iPhoneやiPadに勢いがなくなるのは当然の流れ

iPhoneよりAndroidが圧倒的にシェアが大きいとか、iPadがASUSにシェアを逆転されるなど、Apple製品が比較される記事が目につきました。

こちらはiPhoneに関する記事。スマートフォンOSにおけるAndroidのシェアは世界的にみて85%に拡大してます。

調査会社ストラテジー・アナリティクスによると、4-6月期(第2四半期)の世界のスマートフォン(スマホ)出荷台数に占めるアンドロイド搭載端末の割合は85%と、前年同期の約80%から拡大した。スマホ全般の出荷台数は前年同期比27%増の2億9500万台。

アンドロイド、市場シェアが過去最大に – WSJ

こちらはタブレットに関する記事。国内の量販店データのみの比較になってますが、ASUSがiPadを逆転したそうです。

BCNが発表した2014年上期(2014年1~6月)のタブレットのメーカー別シェアでは、ASUSが38.9%と首位に立ち、アップルをシェアで逆転した。2位アップルのシェアも36.3%で、この2社が突出している。

アップルがASUSに負けた! タブレット市場でシェア逆転劇発生 日経トレンディネット

一見、「Apple、力なくなってきたな」って思うかもしれませんが、そのあたりをどう解釈したら良いかを考えてみます。

 

統合型 vs 分散型

アップルは、iPhoneに限らずハードウェア・ソフトウェア・サービスを統合するビジネスモデルになっています。一方で、Androidを始めとする陣営は、ソフトウェアとハードウェアが分かれていたりします。これのどちらが良いのか、ってのがひとつのポイントになります。

クリステンセンの「イノベーションへの解」では、この統合と分散のビジネスモデルについて詳細に書かれています。一部を引用すると、

製品が十分でない状況では統合が、そして製品が十分以上に良い状況では外部委託、つまり専門化や特化が有利であることを、われわれは発見した。

と書かれています。つまり、常にどちらが良いかという話ではなく、外部環境によって決まるということです。初期市場では、機能が十分になっていないので、全体を統合して機能を最大限発揮できる「統合型」が有利になりますが、市場が成熟してくると機能の充足度が高くなってくるので、機能ごとに特化して組み合わせる方が、価格が安くなります。

 

 

スマートフォンの市場環境は成熟してきている

スマートフォンは、携帯電話の台数を超えて販売されています。が、最近はその成長が鈍化気味のようです。

2014年世界スマホ売上高は伸び鈍化へ、低価格モデル投入で=調査 | Reuters

実際、これまで優勢だったサムスンとアップルがシェア1位、2位で他を大きく引き離していますが、伸び率では他の企業が追い上げてきています。

調査リポート:世界スマートフォン出荷台数、SamsungとAppleのシェア微減──IDC調べ – ITmedia Mobile

市場が成熟しつつあり、分散型モデルに優位な状況が生まれています。中国で新興企業が台頭してきていますし。

Xiaomiがスマートフォン出荷台数でHTCを退け、世界トップ10に食い込む – THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

 

そして、世界的にAndroidが普及しているのは価格が安いからで、比較的裕福な中間層がiPhoneを選択している現状があります。日本がこれだけiPhoneが普及しているのは、世界的には「異常」です。

日本人がAndroidよりiPhoneを選ぶ本当の理由 – NAVER まとめ

 

Appleはイノベーションによる開拓を続けないといけない

タブレットでも、スマートフォンと同じ状況が起きつつあるのではないかと推測します。PCの出荷台数が伸びなくなり、タブレットがずっと伸びてきていますが、普及が進んできていて、低価格による競争が加速してきていると思うのです。

ニュース – 世界タブレット市場、出荷台数が初めて前年割れ、小型機の需要低下で:ITpro

タブレット市場でiPadが強かったのは、振興市場で完成度が高いタブレットを投入できたからです。しかし、市場が成熟してくると、低価格化の波を避けることはできません。

そもそもAppleという企業は、MacintoshでもiPodでもiPhone、iPadでも、新しい市場を切り開き、先行者利益を享受してきました。しかし、例えばiPodは既に国内ではウォークマンに逆転されており、優位性を示せなくなっています。

ウォークマンがついに国内シェア1位を奪還!iPodに逆転後、圧倒してるぞwwww : IT速報

まあ、Appleはそんなことは百も承知で、iWatchなどのウェアラブルやヘルスケアの市場を開拓するつもりなのでしょう。Appleとしては、

  • 自らのデザイン性と総合的な解決力で新市場を開拓する
  • 他のアップル製品やサービスとシームレスにつなぐことで囲い込む

というのが根幹にある戦略だと思いますので、iPhoneがAndroidに負けたり、iPadでシェアが落ちてくるのは当然の流れかな、と。Appleが分散型のビジネスモデルを採用することは考えづらいので、新しいイノベーションによって開拓を狙っていくでしょう。

 

個人的にはApple製品に囲まれて生活しているので、ぜひ新しい価値を示して欲しいと期待しています。