【書評】年収は「住むところ」で決まる

イケハヤさんが東京から高知に移住する、というのが話題になっていますが、この本はまさに「どこに住むのが良いか」に大きな示唆を与えてくれる一冊です。

 

本を読んで、ここ数年思っていたモヤモヤが氷解する思いでした。これから働く場所を決める大学生なんかは読んだ方がいいです。本当に。

 

イノベーション産業は多くの雇用を生んでいる

GoogleやFacebookなどのIT系の企業は、儲かっているが雇用はあまり生んでいないと言われています。Googleは5万人、Appleは6万人ぐらい、Facebookは5000人ぐらい。トヨタは30万人以上。

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つまり、時価総額は高いのに従業員数が少ないので、一部の人にしかイノベーションの効果を享受できていない、っていうことですね。

でも、それに対して本書では反論されています。それは「乗数効果」がポイントです。企業単体で見ると確かに製造業などと比べて雇用数が少ないです。が、企業がある都市にあるいろんな産業に、経済効果が働くと述べています。イノベーション企業の従業員は高い賃金を得るので、その人たちが生活に必要なお金を使うことで、経済効果が波及するってことです。そして、その効果がとても大きいと述べられています。

雇用の乗数効果はほとんどの産業で見られるが、それが最も際立っているのがイノベーション産業だ。その効果は製造業の三倍にも達する。

 

都市に人材が集まることでイノベーションが生まれる

そして、イノベーション企業は一箇所に集まる傾向にあることも重要なポイントです。ICTが進化して、コミュニケーションコストがタダみたいに低くなり、情報の伝達速度が著しく速くなりました。それでも、人が直接集まるとイノベーションが生まれやすくなる、ということがわかっています。

なぜ直接集まった方がイノベーションが生まれやすいかは、本書の中でいろいろな理由が述べられています。僕なりに解釈すれば、やはり電話やメール、SNSなどコミュニケーションは多様化しましたが、それが故に、直接対面で会うことによるアイデアの創出効果が、相対的に高くなったのだと思っています。

地理的制約から自由になると思われたインターネットは、確かにそういう面がある一方で、対面で人が交わる価値を大きく向上させたのです。

 

働く場所を選ぶことの重要さ

で、本書のタイトルに帰着するのですが、

  • イノベーションは人材が集約した都市で生まれやすい
  • イノベーションを創発する企業があると、都市に乗数効果が生まれる
  • 同じ職業であっても、賃金は都市によって変わる

ということです。ブルーワーカー的な職業であっても、都市によって賃金が変わるのです。そうなると、どこで働くかが重要になってきます

というわけで、何を職業にするかも重要だけど、働く場所についても考えよう!

 

逆に地方都市の立場で考えれば、どうやったらそういう都市づくりができるのかのヒントにもなります。本書でも、行政がどういう施策を行うべきか、ということも検討されています。いろいろ面白いです。

ちなみに本書を読んでいて、コワーキングスペースってやっぱり重要なイノベーションハブになるのかな、と興味が深まりました。コワーキングスペースは岐阜にもあるみたい。

岐阜初コワーキングスペース – 人とつながる、未来とつながる。~BeansCoworkingSpace~
岐阜県岐阜市のコワーキングスペース 【UtsukeLabo】 -うつけラボ-

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