クラウドERPのトレンドと中小企業の向き合い方

ERPというのは、随分昔からあるシステムですが、対象はどちらかというと大企業向けでした。

企業の経営管理機能のほぼ全てをカバーし、リソースを最適化するためにはどうしても費用が高くなってしまうというのが根本的な原因です。

ただ、最近はクラウド化の波がERP市場にも訪れており、変化が生じています。

約一年前に調べたのですが、改めて状況をアップデートしていきたいとおもいます。

ERP市場の現状と今後の展開を調べてみた

ERP市場の全体トレンド

真っ先に見つかるERPの市場規模調査では、ITRが出している2018年の調査があります。

ITR Market View:ERP市場2018 | ITR

このデータから見えてくるのは、ERP市場全体の拡大と、クラウド比率の増加です。

もう少し細かくみると、オンプレミス型のERPが大きく減少していき、それに置き換わるようにIaaS型が増えていくと予想されています。これを見ると、

  • 大企業・中堅企業に導入されていたオンプレミス型のERPはIaaS型への置き換えが進む
  • 中小企業を対象にクラウド型のERPが新たに導入される

というシナリオが考えられます。

 

クラウド化と価格低下が導入ハードルを下げる

実際、調べてみるとクラウドERPというのは各社が提供し始めています。ボクシルで取り上げられていたのは、こちらのサービスです。

  • NetSuite
  • クラウドERP ZAC
  • SAP Business One
  • Oracle ERP Cloud
  • GLOVIA OM
  • Workday

ERPシェア・市場規模 | 世界調査と国内最新動向・注目クラウドサービスも紹介 – ERP(基幹システム) | ボクシルマガジン

それ以外にも、ALL-INというサービスもありました。こちらは金額も明瞭で、15人利用する場合であれば、ざっくり年間100万円程度です。年100万円で基幹系システムが導入できるというのは、すごい時代になってきた感があります。

料金プラン – ALL-IN(オールイン) | 中小企業・ベンチャー向けトータル経営システム

それ以外にも、オープンソースという選択肢も出てきています。昔からこの領域は存在していたようですが、最近ではOdooというOSSが勢いあるようです。

Open Source ERP and CRM | Odoo

こちらの会社様が、日本をはじめとするアジア圏での導入を積極的に展開されています。

オープンソースのクラウドERP Odooで業務改善 – コタエル/Quartile

これらを調べてみると、各社クラウド化に熱心になっており、特にALL-INのように中小企業向けを明確に示し、料金もわかりやすいサービスが登場してきていることからも、この領域は中小企業を中心に、これまでERPを使ってこなかった層を対象に市場を広げていくでしょう。

 

ということで、ざっくりとではありますが、ERP市場のトレンドを確認してみました。クラウド化の波が大きくやってきているので、中小企業も含めて幅広く浸透するのではないでしょうか。

参考:
ERPのトレンド:クラウドERPに移行するべきか?
6つのERPトレンド、AIやブロックチェーンなど(上) – 6つのERPトレンド、AIやブロックチェーンなど:CIO Magazine

ロシアW杯サッカー日本代表を戦略から読み解く「サムライブルーの勝利と敗北」

ロシアワールドカップで、日本代表はベスト16で終わりました。目標としていたベスト8には届きませんでしたが、W杯が始まる前の期待の低さを思うと、非常に楽しませてもらいました。言ってはなんですが、ベルギー戦の最後のカウンターは、とても悲劇的なドラマのようでした。

で、そんな熱狂したワールドカップだったわけですが、日本代表の各試合がどのような戦略の上で展開されていたのかを分析した「サムライブルーの勝利と敗北」を読みました。

ちなみに、W杯前に発売された「砕かれたハリルホジッチ・プラン」も読んでいたのですが、合わせて読むと、ハリルホジッチ解任からW杯本戦までの流れがよくわかります。

改めてハリルホジッチとは何だったのか、ワールドカップは終わりましたが、これからの日本代表はどのような課題があるのかは、この2冊を読んで理解が深まりました。

 

