今年こそ自分を変えよう「勝ち続ける意志力」

Chikirinの日記で紹介されていて、思わず買ってしまった。紹介された影響か、Kindleのランキングで上位になってる。

プロゲーマーの視点から、いかに勝負に勝ち続けられるかが書かれている。著者はこういう方らしい。

仕事とは? | プロゲーマー 梅原大吾
[scshot url=”http://journal.rikunabi.com/work/job/job_vol86.html”]

内容としては、新年早々の今にふさわしく心の面で考えさせられる内容になっている。

 

変化をすることを恐れない。

他人から「ウメハラの良さはここ」と言われると、それをことごとく否定し、指摘されたプレイは極力捨てるようにしてきた。そもそも勝負の本質は、その人の好みやスタイルとは関係のないところにある。勝つために最善の行動を探ること。それこそが重要なのであって、趣味嗜好は瑣末で個人的な願望に過ぎない。

本の中では、自分のスタイルを確立するのではなく、あえて違う方法を探し、自分を変えていくことで、長く強さを発揮できるようになると書かれている。自分が仕事や環境に慣れると、どうしても惰性で働いて、高い目標を維持することが難しくなる。だから、意図的に自分を変えていくことが、自分を成長し、モチベートするためには重要だ。

 

継続的な努力が必要。一過性のものでは意味がない。

自分の限界を超えた期間限定の頑張りというのは、結局は背伸びに過ぎない。食事も満足に摂らず、睡眠時間も削るような取り組み方が長続きするはずがない。

社会人になった直後は、盲目的に働けたけど、そういう働き方は次第にできなくなることに気づいたし、したところで何も残らないんじゃないかと思うようになった。だから、日々努力できるラインを見極めて、できるだけ習慣化していくことの方が大事だ。

 

いかにフィードバックループを回し続けられるか。近道はない、ということです。Amazon創業者のジェフ・ベゾスも言っているわけで。
生命保険 立ち上げ日誌: イノベーションよりイテレーション

 

これを読み終わったら新しいことに挑戦してみった。というわけで、新しいことに挑戦して、それを継続しましょう。

Kindleが変える読書生活が楽しい

Kindle Paperwhite

 

Kindle paperwhiteを買って、Kindleの何が良いのかよく聞かれるので、ここで答えておこうと思う。結論から言うと、僕としては買って良かったと思う。十分端末代分ぐらいのメリットはあるし、むしろ読書量として増えてこれまで以上に本代がかさむという、新しい懸念までついてきた。

 

Kindle paperwhiteは「読みやすい」端末

正直、買ってみて数日は自分でも使い方がよくわからなかった。家で読むなら紙で良いし、旅行なんかの持ち運びをするときに楽かな、という程度で買ってみたのだけれど、いろいろ発見があった。

まず、電子ペーパーは読みやすい。紙の本のように視認性が高い。これは、実際触ってないとわからないだろう。集中して読みたい場合は、携帯などの液晶で読みよりKindleの方が読んでいて疲れにくいし、集中力も出やすい。これが一番大きな発見だった。

それ以外にも、常に片手で読める軽い端末だから、ぶ厚めの本を読んでるときのような疲れる感じはないし、辞書ですぐに調べられる。

あと、気になるところはハイライトで記憶できる。紙の本の場合は付箋をつけているけど、ハイライトは後から一気に確認できる。
Amazon Kindle: Home

というわけで、Kindleはとても読みやすい端末。やっぱり紙の本が良い、という人もいるだろうけど、僕は慣れの問題もあると思う。そして、技術書とか何度も本の中を行ったり来たり、部分的にすぐに調べる、ということに関しては、紙の方が優れていると思う。だけど、小説・新書や洋書なんかは、Kindleの方が読みやすいと思う。要は使い分けってことです。

 

いつでもどこでも本が買って読める

Kindle paperwhiteだけじゃなくて、Kindleサービス全体のことだけど、スマフォにKindleアプリを入れておくと、ちょっとした空いた時間に本が読めるわけです。電車を待つときとか、これまでならメールチェックとか何となくブラウズしてた時間が、読書の時間になる。これも結構大きい。

