経営フレームワークの限界を突破するためにはどうするか

新しいビジネスモデルを生み出すためには何が必要なんだろうか。本書では、実証研究や知識の習得だけでない要素として、「ビジネス・インサイト」が必要だと述べている。

 

経営フレームワークの限界

ビジネススクールに行くと、経営フレームワークをたくさん習う。まあ、本当にたくさん。だけど、それを使いこなしても、結局「で?」ということに対して答えられない場合が多い。「使いこなす」という点ではとても難しい。

でも、そもそもフレームワークに限界があるんだと思う。経営なんて不確定要素がたくさんあるし、ひとつの事象をフレームワークで説明できたとしても、自分にあてはめてうまく説明できるとは限らない。それよりも、考えを整理したり、新しい気付きを得たり、複数人で共通認識を持つために使うと便利だ、というぐらいに捉えるのが賢明だ。

 

「対象に棲み込む」ことで「暗黙の知識」にたどり着く

本の中でよく登場するのは、「対象に棲み込む」と「暗黙の知識」だ。まず、「暗黙の知識」というのは、形式知ではなく、かつ「自分が知っているはず」の知識を再発見する行為にあたる。いやー言葉で書いてみるとさっぱりわからない気がするけど。笑

ただ、形式知だけではない部分というのがたくさんあり、そこにビジネスの本質があるとすると、そういう「暗黙の知識」にどうたどり着くのか。そのアプローチとして「対象に棲み込む」ということを挙げている。簡単に言ってしまえば、当事者意識を持てということなんだけど、細かいことは本を読んで欲しい。(著者は、その一つの方法としてケース教育を挙げている。)

逆に、そこまでしないと知っていることの取り込みだけになり、「コピー・キャット」ではないけど、中途半端な模倣になったりする。本書の例にあるように、ヤマト運輸やセブン-イレブンなど新しいビジネスを創造する人たちはビジネスの本質を捉え、単純な真似ではなく、新しいエッセンスを取り入れてビジネスモデルを構築している。

 

ビジネスというのは、知識や経験だけに拠るものではないし、洞察し実践していく力も同じぐらい重要で、かつそれは身に付けるのが難しいものだけれど、不可能ではない。関心がある人は、ぜひ読んで欲しい。

ビジネス・インサイト―創造の知とは何か (岩波新書)

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