高度化するサッカー戦術と遅れる日本

サッカーの戦術は非常に高度化しており、日本サッカーは欧州に比べて遅れていると言われています。Jリーグが発足してアジアで日本のサッカーが躍進していき、海外で活躍する日本人も増えてきましたが、それでも相対的には逆に世界との差が広がっていると言う意見もあるくらいです。

サッカーの世界では、モウリーニョやグアルディオラのような名将が登場してから、戦略・戦術の複雑度が増しており、それらの戦略や戦術が言語化、体系化されています。

本書を読むと、日本サッカーはどのような点が世界のトレンドから遅れており、ハリルホジッチはどうそのギャップを埋めようとしていたのかがわかります。

ただ、ギャップの根幹が日本サッカーの思想的なところから始まっているという分析を読んで、結構根が深くて、簡単には変われないのかもな、と思いましたが。

 

サッカーもビジネスも戦略を知ると面白い

なんでこんなにサッカーの戦略が面白いのか、自分でもよくわからずしばらく考えていましたが、普段自分が考えてるようなビジネス戦略と結構共通するところが多いんですよね。

例えば、最近のサッカー理論では様々な考え方やアプローチが言語化されて発展しています。本書でもハーフスペースや5レーン理論など、テレビなどでは聞きなれないワードが登場します。

経営においても同じで、様々な複雑な事象ある捉え方によって体系的に整理した知識が、初めて人々によって共有化されます。共有化された知識は様々な人に広がり、どんな場面で実行されることで経営が高度化されていきます。

それぞれ一人一人が努力も重要ですが、環境や自分たちの戦力に合わせて戦略を構築し、相手に勝利するという点は同じ気がします。

 

僕はこれほど的確にサッカーを分析できる力を持っていませんが、こうやって丁寧に解説してくれると、サッカーの面白さが500倍になること間違いなしです。

できれば、この解説を動画でやって欲しいなー。

W杯開催中は、他にもたくさん解説記事を読みました。フットボリスタが面白かったですね。

失われたハリルホジッチ・プラン。 「エリア戦略」でみる隠れた一貫性 | footballista
なぜ日本は数的優位で苦しんだ?コロンビア戦の謎を林舞輝が解く | footballista
個で上回っていたセネガルの誤算。日本のビルドアップの高度な工夫 | footballista

2018年FIFAワールドカップ、日本対コロンビアのレビュー「大迫半端無いって」 – pal-9999のサッカーレポート
2018年FIFAワールドカップ、日本対セネガルのレビュー「完璧な選手なんていません」 – pal-9999のサッカーレポート
2018年FIFAワールドカップ、日本対ベルギーのレビュー「日本が史上最もベスト8に近づいた日」 – pal-9999のサッカーレポート

お知らせやキャンペーンをポップアップで簡単に表示できる「GetSiteControl」

ウェブサイトにキャンペーンのお知らせやメルマガ登録の案内、アンケートなどをポップアップで表示したい時がありますよね。

そんな時に役立つのが「GetSiteControl Widget」です。

GetSiteControl — Perfect widgets for your website

 

GetSiteControlでできること

ウィジェットと呼ばれる小さなウィンドウを、いろんなパターンで表示することができるようになります。言葉では分かりづらいですが具体例を見るとわかっていただけるんじゃないでしょうか。

実例がサイトに掲載されているのですが、例えば、

 

自社のニュースや新着記事をメールで読んでもらうために、メールアドレスを登録してもらう

 

新しい製品をお知らせする

 

アンケートをとる

 

などなど、サイズや色、表示する場所などを含めて様々な形でできます。もちろん日本語にも対応しています。

このサイトでも、アンケートウィジェットを作成してみました。

さらにその結果をアクセス解析として分析することもできます。また、これらの機能は条件さえ満たせば無料で使えます。

では詳しく登録等の使い方を見ていきましょう。

 

アカウント登録

最初のアカウント登録は、新規で行うか、FacebookまたはGoogleでログインします。

その後、サイトを登録すると、埋め込み用コードが表示されます。これを貼り付けるか、Wordpressを使っている場合はプラグインを利用します。Wordpressの場合、「GetSiteControl」で検索すればプラグインを特定できます。

これで登録は完了です。

 

