「J-SaaS」の後に台頭する、中小企業向けクラウドサービス

FirmBee / Pixabay

もう「J-SaaS」という言葉自体が忘れられてると思っていましたが、未だにこのブログには「J-SaaS」というキーワードで以下の記事にたどり着く人がいます。

https://synapse-diary.com/?p=434

あんまり忘れられていないんですかね?というわけで、J-SaaS以降の中小企業クラウドの動向を書いておこうと思います。

 

「J-SaaS」はどうなった?

J-SaaSというのは、経済産業省が始めた中小企業向けのクラウドサービスでした。財務会計とか給与計算とか、業務系のアプリケーションをクラウド上から安く提供することで、中小企業のIT導入を促進させようとしたものです。

J-SaaSは2009年に始まりましたが、予想したより普及が進まなかったのか、当初の予定通りだったのかはわかりませんが、2010年に富士通に引き継がれました。今は「azmarche」というサービスが展開されています。

富士通、中小向けSaaSサイト「J-SaaS」の運営を引き継ぎ-さらなるサービスの拡充目指す – クラウド Watch

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J-SaaSはうまくいかなかったけど、クラウド化の流れは止まらない

J-SaaSは事業としてはうまくいかなかったかもしれませんが、ITトレンドでみればITサービスがクラウド化しているのは間違いありません。中小企業白書でもその点が調査・分析されていて、大手をはじめいろんな分野で、IT投資先はクラウドサービスに移ってきています。

cloud

(中小企業白書2013年版「3 クラウド・コンピューティング利用の現状と課題」から引用)

大企業では27%が既に導入済みで、「関心がある」まで含めると7割近くになっています。一方で中小企業は「関心がある」まで含めても3割強です。

クラウド化の流れは個人的には不可逆だと思っていて、キーは「どこまでクラウドが普及するのか」という点と、「どれぐらいのスピードで普及が進むのか」だと考えています。

 

Kintone vs Zoho

ここからは相当主観になります。

今このジャンルでメジャーどころなのだと、サイボウズが展開する「Kintone」でしょうか。プログラミング不要というセールスポイントが売りで、Excelを拡張させたような業務アプリを簡単に作れる、という内容になっています。

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サイボウズはグループウェアで有名ですが、最近はクラウドサービスへの投資に積極的で、売上も伸びてきています。

cybozu

(サイボウズ2014年12月期決算資料から抜粋)

 

また、競合としてZohoもありますね。海外発のサービスということで、少し抵抗があるのかもしれません。

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サイボウズkintoneよりはるかにコスパが良いZOHO Creatorが日本企業で検討されない理由 | 愛と苦悩の日記

 

ただ、SimilarWebで見る限りだと、Zohoの方が訪問者数がやや多い感じですね。B2Bのサービスなので、訪問者数だけでシェアを見るのは難しいと思いますが。

 

IT投資というのは、企業の効率化のキーになるのですが、これまでのトレンドをみると、こういう新技術・新サービスは大企業で利用され、中堅企業→小規模企業という流れで進む傾向が顕著です。今後も利用されていくでしょう。

そういう意味で、J-SaaSは方向性としては間違っていなかったのだと思います。ただ、中小企業へのIT導入はまだまだハードルが高く、思ったより普及スピードが遅かったということでしょうか。