起業や独立を考えるなら「貧乏はお金持ち」を読もう

全くタイムリーではないですが、読みました。メインテーマは「独立することで税金が最適化される」ということで、サラリーマンと個人事業主(本の中でいうマイクロ法人)との法制度や税金の違いを示すことですが、それ以外にも重要な示唆がたくさん含まれていて、読み物としても面白かったです。

 

企業の成り立ちから紐解く企業論、企業の利益と税法上の益金との違いを整理した財務会計、企業価値を計算するファイナンスなど、企業にまつわるいろんなことがこの一冊で理解することができます。

 

サラリーマンは重要な部分を企業に委託してしまっている

本のメインテーマであるマイクロ法人という提案は、サラリーマンと個人事業主で何が違い、その結果、主に金銭面でどういう違いをもたらすか、という視点から行われています。

とはいえ、サラリーマンとそれ以外の企業家にはひとつの決定的なちがいがある。それは、サラリーマンが企業活動(お金を稼ぐ経済活動)の主要部分を会社に委託(アウトソース)してしまっていることだ。これは具体的には、会計・税務・ファイナンスである。

これは、税務処理などがない点で非常に面倒くさくなくて良いのですが、お金に直結している部分です。これを企業の枠組みに入ることで委託してブラックボックス化しているわけです。

ただ、少し勉強してみればわかりますが、会計と税金にまつわる仕組みは結構複雑です。その紐解き方によって税金の多寡も変わってくる、というのを本書では示しています。

 

詐欺はなぜなくならないか

本書の主旨とは少しずれますが、個人的に非常に面白かったのは、詐欺はなぜなくならないのか、ということでした。最近、安愚楽牧場が話題になっていますが、知ってみれば「こんなことに騙される奴も悪い」みたいな感じになってしまいます。しかし、ずっと昔からある詐欺のような悪徳商法は、なぜなくならないんでしょうか。その答えはこれです。

株式会社は、なにもないところから儲け話だけで資金を集める仕組みだ。その儲け話に実態があればビジネスで、実態がなければ詐欺になるが、おうおうにして両者の区別は不可能だ。

つまり、事業が始まる前に資金を集める、という意味では両方とも同じで、中身がない状態で見極めなければいけないからです。ベンチャーなどの企業でも事業計画一枚で資金を集めます。ビジネスと詐欺の境界線は、非常に曖昧な気がします。

IT業界でもある程度経験を積むと、フリーランスとして企業と業務委託契約になる人もちらほらいますが、そうなるとまさにマイクロ法人としての恩恵とリスクを引き受けている、ということがわかりました。起業や独立を考えている人はまず読むべきですし、そうでなくても企業・税制の実態を理解する上では非常に良書です。

貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する