ウィジェットの作成

次は実際にウィジェットを作成します。

最初に、ウィジェットの種類を選びます。「Subscribe」「Contact」「Promo」「Survey」「Follow」「Share」「Chat」があります。

 

種類を選んだら、今度は具体的な設定です。

まずはウィジェットの出現位置、色と表示方法を設定します。これはプレビューが常に表示されてますので、わかりやすく設定できるのではないでしょうか。

次にコンテンツの文言を指定します。今回作ったサーベイの場合は、アンケートに答えてくれたら、Thank youメッセージも表示することができます。

次は振る舞いです。ウィジェットを表示するタイミング、頻度、いつウィジェットの表示をやめるかなどを設定できます。今回は3回表示したユーザーにはもう表示しない、という設定にしてみました。

あとは、ユーザーもセグメントすることができます。ブラウザやPC/モバイルの違い、場所など様々な条件で表示する条件を絞り込むことができます。モバイル向けのユーザーに対して、モバイルアプリのお知らせをする、などもできるわけですね。

これでウィジェットは作成できました。あとは「Activate」で有効化したら完了です。

 

プラン

プランは、Free、Plus、Proの3段階があります。Freeでもウィジェットの種類は全部使えますし、1つのサイトであまりカスタマイズにこだわらなければ、無料で良いと思います。

有料プランでは、高度なターゲッティングや、A/Bテストをできます。

 

以上、GetSiteControlを使えば、ウェブサイトにちょっとしたウィジェットを簡単に表示できることがわかっていただけたと思います。キャンペーンやお知らせをしたい場合などは、通常のお知らせ欄に掲載するより目立つ形でユーザーに知ってもらえると思うので、利用を考えてみてはどうでしょうか。

GetSiteControl — Perfect widgets for your website

経営管理・予実管理の最近のトレンドを整理してみた

企業経営やプロジェクト管理では、経営指標やKPIの予実管理をするわけですが、その作業に関するツール周りが最近どうなっているのかを整理してみました。

未だに存在感が強いエクセル

なんだかんだと言いながら、いまだにこの領域はエクセルが多いと思います。

こちらの記事は、経営管理の全体が書かれていて、非常に参考になります。

Wantedlyの経営管理のシステム&フローを図解してみた。 | Wantedly Blog

経費管理や会計管理など、様々なクラウドサービスが使われており、現代的だなーと感じています。一方で、管理会計の領域はエクセルになっているんですよね。

ここはなかなかハマるツールが見つかっておらず、広大なシートを毎月更新したり、関数もりもりのシートに日々フル稼働してもらったりしている状況です。
Wantedlyの経営管理のシステム&フローを図解してみた。 | Wantedly Blogから引用

企業ごとに管理する指標が違う、データ元も多様である、という点から、エクセルの自由度の高さには勝てないのが現状です。

ただ、最近はエクセル上でダッシュボード形式で管理するケースも増えているのではないでしょうか。

このようなスプレッドシートのテンプレートも公開されていました。

\無料公開/スタートアップ向け予算管理テンプレート|檜垣雄介 / NICOLY.incnote

あと、海外でもこのトレンドは同じのようで、udemyでこのようなトレーニングがあります。

Visually Effective Excel Dashboards | Udemy

エクセルも極めるとここまでできるんだなって驚きます。

クラウド系サービスの登場

ただ、このジャンルも最近は進んでる印象でして、例えばDiggleというサービスがあります。

DIGGLE | 予実管理に特化したクラウドサービス

まさに予実を管理するソリューションになっていて、ぜひ一度使ってみたいところです。経営管理としてハマれば、良い解決策になるんじゃないでしょうか。

また会計を中心にした分析であれば、Manageboardというサービスがあります。

Manageboard|会計で経営を分析・予測・共有する経営分析クラウド |

こちらは会計サービスと連携することで、それらの分析や予実管理ができるというものです。

このように、国産でも使いやすいサービスが登場してきているのが、今のトレンドです。

第三の選択肢としてのBIツール

エクセルなどのスプレッドシートの自由度と、クラウドサービスの手軽さの中間にあるのが、BIツールだと思います。

データ量が多くなるとエクセルでは扱いづらかったりしますし、BIツールは多様なデータ取り込み機能やダッシュボード機能があるからです。

手軽に使うなら、マイクロソフトのPowerBIとかでしょうか。デスクトップ版なら無料です。

無料でデータ分析するならMicrosoftのPower BI Desktopがおすすめ

実務だと、未だにエクセルが大活躍しています。ただ、やはりデータが大量にあるケースだとエクセルが重くなってしまって困るので、power queryなどの利用も少し混ぜてる感じですかね。

