音声アシスタントはこれからもっと利用されることになる

米ベンチャーキャピタルであるKPCBから「Internet Trends」というレポートが発表されました。

インターネットを中心とした世界の動向を200ページの膨大な内容でまとめられています。その中で、音声検索に関するトレンドがありました。

 

モバイルの半分以上が音声アシスタントを使うようになっている

データの一つに、米国のモバイルユーザーの半分以上が音声アシスタントを使っているという調査結果が有りました。

Internet Trend Voice Assistant

SiriやGoogleの音声検索などが代表的ですが、どんどん使われているんですね。そして音声アシスタントを使うようになっている理由の第一位は「ソフトウェアや技術の改善」です。確かにどんどん音声認識の精度は上がっていると思いますし、音声と文字の境界にある障壁はどんどん低くなっています。それは、iPhoneの音声入力を使い始めてからも強く実感しました。

iPhoneの音声入力が素晴らしい | Synapse Diary

 

家や車でのアシスタントは新しいプラットフォームになる

もう一つの調査データを見てみましょう。こちらは、音声操作をどの場面で使うかを示したものです。

Internet Trend Usage

右側のグラフを見ると、多く使うのは家と車ですね。家の覇権争いはすでに始まっていて、Amazon Echoはその筆頭になってきています。

アップル Siriより未来だ!Amazonの人工知能スピーカー『Echo』実機レビュー – 週刊アスキー

この動画を見ると、ちょっと未来を感じますね。

すでにApple、Google、Amazonなどを中心に、ここの覇権争いが始まっています。AmazonのAlexaは、サードパーティに機能を解放し、様々な音声による命令が実行できるようになっています。

ニュース – Amazonの音声支援Alexa、スキルが1000種に:ITpro

AmazonやGoogleは車の開発も行っていますし、AppleTVやChromecastなど家で使う機器にどんどん技術が侵入してきています。どこが覇権をとるのか、ここ数年が注目です。

 

音声アシスタント、チャットボットなど、音声をベースにしたサービスは今後も増えていくでしょう。まだ使ったことがない人は、ぜひ音声入力から試してみてください。ちょっとした未来を感じるはずです。

飲食業でITが活用されると日本が元気になる理由

飲食業はITをもっと活用しなければいけない、という記事がありました。

飲食業界がブラック化するのはITの恩恵を受けていないから|飲食店を救う「ITサービス」ガイド|ダイヤモンド・オンライン

僕は飲食サービス業の生産性がITによって効率化されれば、日本社会はとてもよくなると思ってます。統計から、その理由を書いておこうと思います。

 

飲食サービス業は、他の業種に比べてIT活用率がとても低い

中小企業白書に、業種別のIT投資の比率が統計として掲載されています。2013年でちょっと古いですが、現在も傾向はそれほど変わっていないでしょう。

smec1

(出所:中小企業庁:中小企業白書(2013年版)全文 P.208)

わかりますでしょうか?「宿泊業、飲食サービス業」の項目だけが、全体としてどの業界よりもIT導入の割合が低くなっています(全ての項目で最下位ではありませんが、ほとんどそれに近いものがあります)。

 

飲食サービス業は、日本の事業所数で2番めに多い

「宿泊業、飲食サービス業」というのは、企業数でみると日本で小売業に次ぐ多さで、中小事業所は70万もあります。

gyoushu

(出所:中小企業白書 2014年 付属資料

ということは、飲食業はIT活用という意味ですごい伸びる余地がありますし、数が多い分、そのインパクトは大きいと思っています。

なにより、レストランやホテルでの生産性は、アメリカの4分の1しかないという現状は、解決すべきなんじゃないかと思います。

ブルームバーグの主張はこうだ。「おもてなし」には時間も努力も必要ながら、日本ではその高いサービスに対して、客が対価を支払うことも、サービス従事者がそれを受け取ることもよしとしない文化がある。つまり高いサービスに対して経済的な還元性が低い、ということであり、実際、レストランやホテルでの生産性がアメリカの26.5%とかなり低い数字として出ている。

「おもてなし」が原因?日本の飲食・宿泊業の生産性、米国の4分の1 客の要求水準高く | ニュースフィア

 

最近、タブレットを使ったレジを見かけることも出てきましたし、いろんな場面で浸透している気がします。安くて利用しやすいサービスも増えているので、どんどん普及して欲しい!

 

さて、Kindleで2冊読み終わりました。

[amazon_link asins=’4860638204′ template=’Original’ store=’tob-22′ marketplace=’JP’ link_id=’46d2c292-f877-4089-a5f1-e71eed9abcab’]

[amazon_link asins=’4167903164′ template=’Original’ store=’tob-22′ marketplace=’JP’ link_id=’955b6503-6422-4ad7-ad0e-10b2ca6ebd4f’]

 

知識を幅広く持つってのは、本当に重要だなーと感じますね。両方とも新しい視点をもらえると思うので、オススメです。

電子書籍サービスはKindle一択になっているのかもしれない

電子書籍の利用は増える一方で、紙媒体で買うなんてことはほとんどなくなってしまいました。

で、電子書籍サービスもメジャーなもので言えば、

  • Kindle
  • 楽天Kobo
  • Booklive!

