無線LANを導入して変えられるもの:まとめ

部屋が広くなったことと、WindowsとMacの2台でネットを実現したかったので、我が家に無線LANを導入。結構簡単にできたよ。
購入したのは、BUFFALOのAirStation。セットアップCDを読み込ませて、ウィザードを進めれば接続できた。
 
Windowsは、ノートPCで無線LAN接続機能がないので、子機を併せて購入。
 


以下、変えられるもののまとめ。

①PC
まあ、当たり前です。ただ、実際行ってみると、本当に画期的です。ケーブルか解き放たれた快感は、やってみないとわからない。LANケーブルがなくなるだけでしょ?といわれるが、それがない自由な状態でネットに接続できることは、心理的な開放感を得られる。導入してよかった。
 
ただ、Macだけちょっと設定にてこずったので、メモを書いておく。
Macの場合は、無線LANの接続機能はあるので、子機は不要。ただ、接続を安定的にするため有線で接続。
有線で接続する場合は、AirMacは「切」の状態にする必要があり、また、これまで自動で接続していたプロバイダの接続は、自動接続の設定を解除しなければいけない。(自分の場合は、「ネットワーク」の「PPP」の「必要な場合に自動で接続する」のチェックを外した。)
これをやらないと、プロバイダ接続がまず自動で接続しようとし、もちろん接続できないので、接続エラーになって、いつまでもネット接続ができない。

②写真のアップロード自動化
Eye-Fiを導入すると、写真のPCへの保存やWebサービスへのアップロードが自動化される。これは、本当便利である。わざわざメモリカードをPCに読み込ませて、それをFlickrにアップロード、という手順が一気に省略される。この快感は写真ライフを一層楽しくさせてくれる。

参考:Eye-Fiを購入した | 思いつきブログ

③iPod touch
iPhoneユーザが周囲に増えているので、最近は少し寂しい限りだが、iPod touchだって機能として可能性はまだまだある。公衆で無線LANを探すのは難しくても、自宅が無線LANになることで、オンラインを必要とするアプリが自宅で使えるようになる。
これで、メールをiPod touchに落として外出先で読むとか、Twitterなんかも、PCを立ち上げなくても、すぐにタイムラインを確認してRTする、ということも可能になる。

④プリンタ
最近CMでよくやっているが、EPSONのEP-901Aなんかが無線LANに対応している。自分は残念ながら一代前のEP-801Aなので(少し高額の)オプションが必要なため、対応を諦めているが、PCがLANケーブルから解放されると、プリンタのケーブルも解放したくなる。これが実現できると、一層PC操作は快適になるに違いない。

⑤ニンテンドーDS
DSは持っているけど、やったことないので、一応メモ程度。いろいろソフトによって、コンテンツをダウンロードできたりするみたい。ただ、暗号化方式としてWFAにしか対応していないので、あまり知識がない人は、導入はしばらく見送った方が良い気がする。
自分もWFAは暗号化方式として弱いということで、違う暗号化方式を採用しているので、わざわざ切り替えるのも面倒で、DSにつなぐことは諦めている。

これで、少し自宅のPC周りの生活が快適で楽しくなった。無線LANはいろいろ生活を楽しくしてくれるので、興味ある人は導入して損はないだろう。


あわせてどうぞ。

半田で知多牛を食す

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久々に知人に会いに、半田市へ。そこでいろいろ面白い話が聞けたので、メモしておく。


知多半島は酪農が盛ん

全く知らなかったのだが、知多半島は酪農が盛んなのだそうだ。しかも、1戸あたりの頭数は意外にも日本一。知多半島の牛肉は質が良く、大阪地方の方へ流すことが多かったようだ。真偽のほどはよくわからないが、場合によっては●●牛とか高級ブランドに名前を変えて流通することもあったという話もあるぐらい。

近年は地産地消を目指し、知多半島の酪農家は「知多牛」として、自分たちの牛肉をブランド化する試みを始めている。
(愛知)品評会最優秀の「知多牛」 : どうなる どうする : 企画・特集 : 中部発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

実際に知多牛の肉をすき焼きにして食べたが、本当おいしい。脂がのっていて、やわらかい。でも味はくどくない。●●牛とか高価なブランド名を言われても納得するぐらい、申し分ないおいしさだった。