データを集める、分析して俯瞰するという行為は、経営判断に重要なのですが、経営者が必要なときに確認できる環境を作るためには、未だこういうゴリゴリした現場で回っている実態があります。

以上が自分で普段使ったり調べた内容ですが、うちはこうやってるよ!って方がいたら、ぜひ教えていただきたいです。

どんどんいろんなツールが登場して、便利になって欲しいと思います。

パワポ資料の作成スピードを上げる方法まとめ(2018年版)

以前2012年に、パワポ資料の作成スピードを上げる方法を書きました。

パワポ資料の作成スピードを上げる方法まとめ

それからも自分なりにいろいろ方法を見直してきて、Tips等も更新できそうなので、改めて書いてみます。

心構え編

いきなり書き始めない

まず重要なのは、いきなりパワポに書き始めないことです。パワーポイントは、頭の中がまとまっていない状態で書くのはよくありません。全体のストーリー性が十分に成立しないまま、作ってしまって後戻りができなくなる、という状況に陥りがちです。

ということで、最初に全体構成を整理しましょう。簡単なものであれば、メモ帳の箇条書きでもよいと思いますし、マインドマップやアウトライナーもよい方法だと思います。個人的には、OneNoteで箇条書きを使って構成を考えることが多いです。

自分なりにやりやすい方法でどうぞ。

準備編

準備編の目的は、資料の作成スピードを上げるために、いくつか用意しておくべき作業です。

素材集をつくる

自分でよく使うクリップアートや図形などの素材集を、予めネタ帳として持っておきましょう。人物やオフィス用品など、使いたいイラスト・アイコンは、すぐに取り出せるようにしておくと作業が早くなります。

最近は高品質なものがネットに転がっていますので、そういうものを知ったら、ちゃんと保管しておくと良いでしょう。

最近だと、Googleのマテリアルアイコンが秀逸でした。Google自体が商用でも無料で利用できる形で公開してくれていますが、こちらのサイトでは、それをさらにパワポで使えるように変換してくれています。

もうアイコン探しで迷わない! パワーポイント用フリーアイコン942種類!

これがあるだけでも、アイコンセットには困らないと思います。

こちらの「iconsweet2」もおすすめです。

プレゼン資料の表現力が増す!ビジネス用途に使いやすいフリーアイコン(×331個)のご紹介|PowerPoint Design

こちらもいいですね。

商用無料のアイコン素材集|ICON BOX

ちなみに、デザイン系のWeb素材に関してはこちらのサイトをチェックしています。

コリス

よく使うフォーマットはテンプレート化する

提案書や報告書など、決まった形式にできるものはテンプレート化しておきましょう。あるいは、自分で説明しやすいパターン(現状→問題→解決策みたいな)があれば、そういうものをテンプレート化しておくのもよいでしょう。

パターン化・テンプレート化は、作業効率向上の鉄板です。

フォント・色使いを決めておく

自社のコーポレートカラーなど、テーマとなる色版のパタンやフォントは、あらかじめ決めておくと毎回悩まずに済みます。

複数人でいろんな資料を作る場合は、ばらつきが生まれず統一感が出やすくなります。

色の組み合わせについては、カラーパレットを使うと良いでしょう。Adobeのこちらのサイトがお勧めです。

カラーホイール | カラースキーム – Adobe Color CC

自分でカラーパターンを作ることもできますし、いろんな人が作ったカラーパターンの中から選ぶこともできます。

これらのカラーパターンをPowerPointに用意しておき、作成した資料のオブジェクトは、用意した色から選択していくようにすると、統一感を出しながら作業も早くなります。

操作編

ショートカットを覚える

オフィス系の操作全般に言えることですが、ショートカットを覚えると作業は格段に速くなります。僕もそんなたくさん知ってるわけでは無いですが、基本的なところを知っておくと、効率化できるでしょう。