あたりかと思います。電子書籍が日本で普及し始めた頃からこの3つを並行して使ってきたのですが、最近はKindle一択になりつつあります。今日はその話を書こうかな、と。

 

電子書籍はすでにレッドオーシャンになっている

まず前提として、電子書籍というサービスは、基本的にはどこも同じ商品を扱っているので、差別化の要素が非常に低くなっています。簡単に言えば、商品そのもので差別化することが難しいので、価格競争になっているわけです。

最近の調査では、電子書籍を利用する人は頭打ち感が出ています。

電子書籍の利用率が2割弱で頭打ち、「利用意向なし」が増加、「関心なし」と合わせると6割以上に -INTERNET Watch

また、楽天Koboは世界全体で電子書籍市場の立ち上げが遅れていることが影響し、損失を計上しています。

Kobo関連では、連結ではのれんの減損として78億円の減損損失を計上。Koboは2011年に買収し、電子書籍ストアや端末を展開しているが、「世界の電子書籍市場の立ち上がりが当初の想定よりも遅れ、それに伴う事業計画の遅れが要因」という。

楽天、電子書籍子会社のkobo株式を減損処理 「事業計画に遅れ」 – ITmedia ニュース

 

ということで、市場がそれほど拡大していかない中で、各サービスはセールをやったりクーポンを配ったりして、どんどん値引きしています。

Kindleは全体的に価格が安く抑えられているし、積極的な割引はあまりしない感じがありますが、他社が割引セールをすると、だいたいは追随して価格が引き下げられているので、Kindleで買おうと思った時に他社よりも高いよねって思うことが少ないですね。

 

差別化のポイントは品揃えや価格ではなくなってきている

以上から考えると、すでに電子書籍の差別化は品揃えや価格ではなくなってきており、別の差別化ポイントが生まれてきていると思うってます。そして、それについてAamzonが積極的に差別化ポイントを積み重ねてきてるんじゃないか、ってのが今回の主旨です。

 

Kindle Fireの破壊力

差別化のポイントとして挙げられる一つは、まず読書端末ですね。Kindle Fireが1万円を切る価格で売っているというのは、驚異的なコストパフォーマンスです。

Kindleの新しいFireタブレットが5000円とかコスパ高すぎ | Synapse Diary

[amazon_link asins=’B07JQP28TN’ template=’Original’ store=’tob-22′ marketplace=’JP’ link_id=’457af605-9330-4aa1-a8b0-02cc785abd5e’]

 

Kindle Fireは去年発売されましたが、それまでもKindle端末自体は発売されていました。もっとも廉価なKindle Fireを発売することで、端末の購入者を増やすことに成功したんじゃないでしょうか。

KoboやBookliveも端末を販売していますが、映画も見れるし、ゲームもできるし、読書もできるKindle Fireに勝るのは、結構難しいんじゃないでしょうか。

 

Kindleアプリは細かな点で使い勝手が良い

僕はiPhone、Kindle Fire、iPad、Kindle paperwhiteと、様々な端末で読書します。その時に一番嬉しいのは、端末間の同期の精度が非常に高いことです。他のサービスだと、なかなかうまく同期しなかったりしますし、Bookliveの場合、AndroidとiPhoneでは同期できない制約があります。

・現バージョンでは、.Book形式の書籍および雑誌について、Android端末とiOS端末/WindowsPCとの間で、しおりの同期ができません。

すべての作品が同期できますか? | BookLive FAQ

あまり困らない人が多いのかもしれないですが、僕は複数の端末を分けて使うことが多いので、端末間で同期がうまく行われないと結構ストレスになるので、自ずとKindle以外のサービスを敬遠するようになってるんですよね。

後は、辞書やマーキングのするときの操作性が、1番なめらかなのもKindleです。これも結構主観的なものなのかしれないですが、1番スムーズでストレスが少ないです。あとは、辞書を呼び出すスピードとか。そういう細かい操作性が良いですね。

最後は、音声読み上げにキンドルは対応していること。移動中に時間があるときは、音声読み上げ機能を使って聞いています。音声読み上げ機能を使うことで、読書量を増やすことができているのですが、KoboやBookliveはこれができないんですね。

Kindleの電子書籍を無料でオーディオブックにする方法 | Synapse Diary

 

というわけで、端末やアプリを改善し、差別化のポイントが明らかにハードウェア・アプリケーションになってきていて、アマゾンのKindleサービスがその強さを発揮してきている、というのが現状なんじゃないかと思います。

とはいえ、Amazon一強だと競争環境として健全ではないので、他の電子書籍サービスも頑張ってほしいですね。

【書評】決定版 インダストリー4.0―第4次産業革命の全貌

この間、日本のIT業界が稼げない業界になってしまっていることを書きました。

なぜIT業界が「稼げない業界」になってしまっているのか

 

この記事の最後に、ICTがメインビジネスに組み込まれることで、IT業界は再度見直されるという希望を書いています。

そして、そのひとつが製造業に登場した「インダストリー4.0」だと思っています。というわけで、最近話題のインダストリー4.0を読んでみました。

[amazon_link asins=’4492762213′ template=’Original’ store=’tob-22′ marketplace=’JP’ link_id=’7af83970-0013-47fb-b8b6-dbdf3e693817′]

 

ICTが製造業に入り込む「インダストリー4.0」

ドイツ発祥のインダストリー4.0は製造業を新しい領域に進展させようとしています。

平たく言ってしまえば、最近のITトレンドであるIoT、ビックデータ、データアナリティクス、人工知能を活用し工場生産をさらに向上させようとしていることになります。これによって、多様化するニーズに柔軟に応えつつ、大量生産と同じ効率性を維持することが可能になります。