外出先でKindleで読んでいると、家に帰ってきても続きを読みたいと思う。そうなると、Kindle paperwhiteで読むようになる。そうやって、最近は紙の本の出番がどんどん減っている。

ミッシングリンク」で言われている通り、コンテンツとデバイスが分離しているの。Kindleはまさにその代表。僕はそうやって、Amazonの戦略にどっぷりはまってしまっていることになる。

そして、すぐに購入できるというのも便利すぎる。これまで、年末年始は休みに入る前に数冊まとめ買いしていたけど、今年はしなかった。いつでもKindleから買えるからいいや、と思ったし。それぐらい、家にいながらすぐに購入できる、というのは快適。

 

省スペースになる

まあ、ここらへんは当然だけど。ただ、今後Kindleで読む割合が増えると、スペース問題は大きなメリットになるんじゃないかと思う。これまでは、定期的に売るなり処分してきたし、今は真剣に全部電子化してしまいたいとも思っている。そのあたりのスペース代や処分する労力を考えれば、Kindleの端末代金なんか安いもんじゃないかと思うわけです。

 

 

と、いろいろ書いたけど、デメリットもある。まだ対応本が少ないし、たまにKindle paperwhiteとiPhoneのKindleアプリが同期しないことがあった。あと、Kindleはコンテンツそのものを購入するのではなく、「読む権利」を購入するのであって、このあたりのリスクをどう捉えるのか、っていうのは、Kindleに対する依存度がもっと高まったときに出てくるのかな、と思う感じです。
Kindleで購入した電子書籍は、実はユーザーのものではない « WIRED.jp

 

というわけで、Kindleで読んだ本を書いておきます。どれもKindleで読みやすい感じ。

 

良いKindleライフを!

企業とSNSの付き合い方を考える「素人の顧客の意見を聞くな」

More Access, More Fun!」というブログの書籍化。移り変わりが早いITマーケティング系のトピックがほとんどなので、情報が新鮮なうちにどうぞ。格安の値段ですし。

 

たくさん面白いことが書いてあるんだけど、僕はこの本を、自社のサイトやブログ、Facebookページなどを運営している人達にぜひ読んでほしい。変なIT系の業者に騙されないために。

この本で書いてある通り、無料のブログではなく、自社ドメインで運営することが望ましい。僕はこのブログを年間数千円で運営しているけど、必要なお金はレンタルサーバ代とドメイン料だけで、あとは自分の労働力だけだ。

また、変なSNSの勧誘にも騙されてはいけない。Facebookページで顧客が増える、とか。IT系のサービスがどんどん登場しては変化し、衰退していくため追いつくのが難しいかもしれないが、本質的には、ユーザーがどういう目的でFacebookやTwitterなどのSNSを利用していて、動線やコンテンツが自社と合致しているか、という点を考える必要がある。それを考えれば、Facebookページがマネタイズに向かないことがわかるだろう。

 

あと、後半のあたりでは教育や就職活動について書かれていて、それはそれで面白かった。ぜひ就職活動している学生も読んだ方がいいと思うけど、情報弱者となっている人たちはそこまで辿りつけないかもなあと思うと、複雑な心境。企業に対するこういう見方も、現代ならではだと思う。

きちんとソーシャルが運用できている会社は、風通しが良く、現場に決裁権がある企業だ。そんな企業はこれからも伸びるし将来性もある。しかし停滞期にはいったり、リストラでモラルがめちゃ下がってる企業ではFacebookページを見ても投げやりですぐわかる。

 

それにしても、ブログをこうやってパッケージ化することで、読みやすくなるから不思議。やはり電子書籍にはこういう使われ方はひとつの方向性だと思う。ただ、マネタイズが難しいけど。ブログを編集した情報にはあまり高額は支払わないよな。。。。

中小企業がDropboxをファイルサーバとして使うのはアリか

最近何回か、企業でDropboxを使うのはアリなのか、という質問を受けたので書いてみる。これは、大企業の場合はこういうのがそもそもテーマにならないので、中小企業が対象。というわけで、今回はDropboxを中心として、中小企業のファイルサーバ事情を考えようかと。

