KindleもいいけどBookLiveもいいんじゃないんかな

僕はKindleのヘビーユーザーです。もう紙の書籍をゆっくり読む時間より移動などの細切れの時間で読むことの方が多く、紙の方が中古で安い場合でも電子書籍で買うようになっています。それぐらいはまっている感じです。

そして最近、Bookliveも使い始めました。それはKindleにはないいろんな利点があると気づいたからです。

Kindleには日経BP社の電子書籍がない

理由は定かではありませんが、Kindleには日経BP社の電子書籍がないんですよね。 例えば、これとか。

これとか。

品揃えは各社によって違うようですが、日系企業が手がけている紀伊国屋、楽天、Bookliveなどでは揃っています。なので、Kindle一本だけだとこういう本が電子書籍では読めないわけです。それだけでも、他社のサービスを利用する必要性を感じます。

 

Bookliveには雑誌もある

日経BP社の電子書籍を入手するだけなら、紀伊国屋や楽天でも良いのですが、Bookliveではビジネス系の雑誌も読めます。

ニュース・ビジネス・総合 – 雑誌の検索結果 – 電子書籍ストア BookLive!

東洋経済、ダイヤモンドにはじまり、一橋ビジネスレビューとかThinkとかWiredとか。まだ雑誌の購読は試してないですが、恐らく雑誌レイアウトをそのまま電子化しているので、iPhoneなどディスプレイが小さいものは向かない気がします。

やっぱりタブレットをそろそろ購入するタイミングかなー。

 

ポイントを事前に購入すると還元率が高い

これが最も選ぶ理由としては大きいですかね。Bookliveはポイントを事前に購入することができて、それに応じて高いポイント還元を得られます。

ポイント購入 – 電子書籍ストア BookLive!

事前に購入するポイントを選ぶことができますが、毎月定額コースを選ぶと最大で20%(1万円購入の場合)、最小でも10%(500円購入の場合)の還元率です。

定額コースでなくても、個別で購入することも可能です。その場合は最大7%(1万円購入の場合)、最小5%(2000円購入の場合)の還元率です。

電子書籍をよく買う人にとっては素晴らしい制度だと思います。

 

また、各社によって同じ電子書籍でも販売価格が違う場合があります。そういうときは、このChrome拡張機能で調べると便利です。(Bookliveはいまいちちゃんと検索されないようですが。。。)

電子書籍サーチ – 電子書籍と紙書籍の価格比較と検索サービス

僕はAmazonのほしい物リストにたくさん読みたい本を登録してあるので、Amazonから離れるのは難しいですが、他の電子書籍サービスもうまく使い分けていけたらと思います。

 

ちなみに、電子書籍ストアの利用調査が最近発表されていました。Kindleが圧倒的で、Bookliveは結構苦戦しています。がんばれ。。。

電子書籍ストア利用率、「Kindleストア」が49.4%でトップ~OnDeck調査 -INTERNET Watch

ファミリービジネスが成功するためには

geralt / Pixabay

ファミリービジネスが成功するために必要なことは、いろんなことがありますが、個人的に重要だと思うのは、「家族の繁栄」を考えるという視点です。

一見すると、企業と家族というのは別の物であり、公私混同や良くない、という考え方が正しいように思えます。それはそれで重要ではありますし、企業のお金を私物化するなどは問題でしょう。

ただ、以前の記事で述べたように、ファミリービジネスにおける家族というのは、人材の供給源になっていますし、経営に直接・間接的に関与する人が多いので、家族間の関係が悪化すると経営が難しくなる傾向にもあります。

 

常日頃から、家族の中で定期的に会話を持ったり、円滑なコミュニケーションの状況を保っておくことが、非常に重要になります。会社は家族を支える収入源でもありますし、どちらか一方だけ繁栄すれば良いわけではありません。

また、以前読んだ「同族経営はなぜ3代でつぶれるのか?」から引用しますが、

片方の要素であるビジネスの繁栄とは、ビジネスが長期に渡って成長し、利益を上げ、配当を行い、更なる成長のための再投資を行うことでしょう。  一方ファミリーの繁栄とは、一族が協力関係を育み、情緒的に満たされた状態を続けられることです。ビジネスはお金を生み出すものであり、ファミリーは愛情をはぐくむものです。  この「お金」と「愛情」という、一見すると相反する「成功」の形を両立させ、世代を超えて維持する力を身に付けたときに、ファミリービジネスは真の意味で成功したといえるのではないでしょうか。

