経営と会計の関係

京セラの会長・稲盛和夫の著書。
経営における会計の役割について述べたもの。
シンプルでいて、非常に明快。わかりやすい。
かつ、経営者がここまで会計に特化して述べる、という点でも珍しい内容。
以下、気になった点をいくつか。

減価償却

法的耐用年数というものがある。実務上の耐用年数が法的耐用年数よりも短い場合は、会計処理は実務上の耐用年数に合わせるべきである。
法的耐用年数を使うという慣行に流され、償却とはいったい何であり、それは経営的な判断としてどうあるべきか、という本質的な問題が忘れられてしまっているのである。

経営の常識

たとえば、ある業界で販売費・一般管理費が、売上の15%はかかるということが常識になっているとする。
そこで、新しく参入してくる企業が、売上に対して販売費・一般管理費が15%かかるという常識を前提にして経営すると、意図せず自然のうちに同業他社と横並びの経営になってしまう。これでは、「自社の製品をより効率的に販売するためには、一体どのような販売組織や販売方法をとるべきなのか」という重要な経営課題を根本的に考える機会を自ら放棄し、他社を模倣することになる。

値決め

顧客が喜んで買ってくれる最高の値段を見抜いて、その値段で売る。その値決めは経営と直結する重要な仕事であり、それを決定するのは経営者の仕事なのである。

一対一対応の原則

経営活動においては、必ずモノとお金が動く。そのときには、モノまたはお金と伝票が、必ず一対一の対応を保たなければならない。
いや、本質がわかる名著です。本当に。
稲盛和夫の実学―経営と会計
稲盛和夫の実学―経営と会計
稲盛 和夫

経営がみえる会計

わかりやすい。理解しやすい入門書。事例も含んで、やさしい内容になっている。

 

いくつか気になった点をメモ。

簿記の問題点 「数字のつくり方を学ぶ」域を出ないので、 日商簿記の最終的なゴールである一級の資格をとったとしても、経営分析できない。

会計からみた経営上の課題

  1. 利益を獲得すること
  2. 財務体質を強くすること
  3. キャッシュフローを管理すること

 一時的な資金運用を目的として「短期的投資」も、(持ち合い株など)売るつもりのない「長期的投資」も時価で評価されることになった。

短期的投資の場合は、経営状況を正確に映し出すようになるが、 長期的投資の場合は、経営者の意向と異なり、経営状況を正しく反映するわけではない。

粗利の高さは、付加価値に比例する。

会計の「収入・支出」は2段階に変換する。  キャッシュフロー「収入」「支出」(キャッシュフロー計算書)  利益      「収益」「費用」(損益計算書)  所得      「益金」「損金」(税務申告書) 第一次変換は公認会計士、第二次変換は税理士の専門領域。

実学入門 経営がみえる会計―目指せ!キャッシュフロー経営

実学入門 経営がみえる会計―目指せ!キャッシュフロー経営 田中 靖浩

なぜ、あの会社は儲かるのか?

とにかく読みやすい。 企業会計の入門書の入門書。

ビジネスモデルというか、企業におけるお金の出入りについて勉強したかったのだが、 具体的な企業と数値が出てきて、実例満載で面白い。 高級と低価格とどっちが儲かっているか?とか、 ポイントサービスは儲かるのか?とか、 赤字企業がなぜ黒字企業を買収できるのか?など。

会計制度は結構大雑把に書いてあるけど、 まあ入門書的なものなので、当然ってことで。 予想以上にタメになる内容でした。