ローカルフリーペーパーの生きる道

岐阜に来てから驚いたことのひとつに、ローカルのフリーペーパーがとても多い、ということ。ポストに定期的に入っているフリーペーパーだけでも、3つか4つぐらいある。

 

そして、先日地元の大学生が作ったフリーペーパーが入っていたので、何となく読んでみた。いろんな意味で考えたので、ここに書いてみる。

 

 

フリーペーパーは供給過多状態

まず現状認識から。最初に述べた通り、既にフリーペーパーは供給過多な状態。そして、どれも明確な差別化はできていないと思われる。地元の店を、飲食を中心に紹介し、クーポンを付ける。

 

ここに一覧がある。どれだけ多いかわかるよね。本当、供給過多といって良い状況。
岐阜県 | フリーペーパー・タウン誌ネットワーク Unyo!

 

こういう状態の中で、資力も経験もない学生がどうするか。ポジショニングだけでいえば、「参入しない」が正解なんだと思うけど、あえて飛び込むとして、どうやって差別化して生き残るか。ポーターさんの言う事を踏まえると、「コストリーダーシップ」「差別化」「集中(ニッチ)」のどれかになると思うんだけど。
コスト・リーダーシップ、差異化、集中 「ポーターの基本戦略」 || INVENIO LEADERSHIP INSIGHT

 

調べてみると結構面白くて、いろんなタイプが発刊されている。

 

 

店舗紹介型

一番多いのがこれ。よくあるパターン。店舗の広告とクーポンを紙面に配置して、収益を得る方法。
店舗数や店舗展開が少ない郊外で、どうやってコンテンツを継続してつくるか。これは結構大きな問題。都市部では、そもそも店舗数も多いし、店舗も入れ替わりも激しい。しかし、郊外だと店の数も限られているし、そんなに毎週新規出店が続くわけでもない。こういう状況では、毎回読んでいくと情報が陳腐化していくのがわかる。目新しさがなくなり、あまり読まないまま捨てるのがオチ。

 

あと、商圏の定義の仕方によって棲み分けも進んでいるのがわかる。

 

 

ジャンル特定型

学生の就職に特化したり、というのもあるみたいだけど、あんまりうまくジャンルを特化できているフリーペーパーをみかけないな。地域的な切り分けではなく、属性なんかで切ると、新しいジャンルが開ける気がするんだけど。

 

こういうのとかね。
フリーペーパー[岐阜美少女図鑑]

 

 

ニュース型

R25がさきがけ。対象を絞り込んだ情報を詰め込み、広告とマッチするというのは、本当見事だと思う。こういうタイプは結構人の手間がかかる、というのと、R25自体は広告業界の理由から余り利益率を上げられていないのが実状らしいけれど、大衆メディアとは異なる色を出すことで、ブランディングに成功した稀有な例だと思うわ。

 

ローカルでも、特有の切り口でニュース情報を詰め込むこともできるのかね。

 

 

 

いろいろ調べてみたけど、学生が始めたフリーペーパーは、結構途中で終わってしまったりしている。手がけたメンバーが卒業したりするので、事業として継続するのが難しいのかもな。あと、学生がフリーペーパーやる、という事例が探してみると結構あり、珍しくないんだな、ということにある種驚き。まあ、事業としてわかりやすいし、やってみたいという気持ちにさせるのかも。
でも、ビジネスモデル的には成長期を過ぎていて、マーケティングセンスを駆使してジャンルや収益モデルを変えないと、目新しくて広がるものは作れないだろうなあ、とポストに入っていた学生のフリーペーパーを見て思ったりする。