僕が食べたのは、「黒牛の里」。

美味 知多牛 しゃぶしゃぶ・すきやき 「黒牛の里クラシティ半田店」
美味 知多牛 しゃぶしゃぶ・すきやき 「黒牛の里クラシティ半田店」

知多半島物産展が熱い

知多半島を中心にして、今「知多半島物産展」がよく開催されているらしい。知多半島は、和菓子や酪農、魚介などいろいろと名産と言えるものがある。これらを集めて、セントレアをはじめ、地元の大型スーパーなどで物産展が開催され、これが好評なのだそうだ。どんどん出店数も増えているらしい。

これは、よくよく考えてみると不思議な現象に思える。物産展といえば、北海道物産展とか沖縄物産展とか、普段なかなか行けないところの名産を集めて、それが貴重であり珍しいからこそ、人は集まるものだ。しかし、知多半島物産展は、主に知多半島で盛況らしい。北海道で北海道物産展をやるのと同じだ。

地産地消はもっと本格化する

自分が東京から岐阜に引っ越したからこそ思うのだが、地方は面白い。おしゃれな店はあるし、おいしい食べ物も多い。そこでしか食べれない名産があるし、そこでしか見れない景勝地も多くある。単純にみんな、「知らない」のだ。

どこにでもある大型チェーン店などは、どこでも一律高度なサービスを提供している。これはこれで素晴らしいのだが、それだけでは物足りない。地元にもおいしいもの、良い場所はたくさんあり、知ってる人は知っている。そういう魅力を地元や周囲に伝えたいと、街おこしや地産地消などでアピールしてきたが、地元の人たちも知りたがっているのではないか。知多半島物産展の盛況ぶりを聞いて、そんなことを思った。

「地元の名産を全国に広げるために、最初から全国に目を向けていたが、最近は地元の人が自分の子供が帰省したときなどのお土産として買って配ってくれる。自分が広げなくても地元の人が広げてくれる、という手段もあることに気づいた。」

その言葉がすごい印象的だった。知多半島、良い所。

FlickrでGPS情報からMapを自動作成する

Flickrで写真に含まれている位置情報から、自動的にMapを作成してみた。簡単である。

①写真に位置情報をつける

 これは、携帯が一番簡単です。最近の携帯であればGPS機能がついてるし、写真を撮ったら位置情報を付加することができる。

②アップロード時に位置情報を読み込むようFlickrの設定を変更する

 Flickrでは、アップロード時のデフォルト値を設定するところがあり、そこでは最初はEXIF情報(いわゆる位置情報)は読み込まないようになっている。それを読み込むように設定してあげれば良い。ここのサイトを参考にさせてもらいました。感謝。

Ban-Bang-Bangkok! FlickrにGPS位置情報を読み込ませる(Nokia N78で)

③Your Mapで選択する

 「You」のメニューの中に「Your Map」という項目があるので、それを選択したら地図に自動で表示される。自分の地図は、これ↓

Flickr: Explore your photos on the map

アップロードしたら勝手に地図に反映されてるんで、便利。グルメマップみたいに使えたりすんのかな。唯一の欠点は、地図がアメリカのYahoo!Mapなので、全部英語であることかな。


PDF化できるフリーソフト3本+1本

PDF化したいときって頻繁にはないかもしれないけれど、たまに訪れる。そういうときに、さくっとPDF化できるようフリーソフトを用意しておきたい。(ってか、今回久々にPDF化しようとしたら、手元のPCにインストールしてなくて、慌てていろいろ探してしまったので。。。。)
 
過去のも含めて、フリーで使えるソフトを備忘で書いておこうと。今後はこの記事見て、自分で思い出せるように。

窓の杜 – PrimoPDF
窓の杜 - PrimoPDF

無料でPDFファイルが作成できる高機能なフリーソフト「PDF reDirect」 – GIGAZINE
無料でPDFファイルが作成できる高機能なフリーソフト「PDF reDirect」 - GIGAZINE

PDFファイルを作成可能なフリーソフト「BullZip PDF Printer」 – GIGAZINE
PDFファイルを作成可能なフリーソフト「BullZip PDF Printer」 - GIGAZINE