 

容量から考える

まず、どの程度のディスク容量をDropboxに求めるかによって判断が分かれる。Dropboxは、無料で利用できるのは1アカウントに対して2GB。これは、あまりデータを利用しない企業であっても、複数人で作業していればすぐに容量オーバーになります。メインサーバとして使えない、というのはこの点が最も大きい。メインサーバではなく、共有ツールとしてならアリだと思うけど。

有料の場合、例えば100GBで年間8000円程度です。あと、Packratというオプションで、ファイルの削除や変更の履歴を無制限で保管してくれる(年間39ドル)。

個人的には、あまり利便性を気にしなければ、LinkStationなどのNASでいいじゃないか、という感じです。安いし、その気になれば「Web Access」機能で外部からアクセスできます。

最近であれば、自宅のハードディスクをクラウド化するPogoplugという手段もあり。
Pogoplug PCソフトウェア:いつでもどこからでもリモートアクセスして共有できます

 

セキュリティから考える

クラウド系サービスの利用で必ず話題になるのがセキュリティ。クラウドを利用していてセキュリティ事故が生じた場合に、対外的な説明が難しい。ちなみに、Dropboxの場合は、何か問題等あった場合はユーザーのファイルはDropbox側で閲覧できるように規約で定められているので、本当に重要な情報に関しては、自分で暗号化してDropboxに同期させる必要がある。

自前でやる方法もあるし、こういうツールも存在する。
無料でDropbox・SkyDriveなどを国家レベルの暗号化で自動的に保護する「Cloudfogger」 – GIGAZINE

 

でないと、「うちの会社は全部Dropboxでやってますから」と言う人がいると、「セキュリティ考えてないと思うから、怖くてデータ渡せない」みたいな展開になってしまわないか心配になる。

もしくは、チーム向けDropboxに加入するか。これだとファイルそのものの暗号化も行われるので、同じ効果を得られる。(と思う。規約とかまでは確認していない。)ただ、チーム向けDropboxのプランは年間795ドルするので、それなりに費用が発生する。あとは、サポートは英語のみっていうのも日本人からすると難かと。
Dropbox – 機能 – チーム向け Dropbox

 

さらに、細かいことだけどDropbox上でのフォルダ権限とか細かい設定はできないんだよね。なので、部分的に閲覧させたいファイルとか存在する場合に、本来は共有する必要がない人にまで共有してしまうなど、情報の細かいコントロールはDropboxでは難しい。まあこれも、少ない人数であれば特に気にすることはないと思うけど。このあたりは、Pogoplug Teamだと実現できそうだね。試してないけど。

 

バックアップから考える

HDDの故障率は、ちゃんとした統計は乏しいものの、結構壊れる。その点、Dropboxであれば勝手に履歴もとってくれるし、間違って削除したファイルも復元できるので、バックアップ機構そのものを自前で用意する必要がない。この点はDropboxの優位点といえる。正直、HDDの故障発生確率を考えると、このバックアップの優位性だけ考えても費用面としては侮れないとは思う。(HDDを1~2年に1個買い換えることを考えれば、Dropboxの有料プランに加入しても費用面では勝負できるラインかと。)

ただ、個人的にはいくつか難点がある。まず、同期タイミングを作るのが難しい。各個別ファイルに対して勝手に履歴をつけていくので、ファイルサーバ全体で「○月○日断面」というのを作るのは難しい。まあ、このあたりは本当にそうしたければ、個別で断面つくってコピーすれば良いとは思うんだけど。

あと、ファイルが変更されるたびに履歴をつくるので、大量に履歴ファイルができる。僕は結構まめにファイルの上書き保存をしてしまうので、数分のファイル作業でもとんでもなく多い履歴ファイルの数が生成されて、後から探すのが至難になる。

 

 

というわけで、個人的にはメインのファイルサーバではなく、外出先で作業する用の共有ツールとして使うか、有料プランに入るのと合わせて、定期的に自分でもローカルバックアップを取得しておくのが無難な使い方かな、と思います。重要なファイルに関しては暗号化対策することも前提で。