さらに、工事生産をサービス化しそのスキーム自体を売ろうとしています。

製造業は、製品を売ったら終わりの従来のビジネスモデルから、センサーやビッグデータ分析を駆使したアフターサービスで付加価値を高める新しいビジネスモデルにシフトしていくと考えられています。ちなみに、GEは、IT企業と連携してビッグデータ分析をしてきた従来の方針を転換し、ソフトウェア会社を設立して、ビッグデータ分析ソフトを自社開発しました。他の企業に、IT企業としてこのソフトウェアを提供し、クラウドサービスを販売するというビジネスも始めているのです。

 

これって農業や物流でも似たような流れになっていて、IoTやビックデータ、データアナリティクスなどの活用によって、生産性の向上、付加価値の向上、サービス日が注目されています。

例えば、農業だとこんな事例があります。

「農業IoT」が日本の農業を変革。栽培状況をクラウド管理は常識に:次世代農業EXPO – Engadget Japanese

 

物流はこんな感じ。

「IoT」は今後、サプライチェーンや物流業界に約226兆円規模の利益をもたらす|DHLジャパン株式会社のプレスリリース

こうやってどんどんICTがビジネスに直接関わっていく比率が、全体のトレンドとして増えています。

 

国家戦略として取り組むドイツとアメリカ

ではなぜ、インダストリー4.0と言う言葉が注目されているのかといえば、ドイツやアメリカなど国家が率先して製造業をレベルアップさせようとしているからです。

日本も製造業の比率は非常に高いのですが、どうやら国家戦略と言う意味では遅れをとっているようです。本書の中でもグローバルスタンダードができつつあり、日本は高い技術力を生かし、グローバル標準に乗って行こうと述べられています。

これからグーグルをすぐに日本独自で作ることができるでしょうか。かなり難しいです。同じように、「日本が独自にやるぞ」と始めても、質量とも大きくなっている世界のテクノロジーは待っていてはくれません。中央図書館だけでやろうとしてもうまくいかないのです。  それならば、日本の得意とするものづくりの技術をもって、世界ネットワークができつつあるプラットフォームに謙虚な気持ちで乗っていく。これが得策じゃないでしょうか。

 

ドイツの戦略で感心したのは、中小企業の底上げをインダストリー4.0で狙っていることです。ドイツも中小企業の比率が多くなっており、全体の底上げによって生産性を向上させることが必要になっています。そういう意味で、国家が主導して製造業をレベルアップさせていくのは非常に効果的な気がします。

「ドイツの企業は、ほとんどが中小企業です」と聞くと意外に思われるかもしれません。  自動車メーカーのダイムラー、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン、自動車部品のボッシュ、発電、医療、ファクトリー・オートメーション(FA)で有名なシーメンス、ERPで世界トップのIT企業SAPなど、ドイツの大企業は、世界的に活躍し、日本でもよく知られています。  ところが中小企業数の全企業数に占める比率は99%。実は、ドイツは日本とよく似ていて、企業のほとんどが中小企業なのです。

 

いろいろ調べてみると、日本の製造業は海外投資の比率がドイツに比べて低かったり、利益率も低い状況にあるようです。

中小企業のうち輸出を行っている中小企業の比率は、ドイツが20%なのに対して、日本は3%です。次に、中小企業の中で対外直接投資を行う割合を確認します。ドイツの17%に対して、日本は0・3%にとどまっています。これは、製造業のグローバル化を受けてドイツの中小企業が海外との貿易取引や企業進出に積極的に取り組んできたことを表しています。

 

こうやって見ると、製造業は今後とても大きく変わっていくような予感しかありません。また、冒頭で述べたように様々な業種・業界が、今後ICTの活用によってこれまでのビジネスを大きく変えていくのでしょう。それはすでにグローバルレベルで変化しています。これを読まれている皆さんも、自分がいる業界がICTによってこれから大きく変わっていくことになるはずです。

と言うわけで、インダストリー4.0の概況を知りたい方はぜひこの本を読んでみてください。

[amazon_link asins=’4492762213′ template=’Original’ store=’tob-22′ marketplace=’JP’ link_id=’7af83970-0013-47fb-b8b6-dbdf3e693817′]

 

 

参考;政府は製造業に興味無し!?インダストリー4.0予算ゼロの実態 | 山田太郎

なぜIT業界が「稼げない業界」になってしまっているのか

経産省がIT業界の人材に関する報告書を発表しており、非常に興味深い内容になっていました。

特にそれがTogetterにまとめられ、「IT業界は本当ダメだな」という感想が多く寄せられており、なんとも言いようがない状況であることがわかります。

「情報システム産業では、2000年代後半から協力会社を中心として労働環境の悪化が相次ぎ受託開発ビジネスの限界に直面。丸投げ委託、多重下請けと人月ビジネスの横行等により、業界全体の魅力が低下した」という経済産業省の産業構造審議会の公式見解について – Togetterまとめ

確かにITゼネコンとかIT土方という言葉が生まれており、あまり環境が良くないと言われています。なんでこう言う状況になってしまったのでしょうか?