という考えが重要になります。

ただ、僕の経験から話せば、家族も時間とともにそれぞれが自立したり自分の考えができてきて、微妙に歯車が噛み合わなくなるときがあります。あるいは、後継者候補にしっかりと思いが伝わらないこともできてきます。そうなると、少しずつ距離感ができてくるのです。それは家族でなくても同じだと思いますが。

それを解消するためにも、家族間・家族内でちゃんと意思疎通を図れる土台が必要で、それが日頃からのコミュニケーションにあたるわけです。

 

ファミリービジネスの特徴は「長期的思考」であり、それが強みにもつながります。そのためには、家族と企業が良い関係で双方繁栄できる方法を考え続けることが、良い結果を導くことになるのでしょう。

参考:
人材・組織システム研究室:ファミリービジネス(所有と経営の一致)の「長期的」「継続性」「我慢強い」面から学ぶことがあるはずです。

ココナラを利用してみて、ビジネスモデルを考えた

 

ココナラ – あなたの得意でハッピーが広がるワンコインマーケット
ココナラの事業モデルを考えてみます。ココナラは、500円でサービスを買う、というインターネット上のプラットフォームです。最初登場したときは、手軽なクラウドソーシングとして良い着眼点だと思いました。

そこで、2回ほど実際に利用してみたので、その感想を書きたいと思います。

 

500円という料金設定には限界があるんじゃないのか?

ココナラは、一律500円で提供するサービスをWebサイトで取引できるようにすることで、広くいろんな提供者・利用者を集めるプラットフォーム戦略で展開されています。一律500円というワンコインの金額に料金を設定することで、提供者・利用者双方が参画しやすい仕組みになっています。

ただ、個人的には500円は、価値とサービス内容のバランスを取りづらいと思っています。例えば時給3000円で考えれば、500円というのはわずか10分程度の作業にあたります。時給800円で考えても40分にも見たない時間です。つまり、全うな経済取引だとすると、その程度の時間で作業できるアウトプットを得られることができるサービス、というのがココナラの位置づけになります。

つまり何が言いたいかといえば、「料金500円のサービス」というのは、人件費をベースにしたサービス業が多いとすると、とても価値が小さいサービスしか集まらないんじゃないかと思うのです。

 

サービス業とは「顧客との共同作業」

MBAでもサービス戦略というものを学習します。第3次産業であるサービス業の特徴は、ストックや持ち運びがしづらいというものがありますが(内容によってはITなど情報伝達で物理的制約は越えられる)、ココナラに一番関係がありそうなのは、サービス業は提供する側とされる側の「共同作業」ということです。

どういうことかというと、サービスを提要される側は、サービスを受けるためには情報や作業について協力する必要がある、ということです。個別にコンサルティングを受けたいのであれば、個別具体的な情報を提供しなければ、一般論的なアドバイスを受けて終わってしまいます。(というようなことが、この本に書いてあります。)

 

そうなると、効果的なサービスを受けるためには効率的なコミュニケーションによって、双方の理解が進んだ上でサービスを受けられるようにする必要があるのですが、先ほど述べた金額の問題で、あまり双方が密なコミュニケーションに発展することは難しいサービス設計になっている気がします。

実際自分が利用したときも、なかなかサービス説明だけでは内容を想像することが難しかったりしましたが、500円だしそれほど負担をかけるようなことを言っても、というお互い割り切りのような感じがしました。

 

現状と今後

つまり、サービス業というのは「自分にとってありがたい」感が高いほど満足度が高まりますし、そのためにはサービスを提供する側とされる側が密に連携する必要があるわけです。そのためには当然コストも多くかかってきます。

こういう条件の中で価値を感じさせるのであれば、作業時間に比例しない価値を生み出す必要があります。500円という中で。例えば、Twitterで広告宣伝します!みたいな「作業」ではなく広告自体に価値をもたせる方法があります。

1,000円で3万人のフォロワーに1ヶ月で160回のサイト宣伝ツイートを行った結果 | わいわい広場

ただ、ココナラは利益云々というより趣味を拡大させる、経験を蓄積させる、という提供側に対する価値も実現するプラットフォームだと捉えれば、もっと意味がある気もします。というか、実際そういう人が多く参加しているのでしょう。

 

