人が成長を実感するのはどういうときか

社会人になって、最初の数年の間で自分が成長したと実感したのはどういうときだろうか。僕は「直属の上司の背中が見えた」ときである。

最初のうちは、当然のことながらほとんど何もできない。一挙手一投足教えてもらえないと動けないほど、使えない状態である。そういうときは、必死に教えてもらったことをひとつずつ吸収していくしかない。このとき、上司というのは「遠い存在」になるし、自分がその上司のポジションに成り代わることを具体的に想像するのは難しい。

 

しばらくすると、徐々にいろんな状況が見えてくるし、自分で工夫する余地もできてくる。すると、具体的に上司と自分のギャップもわかってくる。

物事に対してどういう考え方をするのか。なぜ自分より早く作業を進められるのか。どのようにクライアントとコミュニケーションを図るのか。

そういう点がわかってくると、改めて「遠い存在」であることを実感したりする。ただ、ここで具体的にギャップを認識することで、自分の行動を改善することができるようになる。

 

そして、もう少し頑張って仕事をしていると、やがて「背中が見える」瞬間がやってくる。自分がもう少し努力すれば、届きそうな感覚。この瞬間を感じられると、自分の努力は間違っていないんだと思えるし、自分の感覚が「遠い存在」から「届きそうな存在」に変わっていることそのものが、成長の実感になる。

 

つまりここで重要なのは、「上司と部下の距離感」ということになる。ある程度年数が近いと、このギャップを埋めるスピードも早くなるので、成長実感を早く得られることになる。距離感が遠いと「まだまだ遠い」の連続になってあまり実感が得られなくなる。

 

 

なんでこんなことを不意に書こうと思ったかといえば、最近の自分が少しそういう感覚を忘れつつあるからだ。でもこれは当然のことなのかもしれない、とも思っている。

それは、

  • 年数が経てば注意する人はどんどん少なくなる
  • キャリアが多様化してきて、スキルを直線上で評価しづらくなる

という点が関係しているようにも思う。つまり、自分で成長のベクトルを見つけて、自分でギャップを埋めていくようにしなければいけないということだ。モチベーションの源泉は外的要因に求めるのではなく、内的要因に作り上げていくものだということを、この本を読み返して思い出した。

モチベーションを思うまま高める法 | Synapse Diary

というわけで、もし組織設計をしたり人事権がある方は、上司と部下の距離間について考えてみてください。