今回は手持ちのPCと相性の関係からか、上2つのインストールがうまくいかなかったので、BullZip PDF Printerをインストール。

あとは、おまけ。
PDFのマージ・分割を行うフリーソフトもあります。マージ・分割を行うときって、極稀にでてくるので知っておくと後々良いかな、と。

MOONGIFT: » PDFの分割、マージを行う「PDF Split and Merge」:オープンソースを毎日紹介
MOONGIFT: » PDFの分割、マージを行う「PDF Split and Merge」:オープンソースを毎日紹介
 
最近はWebでコンバートしてくれるサービスも増えているけれど、ビジネス文書とかはセキュリティ上の問題も考えると無理だなあ。
 

Tumblrの記事をFriendFeed経由でTwitterに流すのはやめた

Tumblrはメモ代わりに使っている。FirefoxアドオンのTomblooを使えば、Webページで選択した文字列を引用して、リンク付きでPostできて超便利。
それをFriendFeedに集約してTwitterに流してるんだが、昨日ふと見てみたら、なぜかTumblrの記事だけがTwitterに流れていないことに気づいた。
 
FriendFeed自体にはちゃんと流れているみたいだけど、Twitterには流れていないのは確かなので、Tumblrから直接Twitterに流すことにした。最近は、こういうWebサービスの連携はすごいね。設定は簡単で、Cusmizeページから「Services」のTwitterでユーザIDを選択すれば、TumblrにPostすれば自動的にTwitterにも流れるようになる。

これで、Tumblrもちゃんと流れるようになった。FriendFeedで一元化してTwitterに流したかったけど、ま、いっか。それにしても、なんでFriendFeedから流れないんだろ?なんか設定の問題か??

あわせてどうぞ。

郵貯、簡保はユニバーサルサービスにする必要があるか

郵政民営化見直しの基本方針が固まったそうだ。その一部を抜粋。

アゴラ : 「郵政改革の基本方針」に伴う懸念 – 池尾和人
郵政改革の基本方針
 
「郵便、郵便貯金、簡易生命保険の基本的なサービスを全国あまねく公平にかつ利用者本位の簡便な方法により、郵便局で一体的に利用できるようになる。」
 
これを読んで、郵便はともかく、郵貯や簡保はユニバーサルサービスとする必要があるのだろうか、ということを疑問に思った。っていうか、そもそも郵便などのユニバーサルサービスとは、どういう場合に必要なのか、ということがわからなくなったので、調べてみた。そこで、非常にわかりやすく参考になる文献を見つけた。
 
ユニバーサル・ サービス(山重慎二)

 
これを踏まえて、いろいろメモ。
 
郵便は、なぜユニバーサルサービスになる必要があるのか
 
上記の文献を読めば明確で、ネットワーク性が必要であり、かつそれによって、公平性・効率性が得られるサービスである、と理解できる。公平性は、均一料金や均一サービスを得ることであり、効率性とは、多くの人がネットワークに参加することで、提供する側も利用する側もメリットを享受できる、という意味。
 
郵便も、国内や海外のどこでも送れるからこそ、魅力がある。○○市限定、とか、○○県限定、と言われると、限定的なネットワーク自体に魅力を感じないため、提供する側も受ける側もメリットが低下する、ということ。
 
 
ユニバーサルサービスは官営すべきか
 
適しているとはいえ、それは必ずしも官営である必要はない。法律などの規制によって、ユニバーサルサービスを実現する業者を参入させることだって可能。いろいろな仕組みが海外でも導入されている。つまり、官によるコントロールは必要なものの、市場原理を導入することは、必ずしも間違いではない、ということだけは確かなよう。
 
 
郵便貯金や簡易生命保険はユニバーサルサービスにすべきか
 
郵貯や簡保は、上記のユニバーサルサービスの定義からすれば、郵便局が提供する必要はないと思われる。だって、ネットワーク性が必要ないから。全国展開している銀行もあれば、地銀だってある。保険だってそうだ。郵便ネットワークを利用する最もな理由はない。
 
郵貯や簡保は、過疎地や離島などの人たちに対して平等に提供する意義がある、というのがよくとり立たされるが、これを読んですっきりした。
 
この問題に対する経済財政諮問会議の態度は極めて明確である。「郵便貯金等は、国民生活に不可欠なサービスであるが、ほとんど全ての地域において民間金融機関が同様のサービスを提供しているため、現状においては、民間金融機関のない過疎地域等への配慮は必要としても、郵便貯金等のユニーサルサービスを義務づける必要性は乏しいと考えられる。」簡易保険についても同様の説明がなされ、ユニバーサル・サービスの義務づけは必要ないとされる。理論的には、この見解は極めて妥当なものであると思われる。特に理論的な観点からは、郵便貯金や簡易保険は、ネットワーク性の程度が極めて低いので、ある事業者に「ユニバーサル・サービス義務」を課す根拠が乏しいという点を指摘しておきたい。
 
