Jリーグにビッグクラブは必要か?勝ち点とお金の関係から考える

「サッカービジネスの基礎知識」を読んでいるのですが、お金とサッカークラブの切っても切れない関係が書かれていて、非常に興味深いです。今日は、本の内容を踏まえてJリーグにビッグクラブが必要であるか、という点を考えたいと思います。

 

 

サッカーにお金が流れこむようになった理由

一言で言えば、メディアによる競争激化です。サッカーが良質なコンテンツとして認識されると、様々なテレビメディアが放映権を獲得するために熾烈な競争を繰り広げていきます。そして、サッカーそのものにお金が流れこむようになると、裕福はクラブは資金力を活かして選手を獲得していきます。これが選手の年俸高騰を生むわけです。

プレミアリーグでは移籍金が高騰し、資金力がある4チーム(マンチェスターユナイテッド,リバプール,チェルシー,アーセナル)しか優勝を狙うことが難しくなっていると書かれています。近年では、マンチェスター・シティが優勝するなど、少し状況は変わってきているようですが。

面白いので、少し引用します。

会計事務所大手デロイト・トウシュは00年、「弱小クラブが生き残るためには近い将来、合併の必要がある」という報告書を発表した。それによると、選手年俸は高騰を続けており、優秀な選手の獲得のためには01年はリーグ全体で2億5000万ポンド(約400億円)の移籍金が支払われ、うち49%が外国籍の選手獲得のため海外市場に吸収された。中堅あるいは下位のクラブが有力クラブに引き離されないようチーム強化を進めようとすれば、ますます出費が増えるという図式となって、エリートクラブはかつてないほど裕福な経営環境にあるが、チーム間の格差が拡大しており「20チームで構成するリーグの維持は困難。同程度の資金力を持つクラブ同士だけの、規模の小さなリーグへの再編は避けられない」とまで結論づけていた。

つまり、ビッグクラブができてお金が回るようになった反面、お金と勝ち点の関係性が非常に高くなってしまい、弱小クラブが生き残るのが厳しくなってしまったというわけです。

 

Jリーグにおけるお金と勝ち点の関係

一方で、Jリーグではお金と勝ち点の関係はどうなっているのでしょうか。各年度のJ1の選手年俸の総額と、各チームの勝ち点と選手年俸との関係を示した決定係数を整理すると、以下のようになります。

年度 年俸総額(百万円) 決定係数
2003 8,804 0.296
2004 9,212 0.330
2005 10,978 0.011
2006 10,655 0.315
2007 10,444 0.509
2008 10,566 0.127
2009 11,358 0.152
2010 11,137 0.229
2011 10,262 0.465
2012 10,618 0.106

まず選手年俸の総額としては、ここ10年であまり増えていません。むしろチーム数は増えているので、個人の平均としては低下してるんじゃないかと思います。

また、決定係数については年度によって結構異なります。資金力がそのまま成立する年と、そうでない年があるようです。つまり、Jリーグはまだお金以外でも勝負が決まる要因はあるのでしょう。

 

Jリーグにビッグクラブは必要か

冒頭に戻ると、お金が生まれる→資金力で選手を集める→選手の年俸が高騰する→ビッグクラブのみが勝つ、というサイクルがヨーロッパでは生まれている、という話でした。一方で、今のJリーグを見ると、決定係数もまばらですし、実際毎年優勝チームは変わっていて、戦力は均衡状態になっています。

今のJリーグの問題は何かと言えば、リーグ全体が縮小均衡になるのではないか、という危機感です。そのためには、お金を生み出す仕組みが必要であり、アジア進出を狙っているのも、プレミアリーグ構想も、その一環だと思っています。

また、ビッグクラブというのもひとつの解決策でしょう。福田さんが非常にわかりやすい解説をしています。

Jリーグのクラブが常にACLで優勝争いをして、毎回クラブワールドカップに出場することを目指すのであれば、もっと資金力と競争力をつけないといけない。ACLで中国、韓国、中東のクラブと互角以上に渡り合って、さらにクラブワールドカップでヨーロッパや南米のクラブに肉薄することを目標にするのであれば、Jリーグで中心になっていくビッグクラブが存在すべきだ。そこに資金と優秀な選手が集まってくる図式がないと、世界の舞台で勝ち抜いていくことは難しいだろう。

Jリーグにビッグクラブが存在することの功罪を考える|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva|J Football

一方で、戦力が偏りすぎると国内リーグがつまらなくなる、というデメリットについても触れています。しかし、それでもビッグクラブはリーグ全体を実力やお金の面で引き上げられる、ということです。

そういえばカズさんも、選手に希望を与えるためにもビッグクラブは必要、と言っていますね。

カズ 開幕から20年、Jにはビッグクラブとスターが必要 ― スポニチ Sponichi Annex サッカー

これは、10年間の各クラブの年俸と勝ち点の関係を示した散布図ですが、やはり中位の層に年俸が集中しています。もう少し、年俸を高く支払えるクラブが多くあっても良いんじゃないか、ということですね。

Jリーグの過去10年における選手年俸と勝ち点の関係

Jリーグの過去10年における選手年俸と勝ち点の関係

 

まとめ

というわけで、ヨーロッパでは、過剰なビッグクラブ志向とメディアバブルの崩壊から、財政面の見直しが進んではいますが、今のJリーグの現状から考えると、個人的にもビッグクラブができあがることには賛成です。

といっても簡単にできるわけではないので、海外を含めたマーケティングに長けたクラブが出てくる必要があると思います。福田さんの言う通り、今一番ビッグクラブに近いのは浦和レッズじゃないですかね。前回書いた通り、浦和は収益力も一番ですし。

Jリーグで最も経営状況が良いクラブはどこか? | Synapse Diary

 

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