柔軟性のない地方財政

夕張市の財政破綻から、地方財政に興味を持つようになった。 過去にも記事書いたし。

地方債改革の経済学」を読んでから、より一層地方財政に対する理解は深まったと思う。市場原理に照らし合わせれば、借金する力のない自治体は、 地方債は発行できないはずだ。でも現実は違う。可能なのだ。

地方債の引き受けを国が担い、さらに地方債の金利すら地方交付税で 補填する仕組みが出来上がっているのだ。(詳細はもっと複雑なので、本を読んで下さい。)

公共インフラは、財政力によらず、生活を支えるために必要だから、そういう仕組みが出来上がったのだろう。一理ある。ただ、現状は、それが過度になっているのかもしれない。

実際、夕張市のように、気づかないうちに莫大な債務を抱えてしまう仕組みが、国民全体にとってプラスではないと思うし。市場原理から与えられる規律と、中央省庁のコントロールのバランスから、自立した地方財政を実現できるよう、これからもっと大きく方針転換していくんだろうな。

とりあえず、この本はかなり奥が深い。地方行政に興味がある人は、読んで損はない。(数字や表が多くて読みづらいけど。それだけ事実を基に結論を導いているということもわかる。) アメリカやフランスの事例も取り上げ、広範かつ的確な示唆が多く含まれていると思う。

 

プレゼンテーションの根幹

内容は、PowerPointだけじゃなく、プレゼンテーション全般の技術・心構えについて。

仕事上、資料を作ってクライアントに説明する、原稿を書いて大勢の前でスピーチする、などの人は、読んでおくと良い。結構細かいところまで、気をつけるべきポイントが書かれている。

わかりやすい説明をするためのステップ、発表するときの見せ方、プレゼンターの心理的不安は、どうやって取り除くか、などなど。プレゼンの入門書として良書。

ここに書かれているエッセンスを意識し、 あとは経験を重ねていくことが大事だ。

マッキンゼー流 プレゼンテーションの技術

自分の悪い習慣を改める

ベンジャミン・フランクリンをご存知だろうか。

自分で人生における原則を定め、それについて達成できたかを 毎日紙に記録することで、自分の生活習慣を改めたことで有名だ。 というわけで、真似てみた。 方法は簡単だ。

自分で達成したい項目をExcelに書く。 例えば「朝、遅刻しない」など。 それを3つのステータスに従い、記入する。

 ○:達成
 ×:未達成
 ー:ノーカウント

定性的なものは、主観で結構。「人に優しくする」とかね。 「ノーカウント」があるのは、例えば休日は朝出社しないから、 そういう日はカウントしないため。 これで達成と未達成の数がわかるわけだが、ここで一工夫。

記録開始日から通算で、”○”と”×”の合計のうち、”○”の数が 2/3以上なら青、1/3から2/3なら黄色、1/3以下なら赤を表示する。 (自動で計算し、その数字を基にセルに色を塗るマクロを作成した。)

そうすると、達成率が悪いものが一目瞭然で、「改善しよう」という気になる。
これはコックピット・マネジメントという管理手法で、 この本からヒントを得た。 自己管理法は、自分に合った形にすれば、 ちゃんと効果が得られるはず。

自分の知らない世界を知ろう

友人に「ここに、自分の知らない世界がある。全然違う。」と言われ、比較的影響されやすいので、すぐ買って読んだ。確かに、ここには自分の知らない世界がある。

世間一般から言えば、エリートみたいに言われるのだろうか。全く自分が知らない世界が見えた。詳しくは読んで欲しいが、主にハーバードビジネススクールで学ぶ体験談を書き綴ったブログを編集したものである。

いろいろ考えさせられたが、最後のキャリアについてが一番刺激が強かった。 自分が進むべき方向が見えていなければならない、なんてよくビジネス書に書いてある。でも、一生愛せる仕事に出会うなんて、実は難しいことなのだと、実際仕事してみて強く思う。自分がやりたいことってものを明確に描いて、そこに向かって全力疾走する。でないと、夢なんて達成できないぜ。なんとなくわかるけどさ。そんな簡単に見つからないよ。

でも、そんな深く考えなくてもいいのかもしれない。 「プランド・ハップンスタンス・セオリー(計画的偶発性理論)」なるものが気持ちを 少し和らげてくれる。簡単に言えば、キャリアなどはいろんな偶然があって形成されていく。 だから、目の前に現れた機会を利用し、時にはうまく受け流し、 キャリアを形成していく、という考え方だ。

もうひとつ刺激を受けた言葉が。 「ゴールではなく、プロセスを楽しむ」のだ。 人生は長い。どこかにゴールを設けるのではなく、 今その一瞬を楽しむ方向に自分の心を向けていく。 素敵だな。そういう生き方をしたい。

新しい世界を知る、良い本だ。

ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて

パタゴニアの偉大さを感じろ

「社員をサーフィンに行かせよう」を読んだ。

この本を読むまでは、自分の中のパタゴニアのイメージといえば、「環境にやさしい、アウトドアウェアを販売する企業」だった。この本を読み終えて、そのイメージは変わらなかったが、想像よりも相当深く、環境に目を向けた企業だった。