幾つかポイントがあると思うのですが、個人的に考えられる要素を並べておこうと思います。

 

IT業界を取り巻く負のサイクル

そのうちの一つは、日本の経営者におけるIT活用に対する興味のポイントです。経産省の資料に示されているのですが、日本の経営者は、極論をいえば「費用削減の手段」としてしかITを見ておらず、それが新しい付加価値を生み出す、収益を生み出すということの比重が小さいというのは、随分前から言われている話です。

IT1

で、業務合理化の手段としてITが活用されることになると、組織上にある傾向が生じてきます。それは、「業務の効率化=システムの導入が終了すると、IT人材は組織に不要になる」ということです。

それは、同じく経産省の資料に示されています。

IT2

ユーザ企業では、大規模なシステム投資は行うものの、あるプロジェクトが完了すると、システム系の業務がなくなるため、システム子会社など分社化するか、もともと外部から雇うなど、自社からIT人材はどんどんいなくなるのです。

また、「守りのIT」というのはどちらかというとチャレンジングな要素が技術的にも少ない傾向にあり、高い技術力が差別化になりづらい点も影響しているのではないかと推測します。

まとめると、以下のサイクルが発生しているのではないか、というのが僕の仮説です。

  • IT人材は一時的にはいるが、用が済んだら子会社化するなどして、社内にいなくなる
  • 社内にIT人材がいなくなった結果、次に必要になったときにはITベンダーに頼る比重が大きくなる
  • また、ユーザー企業が「枯れた技術」を好むため、ITベンダーの技術力はそれほど差別化要素にならない
  • ITベンダーがクライアントに対して引き受けなければいけない領域が広くなるため、差別化要素が低い技術領域をアウトソーシングする

 

でも、今後はこういう状況は変わってくるかな?

ただ、今後はメインビジネスの中にITが組み込まれることになるケースが増えていくんだろうと思っています。

例えば日本交通の社長だった川鍋さんは、2015年に社長から会長に退き、代わりというかJapanTaxiという情報サービス会社の社長に就任しています。

JapanTaxi株式会社(旧:日交データサービス)

UberなどIT技術の破壊力に危機感を抱き、このIT領域に非常に力を入れています。そのあたりは、以下の講演を見ると、よりわかると思います。

さらに、インダストリー4.0などITを使ったサービス化を実現する動きが製造業にみられています。コマツのコムトラックスが代表例としてよく挙げられますが、そういう動きも今後はもっと活発化していくのでしょう。

守りのITから攻めのITへ。そういう時代はもう来るんだと思っていますが、それがもっと盛り上がらないと、IT土方は量産され続けるんじゃないでしょうか。

今、これ読んでます。

[amazon_link asins=’4492762213′ template=’Original’ store=’tob-22′ marketplace=’JP’ link_id=’959ac4aa-56a3-48a5-9400-c15de0710178′]

 

クラウドソーシング市場はもう伸びないかもしれない

クラウドワークスの決算発表を契機に、「クラウドソーシングはやっぱり食っていけないよね」という話が出てきています。

まず最初に発端となったのはこの記事でしょうか。

クラウドワークスで月収20万超え、わずか111名。働き方革命の未来はどこにある? – GoTheDistance

クラウドワークスの決算発表では月収20万円以上のユーザーが非常に少なく、やっぱりクラウドソーシングを本業にするのは難しいんだね、ということが示されています。

数年の運営を経て得られた帰結は、「登録ユーザー80万人に対し、月収20万に到達する方は110人程度」でした。110名の90%はITエンジニア/Web制作 or デザイナーで占められており、クラウドソーシング関係なくある程度の収入は確保できる方々です。

クラウドワークスで月収20万超え、わずか111名。働き方革命の未来はどこにある? – GoTheDistance

 

一応、クラウドワークスの決算発表から貼っておきますね。この20万円超えワーカーが増えているとはいえ、111人しかいません。総ユーザー数は80万人近くいるのですが。

クラウドワークス

 

次に見てみるのは、こちらの記事です。

どうしてクラウドソーシングではお金持ちになれないか | More Access! More Fun!

こちらでは、クラウドソーシングのプラットフォーム上では差別化が難しく、単価が低い仕事を受ける人しか集まらない、ということが示されています。

どうしてこんなに稼げないかっていいますと、上のエントリーにも書いた繰り返しになりますが

1 発注者は神というビジネス構造
2 素人の発注者が極安な単価で発注
3 たくさんの競合による食い合い
4 安くてもいいからやるという人の集まり

という、あたかも日雇い労働者が群がる手配師みたいな情景になってしまうからですね。

どうしてクラウドソーシングではお金持ちになれないか | More Access! More Fun!

 

一方で、少し違う角度の主張もあります。

「クラウドワークスで月収20万超え、わずか111名」は嘘だと思う。 | ふくゆきブログ

月収20万円以上稼いでいるユーザーは、もうちょっといるのでは?という主張です。

理由は、ある程度、複雑で高額な案件が進むと、skypeやgoogle docsやgithubで直接つながらざるを得ず、最終的に直取引になるからです。直接相手の銀行口座に払ったほうが、入金も早いし、手数料(5〜20%)もかからない。

「クラウドワークスで月収20万超え、わずか111名」は嘘だと思う。 | ふくゆきブログ

これ、家庭教師などでも以前からある問題ですね。紹介システムで紹介すると、それ以降は直接契約になってしまい、紹介会社やプラットフォーマーが儲かることができない、という問題です。

プラットフォーマーが成立する条件として、幾つかある気がします。

  • 複数の相手との取引がたくさん存在する
  • 単発契約になる

アマゾンや楽天などのECサイトはこの条件に合致しており、たくさんのお店から商品を買いますし、毎回一回の取引が行われます。逆に、健康食品など長期的に購入する商品は、プラットフォーム上で販売するのではなく、自社サイトで販売し囲い込むことが行われています。

転職サイトであるリブセンスは、上記に合致しません(転職は面接等を重ねて決定するので)が、リブセンスはユーザーが転職が決まると「お祝い金」を支払うことで、直接契約を回避する仕組みにしました。これによってリブセンスは確実に転職の事実を把握することができ、直接契約を回避する仕組みを構築することに成功しました。