 
というわけで、今回の基本方針は、そもそも郵貯や簡保はなんで郵便局で提供しなければならないのか、明確な理由がすっぽり抜けている気がしてならない。「銀行法、保険業法等に代わる新たな規制を検討する」というのは、民業圧迫にはならないのだろうか。疑問が多い。。。。。

利益第二主義

鹿児島県にある、複合型スーパーマーケットAZの話。サーバントリーダーシップ的な考えだったり、本著のタイトルにもあるとおり、利益の追求ではなく、顧客満足を追求する姿勢は、考え方として刺激になる。チラシは発行しない、とか商品管理しない、とか小売業界で常識と思われていることを否定されていることに対しても、示唆は多い。
 
個人的に気になったことをメモ。
 
 
神は細部に宿る
 
良い経営とは、細部を気にすることにあると感じる。低価格を実現するために、建設業者と相談して、安い工法を検討し実現する。顧客からの要望に基づき、自動車販売や車検、ガソリンスタンドまで拡張していくが、そのときも業界の常識に捉われないように気をつけながら、独自の調達方法や業務手順を開発していく。
 
物事を実現していくためには、緻密に考えなければならないところがある、とよくいわれる。神は細部に宿るのだ。経営者は管理したり、金銭感覚に優れていたり、というだけではだめで、細部を詰めていく場所の見定めと、追求する力が必要なのだと思う。
 
企業のアイデンティティに係ること、長期的な基盤インフラなどに係ること、など企業として重要なところでは、従業員よりも細部を考えなければならない。
 
 
何を指標として考えるか
 
販売計画や利益計画もなければ、POSなどの商品管理も行わない、ということには驚いた(POSについては、正確には導入してはいるが活用していないそうだ)。
 
利益や売上を見るのではない。となると、何を基に経営しているのかよくわからなかったのだが、読み進めてわかった。AZが気にしているのはリピート率と客単価。過疎化地域で経営していくためには、回数と1回の売上を上げることに注目している、というわけだ。
 
ここから得られる示唆は、企業として重要な指標は何か、ということを今一度考えてみる価値がある、ということだ。一般的には、売上がどれぐらい、利益は何%ぐらい、みたいな管理会計的な話がよく言われる。それも確かに重要なんだろうが、KPIとして他の指標の方が重要なことだって考えられるんじゃないだろうか。   
 
 
利益や売上はあくまで継続的に事業を行うための手段でしかない。顧客のために欠かせない存在になることが、商売の根源であるのかもしれない。そう思える一冊。

利益第二主義―過疎地の巨大スーパー「A-Z」の成功哲学
牧尾 英二
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あわせてどうぞ。

希望を捨てる勇気

池田信夫さんの最新刊。期待して読みましたよ。自分には結構難しいこと書いてあるけど、面白いことが書いてあったのでメモ。
 
 
日本の労働生産性は落ちている
 
マクロ視点で考えたとき、労働生産性が重要になってくる。つまり、投入した人的資本に対して得られるリターンが高いほど、国の経済は成長していることになる。それが、年々低下しており、OECDでも相当低いランクなのだそうだ。
 
これまでも廃れた産業はたくさんあるけれど、そういうときは必ず雇用調整が発生して、労働生産性の低い産業から高い産業へ、人的資本はシフトしてきた。それに一役買っていたのが、国家。国が労働生産性が低く、収益が低い、もしくは雇用自体を確保できない産業に従事する人に対し、雇用が見込まれる産業へシフトする支援をしてきた。
 
 
自分の産業はどれぐらいの労働生産性なのだろう
 
マクロ的視点だけ考えれば、なるほどね、で終わるのだけれど、自分に当てはめてみると改めて考えさせられる。自分の仕事は、果たして労働生産性が高い仕事なのだろうか。正直、ITサービスはよく分からない。ITを使うことによって生産性は向上するのだと思うが、ITサービスを構築・提供すること自体は、それほど高い生産性を実現できてないのではないかと思っている。
 