というわけで、元も子もない結論になった気がしますが、ココナラはワンコイン定額という設計で参入障壁を下げ、「軽いサービスを受けたい」という人と「趣味を活かしたい・経験を積みたい」という人を結びつけるプラットフォームと捉えるのが良いと思います。利用する側からすれば、500円以上のサービスを受けられる可能性は十分にある、ということです。

参考:
ココナラの急成長を支えた、ライフネット流ストーリー・マーケティング | The Startup
遅咲きの狂い咲き: ココナラができるまでのぶっちゃけ話(その1)

企業における内部留保の増加と賃金の関係について

今日もファミリービジネスについて書こうと思っていましたが、今朝、日本共産党の記事を見かけていて、「内部留保を動かして、賃上げを」という言葉があったのが気になったので、急遽そちらを記事として書いてみます。

実際、日本共産党のHPにも政策として書かれています。

「デフレ不況」打開のために、賃上げと安定した雇用の拡大が必要です。大企業が溜めこんでいる260兆円もの内部留保のほんの一部を使うだけで、賃上げを実現することができます。8割の大企業では、内部留保のわずか1%を使うだけで、「月1万円」の賃上げが可能です。

1、労働・雇用(2013年参議院選挙各分野政策)

これについて論点はいくつかありますが、整理してみましょう。

 

内部留保は「企業の預貯金」ではない

この論争があるときに良く言われていることですが、内部留保というのは企業の預貯金ではありません。Wikipediaによると、次のように表現されています。

内部留保(ないぶりゅうほ)とは、企業が経済活動を通して獲得した利益のうち、企業内部へ保留され蓄積された部分のことである。社内留保、社内分配とも呼ばれることもある。

内部留保 – Wikipedia

ここで注目すべきは「企業内部へ保留され蓄積された部分」で、その形態は問われないということです。もちろん現金として持っても良いわけですが、固定資産や有価証券で保持しても良いわけです。つまり、必ずしも現金で保持しているわけではないので、内部留保を人件費へ回せ、というのは言葉の使い方としてずれていると思います。

 

賃上げは利益減少になり、市場プレッシャーと相反している

ただ、実際内部留保の中には現金の割合も多いようです。で、内部留保における現金を人件費へ回すと、損益計算書上では利益が減少します。別に利益が減っても労働者の給料が増えるからいいじゃないか、という考えもあるとは思いますし、特に反対するわけではないのですが、株式市場は企業の業績のひとつとして利益を評価するわけで、経営者としては利益を確保する、という役目から逃れられるわけではありません。

また、人件費についてはどこか特定の企業が労働者から不当に搾取しているわけではなく、多くは市場原理で決まっているんじゃないでしょうか。優秀な人材は高給で獲得したり維持しますし、業界・業種によってもある程度給料の相場が形成されているので、簡単に変わるものではない気がします。

それでも労働者の給料を上げる必要がある、と国が命ずるのであれば、企業は利益の創出分を減らすことになります。そうなると、上場しているような大きな企業であれば、日本国外に労働資本を求めてもおかしくない気がします。

 

日本企業の内部留保は本当に多いのか

最後に、日本の内部留保が本当に多いのか、という話です。少し前のデータになりますが、みずほ総研が調査レポートを発表していました。

日本企業は利益をため込みすぎているのか

このレポートを読むと、欧米企業と比べると決して大きすぎるというわけではなく、人件費比率や労働分配率も日本は高くなっています。これは、日本企業は世界でみると雇用を維持する方向に頑張っている、と言えるんじゃないでしょうか。そして、日本の労働市場の特徴とも言えます。

 

というわけで、内部留保というのは企業が再投資するための原資なわけですから、積極的に投資を行うようにするのか、あるいは株主に配当するのか、自社株買いするのか、という選択肢を行えば良いんじゃないかというのが、ファイナンスの考え方だと思います。

「内部留保額が200兆円もあるから、雇用に回そう」ではなく、なぜ内部留保がたまるのか、賃金はなぜ上がらないのか、という原因を考える方が先な気がします。

参考:
内部留保って何? – 池田 信夫 (アゴラ) – Yahoo!ニュース
内部留保の問題点について – カンタンな答 – 難しい問題には常に簡単な、しかし間違った答が存在する
賃金と配当と内部留保のこれ以上ない簡単な整理: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