ショートカットキー操作
Ctrl+ Cコピー
Ctrl+ X切り取り
Ctrl+ V貼り付け
Ctrl+ S保存
Ctrl+ D複製
Ctrl+ Z元に戻す

って言っても、こんな基本的なことぐらいです。

クイックアクセスツールバーを使いやすいように設定しておく

よく使うコマンドで、ショートカットキーでは使わないコマンドはクイックアクセスツールバーに設定しておきましょう。リボンタブの上にあるやつです。

Excel初心者必見!クイックアクセスツールバーの使い方とおすすめ機能

僕は書式のコピーやフォント設定などをここに配置しています。それだけでも、毎回上のメニューバーから切り替えてクリックするよりは早くなります。

良い環境整えて、素早く効率的に作業できるようにしましょう。

ブックオフが赤字から黒字復活してたけど、今後はどうなる

ブックオフの業績はこれまで苦戦していました。売上と利益が落ち込み、2017年期は赤字になっていたんです。

ちなみにこちらは2015年に書いた記事です。その時点で売上は頭打ちになっていました。

ブックオフがハードオフとのFC契約を解除して家電を売る理由は?

そこで、久々に業績を確認してみたら、黒字に復活していました。

内訳をみると、売上は前年比で下がっており、利益は増えています。減収増益です。このパターンの場合、コストを削った結果です。

具体的には、販管費のうち人件費を削っています。それ以外にも減価償却費(投資の抑制)、消耗品費などコストを大きく見直しており、売上の減少でも利益を増やすことに成功しています。

画像

ブックオフの事業モデル

ブックオフは、IR資料によると4つのセグメントが定義されています。「リユース店舗」「ブックオフオンライン」「ハグール」「その他」です。

以下がセグメントごとの売上です。

凡例がなくてすみませんが、青かリユース事業です。圧倒的に「リユース店舗」が稼いでいます。

営業利益でみるとこんな感じです。

こちらでも、リユース店舗が利益の大半を創出しており、赤のブックオフオンラインが黒字ですが、それ以外は赤字です。

ここから、店舗での事業は未だ強い存在感があるものの、それ以外の成長事業が明確に見えていない印象を持ちました。

ちなみに、ブックオフオンラインとハグオールは統合されました。

ブランド買取のハグオールが消滅、ブックオフオンラインに吸収合併

この統合によって、将来的にはオンライン事業の売上を100億円規模まで拡大したい、としています。

リユース市場の成長はどこにある?

ブックオフのIRにも書いてありましたが、リユース市場は成長しています。ブックオフはどの分野を取り込めば、市場全体の成長に乗れるんでしょうか。

経産省に、リユース市場を分析したレポートがあるので確認してみました。ツイッターでも書きましたが、

成長領域は明らかにネットであり、店舗販売とネット販売は同程度の規模にまでなっています。

ネットはさらに細分化されており、大きな成長領域はフリマです。

ブックオフオンラインはB2Cの分野であり、今後もある程度の成長が見込めるとは思いますが、逆に成熟もしつつあります。競合が多数いる状況であることを考えると、今の延長線上で大きな市場の成長を取り込める、というのは少々考えづらいのではないでしょうか。

分かれる小売業の戦略

ずっと小売のEC化が注目されてきましたが、その動きも最近は変わってきている印象です。

ユニクロはECをガンガン伸ばしていますし、ヨドバシも売上の15パーセントはネットからです。

EC売上1000億円突破のヨドバシカメラなど通販売上ランキング2017【ジャンル別】 | 通販新聞ダイジェスト | ネットショップ担当者フォーラム

一方で、ツタヤは店舗開発に注力しており、ヴィレッジバンガードはECサイトがうまくいっていません。

ドンキホーテも、デジタル戦略としてECではなく店舗の魅力や利便性を高めることに注力しています。

これらの動きをみると、業態や商品ラインナップ、企業のカラーなどが相まって、とりあえずECではなく、店舗に注力した方が勝てる、というタイプの企業が出てきている気がします。