 

おまけとして、Salesforce.comが企業向けDropboxなる「Chatterbox」を2013年からパイロット検証する想定らしい。こういう利便性が高いBtoC向けのサービスがBtoBに入り込んでくるのは、ここ最近のトレンドなわけで。このあたりは、小さめな企業であればうまく使えば、安く生産性を上げられるポイントになるんじゃないかとは思ってます。

 

事業企画に関わる人はぜひ読んで欲しい「社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた」

あけましておめでとうございます。年末年始は結構読書がはかどりました。というわけで、新年一発目は「社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた」の書評を書いて始めようと思います。

著者は「Table for Two」というNPOの代表を務める方。以前、「「20円」で世界をつなぐ仕事」という本を読んだことがあって、覚えていた。本作は、それを発展させて、NPOだけでなくビジネス全般を対象にして、どうやって「Win-Winの関係」を広げていくかをまとめたもの。

 

ビジネスを考える上でのたくさんヒント

当然のことながら、サービスを提供する相手の事情や感情を深く理解しないと懐には入り込めない、ということ。発展途上国でのサービス展開を行おうとするサンプルケースが出てくるのだが、まさに「調べたつもり」になって、本当の実情や人の感情の部分も含めて理解しないと、顧客が喜ぶサービスとはならない。

また、敵を作るのではなく、巻き込んで大きな問題を解決していこうというスタンス。競合はたくさんいても、出し抜き、蹴落とすのではなく、もっと大きな目標を念頭に協力していくことができないだろうか。多少きれいごとには聞こえるけれど、発想の広がりを与えてくれる。

長期的な活動に必要なビジョン。ビジネス書でも「経営理念が重要だ」と捉える企業がたくさんいても、実際はこんな状態が多い気がする。

「企業のビジョンなんて、しょせん額縁に入ったお題目」 そんなふうに言う人もいます。僕は企業にはそのビジョンを達成するだけの力があると常々思っているのですが、こんなコメントを聞くにつけ、企業で働く人たち自身がそれを信じていないように思えるときがあります。

でも、それではやはり短期的な視点に陥って、競争し、せめぎあう関係が繰り返されてしまう。

 

長期的視点の重要性

著者の経歴が興味深いのは、経営コンサルを経験した後にNPO法人の代表となっていること。冒頭では、コンサル時代の失敗談が語られている。それは、業務改善を達成したものの、現場には改革した先に何が得られるのかを示せていなかった、というもの。

ビジネスの環境はめまぐるしく変わるし、IT技術の移り変わりも激しい。そういう状況では目先のことに囚われてしまうが、それはそれで重要だとしても、その先が得られなければ、継続的に結果を出すことが難しくなってしまう。ありきたりな言葉ではあれど、短期と長期の両方の目線を持つこと、特に長期的な視野というは強く意識する必要がある、というわけです。

 

 

最近読んだ記事で「延命期に入った資本主義」というものがあって、「なるほどな」と思った。マクロ的にみると、先進国は経済的に疲弊し、産業革命以降育まれてきた資本主義は、右肩上がりに発展することが難しくなっている気がするし、新しいフェーズに入った感覚がある。それがどこまで確かかはわからないけれど、新しい価値観で仕事をし、社会を発展させることが求められている。

 

 

それにしても、NPOやTFTのアピールにもなる、見事な一冊。ぜひ、いろんな人に読んで欲しい。

イノベーションを生み出す社会の仕組みとは何か「Launching The Innovation Renaissance」

イノベーションを生み出す社会を形成するには、どういう仕組が必要か。先日書評を書いた「未来を発明するために今できること」は組織におけるイノベーションを生み出す仕組みが中心だったが、この本はどちらかというと社会全体や国家レベルで述べられている。

 

イノベーションを生み出すインセンティブ設計

イノベーションを生み出すためには、いろいろ社会的なインセンティブ設計が必要になる。この本でも、特許、賞金、教育、移民政策など様々なインセンティブ設計が取り上げられている。

例えば特許については、社会のイノベーションコストを最適化するためのものであり、産業によって「真似る」コストが高いか低いかによって変わると述べられている。

More generally, patents should be stronger in industries with high innovation-to-imitation costs such as pharmaceuticals and weaker in industries with low innovation-to-imitation costs such as software.