 

さてさて、これを機にグローバルはどうなっているかとググってみたら、クラウドソーシングの大手だったoDeskとElanceが合併しておりました。

oDesk + Elance連合(現Upwork)の凋落 | Masafumi Otsuka’s Blog

どうやらこちらでも、直接契約を防ぐ措置を強くとったことから、フリーランサーが離れていったのではと書かれています。

人数が減っても質が高ければ問題はありませんが、実際に面接してみるとそんなに変わらない。明らかにFreelancer達のUpwork離れが起きている。面接中、フリーランサー達に事情を聞いてみると、どうやらシステム統合する際、過去雇い主とフリーランサーがoDeskのシステム上で行った全てのメールのやり取りを調査したらしく、サイトを介さないPaypalなど決済サイトを通して支払いを示唆したり、少しでも怪しい行動をしたフリーランサーを一斉に取り締まり、一定の期間アカウントブロックするという行動をとったらしい。

oDesk + Elance連合(現Upwork)の凋落 | Masafumi Otsuka’s Blog

ということで、クラウドソーシングは以下の問題を抱えており、市場の拡大は難しいのではと思うところです。

  • 働き手がプラットフォーム上で差別化することが難しく、高額の仕事をマッチングさせることが困難
  • 複数回・長期契約を行う仕事が多く、直接契約を結ぶインセンティブが大きい(そしてそれを無理やり阻止すると、プラットフォームから人離れが進む)
  • 結果として、単価の低い単純作業のマッチングシステムになっている

以上のような感じでしょうか。プラットフォームの設計というのは難しいものですね。

クラウドソーシングによって、これからはいろんな働き方を実現することができる。フリーランス万歳!という論調もあった気がしますが、クラウドソーシングの限界が見えている気がします。これを解決できれば、逆に大きなチャンスになるのかもしれません。。。。

[amazon_link asins=’B00DFZLTPM’ template=’Original’ store=’tob-22′ marketplace=’JP’ link_id=’6b619df3-5bd7-452e-a67c-dcba6e07db7e’]

[amazon_link asins=’4822249190′ template=’Original’ store=’tob-22′ marketplace=’JP’ link_id=’004e1594-7faf-4574-a7fc-176eafdc3f8d’]

 

【書評】未来に先回りする思考法

あなたは、未来を予測できるようになりたくありませんか。

最近だと、ドローンやロボット、人工知能などが注目されていますが、数年前からGoogleやFacebook、Amazonはそれらの技術に注目し、ベンチャー買収、人材獲得などの投資を行っています。なぜ、こういう企業が先行して手を打ち、先回り出来ているのでしょうか。

本書では、そういう企業はどういう風に社会を捉えているのか、そしてその結果として未来を先回り出来ていることを示しています。ITを中心に最近のトレンドが非常に幅広く、かつわかりやすく整理されており、必読といって良いでしょう。

[amazon_link asins=’B014J1FDIO’ template=’Original’ store=’tob-22′ marketplace=’JP’ link_id=’b047b389-9f17-45d7-b3d1-2b247ef946d4′]

 

著者はメタップスという、アプリ分析などを手がける上場企業の創業者です。

http://www.metaps.com/ja

 

ITの進化を大きなトレンドで捉える

先に書いた通り、FacebookもGoogleもAmazonも、多少の違いはあるものの、先進的なグローバルIT企業はみんなやることが非常に似ています。注力する領域がいつも非常に似通っているのです。

それは、それぞれの企業が、未来に対して似たような将来を描いているからに他なりません。将来的に技術がどう進化し、どういう社会になっていくのかというビジョンの面で、非常に似通っているのです。

Google、Amazon、Facebookなどの巨大IT企業の創業者たちが考える未来像は驚くほど酷似しています。彼らは「いつ」それに取りかかるのかのタイミングの読み合いをしているだけです。社会・経済・技術・強み・資金などを総合的に考え、適切なタイミングで適切なアクションを起こしています。

 

そう。つまり、重要なのはそれを実現するタイミングであり、それを予測した上で投資戦略などを進めているのです。具体的な例として、iPhoneが挙げられています。

スマホやタブレットもコンセプトそのものはずっと昔からありましたし、実際に作って販売した人たちもいました。ただ、高すぎたり、重すぎたりなどの様々な理由から普及しなかっただけです。端末製造のコストが下がり、ネットの回線が十分に速くなったタイミングで登場したからこそiPhoneは成功したのであり、Appleだけに未来が見えていたわけではありません。ただ、タイミングが適切だったのです。

 

ということで、社会の変化に対するパターンは、ある程度予測できるものであり、それを理解していれば未来に対して先回りできるということになるわけです。

 

インターネットはこれからが本格的な普及期を迎える

以前読んだ、「角川インターネット講座 第三の産業革命 経済と労働の変化」でも書いてありましたが、インターネットによる劇的な進歩は、実はこれからという内容が、本書の中でも書かれています。

そして今、現在進行形でインターネットという新しいテクノロジーが社会をデザインし直しています。その誕生から20年をかけて、インターネットはようやく空気のように社会に浸透し、変化への準備が整いました。実はインターネットが私たちの生活を本格的に変えていくのはこれからだと、私は考えています。

これまでITはインターネットと合わせて爆発的に拡大してきましたが、今後はより一層「当たり前」な存在になります。それは、あらゆる領域にITやインターネットが浸透していき、あらゆる生活やビジネスに自然な形で取り込まれていくことが予想されます。

なので、今後はそれの「どの領域」にITやインターネットが入り込み、ビジネスがどう変わっていくかに注目すべき、ということです。

 