事業承継はファミリービジネスにとって重要な問題

ファミリービジネスでは、いくつか気をつけなければいけないポイントがあります。そのうちのひとつは、事業承継です。

以前書評を書いた、「百年続く企業の条件 老舗は変化を恐れない」にある通り、何代も事業が続いていくためには、後継者の問題がどうしてもクリアしなければいけません。

しかし、事業承継がうまくできなかったり、そもそも継ぐ人がいないなど、そんなに簡単に進められるものでもないのが現状だったりします。

 

計画的に後継者を育てる

事業承継をスムーズに進めるためには、遺産相続なども重要ではありますが、最も重要なのは後継者育成だと思います。前回読んだ「同族経営はなぜ3代でつぶれるのか?」から引用します。

ファミリーの人的資本が高まるほど、ファミリーには選択肢が増え、柔軟性が高まります。三円モデルのBやDの位置にいる、直接ビジネスに関わっていない兄弟や配偶者などのファミリーメンバーも、次に挙げる社会関係資本が高ければ貴重な経営資源になるのです。逆に、人的負債としては、仕事や事業に対する無責任、リーダーとしての能力不足、経験の少なさなど、否定的な要素は人的負債ということになります。そういうメンバーがいれば、それはファミリーとしての負債になっていきます。

つまり、同族全体で見たときに後継者候補となる人材が複数いれば、企業として選択肢が広がります。そうでないとやはり選択肢が乏しかったり、消去法で決めざるを得ない状況になります。そうなると、周囲の納得感が低くて社内で協力体制を作れなかったり、うまく経営上の問題を対処できずに事業が傾いたりするリスクも高まります。

なので、経営に対する考え方、知識や経験を与えて、計画的に後継者が育つ仕組みが必要になります。うまく事業承継を続けてきている企業は、このあたりが仕組み化されているのではないでしょうか。

 

ちなみに、個人的には同族会社から一般会社に変化するのは、それなりに難しい気がしています。それは、こういう経営に関する能力は創業者一族の方が育成しやすいという問題と、オーナーであり企業と一体化している創業者一族とそれ以外では、会社に対するコミットメントが違う、という問題があるからだとみています。

 

父と息子の価値観の違い

必ずしも父と息子の関係で事業承継されるわけではないと思いますが、ひとまずそう表現しています。ここで言いたいのは、親子ぐらいの年齢の違いがあると、価値観はおのずと違いが大きくなる、ということです。やはり時代によって社会の価値観は変遷していますし、それによって経営判断にも違いが出てきます。

過去に、事業承継に関する講演を聞いたことがありましたが、そのときは父親の公私混同によるモラルハザードが問題になっていました。父親は、会社の経費で私物を購入することが当然のようになっており、息子は「従業員が汗水働いて得たお金なのに、私物化して使うのはおかしい」と感じて対立した、というのがおおまかな話でした。

息子側の美談のように感じますが、これもひとつの価値観の変遷が関係しているのではないか、と感じました。企業もコーポレートガバナンスなどが叫ばれて、倫理が強く求められるようになっています。正しいか正しくないか、だけではなくて、価値観そのものに違いが生じると、どうしても後継者と衝突が生じてしまう可能性が高いのです。

 

最近は、事業承継が難しくなって、M&Aなども有効な手段になっているようです。ただ、前回の記事に書いた通り、長く続けるほど企業は優位性を築きやすくなるので、だいぶ前から事業承継に必要なことは計画的に準備を進めておかないと、間に合わないかもしれません。

 

ちなみに、最近の調査によると、事業承継のタイミングは高齢化しており、44%程度が同族内での継承になっているようです。特に、小規模な企業ほど同族承継になる傾向があります。

事業承継を実施した中小企業の実態調査 | 帝国データバンク[TDB]

結論からすれば、家族間で早めに計画しておこう、ということです。身もふたもないのかもしれませんが。同族承継するにしても、創業家以外に明け渡すにしても、早めに想定して議論しておく、必要な教育プランや財産継承プランを立てておく、というのは、中小企業にとっては非常に重要なことになるでしょう。

同族経営はなぜ3代でつぶれるのか?

最近の経営学では、「ファミリービジネス」へ着目されていたりします。なぜかといえば、日本だけでなく世界でも同族会社が多いからです。

ファミリービジネスはその数も多く、日本の企業の8割以上はファミリービジネスであると言われ、世界のGDPの70~90%は、ファミリービジネスが作り出している、北米の会社の80~90%はファミリービジネスであり、雇用の62%はファミリービジネスが創出している、と言われています。

同族会社による経営の中で、それ以外の一般的な企業とは違う部分を捉えて「ファミリービジネス」として研究が進んでいるわけです。

 

同族会社ならではの問題点はどこにあるか?

