読めば起業したくなる「ライク・ア・ヴァージン」

世界中に多様なビジネスを展開するヴァージングループ創業者の著書を読みました。様々な質問に答える形で、経営に対する考え方をうかがうことができます。

 

ヴァージン・グループは、Wikipediaを見てもわかりますが、メディア系と航空系を中心として、いろんな事業を展開しています。また、最近だとエアアジアで女装して客室乗務員を行った、としてメディアにも報道されていました。

ヴァージン会長の「女装罰ゲーム」実行、エアアジアの客室乗務員に 写真28枚 国際ニュース : AFPBB News

そんなヴァージン・グループ会長の経営に対する考え方は、非常に示唆に富むものばかりでした。

 

全体的な印象は「とてもスマートで現代的」な経営

僕はこの本を読むまでヴァージングループのことを十分に知りませんでしたが、本当にいろんな業種に進出していますし、事業展開している国も様々です。ただ、英語圏が中心なので日本ではなじみが薄いのかもしれません。

読んだ後の全体的な印象は、非常にスマートで、現代的な価値観で経営を行ってるんだな、ということでした。勝手に破天荒な先入観を持って読みましたが、全然そんなことはなかった、ということです。タイトルにある「ビジネススクールでは教えてくれない成功哲学」と書いてありますが、全くそんなことはないと思います。

 

明確な理念を持つこと、それを浸透させることの重要性を説き、新しい事業へ進出するときの事前調査やリスクヘッジを入念に行い、失敗を素直に認めて挑戦を奨励する。そういう現代のMBAでセオリーと言われるようなアプローチを実際に体現しているな、という印象でした。こういうことがさらっと書いてあります。

外からは、どう見ても尋常じではないほどリスク許容度が高い連中だと思われがちだが、ぼくらの行動には常にもう一つの原則がある。失敗への備えを怠らない、というものだ。これはあらゆる起業家が指針にすべきだろう。というより、事業に携わる人すべてに言えることだ。

経営というのは多様な事柄から成り立っているので、様々なことに対して理論や考え方があります。これらを頭で理解するのも大変ですが、それを実現している、という点で非常に希有な気がします。

 

これからのビジネス世界を考える

せっかくなので、いくつか未来的なビジネス要素が書かれていたので触れておこうと思います。

 

コミュニケーションのあり方

最初はコミュニケーションのあり方から。

だが技術の進歩にもかかわらず、ビジネスの世界は近年コミュニケーションの質がとみに低下している。それが仕事の効率化につながると勘違いしているのか、電話で話すことや、直接会って話をすることを避ける人が増えてきたためだ。

これが著者の年齢が、、、とかいうせいにすることもできますが、個人的にも少し変な感じになっている気もしています。やはり直接会って話すのが一番コミュニケーションの密度は高くなりますし、電話で声のトーンを確認したりニュアンスとして感じ合うのは重要なことだと思っています。

今後どういうコミュニケーションが形成されていくのかはわかりませんが、メールやSNSが台頭するほど、「直接会う」ということの価値が相対的に上昇するんじゃないかと思っています。

 

また、IT技術は企業と顧客のコミュニケーションを変えているとも思っています。

起業家やビジネスリーダーが成功するためには、デジタル世界をこれまでとは違うレンズで見なければならない。会社のウェブサイトやサービスや担当チームを総動員すれば、この脅威はチャンスに変わる。変化に抗う者は敗れ去るだけだ。

これは、SNSなど顧客との複数のチャネルを統合し、顧客に対して新しくシームレスな体験を提供する必要がある、ということを述べています。まさに今、様々な企業がこういう取り組みを行っているところだと思います。

 

こんな感じで、個人レベルでも企業レベルでもコミュニケーションのあり方は多様化しているとともに、人々の気持ちも変化しています。ツールはあくまでツールなので、コミュニケーションの目的とそれにあったコミュニケーション方法を考える、という部分は、多様なツールが登場している現状ではますます求められてくるのでしょう。

 

イノベーションは顧客の近くで起こる

Appleなんかが代表例ですが、ビジネスの比重はどんどん顧客に近くなっている気がしています。マーケティングでもマスからダイレクトになったりしてますし。

財務の専門家は同意しないかもしれないが、優れたカスタマーサービスは純粋なコストではなく、さまざまな意味でマーケティングへの投資ととらえるべきではないか。

なので、サービスの捉え方ももう少し見直す必要があるのかもしれません。営業やマーケティングコストとサービス提供コストがミックスされている、という考え方がベースにあれば、もう少しサービス提供に価値を見いだし、いろんなソリューションが生み出されるかもしれません。

 

多様な人材、多様な能力、多様な働き方

著者は、ワークシェアリングやフレックス労働など柔軟な働き方を奨励していました。

ワークシェアを導入することで(すなわち仕事の負担を多くの人に分配することで)社内の知識や経験が幅広く分散するようになり、また意思決定も最もふさわしい立場の人材が下すようになる。

経営においてダイバーシティが叫ばれて久しいわけですが、その重要性は今も変わっておらず、今後はもっと必要になってくるでしょう。新しいアイデアやチーム活性化のために多様な人材を確保し、多様な人材を確保するために個人の実情に合わせた多様な働き方を採用できるような制度を構築する必要があります。

つまり、

新しいアイデアの創出 ➡ 多様な人材の確保 ➡ 多様な働き方の制度構築

です。

これによって、いろんな人材がいろんな仕事をシェアするようになり、多様な能力が個人の中に、組織の中に蓄積されることになり、それが企業の強みとなってきます。

口で言うのは簡単ですが、今もいろんな企業が試行錯誤しながら、これを実現しようと試みているのだと思います。

 

というわけで、非常に楽しい一冊でした。最後に、感銘を受けた言葉を2つ引用してこの記事を締めくくりたいと思います。

優れた人材を見つけ、管理し、インスピレーションを与え、会社にとどまらせること。これは経営者にとって最も重要な課題の一つで、その成否が会社の長期的な成功と成長を大きく左右する。

 

ぼくの経営哲学は当時と変わっていない。自分の楽しめることをすれば、情熱が仲間にも伝播し、熱心で元気いっぱいのチームができる。実際、ぼくは40年以上にわたって、自分の最も大切な任務は、「おカネより仕事そのものが大切」と心から思っている優秀な人材を引きつけ、やる気を引き出すことだと考えてきた。

 

当然ながら、以前書いた通りこれはBookLiveの電子書籍で読みました。BookLiveのiPhoneアプリで読みましたが、特に違和感とかはなかったですね。Kindleと似ていました。

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