これからは社会構造自体が変わっていく

本書の中では、社会の仕組みの変化についても述べられています。特に個人的に注目したいのは次の2つです。

ひとつめは、「国家」というものの存在の変化です。グローバル企業が社会インフラ的な役割を担うようになり、これまで国家が担っていた部分(通貨の管理等)を民間が担うようになってきています。本書の中では、国家経営も投資リターンが強く求められていること、企業経営は公益と一致させることが求められていることなどが述べられています。

さらに、資本主義という経済システム以外にも、多様な経済システムが登場するという未来についても触れられています。

ただ、まだ経済システムについては、今は資本主義ほぼひとつしか選択肢はありません。しかし、時間が経てばそれもまた選択可能なものに変わっていく可能性は十分にあります。価値主義の世界は、個人の経済システムの選択の幅が、今よりもう一段階広がった社会といえるでしょう。

このように、僕らが生まれてから当たり前だと信じていた国家というのは、形は残ったとしてもその役割は今後変わっていく可能性が高い気がしています。社会システムや経済システムについても、変化していくのでしょう。

社会システムの歴史と変化については、「21世紀の自由論」がわかりやすいです。同様に、今当たり前の社会システムは、今後変わっていくだろうということが理解できます。

[amazon_link asins=’B00ZD2MD5K’ template=’Original’ store=’tob-22′ marketplace=’JP’ link_id=’7814bf12-e7bb-4a3a-a0f2-8cf85bb4a92f’]

 

もうひとつは、労働についてです。最近はロボットの普及、人工知能の発達によって人間の仕事が奪われていく、ということが言われています。「機械との競争」も少し前に注目されましたね。

[amazon_link asins=’4822249212′ template=’Original’ store=’tob-22′ marketplace=’JP’ link_id=’b9547e05-ad26-48df-817b-4ed86aee175d’]

 

確かに、これまで身に付けたスキルが陳腐化し、自分の労働が機械や人工知能に置き換わるリスクがあります。ただ、長期的に見ればこれは時代の必然かもしれません。それは、技術の発達は人間を楽な方に導いてきた、という本質的な事実があるからです。

実は、産業革命以降、労働時間は右肩下がりに減っています。思い出してみてください。たった30年前、まだ日本は土曜日も休日ではありませんでした。 私たちは、テクノロジーと経済の進歩によって労働から解放されていっているともいえるのです。しかも、全体としての労働時間が減る一方、生活は確実に豊かになっています。

 

ということで、全体的にはポジティブな社会になっていくと信じていますが、自分のスキル形成をどの領域に設けるか、というのは常々意識しておかなければいけないでしょう。

 

以上です。本当はもっと幅広いネタに触れられているので、ぜひ興味ある方は読んでみてください。すごい刺激的な一冊です。

[amazon_link asins=’B014J1FDIO’ template=’Original’ store=’tob-22′ marketplace=’JP’ link_id=’21684980-1cb1-42ba-a5f2-6306b9ea19ed’]

 

Office365 vs GoogleApps。グループウェアの2強は今後どうなる?

MicrosoftとGoogleは、今やクラウド型のグループウェアで真っ向勝負に成っています。それが、MicrosoftのOffice365と、Google Appsです。

 

広がっているエンタープライズ向けクラウドサービス

まず、今のIT系企業はクラウドにどんどん注力しており、システムを作る形から利用する形に変化してきています。それは、企業のシステムも同じで、少しずつクラウド化が進んでいます。その中で、最もクラウド化が進んでいるのがグループウェアの領域です。

2014年5月にガートナーが国内企業に対して行った調査によれば、既にクラウド化されている企業内アプリケーションの割合としては、人事・給与の8.4%、財務・会計の5.8%などに対し、電子メールが21.1%、グループウェアが14.1%と突出している。

クラウド型メール市場シェア、Office 365とGoogle Appsが2強 ガートナー提言の活用法 |ビジネス+IT

 

そもそもグループウェアとは、組織内で情報共有するためのツール群を指しており、電子メール、電子掲示板、スケジュール管理、ファイル共有などの機能を持っています。最近では、社内SNSやドキュメントの編集機能なども含むことが多いですね。

グループウェア – Wikipedia

そして、ここはGoogleやサイボウズが先駆者としてシェアを伸ばしてきました。特に、中小企業などあまり大きくない組織で導入が進みました。

 

Microsoftの逆襲

一方で、各社がクラウドベースのビジネスモデルに転換する中で、マイクロソフトもついにクラウドベースに舵を切ってきました。以前、そのあたりは記事に書きました。

https://synapse-diary.com/?p=4011

そしてOfficeもクラウドベースになっており、それがOffice365です。Office365の勢いは凄まじく、この1年でこれまで首位だったGoogle Appsのシェアを追い抜いています。

2014年の調査では、Google AppsがOffice 365の2倍以上となる16.3%のシェアを獲得していた。しかし、その後の15カ月間でMicrosoftはOffice 365のシェア拡大で劇的な成功を収めて25.2%を達成し、22.8%のGoogle Appsを逆転する結果となった。

MSの「Office 365」、「Google Apps」を上回る–クラウドベース生産性アプリ導入率 – ZDNet Japan

 

料金はGoogle Appsの方が安いのですが、Officeのブランド力というか、長く使われてきた実績というのはクラウドになっても強いのだということがわかります。

ガートナーによると、今後2017年までに大企業の60%がクラウド型の電子メールサービスを採用すると予測されています。つまり、この市場はまだまだ拡大していくのです。

