。どちらかに別れます。

債権者からの信用を得るのに心配な場合は、赤字ではなく黒字に見せたくなります。そのため、費用を過小計上し、その結果資産が増えたり債務が減ったりするのです。

逆に節税を重視する場合は、費用を大きくして利益を圧縮します。これは収益性や債権者からの信用は問題ないので、節税を重視するのです。

これらが行き過ぎると、粉飾に走ってしまうのですね。特に前者が多いでパターンです。

本書を読むと、決算書の読み方の基本もわかるし、おさらいとしても良いですね。

また、特に中小企業の不正会計のポイントもわかるので、とても勉強になりました。生々しい粉飾の手法がわかるようになります。これらを知ると、様々な企業の有価証券報告書ももっと深く読めるようになるでしょう。数字の先にある経営実態を探るためには、こういう可能性も頭に入れておくべきってことですね。

あと、実際の粉飾ケースも掲載されており、どのように粉飾して数字に表れてきたかがわかります。

最近話題になった東芝についても書かれています。東芝のドタバタ劇を知るにはこちらの本がオススメです。本書と合わせて読むと、組織の実態と数字の両面で理解できますよ。

ギブソンの経営破綻から楽器市場の動向を考える

ギターブランドで有名なギブソンが経営破綻したということで、音楽業界、楽器業界厳しいなと思った方も多いでしょう。

ギター老舗ギブソン、破産法申し立てロック音楽の低迷で市場縮小

老舗ギターメーカー、米ギブソンが経営危機債務返済に苦慮 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News

ということで、ギブソンの経営状態と楽器市場についてざっと調べたので、簡単にまとめておきます。

そもそもギブソンの経営戦略ミスでは?

最初に元も子もない話ですが、ギブソンはギター以外に音響分野に進出するために、最近は買収を繰り返しており、これがうまくいかなかったようです。

ギター事業は黒字であり、うまくいかなかった事業は売却して経営再建する方向です。

これらの動向は、この記事が詳しいです。

ギブソンが会社更生法なのは、音楽業界うんぬん以前に自業自得と思う件 | DORIAN MODE

ギター事業は黒字であるということは、致命的なインパクトを与えるほど外部環境は衰退していないと思われます。

ロックの低迷は本当か?

ギブソンの経営再建の記事で、1つの要因に挙げられていたのは、ロックの低迷です。

たしかに世界で最大の音楽マーケットであるアメリカでは、ヒップホップがロックを売上で超えています。

米音楽業界はヒップホップが一人勝ち、ロックは衰退傾向史上初!!2017年はヒップホップ/R&Bが、ロックより売れた!コーチェラのヘッドライナーからロック枠が消えた理由か?!|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オンドットコム)

ロックの新しいスターがなかなか登場しない状況であり、ロックの現場でも高齢化問題が発生しているようでして。寂しいというかなんとも言えない状況であることを示しています。

洋楽雑誌の高齢化がちょっと笑えないレベルで深刻・・・ – BASEMENT-TIMES

なぜロックが衰退してしまったのか、ということを調べてたら、こういう考察記事を見つけました。

ロックの衰退と現代の電子音楽タイトルどうり何故ロックは衰退し電… – Yahoo!知恵袋

音楽のムーブメントはいろんな背景から生じるものだと思っていますが、音楽の民主化としてより手軽に実現できる電子音楽の存在というのは、ひとつの要素かもしれません。

楽器市場はどうなってるのか?

では、楽器市場自体はどうなってるでしょうか。

日本国内は、人口減少から言わずもがな苦戦してきます。

楽器小売事業者の経営動向調査

教室を併設し、サービス型へシフトしてなんとか維持してる状況です。

一方の世界市場は、日本ほど先行き暗くないようです。少し古い資料になりますが、ヤマハの中期経営計画だと、楽器市場は伸びるとありました。特に中国と新興国が成長市場です。P20に市場規模の推移があります。

ヤマハグループ新中期経営計画 2016-2019

さらに、楽器だけではこれからの先行きが不安なため、楽器メーカーは多角化してきています。

ヤマハ・カワイ・ローランド、世界トップ級でも求められる楽器業界の多角化戦略|ビジネス+IT

結局これは、冒頭のギブソンの話に戻ってくるわけですが、楽器市場はなくならないものの、今後の成長を考えると限界が見えており、多角化路線を目指さざるを得ない状況になっているわけです。