「社員をサーフィンに行かせよう」という言葉の意味は、自分の好きなことをやり、そのためにも自分の仕事に責任を持とう、ということだ。さらに、環境への配慮は想像以上に深い。

この本を読んで改めて思ったのは、企業という存在は、いろんな理由で成り立っているのだと思うが、それを支えるのは信念だと思う。強烈な信念だ。 自分で思い込んでいる常識より、自分が何となく感じている違和感に 耳を傾けるべきなのかもしれない。そして、その信念を自分ですくい上げ、育て、貫き続けることで、自分らしい道を開けることを、この本は示してくれる。

ホワイトカラーの生産性

日経新聞を読んでいたら、トリンプ社長の記事があった。 「日本のホワイトカラーの生産性は低い」とあった。 同感だ。自分もホワイトカラーの現場にいるからわかるが、低いと思う。 人間、デッドラインがあれば、それに照準を合わせてだらだら仕事をしてしまう。 デッドラインがなければ、もっとだらだらしてしまう。 毎日の「残業癖」がついてしまっているように思えてならない。 トリンプは、時間がきたら必ず消灯。 残業は事前申請して罰金2万円。サービス残業は罰金5万円。 よくよく考えると、かなり合理的な制度だ。 これぐらいやらないと、人間の意識は変えられない。 ワークライフ・バランスなんて言葉は、泣けるぐらい現状は悲しい。

株式会社が経営する農業

株式会社が経営する農業について、調査してみる。

株式会社が参入する仕組み

規制緩和が引き金になったカゴメの農地不要トマト栽培

カゴメが和歌山に建設した大規模農地の話。 区域が農地じゃなくても、農地にできるらしい。

 

 

農業ビジネスのIT戦略

AGICという農業情報コンサルティング会社のHPに書いてある、IT技術への活用法。標題とちょっと話が逸れるが、内容が面白い。

オプティミストはなぜ成功するか

自分は比較的ネガティブ思考だと思っている。
そういう人間からポジティブ思考の人をみると、
なんて人生楽しそうなんだろうと感じることがある。
しかし、人の思考は変えられるのだ。悲観的な人は楽観的に。
そして、この本は楽観的思考の人(オプティミスト)にどのようなメリットがあり、
悲観的思考の人(ペシミスト)がオプティミストに変わる方法を示している。
読むほどに面白みが増した、意外な名著。
オプティミストの方が健康的であったり、能力を発揮しやすいという現象を
科学的に示したり、オプティミスト・ペシミストそれぞれのメリット・デメリットを示している。
他にも書ききれないほど深い示唆を与えてくれる内容が多い。
自分が悲観的だと思う人は読んで損はない。

オプティミストはなぜ成功するか
マーティン・E.P. セリグマン

PMOの役割とは

IBMのパソコン事業をレノボが買収したときの話。わずか3ヶ月で行われるM&Aの内部の熱気が伝わる。

PMOの役割が描かれているが、PMOの意味を改めて考えさせられた。プロジェクトが円滑に進むように導いていくことがPMOの役割だと思うが、その具体的な導き方が垣間見える。

・全体の、明確な目標を提示する

・プロジェクトを進めるための方向性として、叩き台を提示して促す

・現場に、PMOを利用してもらいやすい体制と空気をつくる

さらに、PMOはプロジェクトマネジメントのナレッジを蓄積する役割も担う。だから、ある程度長期的視野でPMOチームの運営を考える必要もあるかもしれない。

また、組織によって風土も異なり、PMOにどの程度権限を与えるかも、十分考慮する必要がある。強権過ぎると現場から反発を招いたり、煩雑な手続きばかりが増える可能性もあるからだ。この見極めは非常に重要だと思う。

企業統合―あるPCメーカー、成功の舞台裏

金巻 龍一,河合 隆信,丸山 洋,IBMビジネスコンサルティングサービス

参考:

http://www.ciojp.com/contents/?id=00001157;t=0

バカは治せるのだ

何回「バカ」という単語が出てくるんだ。この言葉に対する感覚がマヒしてしまいそうだった。

でも面白かった。さくっと読めた。

いろんなバカについて語られているが、最も肝要なのは、「バカ」というのは、実際にバカであることを指すのではなく、 周囲からバカと「思われる」ことを指すのだ。 この違いを認識することは非常に大きい。

そして、「バカ」は治るものなのだ。 「疑うバカと疑わないバカ」というのがあったが、 これは物事の瑣末なことや、あまりにも常識なこと(人を殺してはいけないの類)を疑ってしまい面倒臭くなるパターンと、 物事を疑わずに簡単に受けいれてしまい、思考停止になるパターンである。

これはなるほどであり、かつこのバランスを保つのは難しい。 個人的には特に、「疑う」ということは難しいと感じる。 この本によく「メタ認知」という言葉が登場するが、 そういうのを正しくできる人がこの「疑う・疑わない」のバランスをとれるのだと思う。 バカを治したい人。読むべし。