ファミリービジネスの捉え方では、同族会社には独特の強みと弱みがあるとされています。最初に弱みというか問題点として陥りやすいところを考えてみましょう。

それは、ステークホルダーが複雑である、ということです。ビジネスとプライベートの境界線が曖昧になって感情がもつれたり、経営に直接・間接的に関係する配偶者や親戚も含めた親族間でいろいろな思惑が入り込んだり。

一般的な企業でも従業員・株主・地域社会など様々なステークホルダーがいますが、同族企業の難しさというのは、「距離の近さ」にあるのでしょう。なかなか私情を排除しづらい環境が形成されやすく、それがビジネスをスムーズに進ませない要因になりやすいと言えます。

 

同族会社の強み

一方で、同族会社ならではの強みもあります。世界的にファミリービジネスが注目されているのも、同族会社の数が多いというところもありますが、世界的な大企業が誕生したり、数百年レベルで継続する企業が生まれている、というところにもあると思います。

日本だとサントリーや金剛組が有名です(金剛組は2005年に経営不振によって創業者一族から経営体制が変更されていますが)。同族会社が運営する企業が強みを発揮できるポイントは、オーナーとしての決断の早さ、経営理念などマインドの強さ、優秀な人材の継続的輩出などが挙げられます。

要するに、ファミリーであるからこそ結束が高まれば、理念・技術・人材等の面で資源を継続して供給しやすくなり、かつ蓄積することができるので、一貫性のある強い企業を構築することができる、というわけです。

これを踏まえると、一代で事業を大きくする、というよりは、継続性を意識したビジネスを展開していく、という思考の方が合っていると思います。

 

本を読みながら、いろんな自分の知り合いの顔を思い浮かべて、たくさん考えてしまいました。それぐらい、悩んでいる人、該当する人は多いでしょうし、研究もまだ進む領域だと思います。

同族経営はなぜ3代でつぶれるのか?

FacebookのOGP設定がいつの間にかエラーになっていた

最近のブログでは、SNSへの連携を意識するのは当然になってきています。このブログでもいろいろ設定等していますが、久々に見返したらFacebookのOGP設定ができなくなっていたので、見直しました。

 

FacebookのOGPとは

OGPとは、FacebookだけではなくSNSとのウェブページ連携をするための設定です。OGPを設定すると、誰かが「いいね!」ボタンをクリックした場合に、友達のニュースフィードにも記事が流れるようになります(OGPが設定されていないと、友達のニュースフィードには流れません)。

また、Facebookで「いいね!」ボタンが押されたり、タイムラインで表示される際に、ブログ記事のタイトルやサムネイル画像、抜粋記事を正確に記載するための設定です。具体的に内容や設定方法は、以下のような記事を参照されると良いと思います。

Facebookでのウケ方が段違い!もはや必須なOGPを設定する方法 | 株式会社LIG
html999 » はじめてのOGP設置方法とどこまで設定するかを考える

効果のほどはさておき、ちゃんと設定しておけばFacebook上で記事を見る人が増えますし、正確な情報が伝わるということで、クリック率も上がるかもしれません。

 

OGP設定ができなくなった原因

結論からすると、プラグインの相性というか設定重複でした。Wordpressはプラグインが豊富で、いろんな設定が簡単に行えるのがメリットですが、組み合わせ等は各ユーザーに委ねられているので、相性の問題が結構生じたりします。

で、OGP設定に関しては、こういうプラグインを導入すると、重複設定などが生じる可能性があるようです。

Tweet, Like, Google +1 and Share Scrolling Social Sharebar Wordbooker

なので、解消方法としては、上記のようなプラグインの設定を変えることになります。僕の場合は、「Tweet, Like, Google +1 and Share」でした。Wordbookerで最初OGPを設定していましたが、「Tweet, Like, Google +1 and Share」の方でもOGP設定を行っており、タグが重複していました。

 

まずはデバッガで確認しましょう。

デバッガー – Facebook開発者

 

参考:
[箱] Open Graph Pro (WordPressブラグイン) を設定するときに、はまった2つの落とし穴 | ものくろぼっくす

 

