中小企業月次景況調査が発表されていたので、簡単に確認。
8月の中小企業月次景況調査(平成24年8月末現在)
中小企業月次景況調査は、DI値で示される。内閣府の説明によると、景況把握にはDI(ディフュージョン・インデックス)とCI(コンポジット・インデックス)の2通りがあり、最近では量的把握を行うためDIよりCIにシフトしているとのこと。
景気動向指数には、コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)がある。 CIは構成する指標の動きを合成することで景気変動の大きさやテンポ(量感)を、DIは構成する指標のうち、 改善している指標の割合を算出することで景気の各経済部門への波及の度合い(波及度)を測定することを主な目的とする。
従来、景気動向指数はDIを中心とした公表形態であったが、近年、景気変動の大きさや量感を把握することがより重要になっていることから、 2008年4月値以降、CIを中心の公表形態に移行した。 しかし、DIも景気の波及度を把握するための重要な指標であることから、参考指標として引き続き、作成・公表している。
景気動向指数の利用の手引 – 内閣府
実際発表された調査結果をみると、4月頃をピークに全体的に低下のトレンドになっている。
原油価格の高騰や気価格値上げなどエネルギー面からのコスト圧迫、円高による輸出産業の収益低下、消費税増税による消費傾向の変化に対する懸念などが挙げられている。
原油価格・電気代・円高の状況
気になったので原油価格の近年の推移をみてみると、10年ぐらい前から2倍以上に跳ね上がっている。
電気代については、事業所向けはおよそ17%程度上昇しているようだ。
今回の値上げによって、1kWh(キロワット時)あたりの単価が夏季で18.2%、その他季で16.5%も高くなる。明らかに家庭向けの「電灯」よりも値上げ率が大きく設定されている。4月に実施された「高圧」の値上げ率17%と変わらない水準だ。
電力供給サービス:家庭よりも中小企業に重荷、東電の値上げ率は夏季18.2%にも – スマートジャパン
例えば、電気を多く用いる電炉メーカーでは、製造コストの25%が電気代に占められており、電気代の値上げインパクトはとても大きい。(25%の17%増は、29.25%になる。)
電炉はスクラップを電気で溶かして鋼材を作るため、製造コストの25%が電気代といわれるほど依存度が高い。電力料金の値上げは、最大手の東京製鉄で年間8億円程度のコスト増になるという。
電炉全15社、東電値上げ受託 「死活問題」中小企業は悲鳴 – SankeiBiz(サンケイビズ)
最後に円高。直近だと2010年4月頃から一段と下落している。
円高によって輸出産業は価格競争力が低下するので、その影響から需要低下や価格低下のプレッシャーが生じることになる。
中小企業の海外進出
原油も電気も円高も、すぐに解消するような事象ではないので、長期的に考えれば、海外進出とか事業多角化とか施策を増やしておかないといけないとは思うんだが、実際に平成20年時点の中小企業白書をみると、海外進出する中小企業は確実に増えている。ただ、非製造業の方が割合は多い。また、比較的規模が大きく、労働生産性が高い企業が海外進出しているのも特徴。
第3節 中小企業の海外展開と生産性
日本国内では中小企業の減少が進んでおり、一方で大企業の数が増えている。これは、国内市場が寡占化のトレンドであることを示しており、中小企業が生き残る環境は今後も厳しいものだろう。