まとめ

  • ギブソンの破綻はギター事業の衰退ではなく音響事業の買収失敗
  • ロックの衰退は本当に起こっている
  • 楽器市場は中国や新興国を中心に伸びる
  • 楽器メーカーが大きく成長するには多角化路線

ということで、なかなか厳しい楽器市場の動向でした。

手芸用品やハンドメイドの市場規模や動向

最近、ハンドメイド市場が拡大してますね。

急成長のハンドメード市場 リアル充実で次ステージへ|エンタメ!|NIKKEI STYLE

海外だとEtsyが人気でナスダックにも上場しています。国内でもminneCreemaiichiなどがあります。

これらがどのような状況にあるのか、市場規模や動向などを調べてみます。

手芸分野の定義

ハンドメイドのことを調べようと思ったのですが、もっと広い概念として手芸という言葉が当てはまるようです。

手芸というのは、何を指すんでしょうか。Wikipediaをみると、服飾系、宝飾系、人形、ガラス、工芸系、手芸・クラフト系と様々なジャンルが存在することがわかります。

手芸 – Wikipedia

ホビー白書では別の分類で、大きくクラフト、ドゥ、コレクトの3つになっています。

国内ホビー市場規模は約2兆円 | 繊研新聞

市場規模の数字としてあったのがホビー白書なので、この分類を意識して数字を見ていきます。

市場規模の推計

少し古いデータですが、2015年時点では国内クラフト市場は8,900億円程度となっています。

一般社団法人日本ホビー協会発行の『ホビー白書2015年版』によると、2014年の手芸などの国内クラフト市場規模は約8,906億円、またハンドメイドサイトの市場規模(流通総額)は2014年の35億円から2015年には78億円(推計)に拡大している。
www.tdb-di.com/column/1607/index2.htmlから引用

もう少し細かい、歴史から考察した市場規模のレポートもありましたので、こちらも見て見ましょう。

ホビークラフト市場規模株式会社U.P.n.P.

販売チャネルごとの規模が推計されているのが興味深いですね。

ホビー業界の販売チャネルごとの売上シェア

圧倒的に専業専門店が多くなっています。今はもっとネット割合が増えているだろうとは思うのですが、事業構造を考える上では大いに参考になるでしょう。

ちなみに、最近はCtoC取引の増加がハンドメイド市場の盛り上がりを後押ししているようです。

経済産業省が2017年に発表した「電子商取引に関する市場調査」では、2016年における個人間取引における市場規模は3,458億円にのぼる結果になりました。これはヤフオク!などのネットオークションの規模全体が10,849億円ということを考えると、その三分の一以上にあたりCtoC市場は大きいといえます。

引用元:CtoC(個人間取引)とは何か? 基本のビジネスモデルから市場規模まで

こういう新しいマーケットも登場しています。ステッチステッチという、裁縫レシピを販売するマーケットです。

手芸ビジネス、なぜ密かにブーム?ゲーム市場に匹敵~レシピ紹介サイト、カフェ… | ビジネスジャーナル

ちなみにこの記事では、唐突に手芸市場は4,000億円という数字が出てきます。

正直定義によってこのあたりの数字は変わってしまうのですが、大きく捉えれば8,900億円、小さく捉えればそれ以下になるというざっくりした規模感はわかりました。

企業の戦略

今度は個別の企業戦略を調べることで、業界動向を考察したいと思います。

手芸関係の上場企業は、株探によるとフジックス、セメダイン、藤久の三社ですが、一番参考になりそうなのは、手芸用品を販売している藤久でしょうか。

藤久の業績と戦略

クラフトハートトーカイという手芸店を展開する藤久の業績はこちらです。

藤久

売上がじりじりと減少し続けており、それにも増して利益が減少しています。直近期では営業利益ベースで赤字です。

藤久、営業利益で初の赤字に 今後はニーズを捉えた品揃え・値ごろ感で挽回を図るログミーファイナンス

店舗の売り上げは厳しくなってきており、競争激化で価格競争と品揃えが求められる一方で、教室などを積極的に展開して、サービスを提供する付加価値型へシフトしています。

また、この決算発表でも市場規模の話が出てきており、1800億円程度という数字が出てきます。これは店舗で手芸中心だと思いますが、この10年で少しずつ減少しているとありますね。藤久はその中で200億円程度のシェアです。