最近話題のアップル対サムスンのデザイン特許紛争についても、デザインというのは利便性や感覚の観点でイノベーティブな部分が含まれているのだが、模倣が容易であるため意匠権が確保されている。ただ、なんでもイノベーションを生み出した人を保護するために特許権と強化していくことは、社会のコストを上げてしまい、結局イノベーションを利用されなくなる、という恐れがある。

ソフトウェア開発においても、特許は新しい提言が生まれている。これも、特許はイノベーションコストを最適化するためのものである、という考えがちゃんとみえる。
特許がソフトウェアの技術革新を妨げないようにするべく提案された「Defend Innovation」7項目の内容とは? – GIGAZINE

 

移民政策についてはも、高い技術の人たちだけを許容するのではなく、Low-skillの人であっても社会に取り込むことで、相対的に高い技術の人たちのリソースがイノベーティブな作業に振り向けられる可能性が考えられる。

Low-skill immigration can even increase innovation because it helps highly skilled workers to better use their time and skills.

このように、社会全体でイノベーションを生み出していこうと思うのならば、いろんな仕組みを導入していく必要がある。

 

教育に関する考察はいろいろ興味深い

面白かったのは、教育に関する考察だ。そもそも、教育は人材育成に大きく寄与する部分であり、イノベーションの観点からも重要だと語られている。

最初に面白い数字だなと思ったのは、かつてはトップクラスの大学卒業者が先生になっていたが、今は47%のアメリカ人教師が、下から3分の1のクラスの大学卒業者である。

Teachers used to come from the top ranks of their college classes, but today 47 percent of America’s teachers come from the bottom one-third of their college classes.

これは、相対的に教師という職業の地位が低下していることになるのだろうか。
また、大学生の数が増えすぎていて、本来は高校卒業者が就くことが多い職業に、大学生が増えている。

Baggage porters and bellhops don’t need college degrees, but in 2008 17.4 percent of them had at least a bachelor’s degree and 45 percent had some college education. Mail carriers have traditionally not been college-educated, but in 2008 14 percent had at least a bachelor’s degree and 61 percent had some college education.

日本でも大学の数について最近話題になったけど、大学の進学率は高いほど良いのか、というのは改めて考えさせられる。また、ドイツとアメリカでは大学への進学率が違っている、というのも興味深い。

As we said earlier, 97 percent of German students graduate from high school, but only a third of these students go on to college. In the United States we graduate fewer students from high school, but nearly two-thirds of those we graduate go to college, almost twice as many as in Germany. So are German students undereducated? Not at all.

ドイツの大学進学率が低いのは、高校時点で座学でけでなく実践的な教育を行っていることも要因のひとつと書かれている。

 

世界単位で捉える必要がある

WSJでは、「米国経済はもうイノベーションでは救われない」という記事が出ていた。

これを読むと、確かにそうかもしれないとも思う。新薬開発の可能性は減ってきているし、米国も労働人口が減少していく。それでも、世界単位で考えれば、すごい勢いで経済発展している国や地域はある。

The number of idea creators around the world is increasing rapidly, and in 2007, nearly one-quarter of world research and development expenditures came from the developing world.

