ビッグデータの資産価値をどう評価するか?

前回の記事で、「ビッグデータの観点で見れば、データを保有する企業に優位性がある」と書きました。そうなると、データを保有する企業を、財務上の観点からどう評価するか、というのが資本市場では問題になります。

 

ビッグデータを会計上どう評価するか

「保有するデータ」というのは、ソフトウェアなどと同じように無形資産に該当しますが、決まった評価は難しいものです。しかし、「ビッグデータの正体」によれば、無形固定資産は年々大きくなっているとのことです。

純資産額と時価総額の差額部分は「無形固定資産」に当たる。米国では1980年代半ばに上場企業全体の時価総額の40%ほどが無形固定資産だったが、2000年代の幕開けごろには4分の3を占めるまでに比重が大きくなった。無形固定資産には、ブランドや人材、戦略など、有形ではないが、形式的に財務会計の対象となる資産がすべて含まれる。

つまり、有形物でない資産というのを認めないと、市場における取引を可視化できないほど、無形資産の重要性は高まっている、ということでしょう。「データ」についてもまさにそういうもののひとつに加わってきている、ということです。

 

無形資産への投資は市場の環境と関係がある

話はビッグデータだけでなく無形資産全般に及びますが、米国と比較すると日本の無形資産の割合はまだまだ小さいようです。その要因のひとつとして、市場環境の違いが挙げられます。

無形固定資産は、バランスシート上は計上が認めらますが、金融機関側の担保する資産としては価値がありません。売却などの価値の転換や評価が難しいからです。一方で、アメリカは直接金融が主流となっており、リスクマネーを市場から調達することが可能です。なので米国企業は積極的に無形資産に対する情報開示を行い、資金調達を行っています。これがアメリカと日本の無形資産の違いに表れているのではないか、ということです。

詳しいことは、このレポートに書いてあります。 www.energia.co.jp/eneso/keizai/research/pdf/tokushu201203.pdf

このように、無益資産の重要性は年々高まってはいますが、会計規則や投資環境によって違いが出ている、というのは面白い見方です。

ちなみに、上記レポートでは、まだ無形資産の経済成長への寄与は、有形固定資産に比べて小さい、とも述べられています。

 

この無形資産への流れは非常に考えを刺激されるものではありますが、同時に企業に対する見方もシンプルではなくなってきている、というのがあるかもしれません。

Facebookの企業価値は低迷していると言われていますが、それでもまだPERは175倍をつけています(Googleは25倍程度)。今後収益性が上がるだろう、という確率の高さを信じての価格だとは思いますが、今後どうなるのかはわかりません。

ただ、財務諸表などの数値からは評価がとても難しくなっているんじゃないかと思います。

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