リアリティある事業分析 – 【書評】行政の経営分析

行政の経営分析―大阪市の挑戦
上山 信一 大阪市役所
時事通信出版局
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5 行政改革に取り組む自治体実務者におすすめ

大きなバッシングを受けた大阪市役所。その後の立て直しのために実施した経営分析結果が纏められた一冊。分析の数値や結果がとても生々しくて良い感じ。

下水道、消防、公営住宅などの事業をこんなに細かく具体的に分析しているのは、とても興味深い。本の目次をみればわかるが、どの事業も自治体にとって重要であり、公益性も求められるものばかり。そういうものをどう解決していくか、正面からアプローチしている。

大阪市の起債は、改革後S&P社でAAマイナス、ムーディーズでAa2という格付になったそうだ。起債の価値が上がれば、市民サービス向上にも返ってくる。

一方で、岐阜県は起債制限団体になったし、京都市も数年度には財政健全化団体になるという話がある。

中日新聞:起債許可団体転落 公共事業のツケ ずしり:岐阜(CHUNICHI Web)

京都市、健全化団体転落も 13年度、有識者会議 – 47NEWS(よんななニュース)

財政状況も含めて行政に対するチェック機能を働かせる意味で、情報公開は重要だ。

情報公開への取組は、確実に進んでいる。予算編成過程を公開する自治体は増えたし、大阪府は本当に全査定の内容を公開している。ちなみに、自治体の情報公開度ランキングで予算編成の「透明度」が都道府県中最下位になったことを受けて、岐阜県は改善を図っている。

県:今年度予算などHPで公開 /岐阜 – 毎日jp(毎日新聞)

とりあえず、自分が住んでる自治体の財政状況は把握しておくよ。

あと、もっと広い意味での自治体改革を知りたければ、こっちも面白い。

自治体改革の突破口―生き残るための処方箋
上山 信一
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5 他人事ではありません。本書は厳しい状況にある全国の自治体が生き残るための処方箋を事例を交えて提示しいます