また、世界経済フォーラムの「国際競争力報告」によると、2012年版では日本のイノベーション能力は高いランキングになっていて、マクロ経済環境が非常に悪い結果になっている。
国際競争力ランキング「国際競争力報告 2012年版」【世界経済フォーラム】世界ランキング統計局

これをみると、今日本に必要なのはイノベーションの創出ではなくて経済対策なのだろうか。少なくとも、イノベーションが全てを救うわけではないし、いろんな要素の中でイノベーションが生み出される社会構造が必要である、ということをこの本は教えてくれる。

就職活動生は一度読んでおいた方が良い「リクナビ、マイナビの就活に疲れたら読む本」

就職活動が、そろそろ本格化する時期ですね。なんというか、今の学生は僕が就職活動していた頃より面倒で、大変な状況なんじゃないかと想像してしまうんだが、違うんだろうか。Kindleで就活に関する本を読んでいろいろ共感したので、書いておきたい。

 

自己分析より業界研究だ

まずとても共感したのは、自己分析なんかより、業界研究をたくさんしろってこと。学生と話すと、順番が逆になっていて、まず自己分析をやってる人が多い気がする。恐らく、自分のやりたいことを見つけるには、外部の情報ではなく内部(自分)にある、という考えからそういう順番になると思うのだけど、そんな綺麗事のように見つかるものではないと思うんだよね。

むしろ、業種や企業を知ることで、自分自身にとっても見えてくるものがたくさんあるんじゃないのかと思うし、イメージもわきやすいと思う。「なぜなぜ分析」に限界があるように、自分の内面を見つめても出てこないときは出てこないよ。

そもそも自己分析なんてここ最近の話。大人たちだって自分がやりたいことをわかっていないのに、なんで学生には強要するんだろうか。事実探しの方が重要。

 

いろいろ情報の非対称性がある

リクナビなどの普及で、大企業への申請コストが低下したことで、美人投票的に大企業に応募が殺到するようになったと聞く。しかし、実態は以下のようになっている。

また、従業員5000名の企業を超大企業とすると、日本では1000社に満たない(1000社でも大学生なら知らない会社のほうがはるかに多いだろう)。この募集は、せいぜい20000人弱。大卒で就活する人は45万人。旧帝大、早慶上智といった大学を毎年卒業するだけで、44000人。この生ぬるい日本ですら大企業を目指すだけことは、なかなか険しいのではないかと思うのは、価値観の問題か。ほとんどの大学生が当初は聞いたこともなかった会社に入っていくのだ。

大学生はいつでも大企業を目指すべきだった(が入れるのは別の話) : アゴラ – ライブドアブログ

つまり、大学から企業への就職の流れが、非効率的な構造になっている。

ハローワークインターネットサービス(https://www.hellowork.go.jp/index.html)です。ここでは新卒を採りたい全国の企業の求人票があります。その数は約15,000社です。ちなみに、リクナビ、マイナビ等の媒体に掲載している企業もほぼ同数です。なので、実は採用情報の半分はハローワークにあるんです。もちろん違いはあって、ハローワークには、大企業の求人はありません。中堅、中小がほとんどです。また、ハローワークの求人票はとっても分かりづらいです。

ハローワークインターネットサービスにアクセスしてみればわかるけど、本当わかりづらい。企業名ではなく職をベースに作られている、ということもある。

このように、情報の非対称性が存在していることを把握した上で就職活動にのぞまないと、お互いエネルギーを浪費してしまうんじゃないだろうか。

 

でも、ゴールは内定じゃない。綺麗事に聞こえるかもしれないけど、「社会人としてのファンダメンタル(基礎)」を就活を通して醸成して欲しいわけです。

社会人になって、自分の就職活動を振り返って、これが一番重要だなって思う。

Facebookの成り立ちを振り返る映画「ソーシャルネットワーク」

[scshot url=”http://eiga.com/movie/55273/”]

本を読んでだいぶ時間が経過しているけど、映画でソーシャルネットワークを観た。デヴィット・フィンチャーが監督だということで、映像のクオリティは高いし、ストーリーの構成も良かった。ただ、娯楽作品として観た場合は、あまり盛り上がりなどはなく淡々と進む印象なので、その点はあまり期待しない方が良いかもしれない。

原作読んだときも感じたけど、結局Facebookというサービスを発展させていく上で、誰が最も必要不可欠だったのか、という話だと思う。

映画の中では、2件の訴訟を起こされ、それに対応しつつFacebookの立ち上がりを振り返っていく。アイデアを盗んだとか、一緒に創業したとか、そういうことで訴訟していくのだが、結局Facebookを成長させ続けたのはマーク・ザッカーバーグだ。