 

今後の展開

市場全体で考えれば、この二強が圧倒的な強さを誇っており、今後はもっと市場の拡大とともにプレイヤーも淘汰・整理されていくでしょう。

Office365とGoogle Appsは、導入が課題になります。大企業は良いと思いますが、中小企業をどう攻め落とすかですね。しかし、クラウドサービスというのは付加価値を付けづらく、なかなかパートナーによる拡大戦略がうまくいってるとも限らないようです。

ASCII.jp:Google Appsから学ぶクラウドビジネスの不都合な果実|大谷イビサのIT業界物見遊山

 

一方で、Googleは教育分野にも力を入れており、ChromebookやGoogle Apps for Educationは広がりを見せています。

Google Apps for Educationで、教育現場に「共有」の意識を – CNET Japan

すぐに売上等に影響するものではないと思いますが、教育機関で使われることで、広く認知度やユーザビリティに慣れてもらうという長期的な視点が大きいのかな、と思います。

 

また、今後の展開で考えられるのはアプリマーケットプレイスの充実でしょう。それぞれがマーケットプレイスを打ち出していますが、これがどれぐらいそれぞれのプラットフォームの魅力を作れるかが、今後のカギになりそうです。

https://store.office.com/ja-jp/?legRedir=true&CorrelationId=87697cb3-2f38-4dcf-b8fb-8f19d607fb1e

https://apps.google.com/marketplace/?pann=gam

 

圧倒的なブランドを持つOfficeが今後も強さを発揮しづつけるのか、Google Appsがどこまで肉薄できるか、今後も注目です。

【書評】角川インターネット講座 第三の産業革命 経済と労働の変化

ITが劇的に普及していて、いろんな領域に革新を与えている今は、「第三の産業革命」といえるんでしょうか。

 

角川インターネット講座」という、インターネットに関する様々な論考が特集されていて、シリーズ15巻が発売されています。

角川インターネット講座 (1) インターネットの基礎情報革命を支えるインフラストラクチャー
角川インターネット講座 (2) ネットを支えるオープンソース ソフトウェアの進化
角川インターネット講座 (3) デジタル時代の知識創造 変容する著作権
角川インターネット講座 (4) ネットが生んだ文化誰もが表現者の時代
角川インターネット講座 (5) ネットコミュニティの設計と力 つながる私たちの時代
角川インターネット講座 (6) ユーザーがつくる知のかたち 集合知の深化
角川インターネット講座 (7) ビッグデータを開拓せよ 解析が生む新しい価値
角川インターネット講座(8) 検索の新地平 集める、探す、見つける、眺める
角川インターネット講座 (9) ヒューマン・コマースグローバル化するビジネスと消費者
角川インターネット講座 (10) 第三の産業革命経済と労働の変化
角川インターネット講座 (11) 進化するプラットフォーム グーグル・アップル・アマゾンを超えて
角川インターネット講座 (12) 開かれる国家 境界なき時代の法と政治
角川インターネット講座 (13) 仮想戦争の終わり サイバー戦争とセキュリティ
角川インターネット講座 (14) コンピューターがネットと出会ったら モノとモノがつながりあう世界へ
角川インターネット講座 (15) ネットで進化する人類 ビフォア/アフター・インターネット

 

どれも興味をそそられるのですが、特にインターネットが経済にどのような変化をもたらすか、という観点で、「第三の産業革命」を読みました。

 

冒頭からこんな記載があり、非常に刺激的です。

「インターネットと産業」というお題の本として、本書はネットがいかに産業、そして経済を変えるかを扱おうとしている。でもその前提として、まずはインターネットがいかに産業を変えていないか、いかに既存の産業の延長上にあるかを理解することが重要だ。それを押さえておかないと、目先の変化に踊らされる浮わっついた話のオンパレードとなってしまう。

その背景として、蒸気機関が生まれた産業革命では、生産性が何千倍にも上がったが、ITではそこまで至っていないのが現状です。ただ、蒸気機関でも電気でも、発明としては革新的でも、用途が確立されるまでには時間がかかっており、ITもまさにこれから「産業革命」に値する変化が起こるのではないか、というのがこれからの展開です。

確かに、いろいろ便利になってきているものの、まだまだ劇的に社会を変えるのはこれからだ!というネタが、この本にはたくさん書かれています。本当にたくさんの示唆があるのですが、今後の企業経営という面で2つほど取り上げておこうと思います。

ITは格差を拡大するものか、縮小するものか

ITはいろんな制約を飛び越えることが可能になるので、都市と地方、国内と海外、個人のレベルなど、様々な切り口で格差は縮小していくのでないかと言われていました。

しかし、ITが利用されるにつれて、格差を縮小するどころか、拡大するのでは?と言われてきています。

ITによって人は都市に一層集まるようになる

例えば都市で言えば、こういう論調ですね。

ICTが急速に浸透していった1980年代、 「都市の消滅」がさかんに論じられたが、実際には都市への集中も進んだ。 その理由は、情報利用産業は分散しても情報創造産業は集積するからだ。 情報創造産業の立地条件は、手頃な地代条件(オフ・ブロードウェイ)、若者文化などである。

いつでも情報を利用する、という面ではITは場所を選びませんが、それをクリエイトするためには、人々が集まる部分が存在しており、それが集積を高めている、ということです。「年収は「住むところ」で決まる」という本もありましたが、イノベーションは人が集まる都市で生まれやすくなってます。

https://synapse-diary.com/?p=2678

これを考えると、都市と郊外の格差を、ITは加速させてゆくでしょう。ただし、利用する側として立てば、クラウドソーシングなど様々なオプションは増えていきます。働き方に多様性は生まれるでしょう。