ホンダ創業者・藤沢武夫「経営に終わりはない」

経営学を勉強するモノとしては、ホンダ創業者の一人である藤沢武夫を知らなくてはいけないだろうと思い、本を読みました。ビジネススクールでもホンダのケースは何回か取り上げられたのですが、藤沢武夫の目線でホンダを読み解くのは初めてです。

 

まさに優れた経営者像のひとつ

本の中で、理論的で淡々と語られる感じが、僕の中ではイメージ通りでした。自分を律する力、全体を俯瞰する先見性、組織を構成するバランス感覚など、いろんな点で非常に刺激を受けます。例えば、これ。

本田技研において、国家の軍事力に相当するものが技術力だとすれば、外交にあたるものは営業力です。この技術と営業とのバランスがとれていなければならない。ところが、往々にして、技術はその力を過大に思いがちになる。

まさにホンダが技術力が高い企業でありながら成功したのは、藤沢武夫という人がこういう考えのもとで、ビジネスを構築していたからだと思います。

 

先進的にビジネスを切り開いていくのに大事なこと

ひとつ気になったことがありました。先日読んだ「ITプロフェッショナルは社会価値イノベーションを巻き起こせ」では、IT業界は相手からの発注を待つ「受託」から、先に課題を考えて提案するモデルに変わらなければいけない、という提言はありました。それに類することが本書にも書かれていました。それは、製造業が受注生産から見込生産へと移り変わる必要性を述べているところです。

このように、物をつくるにしても、買う方に変化がないときにつくる企業と、刻々と情勢が変化するときに、物をつくっていく企業──常に先手を打っていかねばならん企業──と、どちらが進歩するか、これははっきりしている。

つまり、相手が早く変わっていくのであれば、注文を待っているのではなく先手を打っていなかければ置いていかれる、ということです。シンプルに物事を捉えれば、今も昔も変わらないということも再発見でした。

 

最後、創業25周年で本田宗一郎と一緒に引退するわけですが、あっさりと語られていながら、読んでいて感慨深いものがありました。ビジネス書としても読み物としても良い一冊だと思います。

経営に終わりはない (文春文庫)

ITプロフェッショナルは社会価値イノベーションを巻き起こせ

NTTデータと野村総研の共著ということで、業界に関わる人間としては読んでおくべきだろうと思いっ購入しました。読んだ感想は、「IT業界の窮状をどう打破するのか」をとても考えさせられました。IT産業自体は成長を続けていますが、3Kに代表されるような、あまり恵まれた職業というイメージはなさそうです。

 

本書の中で登場するのですが、受託系はスマイルカーブの典型で、SEの単価がどんどん下がってしまっています。電機産業や建設業界など市場として苦戦しているところは、同じような問題を抱えていますね。

 

必要なのはビジネスモデルごとの転換

これに対しては、マインドの変換と社会制度の移行が必要なんじゃないかと思います。本書の一節を引用しますが、

日本企業が得意とする業務改革は、TPSに代表されるように現場を改善していくことだ。既存の仕組みを微調整しながら、生産性を上げていく改革手法である。その一方で、組織やビジネスモデルを大きく変えるような改革には、なかなか踏み込めない。これに対して、欧米の先進企業は経営環境が変化すると、組織やビジネスモデルを変革することを厭わない。

ということで、ビジネスモデルが陳腐化してしまっても、日本はなかなか転換できないという問題が指摘されています。これは、マインドとしてやはり定量化しやすい部分を頑張ってしまうという点もあると思います。わかりやすいですし。一方で、雇用環境が影響する部分もあるでしょう。解雇しづらい企業側の立場からすると、思い切って人を削ったり配置転換することが難しくなります。このあたりは、以前日本経済を考える際に、労働環境に問題があるのではないかと書きました。

日本の景気は賃金が決める | Synapse Diary
アベノミクスで日本はどこへ行く? | Synapse Diary

 

IT業界はどこを目指すべきか

IT業界においては、特に受託の場合はビジネスモデル的に限界があると思われます。これを打開するためのアプローチとして、アンゾフのマトリックスで考えてみます。

アンゾフのマトリックス

わかりやすいのは、エリアを広げて同じソリューションで稼ぐこと(③)。ただ、人はそんなに簡単に場所を変えることが難しい面もありますし、ソリューション自体にそれほど革新性や排他性がなければ、新しい場所にも同業他社がいるので、進出は難しいかもしれません。次に考えられるのは、既存市場の中で新しいソリューションを生み出すこと(②)。本書もここをイメージして書かれています。潜在化された顧客ニーズを捉え、解決策を提案していく形です。

