【書評】戦略読書日記

時々本を読んでいると、本質をえぐり出すような言葉に出会い、ドキっとすることがあります。そういう本に出会うと嬉しいですよね。

今回読んだ「戦略読書日記」は、「ストーリーとしての競争戦略」で有名な楠木建さんが書いた、いろんなジャンルの本を戦略という観点から読み解いた1冊です。

 

色々目から鱗的な表現がちりばめられているのですが、一番印象的だったのは、ファーストリテイリングの柳井社長を例に、「経営者の能力」について触れたところでした。

戦略ストーリーを構築する経営者の能力は、どれだけ大きな幅で、どれだけ高頻度で、どれだけ速いスピードで具体と抽象を行き来できるかで決まる

「具体と抽象を行き来する」と言う表現は、コンサルティングでもよく言われています。どちらか一方だけではダメで、具体的な状況からコンセプトまで抽象化した内容を消化し、それをさらにまた具体的な施策に落とし込む。その往来の振り幅が大きい人が、経営者としては優秀だとこの本では述べられています。

確かに、抽象的で中身がない(=コンサルタントに対してよくある批判)もありますし、具体的だけど組織全体には使えない(=作業者から管理者に脱皮できないパターン)というケースもあります。

叩き上げで管理者になるためには、物事の抽象度を上げて捉える訓練が必要だと思います。そのために、経営理論やマネジメント手法を学ぶのは有効な手段のひとつだと思います。そして、その最たる例であるMBAは、抽象論を主に扱うところです。フレームワークなどは良い例ですね。それをケーススタディなどで、具体性をバランスよく養うということもやっているのですが。

MBAに関心ある人向け。ケース教育の利点を理解しよう

ということで、どういうことを意識して仕事に取り組むべきかといえば、具体性と抽象性の両方を意識し、自分がどちらかに偏っていないかを常に考えて行動することなんじゃないかな、と思う次第です。

この「戦略読書日記」は、ジャンルで捉えると難しいですが、経営戦略をいろんな観点から読み解く本だと思うので、経営戦略に関心がある方には面白いです。他にもいろいろ発見があって刺激を受けました。

 

全然話は違いますが、この本はKindle Unlimitedで読みました。こういう本を、読み放題の中で読めるってのは、良い発見でした。マンガが撤退したり、講談社が講義したりといろいろあるKindle Unlimitedですが、今のところ非常に有益なので続けてます。ありがとう。

Kindle Unlimitedが変える読書体験