とはいえ、ブックオフはヤフーと提携して、オンライン事業を拡大する方針ですし、今後の動きが注目です。

【書評】世界史を変えた詐欺師たち

お盆休みではありますが、市場はトルコリラで相当激しく動いておりますね。

さて、休みの間に経済に関する面白い本を読みました。本書はタイトルには詐欺師と書いてありますが、経済に関連する読み物です。

本書の中で登場する数々の人たちは、実際の詐欺師もいれば、経済学者など経済の観点で名声を得ている人たちもいます。

詐欺のスキームを理解する

ミシシッピバブルを生み出したジョン・ローや、ポンジ・スキームと言う名で自分の名前を残している詐欺師チャールズ・ポンチなどは、よく語られる詐欺のスキームです。

ミシシッピバブルや南海バブルなどは、こちらの記事がわかりやすくて良いです。続編を楽しみにしているのですが、まだですかね。

ペペラのバブル物語〜経済&金融バブルをわかり易く解説〜

ポンジ・スキームなどは今でも見られます。少し前に話題になった「つなぎ融資の女王」は、まさにポンジ・スキームです。

詐欺で逮捕された「つなぎ融資の女王」 謎の半生を独占告白│NEWSポストセブン

古くからある手口ではあるのですが、今でも騙されることがあるということです。

経済学をどこまで信じるべきか

少し評価が難しくなるのは、ケインズ経済学として名前が残っているジョン・メイナード・ケインズや、アメリカのFRBで長く議長を務めたアラン・グリーンスパンです。

これらの人々は、今での評価は分かれています。グリーンスパンは議長だった当時好景気を生み出し、発言力を増していきました。しかし、歴史を振り返ってみると、必ずしも高評価だと素直に言えない部分が多々見られます。

それはITバブルや、リーマンショックを引き起こすことになった住宅バブルがはじけた後の傷跡を見れば、グリーンスパンの采配というのはどうなったんだろうと疑問を抱くでしょう。

一方、リーマンショック後に再注目されたケインズ経済学も、本書の中で紹介されている通り、ケインズ自身は自説が結構変節しており、なかなか評価が難しい人です。

しかし、経済学は再現性がなく過去に対する1つの仮説は提示できたとしても、その時々で処方箋は変わると言う特性を持っています。経済学者や評論家は様々なことを、その時々で唱えますが、後から検証することが難しいこともしばしばあり、どこまで信用するのか難しいところです。

最後に仮想通貨も登場します。これもある種のバブルでしたね。これからどう社会に浸透するかはわかりませんが。

本書読むと、経済は再現がなく様々な事象が複雑に絡んでいること、人々の信用が重要なポイントになることから、詐欺と相性が良いんだな、と認識しました。

非常に面白い読み物でした。

あなたは一日で本当に集中しているのは何分だろうか。「Deep Work」を読んで仕事を見直す

ディープワークという本が以前から気になっていたのですが、ようやく読了しました。

この本は、様々な要因で集中力を失っている現代人に、大きな付加価値を生み出す働き方を示しています。

ホワイトワーカーと集中力の問題

昔から集中力は気になっていました。この記事を書いたのは2011年です。

https://synapse-diary.com/?p=678

年々、人々の集中力を奪っているのは明白で、その要因はインターネットの発展と関係しています。

知的労働者がディープ・ワークに努めなくなっている理由は、はっきりし ている。ネットワーク・ツールのためだ。メールのようなコミュニケーショ ン・サービス、ツイッターやフェイスブックのようなソーシャル・メディア・ネットワーク、そして派手に乱立する娯楽情報番組を牛耳る広範な分野のことである。概して、こうしたツールの台頭は、スマートフォンやネットワークに接続したオフィスのコンピュータを通じて簡単にアクセスできるためでもあるが、このことは大半の知的労働者の関心を分散させた。

スマホなどのハードウェア、チャットなどのソフトウェアが発展して、リアルタイム性、双方向性が加速してきました。その影響で、どんどん人は細かなアテンションで阻害されています。

実際、自分でもすぐにメールやチャットで連絡が来ると、ついチェックしてしまいます。何か作業していても、メールが来たらチェックして、また作業に戻ることが頻繁に発生しています。