ITは大企業を強くする

さらに、企業の規模でも同じことが言えます。ITによって起業しやすくなったのは事実ですが、ITが進歩することで、必要な初期投資が増えています。それは、ITサービスの経済的特性に原因があります。

経済学者によれば、インフォメーション製品の生産には高額の固定費と低額の限界費用がかかることになっている。インフォメーション製品の最初のコピーの制作には莫大な費用がかかることもある反面、追加のコピーの生産(つまり再生産)コストは無視できるほどのものだ。この種のコスト構造からいろいろな意味が理解できる。たとえば、コストからはじき出した価格づけは機能しない。つまり単価に対する10~20パーセントの利益幅というのは、製品単価がゼロのときまったく意味がない。インフォメーション製品の価格づけは、消費者が認める価値に対応したものでなければならない。生産コストが基準ではないのだ。

つまり、製造業などと異なり、ほとんどが固定費で構成され、初期投資が大きくなるのが特徴です。

また、ITは大企業にも大きな力を与えています。

またネットは、一時は中小ベンチャーや低資本事業に有利だと思われていたけれど、一方では企業の大規模化を可能にしたし、大規模なデータが精度をもたらすビッグデータ分析にはデータ処理設備やソフトに大規模資本が要求される。結局、資本家がますます有利になって業績や所得を伸ばすことになり、既存の格差がさらに拡大しかねない。

初期投資が必要になり、さらに大企業を効率化するITは、大企業と中小企業の格差をこれから広げていくかもしれません。

 

他にも、例えば以下の点など書かれており、インターネットと産業がどう関わり、どう変化していくかが幅広い視点で書かれています。

  • 情報サービスではブランディングが重要
  • 企業が自社メディアを持つ理由
  • 新しい貨幣の在り方

このブログの「MBAおすすめ本」で経済学も取り上げていますが、経済は新しいステージを迎えていて、従来の経済理論に基づいた施策が効かない場面が増えてます。

インターネットやITは、今後ますます世界を変えていくでしょう。10年後、20年後の未来を感じたい人に、ぜひ読んでもらいたい一冊です。

 

Apple Music使ってるけど、これならお金払ってもいいかも

equalizer-153212_1280

iOS8.4の配信が始まり、合わせてApple Musicが開始されました。3ヶ月の無料お試し期間があるので、あまり深く考えず、とりあえず使ってみることにしました。

 

まず、無料お試し期間後の自動更新(有料化)を止める

まず、iOS8.4へバージョンアップしましょう。そのあとは、無料お試し期間が過ぎた後、自動延長しないよう始めに設定しておきます。こういうのが用意されてるのは、好感持てますね。

ただ、やり方はちょっとわかりづらいです。

無料でApple Musicを自動更新せずに3ヶ月間だけ使い倒す方法 – GIGAZINE

これをやっておけば、3ヶ月後に自動でお金を支払うことを防ぐことができます。

 

Apple Musicのメリット

Apple Musicを使ってみて、次の点が良いなって思ってます。

 

オフラインにダウンロードできる

Appleミュージックは好きな音楽を予めダウンロードして、オフラインでも聴くことができます。

ストリーミングはパケットを消費しますが、自宅などWi-Fiに繋がってるときにダウンロードしておけば、パケットを大量に消費することはありません。

ちなみに、各種ストリーミングサービスの通信量を調べたところ、Appleミュージックが一番低かったそうですけどね。

1曲聞くと何MB?Apple MUSIC / AWA / LINE MUSICの通信量を調べてみた ※追記あり | iPhoneひとすじ! かみあぷ速報

でも、オフラインで音楽が聴けるようになるってのは、ストリーミングサービスとしてはとても良いなって思います。

 

パソコンからも聴ける

MacやiTunesを提供しているAppleらしく、Apple MusicはPCやMacからも使えます。これは、家でも聴けるってことですし、パソコンで作業してるときに聴くこともできるということです。

いろんな音楽を聴く場面に応じて、モバイルだけでなく、パソコンでも音楽を楽しめるのは、パソコンで作業する時間が長い自分にとってはグッドポイントです。

 

実際に使ってみての変化

音楽を聴く時間が増える

正直、音楽を聴く時間が増えました。いろんな場面を見つけては、これまで音楽を聴いていなかった時間も音楽を聴いてます。

なにせ、膨大な量の音楽と出会えるので、たくさんの種類の音楽を聴きたくなるんですよね。これまで「ちょっと聴いてみたかったな」って音楽も、片っ端から聴いています。新しい音楽を探し、聴くという行為が間違いなく増えるでしょう。

 

プレイリスト作る手間が省ける

Apple Musicでは、「For You」や「New」などのメニューから、様々な音楽が提案されます。これが、アーティストとかのリコメンドだけでなく、「ジャズ」や「90年代HipHop」とか、いろんなテーマでプレイリストが作られていて、好みやシーンに応じて選ぶと、そのプレイリストで再生することができます。

これまでは自分でプレイリスト作ったり、iTunesが自動で作ってくれたりしましたが、Apple Musicでは自分が持っていない音楽も含む膨大な音源から、ある程度テーマで選ばれたプレイリストがどんどん提案されてくれます。

 

正直、ストリーミングにはそこまで期待してなかったんです。しかし、使ってみると快適だし、自分が知らない音楽に出会えるきっかけができるので、結構快適です。毎月990円はちょっと高い気がするけど、払っちゃうかもなー。