本当のところはわからないけど、最初のアイデアを持ちかけられた兄弟は、資金を調達できるエデュアルドにとって代わられる。その後、サービスが発展するに従って、それを大きくさせていくために必要な考え方やノウハウを持つショーン・パーカーにとって代わられる。こうみると、マーク・ザッカーバーグが、その時々で必要な資源を獲得して、Facebookというサービスを拡大させていくためには必要な過程だったのではないかとも思ってしまう。

 

そして、この記事に書いてあるように、この映画をみて、マーク・ザッカーバーグやショーン・パーカーに共感するのか、エデュアルドに共感するのかによって、自分のビジネスに対するスタンスがわかるだろう。

この映画で特に印象深かったのは、冒頭に述べたように、ショーン・パーカーの強烈な個性です。 彼はマークにベンチャー起業家としての心構えを与え、巨額の資金を集め急成長するためのさまざまな指南をします。 いわく「100万ドルの企業価値で満足するな、10億ドルを目指せ」(事実、現在Facebookの企業価値は250億ドルとも500億ドルともいわれます)、「どうせ釣るなら1.4tのメカジキを狙え」「強気でいけ、シリコンバレーは競争社会だ、激しい戦場なんだ」などなど。

クールな起業家たちの戦いに共感できるか?(映画「ソーシャルネットワーク」鑑賞の感想より) : アゴラ – ライブドアブログ

 

それにしてもショーン・パーカー役、どこかで観たことあると思ったら、ジャスティン・ティンバーレイクだったのか。

 

ちなみに、ショーン・パーカーは今Spotifyに投資していて、音楽業界に再度関与している。
ショーン・パーカーの帰還 ー Napsterの亡霊と、音楽の新しい黄金時代 【1】 from 『WIRED』VOL. 3 « WIRED.jp

 

あと、Facebookの上場によって、エデュアルドもショーン・パーカーも大金を獲得している。
Facebook上場で9人の大富豪誕生 | YUCASEE MEDIA(ゆかしメディア) | 最上級を刺激する総合情報サイト | 1

 

というわけで、ビジネスがスピード感持って大きくなっていく様子というのは、やはり心躍る部分があるな、と思う一本でした。そろそろ年末年始になるので、映画をみるならぜひどうぞ。

あなたを天才にするスマートノート

最近、改めてノートの書き方について考えてみたいと思ったのでこの本を読んだのだが、結構納得がいくことが多かったので、思ったことを書いておく。そもそも、手帳やノートというのは個人的なものなので、書き方やノウハウなどの知識はあまり伝播しづらい。なので、こういう本や雑誌の特集などで学んでいくしかないのが現状だ。

 

自分の行動や感情を記録する意味

自分の行動や感情を記録して、自覚を芽生えさせることを最初のステップに掲げている。なるほどと思ったのは、書くことで自分の感情を「良い温度感」で表現できるようになる、いわばボキャブラリーを増やす効果がある、ということだ。

人間は訓練されないとなかなか表現としてのボキャブラリーは増えません。そして、ボキャブラリーが少ない人は極端な表現をしがちになってしまいます。

余談だが、社会人になって「お礼にも謝罪にも、度合いというものがある。その度合に応じて言葉を選ばないといけない」と教わった。いつも極端にお礼を言ったり謝罪を伝えたりすると、それよりももっと嬉しいこと、申し訳ないことがあったときに、的確にこちらの温度感を伝えられなくなるからだ。つまり、コミュニケーションを円滑に行う上でボキャブラリーはとても重要なのだ。自分の感情を書き留めるということは、そういう効果がある。

 

ノートに書いて自分の思考を発展させることで差別化を図る

ブログを結構長い期間書いているけど、自分の思考にまで発展させる、ということはとても難しいという実感がある。まさに、この本ではその内容が書かれていた。そして、自分の主張を作り出すための一歩がこれだ。

論理を深めていくと、みんな同じような結論になりやすい。だからこそ、最後に自分の感情を入れると「私だけ」の論理になります。

 