この確認は時間にすれば数十秒間です。これは軽微な時間ですが、人の意識の特性として、集中力が一度途切れると、それを戻すのは簡単ではありません。

例えば、「○分ごとにメールの受信トレイをちらっと見るくらいは問題ないと思うかもしれない。でも、ちょっとチェックするだけでも注意はそれる。もっと悪いことに、すぐに対処できないメッセージを目にした場合、未処理の仕事をかかえて主業務に戻ることになる。切り替わらないままの注意残余」のせいで、仕事の生産性は低下する。

こんな状況なので、集中力を低下させる人が非常に多くなっている現在では、逆に集中力を維持した環境を作り出す重要性が高まっているのです。

ディープワークに取り組む方法

本書では、ディープワークを実現する様々なアプローチが紹介されていますが、個人的に印象に残っているのは、目標の絞り込みです。

『戦略を、実行できる組織、実行できない組織。』の著者たちが説明しているように、「多くのことをしようと努めるほど、それだけ実際には少ししかできない」。少数の「最も重要な目標」に的をしぼって実行すべきである。この単純さこそが、組織のエネルギーを集約して実際の成果をもたらすのに役に立つ。

OKRKPIマネジメントで学んだ通り、目標達成のためには、目標自体を絞り込み、エネルギーを集中させるのが有効です。

また、人間は適切なフィードバックがなければ、自分が最も楽で安易な行動を選択しがちである、という特性があります。なので、自分や組織で、そういう状況を防ぐためのルールや仕組みを取り入れていかないと、ディープワークは実現できません。

ついついチェックしてしまうメールやSNSなど、誘惑的な行動を阻止してみましょう。ちなみに、本書の中では、メールや電話を部分的に禁止しても、仕事には影響が出ないという事例が紹介されています。

例えば、前に挙げたハーバード・ビジネススクール教授、レスリー・パーローの調査で、経営コンサルタントたちに一週間のうちのウィークデーの一 日、完全に外部との連絡を絶たせた。コンサルタントたちはクライアントが嫌がるのではと心配したが、クライアントは気にしなかった。ユング、グラント、それにパーローの話で判明したのは、人々はこうした期間が明確で、きちんと知らされ、その期間以外はたやすく連絡がつくなら、そうする権利を尊重してくれるということだった。

生産性を上げたり、新しいアイデアを深めたりすることができるようになるのなら、自分が集中できる環境を作り出したいと思いますが、どうやって作り出そうかな。まずは、今やっていることのいくつかをやめることからでしょうかね。メールやSNSの頻繁なチェックとか。

チクセントミハイのフロー体験とも通じるものがありますね。

「フロー体験」理論のあまりの凄さに戸惑いを隠せない:YLOGオルタナティブ:オルタナティブ・ブログ

お盆休みや旅行中の読書に。目標を達成する力を高める本4冊

暑い夏が続きますが、そろそろお盆休みも近づいています。休みをとって旅行に行く人もいるでしょう。ということで、普段はなかなか読めない本も読む良い機会かなと思うので、おすすめの本を紹介しておきます。

今回のテーマは、「目標を達成する力」です。

 

やり抜く人の9つの習慣

最近読んだこちらの本。

目標に向けてやり抜く人の習慣を、9つに分けて紹介しています。

海外のビジネス本によくありがちな、余分なエピソードや冗長的な表現は一切なし。コロンビア大学ビジネススクールに属する人の本だけあって、最近の科学的な研究に基づいたエッセンスが述べられているのが特徴です。

どういう習慣が実行力を高めるのか、一通り理解できるので、この領域を学ぶのに手始めとして良いと思います。

 

ただ、これだけだと詳細を知りたい人には物足りないと思うので、以下は本書に書かれている要素をもっと深く理解するための3冊です。

 

最高の結果を出すKPIマネジメント

やり抜く習慣を作るためには、具体的な行動計画を作るのが重要になります。そのときに、本書の考えが参考になるはずです。

到達したい目標を設定し、成功への道筋をモデリングして、必要な行動をKPIとして管理します。リクルートのノウハウだけあって、具体的で有効な内容です。

自分の行動を定量的に把握するところから、始めてみましょう。

KPIを設定したけど成果が出てないと思う人はこの本を読もう

 