また、財務上公共機関が社会的問題解決を担うことが難しくなってきている現状では、CSRの考えを発展させて、企業が社会問題解決の一旦を担うことを期待されている、ということが書かれており、とても印象的なメッセージでした。

 

ICT投資を呼び起こす解決策が必要

ICT投資は経済発展に対して寄与する可能性があるジャンルなのですが、アメリカと比べると日本はあまり伸びていません。

企業が付加価値を感じていない結果として、情報化投資は伸びなくなりました。特に日本の民間情報化投資は、ここ20年ほど伸び悩んでいるのです。1995年を基準にすると、5倍近くに増えている米国に対して、日本は2倍にも達していません。効果が表れれば「また投資をしよう」と経営者は考えるはずです。その効果を十分に実現できていないとすれば、私たちはITサービス産業の一員として責任を感じなければなりません。

ICT投資は、作業効率などの生産性を重視したバックエンド系の投資は一回りしていて、マーケティングやUI・UXなど定量的な指標では計測しづらいフロントエンドの投資が中心になっています。そういう中で、投資を呼び起こすようなソリューションが生み出せていないというのは、寂しい限りです。

 

本書の中に具体的な解決策があるわけではないですが、問題意識やアプローチについては賛同できます。

ITプロフェッショナルは社会価値イノベーションを巻き起こせ――社会価値を創造する“デザイン型人材”の時代へ

起業や独立を考えるなら「貧乏はお金持ち」を読もう

全くタイムリーではないですが、読みました。メインテーマは「独立することで税金が最適化される」ということで、サラリーマンと個人事業主(本の中でいうマイクロ法人)との法制度や税金の違いを示すことですが、それ以外にも重要な示唆がたくさん含まれていて、読み物としても面白かったです。

 

企業の成り立ちから紐解く企業論、企業の利益と税法上の益金との違いを整理した財務会計、企業価値を計算するファイナンスなど、企業にまつわるいろんなことがこの一冊で理解することができます。

 

サラリーマンは重要な部分を企業に委託してしまっている

本のメインテーマであるマイクロ法人という提案は、サラリーマンと個人事業主で何が違い、その結果、主に金銭面でどういう違いをもたらすか、という視点から行われています。

とはいえ、サラリーマンとそれ以外の企業家にはひとつの決定的なちがいがある。それは、サラリーマンが企業活動(お金を稼ぐ経済活動)の主要部分を会社に委託(アウトソース)してしまっていることだ。これは具体的には、会計・税務・ファイナンスである。

これは、税務処理などがない点で非常に面倒くさくなくて良いのですが、お金に直結している部分です。これを企業の枠組みに入ることで委託してブラックボックス化しているわけです。

ただ、少し勉強してみればわかりますが、会計と税金にまつわる仕組みは結構複雑です。その紐解き方によって税金の多寡も変わってくる、というのを本書では示しています。

 

詐欺はなぜなくならないか

本書の主旨とは少しずれますが、個人的に非常に面白かったのは、詐欺はなぜなくならないのか、ということでした。最近、安愚楽牧場が話題になっていますが、知ってみれば「こんなことに騙される奴も悪い」みたいな感じになってしまいます。しかし、ずっと昔からある詐欺のような悪徳商法は、なぜなくならないんでしょうか。その答えはこれです。

株式会社は、なにもないところから儲け話だけで資金を集める仕組みだ。その儲け話に実態があればビジネスで、実態がなければ詐欺になるが、おうおうにして両者の区別は不可能だ。

つまり、事業が始まる前に資金を集める、という意味では両方とも同じで、中身がない状態で見極めなければいけないからです。ベンチャーなどの企業でも事業計画一枚で資金を集めます。ビジネスと詐欺の境界線は、非常に曖昧な気がします。

IT業界でもある程度経験を積むと、フリーランスとして企業と業務委託契約になる人もちらほらいますが、そうなるとまさにマイクロ法人としての恩恵とリスクを引き受けている、ということがわかりました。起業や独立を考えている人はまず読むべきですし、そうでなくても企業・税制の実態を理解する上では非常に良書です。

貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する