そして、知識を教養、見識にまで発展させることで、独自のスタンスを築けるようになる。

スマートノートが鍛えるのは「効率よく正しい情報にたどり着くため」の”賢さ”ではないのです。  そんな”賢さ”は「秀才」の人たちにくれてやりましょう。  私たちが目指すのは「天才」の領域、「私によれば世界はこう語れる」という英知の世界です。

あえて面白い仕事をする必要もないし、特別、面白い体験をする必要もありません。 「人より早く新しい情報を見つけて発信する」とか、「人の知らないことを見つけて発信する」という競争に巻き込まれなくてよくなるのです。

 

とても読者に優しい本である。語りかけるように、最初のノートに記録をつけるステップから丁寧に説明してくれる。そして、最後には自分の思考にとても大きな可能性があることを感じさせてくれる。とりあえず、この本を真似するところから始めよう。

21世紀型のリーダーシップを考える「超MBA進化論」

MBAというのが、Master of Business Administrationの略だと知ったのは、随分前だった気がするけど、この本はまさに「Administration」の限界を考察しているのが、非常に面白い。管理方法や部下のモチベーション・育成などに疑問を感じている人は、ぜひ読んでみると良いだろう。

 

「会社」という存在とは

市場に存在する企業というのは、株主の資源を最大化するための企業と、従業員を含めたコミュニティとしての企業という2つの役割があって、それが相反する場合が多く、かつ株主の方が重要視されているのが現状。ROE偏重で良いのか?というのは、今のMBAでは大きなテーマだったりするわけで。

あと、短期業績重視というのも、経営者に長期投資を行いづらくさせている要因で、大きな企業ほど本当は長い目で活動を考えていくべきなのに、そのような方向性を示しづらくなっている。つまり、いろんなところで企業と従業員に矛盾が表面化しているのが現状なのだ。

 

外に目を向けて常に学習する

これまでの「管理する」だけでは組織の運営には通用しない、のだとすると、「じゃあどうすればいいのさ?」ということになる。その答えとして提起されているのが、ピーター・センゲが提唱した「学習する組織」だ。簡単にいえば、組織を構成する人たちが学習することで、未知の問題にも対応できるし、各自が意欲を高く保てるという考え方である。

要は、遠い将来を見通すことなどできないので、常に学習して進もうということだ。そのときに組織を結束させるひとつのツールが企業理念やビジョンになる。

有名なPDCAサイクルではなく、PDSAサイクルとして、CheckではなくStudyという考え方が紹介されているし、外の情報を積極的に取り入れて、学習し、改善し、成長していける組織をつくろう、という考えは共感できる。

 

長い時間軸で考える

不確実な時代で、短期業績を維持するだけで精一杯かもしれない。ただ、創造的で意欲が高い組織というのは、長い時間軸で考えてこそ生まれる。長期的なスパンで考えて投資を行い、人を育てていく。

ただ、土台となる企業の安定基盤が損なわれては元も子もない、というのも理解できる。これがまさにジレンマなのだろう。しかし、それでも短期だけに目を奪われては、その先の発展は難しくなるのは間違いないだろう。

この記事を書くにあたって日本のR&D費を調べてみたら、日本は米国に次いで世界第二位のR&D費を投入していた。さらに、GDP比率でみると世界1位だ。

統計局ホームページ/統計でみる日本の科学技術研究 総括編 その1
[scshot url=”http://www.stat.go.jp/data/kagaku/pamphlet/s-01.htm”]

個人主義ではなく、集団での協調を重視する日本人には、どちらかといえば強い管理型は苦手で、長期的に学習して行動する方が合っているのかもしれない。

 

 

一般的に言われる「管理」だけでは、人々のモチベーションを向上させ、創造的な組織をつくることはできない。もちろん管理は必要ではあるけれど、それ以外の要素と組み合わせて用いることで、不確実な時代でも生きていける組織になるかもしれない。

各種リーダーシップ論の変遷から話がスタートしているので、管理やリーダーシップ、組織運営に関する様々な考察が得られたよ。