汚職と貧困に、相関性はない

「貧困の終焉」を読んでいて、思ったことをつらつらと書いてみる。貧困国の実情が書いてあったのだが、どう考えても自力解決が難しい。それがありありと伝わってくる。本当に抜け出せないのだ、きっと。読んでいても泥沼にはまったようなどうしようもない感覚を覚える。

ではどうするか。援助を求めるのだ。具体的には、資本や物資を援助してもらう。過去の債務を帳消しにしてもらう。そうやって始めて、貧困脱出・自立の第一歩を歩み始める。

だけど先進国は、貧困国は汚職にまみれていて、どうせ悪徳代官の懐に入るだけだから、援助しない、とくる。約束も守らないし。みたいな。それに対し、ちゃんと意識はしたことはないとしても、潜在意識の中で納得感を持っていた。自分としては。

しかし、この本を読めば、それは表面だけを見た思いこみだと気づく。 発展途上国と言われている国はたくさんあるが、その中でも貧困の程度には差がある。現在は総じて、アジアの方がアフリカより経済は発展しつつあると言えると思うが、汚職撲滅に積極的に取り組んでいるのはアフリカの方なのだそうだ。 ということは、先進国がいい言い訳に使っているだけなんじゃないのかと思ってしまう。自分たちのためにお金を使いたいから。「汚職があるから積極的融資はしない。だけど、過去に貸した微少な金額は、ちゃんと利息を付けて返してね。これ、世界のルールだから。」となっているように思えてしょうがない。

これでは貧困は解消しない。自立だってしない。経済がゼロサムじゃないなんてことは、経済学の最初に学ぶことだ。貧困国だって経済が発展すれば、立派な貿易相手国になりうる。商売の相手になるのだ。貧困国を援助するってことは、そういう可能性を含んでいるのに。

この本では、アフリカの貧困層といわれる農村が、自立の一歩を歩み出すまでに必要な援助の額を試算している。と、同時に、アメリカが近年戦争で使った額もはじき出している。これを比較して考えると、やりきれなくなる。 久々に本当に良い本に出会った。世界の現状も、これから世界が向かう方向についても、経済や政治や個人の精神などいろんな面から示してくれる。ちょっと分厚いけど、後半なんて一気に読んだ。こういう分野に興味がある人は、必ず読んだ方が良いと推奨できるぐらいの良書。