日本IBMの業績が10年で約半分になっている

少し前に社長交代が発表された日本IBM。いつの間にか、業績がここ10年間で半分になってまして。

松岡功のThink Management:日本IBM社長交代の意味 – ITmedia エンタープライズ

グラフにするとこんな感じです。


日本アイ・ビー・エム – Wikipediaを元に作成)

今回の社長交代劇も、その歯止めをかけるためのテコ入れでは、という感じになっている。これがIBM全体の傾向ならまた違うアクションにもなるんだろうけど、グローバルでは売上高は伸びていて、日本だけが落ち込んでいる。

日本のIT市場は世界からみて特殊なのか

日本IBMの業績が落ちているのは、どうやら日本市場特有の「SI文化」にあるようだ。

社長交代の本当の理由は、もう一つの「独自路線」のほうにありそうだ。富士通やNECなど日本のITベンダーが業務アプリケーションの領域に深く踏み込む中で、日本IBMも対抗上、追随したと思われる。これが世界のIBMの中で、日本の独自路線となった。

だが、基本的にシステム開発はユーザー主導で行うべきものだ。そのうえでITベンダーは、ITインフラや開発環境を用意し、開発工程の自動化に取り組むべきではないか。いわばシステム開発の工業化である。日本の場合どうしてもSIが主流になっていて、製品やソリューションを売る、というのはあくまで二次的要因になりがち。それは、業務が標準化されていない、とか業務をシステムに合わせるということが未だに抵抗が大きいからなのかもしれない。
田中克己の針路IT – スルガ銀-IBM裁判から垣間見えた“SI時代の終焉”:ITpro

SIの場合、顧客の要望に合致するような業務アプリケーションを作りこむことで対価を得る。これは、規模が大きくなるものの、非常に効率が悪く、かつ責任分界が曖昧になりがちになる。もちろん、発注者側もコストがかさむことや、完成までの期間が長くなるというデメリットを負うことになる。

そして、ITは既に「開発する」のではなく、「組み合わせを選ぶ」場面が増えているということだろう。もっとITはインフラ化して、ユーザが自然に使いこなせる流れになる。そうなると、作り込みに必要なエンジニアはどんどん不要になってしまうだろう。

新しいビジネスモデルはどのような流れになるか

上述の話から想像すると、これまでのSIのように、ユーザは要件を出して、あとは業者が頑張ります!という感じではなくて、ユーザは、市場にあるソリューションを自ら組み合わせて使っていく流れに進むのだと思われる。

実際にセールスフォース・ドットコムもAmazon EC2もサービスメニューをある程度固定化して、使いやすい環境を提供する形になっている。個別に要件を聞いて、それに合致するようなサービスを提供をしていたのでは、コストもかかるし時間もかかってしまう。ユーザがシステムを利用するまでの手間や時間をどんどん削れるようなサービスメニューを作らないといけないし、一方でユーザ側も自分たちで要件を整理したり、市場にあるサービスを見定める発注力が求められる。

 

そうはいっても、企業にとって根幹となるシステムは、市場にある簡易なサービス提供では実現できないだろう。これからは、ユーザが簡単にカスタマイズして要件を満たせるようなシステムと、本当のコアシステムで大掛かりな作り込みが必要なシステムの二極化に進むんだろうか。