「社長復活」を読んで、経営者という職業を感じる

起業家というのは、感情の起伏が激しい人生を送ることができる、とMBAで習った。これは、起伏が激しい人という意味ではない。それだけ、楽しいときはすごい楽しいし、苦しいときはそれと同じぐらい苦しい、という経験によって得られる感情の幅が大きくなる、という意味だ。

そしてこの本は、まさに起業家・経営者としての生き様がみえる。

経営者というのは、つねに不安と隣り合わせで生きている。お金の問題、人の問題、市場の問題、毎日そればかり考えていて、気が安まることがない。が、いったん慣れてしまえば、むしろ、それがないと生きていけない。何も問題がないと、かえって不安になったりするのだ。

こういう心理状態ですよ。

 

成功→失敗→成功→失敗のジェットコースター

ハイパーネットで一躍起業家として踊りでて、その後倒産。しばらくすると、株式投資や企業価値などのセミナーで一稼ぎ。株式投資ブームが去ると、仕事も少なくなりうつ病で引きこもりに。そして、今回書かれているように、再度起業。

本当、ジェットコースターのように浮き沈みを経験している。こういう経験ができることが、まさに起業家・経営者の醍醐味なのだ。起業家を志す人は、こういうことをポジティブに捉えられないといけないのかもしれない。安定がないと不安、という人は厳しいだろうし。一方で、起業して社長を経験した人に聞くと、「絶対にサラリーマンに戻りたくない」という人が多い。それほど、魅力的な仕事でもあると思う。

 

コンスタントに結果を出すには

面白いのは、健康に対して配慮するようになったことが多く語られている点。

暇というのはとても重要だ。ジムに行って身体を鍛えるとか、気分転換に旅行に行くというのは、ある種の予定であって、本当の暇は「予定のない予定」のことを指す。何かをするための時間ではなく、何もしないための時間。そういう時間があれば、人間はモノを考える。しかも、長いスパンで考えられるようになる。

忙しくしていると、どうしても余裕を持って考えることができなくなり、広い視野が失われてしまう。村上春樹は朝早く起きて、ジョギングしたりしながら規則正しく小説を書いていると聞いたことがある。無理して忙殺されるのでは、一時は良いのかもしれないけどそれが続くと自分で自分を見失っていくんだろうな、と最近は自分も思う。

 

ちゃんと稼ごうという意識

金がすべてではないが、稼げる能力があるなら稼ぐべきだ。稼いで、税金を払って、寄付したい人は寄付する。稼ぐということは、社会に何らかの価値を提供した見返りだ。自分はそこから逃げていた。

ビジネスに役立つ『商売の日本史』講義」でも書かれていたが、日本にはお金を稼ぐ行為が卑しく捉えられる側面がある。しかし、お金は良くも悪くもなく中立なものだし、稼ぐという行為そのものは社会からの投票の結果とも考えられる。

実際、こうやってお金を稼ぐことを意識しているから、一度倒産しても講演とか企業価値セミナーでまたお金を獲得していく。それは根底に、「どうやって稼ぐか」という意識があるからだと思うし、サラリーマンとの違いはそういうところにあるな、と思った。

 

素晴らしい経営者が「何か起こすんじゃないか」と思うと、本当にわくわくする。こういう気持ちをまた体験できて嬉しい。

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