トーカイは苦戦していますが、その中でも新たなニーズも出てきています。例えばレジン。

藤久<9966>のフィスコ二期業績予想 | 財経新聞

レジンは以前から注目されているもので、Googleトレンドでみても盛り上がっているのがわかります。

小売店としてはなかなか厳しい業界状況であることがわかりました。

まとめ

市場規模は9,000億円弱。市場が伸びているかは正直ちょっとよくわかりませんでしたが、小売店は売上が厳しくなっており、ネットを中心に伸びている傾向はみられることから、移り変わりが起こっていると推測します。

今後もネットの成長が続くのでしょう。

【書評】すべての教育は「洗脳」である~21世紀の脱・学校論~

ホリエモンが面白い本を出していました。

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ホリエモンがなぜ教育の本を書くのか?と最初は不思議に思いましたが、教育の観点から今の時代に求められる価値観や考え方を説いていて、とてもポジティブな内容になっていました。

 

教育の構造は、社会の構造から導きだされている

今の人々の価値観を形成するにあたって、教育というのは大きな要因となっています。その教育システムというのは、どういう意味を持っているのでしょうか。

全体を一括して教育する仕組みは、近代から始まったもので、その教育内容は時代の要請に基づいて形成されています。当然といえば当然ですね。

社会に出るのに必要な、知識や立ち振る舞いを教えるのが学校の役割です。日本では様々な知識に加え、道徳や団体行動、忍耐などの重要性を教えられる印象があります。社会に出たら会社や上司の言うことを聞いて数年は我慢しなければいけない、などなど。

結局これは、これまでの社会で扱いやすい人を量産するのが目的になっており、ある意味合理的な時代もあったと思うのですが、今の時代では合わなくなっているんじゃないかというのが、本書の主旨の一つであります。

最近は同質的な人間が協力して集団の力を発揮するのではなく、人と違うことを考えて状況を打開できるイノベーティブな人間が世界中で求められています。イノベーティブなことを考え実行できる人材は貴重な資源なので、世界中で奪い合ってるのです。

スタートトゥデイは有能なら一億円出すと言って、最近話題になりましたね。

スタートトゥデイ、「天才」1億円で雇います IT人材募集  :日本経済新聞

 

大前研一氏も、2017年を総括したこちらの本で、同じことを言っていました。

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また、今の日本の教育制度は20世紀の大量生産・大量消費時代における中の上くらいの人材を大量につくるものでしかありません。エッジの効いた変わった人材、尖った人材をつくり育て21世紀の経済をシェイプしていくような仕掛けが全くないのです。そのことに気づいてからそういったシステムづくりに着手しても、効果が見えるまでには20年かかります。日本の今の病だと言えますが、これは治らないと私は思います。

 

自分が持っている価値観自体を疑った方が良い時代なんだと思います。ただ、自分で価値観を疑う事は結構難しいので、本を読んだり人と話して自覚していく意識が重要でしょう。

 

自分のやりたいと思うことを学び続ける

では実際どういう価値観で行動していったらよいのかと言うのは、具体的には本書を読んでいただくとして。

エッセンスだけ書いておくと、自分がやりたいと思うことにできるだけ素直になっていくということ。

さんざんいろんなビジネス誌で言われている通り、これからはAIの発展で、人間がやらなきゃいけないことは減っていきます。そのような中で、人は何をモチベーションに活動していくのか。これまでのように企業に勤め、一日働いて対価を得るという典型的なパターンは崩れていき、もっと自由に流動的に人間は活動していく気もします。

ライフシフトの考え方も重要です。長い人生の中で、自分を変化させていきましょう。何歳になっても遅くありません。

2017年に向けて読む一冊:100年ライフを読んで人生プランを考えよう

社会はこれだけ変化しているのだから、働き方や価値観をアップデートしていくべきですね。

もう横並びで考えていてはダメな時代になってるんだなと思いました。自分もきっといろんな先入観があるんだと思うと、何かを変えなきゃいけない。

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関連本

とにかく働こう。ホリエモンの「ゼロ」を読むとポジティブに働きたくなる

これを読んで、すごい真摯な本だなって思いました。働くことの意味というのを、これを読んでぜひいろんな人に考えて欲しい。