やり抜く力

成功を決めるのは、才能ではなく「やり抜く力」。それを理解し、自分の中で「やり抜く力」を身に着けるために本書を読みましょう。

最近改めて読み返しましたが、何度読んでも発見があって面白いです。誰でも実行を積み重ねることで高いところにたどり着ける可能性があるって、良いことですね。

才能や学歴ではない。仕事で結果を残せる人は、何が違うのか

 

スタンフォードの自分を変える教室

人間は誰しも完璧ではないですし、余裕がないときは誰でもイライラしたり、ダイエットに失敗してしまうものです。

そういう、人間が持つ意志の特性を理解して、目標達成に近づける意志力を解き明かしたのが本書です。

人間の意志の特性を理解して、訓練することで、目標達成に向けた忍耐強い行動ができるようになる、ということですね。意志が弱いと思う人も、これを読めば意志力を少しずつ高める方法が理解できるでしょう。

スタンフォードの自分を変える教室

 

最初の一冊「やり抜く人の9つの習慣」を読んだら、いろいろ関連した本の内容が書いてあり、必要な要素は共通してるんだなーと改めて感じました。

休みのあいだに、自分の振り返りやリフレッシュにどうぞ。

 

あと、旅行にはKindleが最適です。何冊も持っていかなくて良いので、常に旅のお供になりました。バッテリーも十分持ちますしね。

Excel2016で時系列予測が簡単にできるようになりました

以前R言語で、Facebookプロフェットパッケージを使った予測で他の作り方を紹介しました。

超簡単に時系列予測するデータ分析方法は知っておいて損はない

しかし、それよりもっと簡単に予測モデルを作れる方法を知りました。

必要なのは、これだけです。

  • Excel2016
  • 時系列データ

 

今回は日経平均株価のデータを使ってみます。試してみたい方は、こちらから日経平均の月次データを取得してください。2000年からのデータをダウンロードできます。

指数情報 - 日経平均プロフィル

ちなみに、日次データの場合、日付が平日だけになっていて「連続していない」ということで、Excelのデータ予測機能では使えません。ご注意を。

 

予測シート機能を使う

ダウンロードしたら、Excelに時系列データをセットします。取得した日経平均の日次データをExcelに貼り付けるだけです。

Excel2016からは、「データ」タブに「予測シート」という機能が追加されています。

予測シート

予測シートは、Excel上で与えられたデータの予測データを手っ取り早く作成できるものです。

シート上に貼り付けたデータを選択して、「予測シート」をクリックします。

クリックすると、以下のようなダイアログが表示されます。あっさりできましたね。

予測シートダイアログ

下のオプションのところで、信頼区間などを変えることができます。

「作成」ボタンをクリックすると、新しいシートに次のデータが作成されます。

  • 予測の元となった既存のデータ
  • 予測期間のデータ(中央値、信頼下限、信頼上限)
  • 既存データと予測データを組み合わせたグラフ

グラフだけでなく、予測期間のデータも計算されているので、それを使ってあれこれさらに分析することもできます。

 

予測シートで使われるアルゴリズム

ところで、時系列予測には様々なモデルがあります。文献やネット上の記事にもたくさん解説がありますが、ひとつリンク張っておきます。

時系列解析_理論編 | Logics of Blue

では、エクセルの予測シートで用いられる手法は何なのでしょうか。公式の説明ではこう書かれています。

数式を使って予測を作成すると、履歴データ、予測データ、グラフを含む表が返されます。 予測では、既存の時間ベースのデータおよび指数平滑化 (ETS) アルゴリズムの AAA バージョンを使って、将来の値が予測されます。

引用:Windows 版 Excel 2016 で予測を作成する – Excel

 

指数平滑化法ですね。移動平均法の一つであり、モデルとしては比較的簡単な方法の部類になります。

指数平滑法 – ORWiki

年間や数か月の規則性はあまり考慮されない、簡単な予測モデルなのでその点は注意してください。

 

ということで、エクセルでもさっくりと予測モデルを作れます。お手軽にお試し下さい。

 

時系列データの分析モデルを知りたい方は、こちらの本がおすすめです。

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