どの企業に就職すれば稼ぐことができるのか、を考える前に

今日は、社会にでて働くとして、どうすれば高い年収を得られるのか?ということを考えてみたいと思います。

特に今日書くのは、個別の企業の話ではありません。個別の企業を見る前に、以下の点を考慮して働くことを考えてみると良いでしょう。いずれも、統計上賃金の違いが生じているものです。

 

業界による違い

まず、業種・業界によって平均は違います。

いくつかデータがありますが、

平均年収ランキング2015(平均年収/生涯賃金) |転職ならDODA(デューダ)
業種別・業界別 平均年収ランキング(平成25-26年版)-年収ラボ

身を置いた業界や職種によって、ある程度年収のボリュームゾーンが見えてくるのは事実かと思います。

似たような話として、「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」で、企業の儲かる要因は何なのか?という研究に関する話が登場します。いくつか研究結果が示されているのですが、そのひとつであるマイケル・ポーターの結果は、以下のようになっています。

そしてこの分析で企業利益率のバラツキの約50%を説明できること、その内訳は産業効果が四割ぐらいで、企業固有の効果は六割ぐらいにとどまる、という結果を得たのです。

「産業効果」が4割というのは、企業がどの産業にいるのか?で儲けの4割は説明できる、ということです。結構大きいですね。それぐらい、「そもそもどの産業で勝負するか?」というのは、企業の収益性に与える影響が大きいということです。それはつまり、働く人の賃金にも影響を与えるのは当然のことです。

 

住む場所による違い

日本で考えると、都道府県別でみた場合に、圧倒的に東京での収入が高くなっています。以下は、都道府県別の一人当たり県民所得の推移を示しています。

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(出所:県民経済計算(平成13年度 – 平成24年度) – 内閣府)

東京はリーマン・ショックのあたりで落ちていますが、それでも他県と比べて圧倒的な差を形成しています。頑張っているのは愛知県ですね。

これは、いくつか要因はあると思いますが、都市というのは集積するほど効率が良いという点が大きいと思います。都市にいろんなものが集まることによって、インフラ設備の利用効率が上昇します。また、人材についてもコミュニケーションが密に行われることで、イノベーションを誘発しやすいと言われています。

詳細はこちらの本を参考に。

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働くという視点で考えれば、都市に行った方が賃金は稼ぎやすいという点は挙げられるでしょう。

 

企業規模による違い

日本の就職活動では、大企業に志望が集中すると言われていますが、賃金の面でみてもその選択には一定の合理性があります。

以前読んだ「フェルドマン博士の日本経済最新講義」では、大企業とそれ以外の賃金格差を以下のように示されています。

大企業の平均人件費は、中堅企業より七割高い。大企業のほうが資本が多いのですから、一人当たりの平均生産性は高いはずです。しかし、これほど差がつくはずはありません。
大企業では中堅企業より終身雇用が多いという慣習が労働の移動を阻み、賃金の格差につながっていると考えるべきです。逆の見方をすれば、大企業と中堅企業の賃金格差の大きさが、労働の流動性を阻んでいるということもできます。

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これは、大企業に所属するというだけで、賃金が高い傾向にあるということを言っているわけです。

 

ということで、上記をみると、社会に出て働く人たちはみんな東京に出て、平均年収の高い大企業に勤めるのが一番合理的というか、高い年収を期待できるということになります。

ただ、みなさんご存知の通り、ひとつの業界をみても企業によって違いがあります。ユニクロの給与テーブルが公開されて話題になりましたが、比較的年収が高くないとされる小売業において、非常に高い年収を獲得できるチャンスがあることがわかります。

ユニクロの「年収テーブル」公開が話題に 「超絶ブラックと思ってたわ」の声も | キャリコネニュース

最初に戻り、マイケル・ポーターの分析結果でも、企業の業績は「企業固有の効果が六割」も占めるので、個別の企業をよく分析するということも、非常に重要です。

それ以外にも、雇用形態でいえば正規雇用/非正規雇用の違いとか、男性/女性の違いなども統計上ははっきり違いが出ています。

自分はこういう仕事がしたい!ということもとても大事ですし、全く否定するものではないですが、こういう経済的な事実があるということも、頭の片隅に入れておく必要があるのではないか、と思う今日このごろです。

今日はこのへんで。