ゼネコンと同じ多重化階層になっており、コスト削減の圧力を下に受け流し、SIerは存在している。また、プログラム言語なんて日本人じゃなくても書けるし、インドや中国で開発できる昨今では、ITスキルだけではどんどん海外の低コストに引きづられて、下がっていく一方な感覚がある。
 
 
生き残っていく上で何を考えればよいのだろう
 
本著では、「派遣切り」を非難し正社員を増やす戦略を行うと、雇用の柔軟性が失われ、企業は人を採用しづらくなるため、結果的に雇用は増えなくなると説いている。なるほどである。偽装請負など、一部で聞かれるような悪質な待遇と、派遣社員の雇用切りを一律に扱ってはいけないのだろう。
 
これを考えると、今後の社会で生き残っていくには、いつクビになっても大丈夫なように、スキルを磨き、場所や企業を変えても賃金を獲得できる人になることが求められる。もしくは、正社員として企業にしがみついて、仕事ではなく趣味に生きることが良い人生と言われるのだろうか。
 
できるならば、胸を張って仕事をしていたいので、前者でありたいと思う。

なぜこの会社はモチベーションが高いのか

従業員は、自分からどういうアプローチでモチベーションを上げられるか、また今の自分の企業を振り返り、自分の求めている企業として今後も勤めても良いか、考えてみると良いだろう。

経営者や上司の振る舞いが最も重要

モチベーションが低くなる要因として、経営者や上司の人間性に失望する、自分が経営者や上司に大事にされていないと思った、というのが最も高い。賃金や福利厚生などの待遇などを差し置いて、最も高いそうだ。

それぐらい、経営者や上司の振る舞いはものすごく重要であり、部下がいる人は「常に見られている」という意識を持つ必要がある。これは、「人間として完璧でなければならない」ということと同義ではない。自分の欠点も認めながら、部下も個人として尊重する、ということである。「この人は自分を見てくれていない」「いざというとき、この人は裏切る」という失望の気持ちを抱かれたときに、モチベーションの低下は始まってしまう。

継続して積み重ねないと定着しない

読んでいくと、どの企業も当たり前のように企業の理念を作っており、またそれをどう浸透させていくかに大きな労力を割いている。手段はいろいろあるが、大事なのは継続しないと定着しないし、積み重ねによって人の心は変わり、組織は強い方向性を打ち出して動いていく。

「外部講師による研修は素晴らしいのですが、その場だけ感動して忘れてしまい結果としてやりっ放しになってしまう」との考えから、繰り返し何度も同じ研修を受けることができるようにと社員に講師をさせるのです。

アウトソーシングが叫ばれて久しいが、改めて何を自分たちの中で抱えて、何をアウトソーシングするかは考えなければならない。継続的に確保する必要がある知識や価値観については、内部で醸成してゆく仕組みが必要なのだ。

実際読んでみると、ああ、こういう良い企業があるんだなーと明るい気持ちになる一冊。

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あわせてどうぞ。

出版業界はこれからパラダイム・シフトを迎えるのかもしれない

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出版業界が熱い。今がまさしくパラダイム・シフトの始まりなのかもしれない。いろいろ気になるトピックがあるが、少しずつ整理してみる。
 
 
デジタルのコンテンツ台頭
 
変革の中心にいるのは、Googleである。Googleは、著作権が切れた(パブリック・ドメイン)出版物を無償公開するプロジェクトや、電子書籍の課金システムを構築するなど、広告に次ぐビジネスモデルとして、出版業界に目を向けている動きがある。

Google、100万冊以上のパブリックドメイン書籍をEPUB形式で公開
Google、電子書籍の販売に乗り出す オンライン書店立ち上げへ – ITmedia News

著作権の整備が各国で問題になっているが、技術的に可能であり、ユーザに利便性をもたらすものであれば、それは法整備が追いついていないわけであり、今後揉めることはあっても、大きな流れとしてデジタルコンテンツがもっと売上を伸ばすのは間違いないだろう。デジタルコンテンツであれば、コピーが用意でコストが低く、ユーザは自分が興味あるものを検索できたり、遠隔地であってもリアルタイムで情報を取得できるようになる。
 
日本では、エニグモ社が雑誌の通販とデジタルコンテンツのセット販売を行う「Corseka(コルシカ)」を10/7に公開した。現在は、日本雑誌協会からの意見申し出を踏まえて、サービスを中断しているが、今後もこのようにデジタルコンテンツを取り扱う企業が出てくるだろう。
 
 
紙としての出版物はどうなる?
 
可読性という意味では、やはり実物である紙媒体には適わないと思う。また、人間は実体があるものに愛着がわく、という面もあるので、そういう意味からも紙媒体の出版物が完全に淘汰されることはなく、激減することもないと思っている。
 
ただ、流通形態が変わることは大いに考えられる。またしてもGoogleだが、オンデマンド製本サービスを始めようとしている。
 
出版界の破壊神か創造主か?グーグルが 目をつけたオンデマンド製本の正体 | ビジネスモデルの破壊者たち | ダイヤモンド・オンライン

デジタルデータから、およそ5分で1冊製本まで行ってしまう機械だそうだ。Googleは当面パブリック・ドメインの出版物を対象に導入を試みるようだが、こんな技術が可能になると、出版業界は劇的なビジネスモデルの変更が行われる可能性を秘めている。
 
注文から製本までの時間を短縮できるとなれば、必要な在庫量を減らせることにつながる。現在の日本の出版形態でいくと、出版数はある程度は予測で決めており、その配分の権限は、取次ぎに大きく与えられている。売れ行きが好調な出版物は再度印刷されることになるが、出版数とタイミングは必ずしも現場とうまく噛み合っておらず、書店としては欲しい分の量を確保できずに、売上機会をロスしている場合も多いと考えられる。
 
最近は、POSの導入により売上実績は正確かつリアルタイムで把握されているが、それでも流通におけるロスは、小売業や製造業ほど進化しているとは言いがたい。今までネックだった、製本までのタイムラグ、及び在庫ロスのリスクを、こういった機械が減らすことで、効率的・効果的な配本が可能になる。
 
 
書店は売上に更なるコミットメントを求められる
 
出版業界は、出版社が書店に対して販売を委託している。書店は返品がきくので、返品期限させ守れば在庫リスクはない。これが、書店の乱雑な発注状態を生んでいることは否めない。在庫リスクがないから、売上機会ロスに注力することにより、多めの発注傾向があるように思われる。それがあるから、取次ぎが配本で「適正」とみなされる数にカットする、という役割を担っているともいえる。(ただし、返品率はチェックされており、これが高いともちろんどんどん配本は削られていくが。)
 
このような委託販売制を見直す動きとして、責任販売制が一部導入されている。書店の売上マージンを22~23%から35%に引き上げる代わりに、返品するにつき代金の一部を書店が負担する、というものだ。不用意な発注により売れ残りが出ると、書店にも損が生じるという、売れ残りを回避するインセンティブを働かせる仕組みである。
 
責任販売制度の「35(さんご)ブックス」 – Media & Communication 編集長ブログ

こういう制度が導入されると、書店はより「ちゃんと売り上げる」ことにインセンティブを働かせるようになる。自分の書店の客の傾向を把握し、どの程度売れるかを予測し注文する。注文数が叶えられる代わりに、返品にもペナルティが課されることになる。
 
 
新しいビジネスモデル、特色ある書店
 
デジタルコンテンツの台頭、製本までのタイムラグの短縮、再販制度の見直しが今後も進むと、大型書店に一層集約される傾向が高まるのではないかと思っている。
出版物を購入する手段は、主に3つだ。
 
①書店で実物を買う
②通販で実物を買う
③インターネットでデジタルコンテンツを買う
 
一昔前はほとんど①のみだったのに、②や③の手段が広まるにつれて、業界自体の大幅の売上規模拡大がない限りは、①の減少を招く。責任販売制のような、売上にコミットメントできる書店は、ある程度体力がないと持たないのではないかと思う。そして今後は、ひょっとしたら「書店」という枠じゃなくても良いのかもしれない。オフィスグリコのように、お菓子がオフィス内に進出したことで売上を増やしたように、本も「書店」を出ても良いはずだ。特定分野の客を引き寄せる場所に、それに見合った本を置けば、売れる確率は高まるだろうし。あるいは、著作権の整理が進み、デジタルコンテンツを利用した新しいビジネスモデルも出てくるだろう。新刊洪水に埋もれない、特定のカラーを出した書店だってもって増えてもいいはずだ。
 
出版業界は、パラダイム・シフトの胎動が始まっているように感じる。新しいビジネスチャンスも、ここで得られるかもしれない。